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住まい領域(全1記事)

2015.12.18

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住まいの価値は自分たちで高める時代 「住民経営マンション」が生まれる背景とは

提供:株式会社リクルートホールディングス

リクルートホールディングスが2016年の事業領域別のトレンドをうらなう「2016年のトレンド予測」記者発表会を実施しました。「住まい領域」では、「SUUMO」編集長の池本洋一氏が登壇し、2016年のトレンドワードとして「住民経営マンション」を挙げました。池本氏は、2000年代から続くタワーマンションの大規模修繕時期の到来や、マンションの資産価値を重視する人びとの増加を背景に、マンション経営における新たなトレンドを予測。実際に住民主体の経営が進む事例などを挙げ、今後の住宅に関する価値観の変化を提示しました。

分譲マンションにおけるトレンドの背景

池本洋一氏:「SUUMO」編集長の池本から、住まい領域のトレンドワードを発表させていただきたいと思います。小学校まで降りてきたんですが、また大人の世界に戻りますけども、住まい領域は、こちらにありますような4つの媒体を使って住まいのマッチングサービスをやっております。

最近のトピックスで言いますと、やはりスマートフォンで家を探す方が増えており、賃貸では約6割以上の方々がスマートフォンでお問い合わせをされるようになっていたり、一方で、対面で相談するサービスも盛り上がっておりまして、今年からはリフォームの相談も受け付けられれるカウンターサービスも始めております。

住まい領域が掲げる今年のトレンドの言葉ですが、「住民経営マンション」という言葉を掲げさせていただきました。

恐らくこちらにいらっしゃる方にも、中には分譲マンションにお住まいで、中には管理組合の理事とかをご経験された方もいらっしゃるかと思います。

今後、この理事のあり方、管理組合のあり方が少し変わっていきますよというようなお話であります。

背景1つ目です。大規模なタワーマンションというのが、実は2000年初頭からずっと伸びてきて、ピークとして2004年〜2006年あたりに、ドーンと増えてきています。

それの先頭を切って出てきた1999年築のセンチュリーパークタワーという大きなタワーマンションがあるんですが、そちらが今年大規模修繕が始まりました。大規模修繕というのは、短いマンションだと12年〜13年、タワーマンションとかだと14年〜15年というものがあるんですが、その第1周期目がドーッとこれから始まってくる。これが1つ目です。

2つ目ですが、実はマンションを買う時の動機というのは、普通はやはり家族・子供のためにという方が多いんです。それは今も変わらないんですけど、ここ最近伸びているのが、資産として有利だと思ったという、マンションを資産の1つの装置として捉える方々が約2倍ほど増えているという背景がございます。

マンション購入後の課題と変化

ところが、分譲マンションにはいくつか買った後の課題がございます。1つは修繕積立金で、買ったときは比較的リーズナブルなんですけども、10年、20年、30年と、少しずつ段階的に上がっていく。

それから段々と高齢化してくると、相続空き家という問題も発生する。この2つが相まって、マンションによっては、いわゆる修繕積立金とか管理費といったものが集めきれないみたいな問題が出てきています。

もう1つの問題は、やはり住民間の交流がなかなかないという問題。そして何よりも今回のテーマになりますが、理事会とか総会がどこか他人事で、みんな委任状を出しちゃうみたいな風土が日本のマンションにはある。

でもそこに変化があります。1つ目の変化が、さきほど申し上げた、資産と考えている人が増えているということ。資産価値を頑張ってなんとかしようよ、と。

もう1つあります。今までは、どちらかというと「理事長になりたい人!」と言うと、誰も手を挙げなくて、じゃんけんをして負けた人がなるとか、あるいはお時間があるシニアの方になっていただくみたいなことが多かったかもしれませんが、最近は手を挙げる方が増えている。

しかもここにいらっしゃるような、普通にビジネスで、日中も社会で働いてらっしゃる方が、ある意味仕事とは別の環境、地元での活躍できる、そういったものを求めて積極的になる方が増えています。

