2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会:それでは、設立を目指す学校の特徴について、こちらをご覧ください。
本校では、KADOKAWA・DWANGOが得意とするIT、エンターテイメントを基盤として「学業」「キャリア教育」「コミュニティ」を作っていきます。
司会:コミュニティとありますけれども、これは「学園生活」をネット上に作るということなんでしょうか?
川上量生氏(以下、川上):僕らが作ろうとしているのは通信制の学校なんですが、普通は通信制の高校というと、学園生活ができないんですよね。
僕らは学園生活も「ネット」や「リアル」を使ってできるような、そんな仕組みを作りたいと考えています。
司会:たとえば「学校イベント」とありますけども、すでに実施されている「ニコニコ超会議」などのイベントと連動していくことも考えているんでしょうか?
川上:当然そういうこともあるでしょうね。普通は高校だと文化祭がありますけど、ニコニコ超会議でも屋台を出すとか、お好み焼きを焼くとか、そんなことができたらおもしろいですよね。
司会:角川さんは、ネットでのコミュニティの作り方はどのようにお考えですか?
角川歴彦氏(以下、角川):もともと「オタク」ってのはね、コミュニティなんですよ。そのオタク文化がすごくいいのは、価値観が同じなわけです。たとえば『妖怪ウォッチ』が好きだとか『艦これ』が好きだとか。
そういう好きなコンテンツがあって、お互いに同じ価値観を持っているんだけど「君は君、僕は僕」って多様性を認め合っているんですよ。これがすごく民主的なんですよね。世界から日本のオタクが「クール」だと注目されているのは、そういうところだと思うんです。
それで、通信制の高校では「スクリーニング」というものがあって1年に3日間とか学校に通わないといけないんですけど、僕は20日くらいあってもいいと思うんですよ。
そういうときにみんなで集まって「ニコニコ動画」とか「ライトノベル」とか、好きな物を一つの価値観で語り合えるわけですよね。
そうしたら、自分は学校の中でも孤立して不登校だったけど「みんな同じじゃないか」といって、スクリーニングを通して社会復帰するような勇気が与えられるんじゃないかなと。
ライトノベルの作家さんにも参加してもらって1日校長になってもらうとか。「超校長」って勝手に名前を付けてるんですけど、そういう先生がオタクたちと語り合って、勇気づけて社会に送り出す学校になったらいいと思いますね。
司会:好きな物をきっかけとして、どんどん生徒同士のコミュニティが広がっていけばいいなということですよね。通信制の高校というと「社会性」とか「リアルなコミュニケーション」が課題視されていますが、川上さんはどのように考えていらっしゃいますか?
川上:そういう意味ではDWANGOはイベントをずっとやってきた会社ですので、イベントを充実させる、参加したいと思える企画を考える能力というのは、我々が一番高いんじゃないかと思っています。
司会:イベントをきっかけに外に出てコミュニケーションを深めてもらうということですね。
川上:そうですね、そういう機会はちゃんと用意します。
司会:角川さん、今のお話を受けてどうですか?
角川:彼の言葉がリアリティあるなと思っていたんですが「ニコニコ超会議」も2日間で15万人が訪れていて、もうすごいんですよ。幕張メッセの会場を全部使っていてね。幕張メッセの方にも聞いたんですけど、なかなか会場を全部使うイベントってないんですよ。
そういうところで高校生や大学生が一緒になって楽しんでいるんですね。でも、イベントに来てくれた人というのは仲間で来たのではなくて、一人ひとりで来たと思うんです。そういうイベントがニコニコ動画は得意なんですよ。
そういうふうにDWANGOは「ネットからリアルへ」とやっているんですけど、KADOKAWAは「アナログコンテンツからデジタルコンテンツへ」とやっている。
今回の学校教育というのは、この交差点にあるんじゃないかと感じています。
司会:ご意見ありがとうございます。続いて3つ目の「キャリア教育」についてお聞きしたいと思います。それでは、まずこちらをご覧ください。
司会:「キャリア教育」は社会で活かせる教育を重視し、グループ会社でもあるVantanとも連携して「プログラミング」「アニメ・イラスト」「ゲーム」など、各業界のプロの方による課外授業を展開していくことを考えています。
まずは、川上さんが考えるキャリア教育とはどのようなものでしょうか?
