2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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ルーシー・バーミンガム(以下、バーミンガム):では、オレンジ色の服の女性の方、どうぞお願いします。
質問者:フリーランスのものです。現状が今どうなってるかって何となく想像はつくんですけれども、私も日本人ですので。今政府が後押しするという動きがあって、今後3年間ぐらいのスパンで、何か変化が出てくると思われますか。
安藤優子氏(以下、安藤):安倍政権が「女性の活用」ということを盛んに言ってまして、それこそ3年間で、例えば女性の幹部職員を30パーセントにする、ということを目標に掲げています。
ただ、その安倍政権がこれまでに打ち出してきた政策、女性の子育ての政策とかを見ますと、何か的が外れてる感じがします。それの具体的なものの1つとしては、3年間育児休暇が取れる、という政策を打ち出したんですけれども、そのネーミングが「3年間抱っこし放題」政策、というものでした。
でも、それは非常に的が外れていて、3年間抱っこしたい、ずっと子どもを抱っこしたい、っていうのがお母さんの思いなのか。子どもを産んだら、1日も早くちゃんと職場に戻れるようなバックアップのシステムを作ってくれるというのが、私たちは働くお母さんの本来の気持ちだと思うんですね。
だから、「3年間抱っこし放題で、あなたたち嬉しいでしょう」っていうのは、やはりとても経済的にも恵まれている、環境的に恵まれている一部のすごくトップの、すごく恵まれている女性をターゲットにしてる話であって、ちょっと的がずれてるな、というふうに思いました。
その流れから考えますと、あまり安倍政権が女性活用というふうに言っても、これは女性の問題ではなくて、男性の問題だと思うんですね、これは、本当に。だから、男性がこれでいいだろう、というふうに与える政策とか、旗振る政策について、やはり意識が変わらない限りは、私はあまり急速な変化というのはないのではないか、と思います。
何が私たちにできるか、っていうと、やはり一つ一つの壁をブレイクスルー(突破)してくことしかないのかな、と思いますけど。急激な3年間ぐらいでの変化は残念ながら訪れない。というふうに、私は非常に悲観的に見てます。
小谷真生子氏(以下、小谷):私も残念ながら、安藤さんと同じ意見で、3年では多分難しいと思うんですね。その理由としては、今、例のあの103万円の上限で女性が働いた場合に、年収、その場合に夫の扶養控除から外れる、外れないで、今議論になっていますけれども、あの議論でこれだけ時間がかかっちゃってる、っていうことで、要するに、一つ一つの点がたくさんあるんですよね。
だからいっそのこと、第一の矢、第二の矢、第三の矢のように、一気に女性の社会進出のためのパッケージで、ブレークスルーできるような政策を、例えば10個なら10個ダッと出して、それをもう1年でやるとか、っていうふうにしないと、ブレイクスルーできないと思います。
例えば、扶養控除にして考えてみますと、要するに、ああいう扶養控除をなくす、あるいはなくさない、っていうところの議論というのは非常に現実的ではなくて、私も思うのは例えば、なくすんではなくて、女性は、例えばですよ、働いて年間103万円よりは稼ぎたいと。103万と130万、両方あるんですけど。
要するにそれを超えさせたい、増やしたい。みな女性は働いてて、月々10万よりも20万欲しいわけですよね。だけど結婚を解消しないわけですよ。結婚は解消したくないわけですね。夫の扶養控除のままでいたい、っていう人もいるわけです。
夫の扶養控除を外れたい、っていう人もいる。だから、扶養控除を受けるか、外れるか、っていうのは選択制にしてあげて、それでかつ、例えばリミットを100万円台にしないで、103万とか130万とか言ってないで、500万にしてあげるとか、っていうことをすればウワーッと。
今結婚して一旦、例えば育児一度はしてたんで仕事辞めました。っていったような人が戻ってくると思うんですよね。そういう非常に現実的な政策の落とし込み方っていうのをしてないので、3年では難しいと思います。
そして、先ほど、これも安藤さんと同じなんですけれども、要するに男性が変わらないと、絶対変わらない、っていうのはそうだと思います。女性がどんなに頑張って社会進出をしようと思っても、職場の男性の認識はもとより、夫が、おもしろいもので。
女性が仕事をしても、女性が買い出しをして、洗濯をして、たたんで、食事を作って、片付けをして、っていうのは相変わらず日本の場合、全部それが日本の女性のデューティ(義務)なんですね。
