2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
出澤剛・記者会見(全1記事)
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出澤剛氏(以下、出澤):こんにちは。LINEから参りました出澤です。今日はよろしくお願いします。こういった場でお話する機会をいただいて、非常に光栄に思っております。今、IPOの話もちらっとありましたけれど、今日は特にその件についての新しい発表はありませんので、事前におことわりさせていただきます。
まず私のご紹介を、ちょっと重複しますけどもさせていただきますと、インターネット関連のキャリアは2001年から始まりまして、ライブドアの前身であるオン・ザ・エッヂという会社からインターネットの仕事を始めています。
その後ライブドア事件が2006年にありまして、その後のライブドアというインターネットの事業部門を分社をしたんですけども、そこの社長をやりまして、経営再建をして、結果的にNHNのグループに入るという中で仕事をしてきています。
その後、2011年の6月にLINEが生まれて、そのときからLINE事業に関しては関わってきているということと、ご紹介にあった通り、今年の4月からCEOになりましてLINE全体を統括しているという立場でございます。
ではLINEについて、LINEの今までとこれから考えていることについて、少しの時間お話をさせていただければと思います。
さきほど司会の方から皆さん使っていると手が上がるんじゃないかとおっしゃっていたんですが、私非常に不安でして、念のため聞かせていただいていいでしょうか? LINEを使っていただいている方、挙手いただいていいでしょうか。
ありがとうございます(笑)。
非常に日本にいらっしゃる皆さんということで、予想より多い方が使っていて、非常にうれしく思います。
簡単にLINEのスタートの、始まった時のお話からさせていただこうと思います。
まずは我々の先程ちょっとご紹介した我々のNHNという会社なんですけども、その会社ではハンゲームというゲームポータルだったりとか、あるいはNaverまとめというサービスだったりとか、あるいはライブドアのポータルサイト、こういったものを運営している総合インターネット企業でした。
非常にPCインターネットの時代は日本において強い会社だったんですけれども、フィーチャーフォン、いわゆるガラケーの時代になって、他のSNS、ゲーム外者が非常に伸びる中で、我々は非常に苦しい戦いをしていたというのが、2010年前後の状況でした。
その中で経営陣として、会社をあげて他の事業、他のサービスを一旦忘れて、スマートフォンだけに特化して新しいサービスを作っていくんだというふうに考えたのが2010年のことでした。
その中で2010年の末に3人の企画者がアサインされて、スマートフォンでコミュニケーションをする何らかのサービスをつくろうということで、まずはチームが立ち上がりました。
その中でいろいろなディスカッションがあった中で、最終的に候補となったのがLINEの前身となるメッセージングのアプリと、もうひとつは写真共有と、写真でコミュニケーションするというアプリケーション、この2つが最終候補で考えていました。
そんな中で我々が迎えたのが、2011年の3月11日、東日本大震災というところになります。
その中で携帯電話の回線が使えない状況になり、身近な人とのコミュニケーションがまったくできない状況が、東京においても、あるいは被災地においては非常に長い間つづきました。
そういった状況の中で我々がやるべきところはメッセージングアプリだろうということを決定しまして、決め手からは非常に速いスピードで開発をして、2011年の6月のリリースにたどり着くという背景を持っています。
そういった背景を持っているので、我々のLINEの最初の開発のコンセプトは3つありまして、1つはスマートフォンに特化するということ。
もうひとつは、人と人とのクローズドな関係性、そのクローズドな関係性でのやりとりにフォーカスすること。
そのクローズドなコミュニケーションで一番やりとりされるのは感情であろうということで、スマートフォン特化、クローズド・コミュニケーション、エモーショナルなコミュニケーション、この3つにフォーカスしてサービスをリリースしたというところであります。
リリースした後からも非常に順調にユーザーは増えていったのですけど、特に2011年の秋にスタンプ、我々の今非常に代表的な代名詞となったスタンプというサービスと、あとは無料通話というサービスを秋に追加して、そこから爆発的にユーザーが伸び始めました。
リリースした後から非常に順調にユーザーは増えていったんですけど、2011年秋にスタンプ、LINEの代名詞になったスタンプと、そして無料通話を秋にリリースして、そこから爆発的にユーザーが伸び始めました。
