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DeNA会長・南場智子氏インタビュー(全2記事)

2016.02.03

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南場智子氏「社員全員が最後の砦」仕事で人を育てるDeNAの強みを語る

提供:株式会社ディー・エヌ・エー

2016年2月27日(土)にDeNAの学生向けキャリアイベント「DeNA Career Vision Forum」が開催されます。同イベントでは、「何かに挑戦したい」「今の自分や社会を変えたい」という強い想いを持つ学生たちに向けて、事業会社、スタートアップ、投資家、学生起業家など、さまざまな経歴の豪華スピーカー陣が「現場の生の声」をお届けします。今回は、イベントの開催に先がけて、DeNA代表取締役会長・南場智子氏にインタビューしました。後半パートでは、就職という意思決定を経てDeNAに入社した学生がどのように成長していくのか。なんでもない新卒の学生をズバ抜けて優秀な人材へと育てる2つの強みを語りました。

DeNAの社員は仕事が育てる

──前半の就職における意思決定のお話をふまえて、DeNAの新入社員は会社に何を求めて、どのように成長したいと思って入ってくる方が多いと思いますか。

南場智子氏(以下、南場):皆バラバラだと思いますよ。ただ、DeNAは、人が人を育てるという考え方よりも、仕事が人を育てるという考え方を重視しているので、とにかく仕事を頑張ってやってみたい人が入社しているはずです。

新卒をふくめた全社員が最後の砦

──「仕事で育つ」という点において、個人が任せられる裁量が大きいということでしょうか。

南場:そこが我が社の特徴だと思います。たとえば遺伝子検査サービスに参入した際は、新卒1年目の社員が東大医科研との共同研究を推進し、サービスの根幹を作りました。カーシェアのAnyca(エニカ)は新卒3年目の社員が立案し、そのまま事業リーダーをやっています。

ゲーム事業でも新卒数年目で100人規模の組織の長に就くものなど、普通の組織ではなかなか考えられないくらい早く大きな責任を任されます。

DeNAは、自分ができなかったら、後ろにもっとできる先輩がチェックをしてくれて、それがダメならさらに後ろにいる先輩が……という重層構造の会社ではなくて、全員が最後の砦というか、自分が穴を開けたら会社に穴が開くという構造です。

最初は人が足りなくて、重層構造を作る余裕がなく、仕方なくこうなっていたのですが、そういう仕事の仕方をしていると若い人材が驚くほど早く育つことに気づいて、今では人材の成長の加速のために意識的に「全員が最後の砦」という考え方を重視するようになりました。

「球の表面積」という言い方もします。全員が表面積を担います。自分が担当している領域においてはDeNAを代表してもらうということです。

なので、そういう環境が重荷になってしまわない人、そのヒリヒリするような責任感を楽しめる人には良い職場だと思います。大胆に任されて、起承転結をやらされますから。

先輩は仕事の仕方の基礎は教えてくれるけれども、任された領域の専門知識などは先輩も社長もまったくかなわない、という存在になってくれないと困ります。

もちろんチームで仕事をするので互いの助け合いがありますが、一人ひとりの存在感というか責任は高いレベルで求められます。

数千億円の事業価値があって、数千万のユーザーさんがいて、数万人の株主がいるというところで自分にしかできない仕事を任される。その重責を楽しめるかどうか。

評判の良くない社員が一転、事業の中心に

──これまで能動的な意思決定をしてこなかった学生の中には、「とにかく仕事への思いは強いけど、何をしたらいいかわからない」という人もいると思います。

DeNAの新卒社員を見ていて、「初めはくすぶっていたけど、こういうきっかけで今活躍しています」みたいな例があったら教えていただきたいと思います。

南場:あれはまだ私が社長をやっていたときですが、入社式で新入社員に対して私が歓迎のスピーチをした後、COOの守安(現社長)が、「俺が社会人を10年やってわかったことが1つある。1年目で仕事ができない奴は一生できない」と断言し、新入社員が震え上がっちゃうんじゃないかと心配しましたが、みんな「あったりまえだろ」みたいな顔をして聞いていて、横で見ていた私のほうが驚いてしまったことがありました。

このエピソードというか、守安の言葉をときどき思い出して、「本当だろうか」と考えます。確かに守安は最初からスーパースターでした。また、「スゴイやつ」の多くは最初からなんだかスゴイことがほとんどです。けれども、最初ぱっとしなかった、あるいは苦労をしたけれど、後に大きく成長した人は我が社の短い歴史の中でも何人もいます。

部署異動を機に猛烈に活躍し出したというケースがあります。あまりの変貌ぶりに「本当に同じ人なんだろうか?」と不思議に思われることも。

そういったケースは大変に興味深いので、私は直接周囲に根掘り葉掘り話を訊きに行くようにしています。すると、業務内容がもともと苦手なことから得意なことに変わったという「得手不得手」よりもむしろ、「信頼」が発奮材になっていることが圧倒的に多いのです。

仕事がうまく行かない、信頼されない、信頼されないとやる気がなくなる、やる気がなくなるとさらに仕事のパフォーマンスが落ちる、こういった悪循環から、何かがうまく行く、信じて任される、意気に感じてさらに頑張る、するとさらに成果が出る、という良循環に転換しているわけです。

