2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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野口香織氏(以下、野口):それでは、KADOKAWA・DWANGO教育事業発表会を始めさせていただきます。
(学校のチャイム音が流れる)
<映像開始>
ナレーション:毎朝8時過ぎから午後4時半まで教室で授業を受ける高校生たち。社会が大きく変わりゆく時、変わることのない風景。
ナレーション:今、この国の若者が社会に感じていること。「自分は何も変えられない」という感覚。本当にそうなのでしょうか。
鈴木寛氏:高校生、中学生の段階では、教育に一番問題がある国だなぁと思う部分は、自分は社会に対して、あるいは自分自身の人生や暮らしとかを「変えられるんだ」と。「動かせる」とかですね「変えられる」と。
そういう感覚があらゆる国の中で日本が極端に低いと。
原田隆史氏:諦めが早い。自分の人生の見切りが早い。高校生でもう「自分の将来こんなもんや」なんて思うのもね、これは日本の若者得意ですね。そこをつぶしていきたいね。
敗者復活。じゃあ100回、200回できるっていうことを教育せにゃあかんね。
夏野剛氏:日本の教育の良かったところは、平均値を高くするっていう教育システムだったことですね。日本の人件費は既に高いので、そういう意味で平均的な人間であると、稼げない。通用しない。千差万別、人によってみんな違うって社会のほうが将来性のある社会になるっていうね。
ナレーション:もちろんさまざまな試行錯誤が繰り返されてきました。生徒たちにも変化が起きています。授業レベルを追い越し、授業中を自習とする生徒、プロスポーツ選手として、芸術家として、活躍の場を求め出した生徒も出てきました。
ナレーション:その一方で、苦痛に耐えられなくなった生徒の多くは、授業を放棄し始めました。彼らのことを「不登校」と社会は呼びます。
「この社会からドロップアウトした子ども」。本当にそうなのでしょうか?
小林幸子:学校の先生からね、教えてもらっていない言葉がね、演歌の歌詞に出てくるんですよ。そうすると、自分で勉強するわけですよ。
興味があるから、歌いたいから。そういうふうに展開していく勉強もあると思いますね。
稲船敬二氏:要は宝探しですよね。自分の中のどっかに必ず宝物がどっかに隠れてるんですよ。
植野有砂氏:たとえば人と触れ合うのが苦手な子は、オンラインで取った自分の学びたいことだけを学んで、他のことは気にしなくていいし、誰とお弁当食べようとか、そういうストレスもないだろうし。
井山裕太氏:自分の場合は囲碁をやらされたわけではなくて、勝手に興味を持ってっていう形でしたけど、やりたいようにやらしてくれたって感じですけど。その点においては、非常に両親にも感謝はしていますね。
羽生善治氏:全体的な水準が上がってしまうと、だんだん他の人との差をつけるのが難しくなってくるって問題は、実は将棋の世界も結構抱えている問題なんですね。
それはどのジャンルでも結構深刻な話でもあるし、一貫した個性みたいなものを出すとか、自分なりのスタイルを築き上げるとか。
川原礫氏:高校の段階で、現場で働くというのはちょっと違うんですけど、ある程度作業をして、そういう業界で仕事をするってことはどういうことなのかを知れれば、責任感みたいなものが気付けたりとか。
古川享氏:いい教育者は教育しに来てくれるだけじゃなくて、実際に働いているプロのいろんな人たちに直接授業に呼んでもらうという形で、自分の進む方向を決められるかもしれないし。
古川享氏:どの領域の何を勉強しなきゃいけないってこと自体も自分自身でだんだんフォーカスしていくことによって定まってくるから。そういう新しい教育機関があったら、自分の教育も含めて、自分のチャンスをぜひ生かしていきたいと思うし。
ナレーション:リアルなコミュニケーションとネットのコミュニケーション。その境目がなくなりつつある今。
角川歴彦氏:これから世界で起こってくるような、これから日本で起こってくるような教育っていうのは非常に大きなテーマで、ただ大学の卒業証書が貰いたいからではなくて、違う目的で学校行くようになっていくんじゃないかなと思うんですよね。
ナレーション:新しい社会、新しい仕事、新しいふれあい、新しい学び。
川上量生氏:僕ら作るんだったら、やっぱり普通の高校じゃないふうに作りますから、目標にしたいのは高校出た後どうするのかって話ですよね。ちゃんと大学も狙えるような、そういうカリキュラムも用意していますし、もう1つはやれば仕事にできちゃうんだと。そういう学校にしたいですよね。
中島武氏:このKADOKAWA・DWANGOの教育は我々にとって衝撃的でした。
奥平博一氏:ITというのは、先生と生徒のコミュニケーションを飛躍的に高めているツールであることは間違いないんですね。おそらく教室では言えないようなことでも、本当に先生と会話をしてくれてるんですね.
