2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会:それでは、これから質疑に移ります。質問される方は、所属とお名前を明らかにされた上でお願いいたします。
記者:共同通信のスギタと申します。総理は戦後70年談話について、世界に発信するものだと位置づけてきました。国内外に最も伝えたいメッセージは何でしょうか? また、過去の村山談話や小泉談話と違う形で、「お詫びの気持ち」や「侵略」の文言を入れた理由をお聞かせください。
安倍晋三氏(以下、安倍):戦後70年という大きな節目にあたり、先の大戦への道のり、戦後の歩み、20世紀という時代を大きく振り返りながら、その教訓を胸に刻み、戦後80年、90年、100年に向けて、どのような日本をつくり上げていくのか、それを世界に向けて発信したいと考えました。
作成にあたっては、国民の皆さまとともに、日本が目指すべき国家像を描くという意味で、できるだけ多くの国民と共有できるような談話をつくっていく、そう心がけました。
より幅広い国民とメッセージを共有するという観点からは、一部だけを切り取って強調することよりも、談話全体としてのメッセージをご覧いただきたい、受け取っていただきたいと思います。
先の大戦における行いに対する「お詫びの気持ち」は、戦後の内閣が一貫して持ち続けてきたものであると考えています。そうした気持ちが、戦後50年においては村山談話という形で表明され、さらに60年を機に出された小泉談話においても、そのお詫びの気持ちは引き継がれてきたと考えています。
こうした歴代内閣が表明した気持ちを、私の内閣においても揺るぎないものとして引き継いでいく。そして、おそらく今後の内閣においても、そのことを今回の談話のなかで明確にしたところであります。
次に、「侵略」という言葉についてでありますが、今回の談話は「21世紀構想懇談会」において、有識者の方々が共有した認識、その報告書の上に立って作成したものであります。その報告書のなかにもあるとおり、なかには「侵略」と評価される行為もあったと思います。
だからこそ、談話においては、事変、侵略、戦争という言葉を挙げながら、いかなる武力の威嚇や行使も国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならないことを、先の大戦への深い悔悟の念とともに誓ったと表現しました。
先の大戦における日本の行いが「侵略」という言葉の定義に当てはまればダメだが、当てはまらなければ許されるというものではありません。かつて、日本は世界の大勢を見失い、外交的、経済的な行き詰まりを力の行使によって打開し、あるいは、その勢力を拡大しようとしました。その事実を率直に反省し、これからも法の支配を尊重し、不戦の誓いを堅持して、ということが今回の談話の最も重要なメッセージであると考えています。
その上で、具体的にどのような行為が「侵略」に当たるか否かについては、歴史家の議論に委ねるべきであると考えています。重要な点は、いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としてはもう二度と用いてはならない、ということであります。これが、私たちが過去から学び、教訓とし、反省すべきことであると考えます。
記者:東京新聞のセキグチと申します。総理は、2009年に、月刊誌の対談で、村山談話について「政権が変わるたびに、その継承を迫られるようになる、まさに踏み絵です。村山さんの個人的な歴史観にいつまでも日本が縛られることはない」と述べておられます。これらの発言と、今回の談話の整合性についてわかりやすく説明してください。
安倍:村山談話につきましては、これまでも全体として引き継ぐと、繰り返し申し上げてきたとおりであります。同時に私は、政治は歴史に対し謙虚であるべきであるとも申し上げてきました。
その信念のもと、今回の談話の作成にあたっては、「21世紀構想懇談会」を開き、学者、歴史家をはじめ、有識者の皆さんにお集まりをいただき、20世紀の世界と日本の歩みをどう捉えるか、大きく世界と時代を超えて俯瞰しながらご議論をいただきました。視座や考え方が異なる有識者の皆さんが、最終的に一定の認識を共有できました。
私は、この「21世紀構想懇談会」の報告書を歴史の声として受け止めたいと思います。そして、その報告書の上に立って、先の大戦への道のり、20世紀という時代を振り返りながら、その教訓を胸に刻んで、日本がどのような国をつくり上げていくべきか、戦後70年の大きな節目にあたって、談話として取りまとめたものであります。
その上で、これからも果たして聞き漏らした声があるのではないか、ほかにもあるのではないかと、常に謙虚に歴史の声に耳を傾け、未来への知恵を学んでいく、そうした姿勢を持ち続けていきたいと考えています。
記者:産経のアビルです。今回の談話には「未来の子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」とある一方で、「世代を超えて過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」と書かれています。ドイツのヴァイツゼッカー大統領の有名な演説の「歴史から目をそらさないという一方で、自らが手を下してはいない行為について、自らの罪を告白することはできない」と述べたのに通じるものがあると思うのですが、総理の考えをお聞かせください。