いったんこの良循環に入ると強い。なぜなら自信がつくからです。つくづく、人は成功体験で成長するんだなぁ、と思います。

誰もが緒戦の勝利を得られるように、小さくても成果を出して信頼を得られるように工夫をするのが会社やチームリーダーの役割ではないでしょうか。人道的な意味の「良い人発言」ではなく、一旦採用した人材が活躍しなかったらもったいないわけで、企業としても理屈にかなうことです。

穴を開ける覚悟でどこまで任せられるか

ですからやっぱり、穴が開いてもいいから、まずは信じてみる、任せてみる。社員が悪循環に入りかけたときに、ダブルチェックをするという方向で手を打つんじゃなくて、「穴を覚悟でまた任せる」ということをどれだけできるかが、会社の懐の深さであり、マネジメントの要諦だと思います。

成功体験が人を育てる、と言いましたが、楽勝レベルの仕事をしているとあまり成長しません。ぎりぎり頑張って達成できる確率が50パーセントの仕事を任せないと。そして、ギリギリ50パーセントというレベルは個人によって違うので、一人ひとりを見て丁寧な仕事の任せ方ができるかどうかですね。

その丁寧さに加えて、勇気が必要です。達成の可能性50パーセントのギリギリの仕事の任せ方をしていると、本当にだいたい半分の確率で失敗しますから、穴が開きます。チームがよってたかって助けますが、それでもうまく行かないこともあります。だから、やっぱり任せるっていうのは覚悟が要るんですよね。

穴が開くリスクはとる、でも人が育たないリスクはとらない、そう腹をくくれるかに、長期で組織を強くしていけるかどうかがかかっています。

ところで「1年目で仕事ができない奴は一生できない」と言った社長の守安は、実際は信じて任せることがとても上手です。「いやいや、人はときに大化けするよ」と言っているほうの私が実は、一旦任せても途中で心配で心配で、結局口をだしてしまいそうになることがあります。やっぱり言うのとやるのは違いますね。気をつけます。

DeNAが求めるクリエイティブの力

──DeNAの採用に関して、昨年女子美術大学で講演されたり、今年はデザイナーを対象にしたインターンも募集されるとうかがっております。

クリエイターの採用にもかなり力を入れている印象を受けたのですが、そちらはいかがでしょうか。

南場:そうですね。クリエイティブだけが重要というわけではないんですけれども。私たちはやっぱり、偉大なる左脳集団になってしまっているところを反省しているというか。私はパッションもあるつもりだけど、ものすごく理屈好きです。DeNA自体も、意思決定が非常にロジカルで、経営がかなり論理的・分析的に行われてる会社なんですね。

ただ、DeNAが何をやっているかというと、インターネットのサービスをユーザーに提供している会社で、この会社が浮くも沈むもユーザーに受け入れられるかどうかなので。それが他のことと比べると、ケタ違いに重要なんです。

ユーザーが「他のサービスと比べてこのサービスを使おう」とか、「このサービスを使い続けよう」という決定は論理でも分析でもなくて、使ったときの感覚や感性です。ゲームであれば、要はおもしろいか。

私たちは「なぜ選ばれたか」を分析によって理解する力は非常に長けているんだけれども、選んでもらえるモノ・サービスをゼロから生み出すというところでは、強化の余地が大きい。使ったときの感覚とかサービスのおもしろさとか、見たときの心地よさとか。DeNAはそこを徹底的に強化して行くつもりです。

なので、モノをつくれる人、サービスをつくれる人、ユーザーの感性と合致するデザインがつくれる人、あるいはユーザーも気づいていなかった新しい感性を目覚ませてくれるような人を強化していきたいと思っています。

優秀な人材を育てる「DeNAの2つの強み」

──最後に、2016年2月27日(土)に開催される「DeNA Career Vision Forum」をはじめとするイベントに参加する学生に向けて「DeNAの強み」を紹介していただけますか。

DeNAの強みは2つあります。1つはさっき言ったように、ものすごく仕事をさせられると。任される仕事のレベルも、仕事の量も、「こんなに任されるんだ」と思うくらいの仕事を常に任され続ける会社です。

みんなに同じレベルの仕事を任せるのではなくて、それぞれの能力に応じたギリギリの仕事を任せるという考え方ですので、必然的にものすごくストレッチできる仕事環境です。それが1つの強さ、というか特徴です。

もう1つの強みは、社員みんながその過程を経ているので、周りが非常に優秀です。たぶん入ってびっくりすると思うのが、「自分と3つか4つしか歳の変わらない先輩がこんなにすごいのか」ということです。衝撃を受けると思います。

私は目線を高くすることがとても重要だと思っています。「もとは自分と同じような人間が、これだけの力をつけるんだ」というのを見て、だいたいの学生や新入社員はあまりのギャップに1回ヘコむようです。

そこを乗り越えて、先輩たちのようになっていって、2年後、3年後には新しく入ってきた学生から、「なんだコイツ!?」と思われる化け物に成長しているというのが当社の強みではないかと思います。

逆に仕事をそんなに頑張ろうと思っていない人には向かない環境だと思います。我が社だけでなく、どの会社もそうですが、万人に合う企業などありませんので、なるべく多くの社員に会って会社の素の姿を見極めて納得のいくキャリア選択をして欲しいです。

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