中島武氏:ここには新しい教育はあるんですね。できるんじゃないかなと。
鈴木寛氏:この構想を伺った時に「キターーー!!」という感じで(笑)。今までの高校のラインナップにものすごい多様性を追加できるなと。そういうふうに思ってます。
川上量生氏:この学校に入ってよかったなぁって。そこらへん、僕たち自信があるんですよ(笑)。
ナレーション:2016年春、KADOKAWA・DWANGOはネットの高校開校を目指します。
<映像終了>
司会者:皆さま、本日はお集まりいただきましてありがとうございます。それではまずは、本日の発表会の登壇者をご紹介いたします。
皆さまから向かって左側、株式会社KADOKAWA・DWANGO、角川歴彦取締役相談役、そして右側、株式会社KADOKAWA・DWANGO、川上量生代表取締役社長です。
そして本日、司会を務めさせていただきます、野口香織です。よろしくお願いいたします。さぁ、角川さん、川上さん、どうぞよろしくお願いいたします。
本日はこれから目指す学校についてじっくりうかがってみたいと思いますけれども、まずはオープニングPVをご覧いただきまして、どのように感じられましたか? 角川さん、いかがでしたか?
角川歴彦氏(以下、角川):とってもよかったなぁ。教育問題ってこんなに社会的な広がりで関心を持たれているっていうことがビデオを見てよくわかりました。
司会者:川上さんはいかがでしたか?
川上量生氏(以下、川上):そうですね、今回まだまだそれほど多くは発表できないんですけども、こうやってやっと僕らがやろうとしていることを発表することができてすごくよかったですね。
司会者:はい。これからどんな発表になるのか楽しみですけれども、本日の発表会ではお二人、登壇者の発言を上手側のLEDに反映されることになっています。
少しお時間がかかるかと思いますが、のちのち出てくるかと思います。これはニコニコ動画主催の将棋イベント、将棋電王戦FINALで導入されました、NTTとドワンゴが共同開発した最新技術となっております。
少しタイムラグがありますけれども、後ほど参考までにご覧いただければと思います。
さぁ、これより、先ほどのPVの発表につきまして、1つずつ川上さん、角川さんからお話をさせていただきたいと思います。
それでは、まずはこちら。「ネットの新しい学校の設立をめざす」。ということですが、川上さん、角川さんに学校設立の意図についてお話しいただければなと思います。
それでは、こちらのスライドをご覧ください。
野口:「デジタルネイティブ世代が夢見る理想の学校」ということですが、川上さん、本校の設立の意図についてまず、お願いいたします。
川上:まず、歴史的に考えて教育っていうものは、だんだんネットによる双方向性を生かした授業に移行していくっていうのが、たぶん大きな流れとしてあるんだと思うんですよね。
で、その時に僕ら、KADOKAWA・DWANGOの総力を上げると、理想の学校が作れるんじゃないかと。っていうふうに思ったのが、今回の趣旨ですね。
野口:ということですが、角川さん、いかがですか?