川上:単純に、卒業して仕事が見つかる、就職ができたらいいなと思うんですよね。そのために僕たちが何を用意しなければいけないかというと、ひとつは「プログラミング教育」があると思うんです。
僕ら自身も社員を教育するノウハウは持っていますから、世の中にある教育の中でも相当ちゃんとしたものが作れると思います。
他にもWebデザインとかですね、そういう技術を持っていれば就職はできますので、まずはそういったものをやろうと考えています。それ以外でも、地方では後継者不足で苦しんでいる職業がたくさんあるんですね。
たくさんあるんですけど、なかなか今の若い人たちと触れ合う機会がない。そういったものをマッチングしたりとか、体験できるような機会を用意しようと思っています。
司会:そうなりますと、地方の自治体とも連携しながら、ということになっていきますね。
川上:はい、そうです。
司会:角川さんはいかがですか?
角川:「キャリア教育」というのは、僕たち一般の人からすると聞きなれない言葉で、やっぱり教育現場の言葉なのかもしれません。キャリアを積ませて生徒を社会に送り出していくという。
でも、従来僕たちが経験したキャリア教育と比べると、この学校は特異性にあふれていますよね。「これでいいのかな?」と思うくらい特異で、こういうキャリア教育ができるというのは本当に教育が柔軟になるなと思います。
司会:教育が柔軟になる?
角川:つまり、教育が多様性を持つことができるんですね。
こういうキャリア教育も本来ならできるはずなのに「今の教育制度ではできない」と思っている人があまりにも多いんじゃないかな。でも、教育制度自体にはいろんなキャリア教育ができる含みがあると思うんですよ。
一方的な価値観で見ているから、できないように思っているだけで。ですから、こういったキャリア教育が受け入れられるなら、今の教育制度もまんざらでもないと思います。
司会:これからは、さまざまなキャリア教育を展開していけそうですね。実は、このキャリア教育では「職業体験」で社会性を培うことも目的としております。
司会:ネットを活用して社会と生徒を早期にマッチングする。全国の地方自治体と連携して職業体験を実施していくということですが、このあたりは実際にどのような構想なのでしょうか? 川上さん、お願いいたします。
川上:今は地方自治体の方とお話をしているところですが、地方に働きに行く人を受け入れることは「ぜひやりたい」と言ってくれているんですよね。
僕たちが、働きたいという人を全国から募集して、地方に紹介する。こういうことがかなり大々的にできそうだと考えています。
司会:自治体の方の協力も得られそうということですが、角川さんいかがですか?
角川:「地方創生」という問題もあります。地方を活性化させなければいけないという政府の方針は、それはそれで受け止めればいいと思うんです。ですが、現実として地方が痛みを抱えているのは事実だと思います。
そこに僕らが文化を提供して「地方を活性化させて若者をとどめる」ということに挑戦してみたいんですね。ですから、ぜひ職業体験ができる学校にしたいと思っています。
今までの学校はどちらかといえば「社会に出てから困らない知識を教える」というものにとどまっていたんです。でも、実際にライトノベルなどを書いている人は高校生のときから書いていたりするんですよね。
ですから、高校生のときから小説を書くノウハウを教えることは職業体験になるわけです。そういうことがこの学校でできればいいと思います。
司会:ネットでの教育、さらにはリアルな職業体験で育てていくという方針なんですね。ありがとうございました。
司会:それでは、いろいろと伺ってまいりましたけども、最後にKADOKAWA・DWANGOの今後の教育事業に関する予定をお伝えいたします。
司会:2015年3月に沖縄県に学校設置等に係る計画書を提出し、現在審査中です。2016年初春には双方向学習Webサービスをリリース。そして、2016年の春に「ネットの学校」の開校を目標としております。なお、学校のカリキュラムの詳細は認可が下りしだい改めてお知らせいたします。ということで、ここまで角川さん、川上さんにお話をいただいてきましたが、本日の発表については以上とさせていただきます。
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