そして国内だけでなく世界のいろいろな国でLINEが使われるようになりました。現状、月間アクティブユーザーは2億人を超えています。LINEで一日にやりとりされているメッセージの量は170億回です。いまスライドでお見せしているのがLINEの各国での登録者数の図でございます。
現状230の国と地域で利用いただいてまして、日本、タイ、台湾の3カ国では圧倒的に利用されています。インドネシアでも非常に良い伸びをしていまして、トップグループに入ってきたところです。
登録者数で1000万人を超えている国の数は13カ国になります。もう一方で売上についてコメントしますと、これは「AppAnnie」というアプリ情報サービスの統計データで、左が会社単位での2014年での売り上げランキングです。ゲームアプリも含みます。
そこでいうと、去年LINEは世界で4位のトータルでの売上を誇っています。右側が特徴的でして、こちらはゲームを除く同じランキングです。こちらは世界のトップ10のなかで3つのアプリでランクインしているという状況です。セールスに関しても非常に堅調に推移しているのが現状の足元です。
LINEはもうすぐ4年目になるんですけど、いまのところスマホの変革期のチャンスに乗るかたちで、スマホのエントリーとして成長することができたと思っています。ただ、これからが本当に我々にとって重要な挑戦になると考えていまして、今後の2つの方向性について述べさせていただきます。
その2つの方向性はグローバルと、プラットフォームとしての成功。その2つになります。グローバルに関して言うと、非常に強いキーワードを持っていて、それは「ローカライズ」を徹底してやっています。
いろいろな方法でローカライズしていますが、一例をあげると、マーケテイングのキャンペーンになります。一般的には同じトーン、同じクリエイティブを全世界で使うのが多いかと思います。
我々はいままで数十カ国でTVCMを含むキャンペーンを展開していおりますが、スライドの通り、各国に合わせた形で現地化、ローカライズをしているところです。
もちろんLINEの重要な機能であるスタンプ、ステッカーに関してもローカライズし、グローバルな有名人についてもスタンプ化を進めています。いま紹介しているのはグローバルで有名な方ですが、各国ではよりローカルなセレブや行事などを取り入れて展開しています。
あとは1年前に「クリエイターズマーケット」という、世界中の誰もがスタンプを作って、販売できるという取り組みを始めました。そうすることによって世界中のクリエイターがLINEのスタンプを作るところに参加できて我々もそこに収益を配分することができています。現地に特化したローカライズしたスタンプの提供も可能になっています。
また現地企業とのコラボも強力に進めています。一例を挙げますとエアーアジアさんとLINEのラッピング飛行機をやったり、そんな取り組みを世界中でやっています。
スタンプだったりマーケティングキャンペーンとか表面的なところだけではなく、機能的なローカライズもやっています。
今までご紹介したたとえばスタンプですとか、マーケティングキャンペーンという、わりと表面的なことだけではなくて、機能的な深い部分でのローカライズも進めております。
たとえばひとつご紹介いたしますと、このLINE Alumniという同級生を探す機能です。
これは今東南アジアを中心に提供している機能になります。これはとくにインドネシアで人気のある機能になりまして、これをきっかけにインドネシアのユーザーの伸びの角度が上がってきました。
このときにインドネシアで非常にLINEらしいマーケティングをやったのでひとつご紹介したいと思います。
この機能の紹介をするにあたって10分間にYoutubeの動画を作って公開をしました。内容は2002年にインドネシアで大ヒットした『愛はどこに行った』という映画があるんですけど、それの12年後というフィルムをその当時の俳優さんを使って、スピンオフムービーみたいなのを作りました。
12年前にこの恋愛映画が非常にヒットしたんですけど、見ていた世代というのは、今30歳前後のスマートフォンだったり、インターネットに対して、リテラシーが高くてたいへん理解度が高いユーザーです。
その12年前の映画のその後をこのビデオの中で紹介しつつ、それがLINEの同級生機能を使って自然に2人がつながっていくというのが表現されています。
インドネシアでこのYouTubeの動画は600万回くらい再生されて、非常にそのときに話題になった取り組みになります。
そういった、機能も含めて、プロモーションの方法も含めて、ローカライズを徹底的にしているというのが、我々の海外展開の仕方というところになります。
もうひとつの軸がプラットフォーム展開になります。
前提の考え方を言うと、パソコンのインターネットからスマートフォンでのインターネットの時代になって、人々のインターネット上の動き方だったりとか、情報の探し方、情報の流れ方というのが非常に大きく変わっているというのが感じます。