安倍:戦後から70年が経過しました。あの戦争には、何ら関わりのない私たちの子や孫、その先の世代、未来の子どもたちが、謝罪を続けなければいけないような状況、そうした宿命を背負わせてはならない。これは、今を生きる私たちの世代の責任であると考えました。その思いを、談話のなかにも盛り込んだところであります。
しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて過去の歴史に真正面から向き合わなければならないと考えます。まずは何よりも、あの戦争の後、敵であった日本に善意や支援の手を差し伸べ、国際社会に導いてくれた国々、その寛容な心に対して感謝すべきであり、その感謝の気持ちは、世代を超えて忘れてはならないと考えています。
同時に過去を反省すべきであります。歴史の教訓を深く胸に刻み、よりよい未来を切り開いていく。アジア、そして、世界の平和と繁栄に力を尽くす、その大きな責任があると思っています。そうした思いについても、合わせて今回の談話に盛り込んだところであります。
記者:ブルーバーグニュースのレイノルズです。今年中に中国に訪問して、習近平国家主席と3回目の首脳会談を行う可能性が高くなると思いますか。そして今のタイミングは、中国の経済後退が懸念されているところですが、そのなかでの談話のインパクトが薄れる可能性があると思いますでしょうか。
安倍:中国の皆さんには、戦後70年にあたっての我が国の率直な気持ちをありのまま受け止めていただきたいと願っています。中国とは、習近平国家主席との2度にわたる首脳会談を通じて戦略的互恵関係の考え方に基づいて、関係を改善していくことで一致しています。
日本と中国は、地域の平和と繁栄に対して、大きな責任を共有しています。両国の経済関係は非常に密接であり、今後もさまざまなレベルで対話を重ねながら、安定的な友好関係を発展させ、国際社会の期待に応えていきたいと思っておりますし、首脳会談についても、機会があれば、そういう機会を生かしていきたいと考えております。日本の対話のドアは常にオープンであります。
記者:ニコニコ動画のナナオです。談話を踏まえて、安全保障関連法案についてお聞きします。改めて法案に関します識者などのご発言を見ていきますと、そのなかの1つに、軍事をめぐる中国の動向を脅威と見るか見ないかで、安保法案に対する賛否が分かれるといった傾向が見られます。こうした考えの隔たりは、国民も見ていると思うのですが、日本の安全保障上、このような大きな認識の違いをどうご覧になっているのでしょうか?
安倍:70年前、私たち日本人は二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないという不戦の誓いを立てました。この不戦の誓いは今後も決して変わることはありません。今回の平和安全法制は、戦争を未然に防ぐためのものであります。まずもって外交を通じて平和を守る、このことが重要であることは言うまでもないと思います。今後とも積極的な平和外交を展開してまいります。
その上で、万が一への備えも怠ってはなりません。この法案は国民の命、平和な暮らしを守り抜いていくためのものであります。もちろん、特定の国を想定したものではありません。今回の法制によって、日本が危険にさらされたときには、日米同盟が完全に機能する、このことを世界に発信することによって、紛争を未然に防ぐ力はさらに強くなっていく、高まっていく、日本が攻撃を受ける可能性はより低くなっていくというふうに考えています。国民の皆さまのご意見、ご批判にも真摯に耳を傾けながら、この大切、必要な法制について、理解が深まるように今後も努力を重ねていく考えであります。
記者:日本テレビのタケウチです。歴史認識の問題など、国民の間でも意見が分かれている部分があると思いますが、そういうなかでこの談話、あえて総理が込められた国民への思いとか、国民にどう受け取って欲しいかというメッセージはどういうところなんでしょうか。
安倍:まず、今回の談話においては、より多くの皆さまにご賛同していただけるものを作成していきたいとこのように考えました。その上において、アジアの国々をはじめ多くの国々とともに、未来への夢を紡ぎ出していく、そういう基盤にしていきたいと考えたところであります。
今回の談話を作成するにあたりまして、「国策を誤り」といった抽象的な用語に終わらせることなく、どのように針路を誤ったか、歴史の教訓を具体的にくみ取らなければならないと考えました。そして、「21世紀構想懇談会」を設けて、有識者の皆さんにその具体的な作業をお願いしたわけであります。
世界に目を向ければ、残念ながら、いまだ紛争は絶えません。ウクライナ、南シナ海、東シナ海など世界のどこであろうとも、力による現状変更の試みは決して許すことはできない。また、貧困やテロの問題は深刻さを増している現実があります。そうした時代にあって、70年前の歴史から学べる教訓を発信していくことは、日本1国のみならず、世界に対しても大きな現代的な意義を持つと考えています。
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