角川:実はKADOKAWAとドワンゴが統合したのは去年の10月なんですけど、ドワンゴはドワンゴで教育にすごい関心を持っていて、KADOKAWAはKADOKAWAで教育をしなきゃいけないと思ってたことが、一緒になってみてわかったんです。統合して初めて知った。みたいな関係なんですけど。
それがKADOKAWAが海外教育、海外でポップカルチャーを教えている、KADOKAWA Contents Academyっていう海外の学校の展開だったし、ドワンゴはインターネットを活用した学校教育ということに関心があったということなんですね。
司会者:2社とも共通して、教育に関しても力を入れているという、基盤がもともとあったということなんですけど、少しまとめさせていただきますと、2014年10月、株式会社KADOKAWAと株式会社ドワンゴの経営統合によって誕生した株式会社KADOKAWA・DWANGOですが。
両者が培ってきた強みや人材、目的を1つにして、より魅力的なコンテンツの創出や、革新的なサービスの提供を行っていくというのを目指す中、その1つとして新たに取り組むのが、この教育事業です。
教育に関しては、KADOKAWAでは2014年、9月に海外コンテンツスクール事業として、KADOKAWA Contents Academyを開校。ドワンゴでは、声優、俳優の養成学校、ドワンゴクリエイティブスクールの運営ほか、2014年11月に株式会社バンタンをグループ化しています。
では川上さん、角川さん、今回の高校設立への取り組みはどのような経緯で始まったんでしょうか? 川上さんお願いいたします。
川上:もともとうちの関連会社でMAGES.という会社があって、そこの志倉(千代丸)という人間がいるんですけど、彼のほうが「どうしても高校を作りたい」。
っていうことをある日提案してきまして、で、なんで僕らが高校作んなきゃいけないの? と、最初僕らもよくわかんなかったんですよ。どういうことをやるのかという。
いろいろ話を聞いていくとですね、それはKADOKAWA・DWANGOだから、本当にね、今の高校生たちは望むような高校作れるんだっていう話を聞いて、考えてみますとだいたい今、不登校が問題になってますけど。
多分、学校に行っていない人って確実にニコ動見てるんですよ。で、多分KADOKAWAのライトノベルを読んでる。学校に行ってる人でも、たとえば灘校の生徒の人とかにも聞いても、やっぱり勉強ばっかりしてる人っていうのは、なんとなくそういう、わりと同じような傾向があって、やっぱりアニメとか見てたりとか、ニコ動見てたりとか非常に多いということがわかりまして。
そうすると、今の高校生たちが求めてる……、いろんな問題ありますけど、僕たちだから解決できることはやっぱりあるんじゃないのかって思った次第ですね。
野口:このネットの学校の設立のアイデア、提案ですけど、角川さんは川上さんから伺った時はどのようにお感じになりましたか?
角川:ドワンゴの子会社にMAGES.っていうゲーム会社があるんですね、その社長をやっている志倉くんっていうのは、ゲーマーの中では非常にクリエイターとして著名な人物なんですが。
その彼が教育をしたいっていうのを聞いた時に、僕は初め非常に戸惑ってですね、正直またいい加減なことを言うなと思ったんです。
川上:そうですね(笑)。
角川:本当にそうだったんです。ところが彼の持ってきた指示書というのを拝見しました。これは本当によくできてました。僕も小姑っぽくですね、つついてやろうと思ってページめくるんですけど、いちいちもっともなんですね。
考えてみると、高校生の中にはゲームが好きで、将来ゲームを立ち上げていきたいと、そういう子どもたちがいる一方でですね、MAGES.のような会社は優れたゲームクリエーターが欲しいんですね、その優れたゲームクリエイターはもうおじさんレベルではいらなくて、これからの若い世代、本当にSNSで、スマートフォンでゲームを楽しんです。
そういう人たちから新しいクリエイティブが生まれると思っているので、彼からそういう提案が出たのはよく考えてみれば非常に納得ができたんですけども。初めの衝撃は大変なもんでした。カルチャーショックでしたよ。
司会者:そうだったんですね。でもその説得力に押されて、納得をして、新たな学校を作ろうということになったわけですね。
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