で、これをやっぱりシェアする、っていうマインドが、男性に生まれないと、いくら社会のほうで、女性、社会進出、社会進出といって整備しても、現実に帰ってみると、女性は家に帰ったらじゃあ、やることいっぱいあると。寝る時間がないっていう状態を作ってしまうので。その辺も企業が率先して、だからわかんないです。
これはもしかすると政府が企業に対してそういうことを何か働きかけをするのか、企業が男性にも、例えばそういうものを課すとか。課すっていうのは、例えば育児休暇であるとかそういうものももう率先して取れる。
取らないと何か罰金とか、極端に言えばですね。後は、共働きの場合にはハウスキーパー(お手伝いさん)を日本でも雇えるような、リーズナブルな、いろんなランクはあっていいと思うんですけど、例えばハウスキーパーを雇えるようにする。ハウスキーパーで、例えばアジアのほうから出稼ぎで来て下さるような方々を、もっと法務省も、法務局もビザを出せるようなシステムを作るですとか。
あるいは、そういう日本でもハウスキーパーを日本人だったら抱えるそういう組織があるのに、日本だとなかなか作りにくいっていう現状があって、そういうものも全部きちんと整備されれば、日本人の女性は喜んで働いてくれると思います。
バーミンガム:他に何か質問ございますか。どうぞ。その次にお願いします。
質問者4:ラジオ日経です。クォータ制についての質問なんですけども。フジテレビは立派な女性人材がいることはわかったんですが、例えば、頑張ってる女性っていうのは、一生懸命やっぱりガラスの天井突き破ろうと思って必死になって上がっていったっていう流れがあったと思うんですが。
クォータ制にした場合はそのモチベーションが薄れる。「誰でも幹部になれるなら、私、そんなにやらなくても幹部になれる」っていうかね。ちょっとその辺の変化はどういうふうにご覧になるのか、っていうのが1つと。もう1つ、女性が3割幹部になった場合、何が変わるんですかと。という、ちょっと素朴な質問なんですけども。
安藤:あの、クォータ制には反対ですか。反対?
バーミンガム:反対ですか? クォータ制には反対ですか? 反対なんですね。
安藤:これ、いろんな方に反対にインタビューをしていると言われるんですけれども「女性でも男性でも優秀であれば、そんなの性別、ジェンダーの問題は関係ないんじゃないか」っていうのは、良くできる女性がよくそういうふうにお答えになるんですね。
良くできる女性というのは、自分の力でブレイクスルーをしてきたベテランの、例えば女性議員とかの方とかにお話を伺うと、そんなのは女性だろうが、男性だろうが、きちんとできる人間、資質を持った人間がやればいいんだから、クォータ制っていうのは、先ほども言いましたけど、逆差別なんじゃないか、っていうのは、とても頑張ってきた女性がよく答えでおっしゃることです。
ただし、そうは言っても、やはりある程度のクォータ制を導入して、ある程度のパーセンテージの女性が入るということは、やはり私は、さっきどういうふうな変化があると思われますか、という質問に先に答えますと、やっぱりそれだけ、私は多様性が導入されると思うんですね。
やはり男性の目から見た物事の見方と、さっきの質問にもありましたけれども、女性の目から見る物の見方っていうのは、やはり決定的に私は違いがある、というふうに思います。
安藤:さっき小谷さんのお話の中で、テレビはなぜそんなかわいい、若い女の子ばっかりを重用するのか、というお話の中で、作り手のほとんどが男性だからという、いわゆる男性目線で作られているもの、これに対しては、私も非常にその通りだというふうに思ってます。
つまり、クォータ制を導入することによって、女性の目とか見方とか立場とか、そういったもの、多様性がやはりそこに生まれるということは、とても自然なことじゃないか、というふうに思います。
もう1つ、モチベーションの話なんですけれども、やっぱりある程度、私はクォータ・システムのように30パーセントなら30パーセント、女性が登用される、ということがきちっとやはり決められていれば、そこに向かって努力をするという。モチベーションは決して下がらないのではないか、というふうに思います。
小谷:今、転換期だと思ってます。つまり、こういうことが議論になること自体が転換期だと思ってます。例えば優秀な女性のパイオニアの方っていうのは、数少ないけれどもいらっしゃいます。例えば緒方貞子さん(国際政治学者、元国連難民高等弁務官)であるとか。
そうしますと、もちろん、優秀な方っていうのは男性、女性関係ないわけですね。荒療治っていいますか、今やっていることってのは荒療治で、それを乗り越えないとラピッドに(急速に)、要するに、女性が例えば今クォータ制だとかなんだとかっていう、そういうことでもやらない限り、恐らくそれが普通のことにならない。