ひとつはWebとアプリの使用時間でいうと、やはりアプリの中でユーザーが時間を使っているということが、圧倒的に多くなってきています。
あるいは、メールの使用率というのがどんどんどん下がっていると聞いています。
今までのパソコンのインターネットで当たり前だった、ポータルサイトから何かを探していく、検索サイトから何かを探していくっていうような流れが大きく変わりつつあるという認識があります。
その中でスマートフォンインターネットのユーザーの起点になるもの、入口になるものは何かというと、我々はスマートフォンアプリがその位置を占めるんじゃないかと思っています。
なので、このプラットフォーム展開は我々にとって重要な取り組みになります。
プラットフォームの中で2つ切り口がありまして、ひとつはライフという領域と、もうひとつはエンターテイメントという領域です。
エンターテイメントに関しては、ゲームをはじめとしてここ2〜3年力を入れてやってきていて、一定の成果を出せてきていると思っております。
たとえばゲームであったり、あるいはマンガがLINE上で読める、あるいは音楽がLINE上で聴けると。そういった展開をしております。
このときに、なんでもLINEがやればいいというわけではないと思っています。
LINEが新しい価値をユーザーの皆さんに提供できる領域でこのプラットフォーム展開をするべきだと思っております。
この付加価値というのは何かというと、やはりLINEの一番のキモはメッセージングの部分と、やはり親しい人がつながっていると。人々のつながりの部分です。
たとえばゲームに関して例をあげると、LINEゲームが提供した新しい価値というものは次のようなものになります。
LINEのつながっている人々というのは、実社会で会っている人であったり、親しくしている友人だったり家族だったり同僚だったりします。
LINEゲームでは本当に親しい、そういった知ってる人々とランキングを争ったり、あるいは共同してゲームをプレイしたりと、そういった新しい価値を提供したと思っております。
今までのオンラインゲームはネットの向こうにいる知らない誰かと、ID何とかさんと戦ったり、協力したりするものでした。それが本当に身近な人々と一緒に遊べるようになったと、そういうところが大きな違いだと思います。
その結果LINEのプラットフォーム上でゲームを展開する国においては、ゲームユーザーの裾野を非常に大きく広げたと思っていますし、それがビジネスにも非常に良い影響を与えています。
もうひとつ、これから特に力を入れていくのが、「ライフ」という領域です。今までの、先ほどのエンターテイメントのようなオンラインのコンテンツではなくて、積極的にオフラインのサービスとLINEのユーザーをつなぎ合わせていこうという試みになります。
例えばLINE Payという、LINE上で決済をしたり、送金をしたりするサービスをまずコアにして、いろいろな展開を考えています。
今はもう既に、Uberのようなタクシー配車のサービスであったり、あるいはアルバイトを探すLINEバイトのサービスだったり、あるいは短時間での出前だったり配達をするLINE WOWだったり、いろいろな分野に進出しています。
あるいはコマースのサービスは非常に重要なサービスですし、LINEらしい機能で言うと、友達同士でギフトを送りあえるような、ソーシャルギフトのサービスも4月からはじめています。
こういったプラットフォームのサービスは、トップシェアを取っている国で展開をしています。日本で先行して始めているものもありますし、タイで先行して始めているLINE TVだったり、LINE MUSICもあります。あるいは台湾で先行して始めているものもありますし、そういった形で3カ国でプラットフォーム展開を今始めています。
こういったプラットフォーム展開は、トップシェアを取れていない国でやっても全く機能しませんので、まずはより多くの国でトップシェアを取っていくという、1番最初のグローバル展開の軸と、トップシェアを取れた国においてプラットフォーム展開をして、サービスの多様性を広げていく、ユーザーとの接触ポイント・接触時間を増やしていくということを、今の戦略としています。
我々がやっていることというのは、スマートフォンが普及するタイミングの中で、大きな成長を今のところできていると思います。
ただ、世界に目を向けたときに、この領域は非常に強いプレーヤーが多い領域だとも認識しています。我々が今いる状況というのは、世界にチャレンジするチケットを手に入れた状況だと自己認識をしています。
今までインターネットの世界は、基本的にはシリコンバレー中心の世界だったと考えています。
スマートフォンの世界になって、非常にアジアが活発になってきていて、我々も日本から出たサービスで、これからアジアのシェアを取りつつ、世界に挑戦していきたいというのが今現状の我々の考えているところです。私から発表は以上になります。ありがとうございます。
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