ということで、従来であれば管理会社がだいたい案を決めて、はいはい、とそれに沿って理事会が承認することが大半だったんですが、理事会が主体となって、このマンションをどうしていこうかということを考え、それを管理会社に相談しながら進め、住民が主体で経営していく。こういうマンションが増えてきています。

住民主体のマンション経営の2つの事例

2つ事例をご紹介します。1つ目は千葉みなととという、千葉駅の近くにあります、ブラウシアというマンションです。こちらのマンションは実は2005年に建っているんですが、2011年の震災前まではなんてことない普通のマンションでした。

ところが震災の時に、すこし管理人さんの動きに対して「これどうかな」と思った住民さんが、自分ごとでこのマンションを考えないとまずいということで、たとえば修繕の積立金を段階式からフラット化したり、何かあったときの備蓄金を用意したりとか、動きはじめたのです。

そして、理念・ビジョン。理事会のメンバーが変わったとしても、変わらない意思決定ができるようなメカニズムを導入しました。

さらにこのマンションは発信も強化しておりまして、Facebookページや、このマンションのホームページなども持って、住民のイベントを毎月やっていますし、発信力も強化するということをやっています。

もう1つ。有明では、1つのマンションではなくて5つのマンションの理事会が一緒になって、有明の街の利便性を上げていこうという取組みをしています。

代表的な例としては、元々有明テニスの森からは、門前仲町に行くバスはいっぱい走っていたんですけども、東京駅に行くバスは、テニスをやっている土日だけしかなかったんです。そこを、平日もこれだけの住人が動くんですよと交渉した結果、日中1時間あたり4本のバスが直通で走るようになったりとか。

あるいはちょっと悲しい事故ですが、お子様がトラックに巻き込まれてお亡くなりになるという事故をきっかけに、きちっと歩道と車が走るところの時間を区切って、分離をするような信号機を設置してもらったりとか、住民対抗の運動会をやったりとかいった改革が進んでいます。

それをサポートするような、東邦レオさんといった植栽管理を通じて住民のコミュニティ形成を支援したり、あるいはマンションのいわゆる共用部の活用方法がなかなかないところに、アイデアを出して一緒に企画、運営サポートしてくれる、ディグアウトさんのような会社が現れてきたり。

あるいは、ある意味、管理会社というのは、そこまで住民の主体性の支援をやってこなかったわけですけど、ここにきて、きちっとこのような住民主体で動くものをサポートしようということで、その先進事例を集めた「マンションのWa」というサイトを立ち上げて、管理会社のあり方も少し変わってくるようになりました。

住民経営マンションが持つ2つの特徴

取材してみて気づいたことが2つあります。1つは、この住民経営マンションが狙っていることって、要は新しい住民を獲得するために、ちゃんと外にアピールしていくということ。

そしてもう1つは出る人を減らしていこうということで、住民満足度を上げていく。こういう動きが1つ。

そしてもう1つが、実はマンションの経営と企業の経営は少し似ている側面があります。ですが、残念ながらマンションの管理でいくと、なかなか意思決定であるとか、顧客視点、競合視点というのを持ってないものもある。

ここに住民経営型でいくと、通常の企業が持っているような要素を兼ね備えている。ここを目指していくと、住民経営型マンションになるということもわかってきました。

最後に私のほうから申し上げたいのが、今すこし、マンションを、ある意味「駅チカ」だとか「有名駅の近くだ」とか、そういった立地志向ですべての勝ちが決まってしまうような側面が強まっていることがあります。

ですが、ここにおいて、住民が自分たちで努力をして、住民さんがマンションの価値を高めていく、これで新しい価値を作って、「どうだこのマンション」という動きというのは、基本的には持続的に、これからも広がっていくのではないか。

私たちは、そういった活動を支援させていただきたいという願いも込めまして、このキーワードを提案させていただきました。では、私の発表は以上です。これですべての発表が終わりますが、ご清聴ありがとうございました。

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