だから日本が、女性の登用があまりにも他の国と遅れているっていうのは、やっぱりまだ、女性だからとか、女性がなる、ならないとか、あるいはパーセンテージを本当は置くっていうのは好ましくはないと思いますけども、それぐらいでもしない限り、それを乗り越えて普通の状態にできないんだと思うんですよね。
やっぱり世界のスタンダードでいくと、今はそれが普通なので、だから日本を早くその状態にまで持っていくのに、その荒療治が私はマスト(絶対必要)だと思います。
バーミンガム:はい、どうぞ。
質問者5:フランスRTLテレビとラジオのジャーナリストです。私が思うに、私たちの仕事において大事なことは、タレントを持つこと、プロフェッショナルであることです。でも、80年代から業界が変わり始めてきたように思います。
視聴率が全てを変えてしまったのです。「何か」をやりたいからジャーナリストになりたいという人もいたでしょう。「誰か」になりたいと思い、それでメディアの世界に入る人もいたでしょう。そこで、私の質問は、お二人は「何か」をしたかったからメディアを志されたのか、それとも「誰か」になりたかったからなのか、ということです。よろしく。
安藤:思い付かないわ。どうぞ。
小谷:今、私はやっぱり夢があって、夢が何かって言いますと、実際にやってることはジャーナリズムです。ジャーナリズムで、非常に幸運にも、ワールド・エコノミック・フォーラム(ダボス会議)のIMC、インターナショナル・メディア・カウンシル、のメンバーになりました。
ジャーナリストとしてそこでメンバーになったことでじゃあ何が出来るか、っていうのを今考えています。そうすると、例えばアジア地域の繁栄、経済成長を、どうやって日本がそれを一緒になって享受できるか、一緒になって成長させてっていう。
で、それをメディアとしての役割っていうのがいっぱい実はあって、要するにアジアと日本が間に入っていろんなアジアの国をつなぐ、っていうことが実はできる。ではそれが「サムワン(誰か)」というのはちょっと違うと思うんですよね。ジャーナリズムはあくまでも黒子である、というふうに思ってます。
黒子で徹してて、でもテレビには顔出さなきゃいけないですけど、実際、安藤さんともさっきお話したんですけど。私たち普段、この大勢の方々前にしてないで、カメラが前にあって、いるのはみんなファミリーみたいな。
小谷:今日も実は来てるんですよね。ワールドビジネスサテライトで一緒だった豊島(晋作)君が今いるんですけど。彼あのマーケットキャスターなんですけどね、非常に優秀。とても楽しかったです。だから、そういうファミリーがスタジオに一緒にいて番組をやっているという感覚で、どうやっていいものを出していこうか、っていうことを、あくまでも黒子として。
例えば、今でしたら、私のミッションというのは、隣にいらっしゃる山川さんという日経新聞の方。毎日、日経の大手町のスタジオとライブで、お二人必ず、その日のニュースのデプス、深いところを分析していただいてます。
彼らをもっと前に出てきてもらうようにするにはどうすればいいかと。彼らをもっとスタンドアウトさせ(目立たせ)たい。彼らを「サムワン」にするためにはどうすればいいか、を考えています。だからそういうファンクション(役割)が自分には課せられている。っていうふうに思っているので。だからジャーナリストでも、「サムワン」でもないですね。
だから、どうやって日本のメディアがプレゼンス(存在感)を持って、かつそれがアジアに大きく貢献できて、世界にも貢献できるか、っていうことを常に考えている、っていうそれだけですね。そこに尽きます。
安藤:私の夢は小谷さんの夢と比べるとささやかなものです。スピーチで申し上げたように、私は55歳で、日本のテレビメディアで生き残るのは難しいです。もうかわいくも若くもありませんから。
ですので、私がこれからしたいことは、テレビメディアであと何年間生き残ることができるか、ということです。「お局」として。英語では何て言うのかしら。「ウツボ」じゃなくて「お局」。ボス? クィーン? 日本のテレビメディアではとても実験的なことですよね。
バーバラ・ウォルターズ(米国のベテランテレビジャーナリスト)のように。彼女、何歳だったかしら? 80ちょっとですよね? 70いくつですか。バーバラ・ウォルターズを超えて、80歳を超えても、テレビをつけたら、そこにいるようになりたいわ。ありがとうございます。
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