ノーベル生理学・医学賞 坂口志文 大阪大学免疫学フロンティア研究センター特任教授 記者会見(全3記事)
「がんは治せる時代に必ずなる」自分の免疫でがんに打ち勝つ時代へ ノーベル賞受賞・坂口志文氏のメッセージ【全文3/3】 [2/2]
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研究を続けてこられた信念
司会者:それでは会見に戻ります。質問がある方はどうぞ。
記者13:中日新聞です。先ほど愛知県がんセンターへ移った思いをお話しいただきましたが、その思いが間違いないと、どうして信じられたのでしょうか。
坂口:そうですね。当時愛知県がんセンターでの研究で、何を発見されたかと言いますと、生まれたてのマウスから胸腺を取ると……胸腺っていうのはTリンパ球を作る臓器でありますけれども、不思議なことに、自己免疫病らしきことが起きてくるんですね。
しかし、なぜそれが起きるのかと(いうのはわからなかった)。人の自己免疫病の患者さんが胸腺を取られたわけじゃありませんので、必ずその後ろに共通のメカニズム、より一般的なメカニズムがあるはずだということになります。
ですから、非常におもしろいものが見つかって、誰がやってもそのような検証ができる現象である。しかし、そのメカニズムは分からない。その分子的なメカニズムですね。
そうなった時に、そこをベースにしてより、詳細なメカニズムを追っていくことをやっていけば、そのうちに人の病気も説明できるようになるんじゃないかと考え、研究を続けてきたということです。
研究費を獲得するのに大きな苦労も
司会者:ありがとうございます。すみません。ただいま科学技術政策担当大臣からお電話がつながっておりますので、先生とお話しいただきます。
城内実氏(以下、城内):こんばんは。科学技術政策担当大臣の城内実です。記者のみなさん、ちょっと中断して申し訳ありません。この度、日本の研究者として7年ぶりにノーベル生理学・医学賞の受賞、本当におめでとうございます。坂口先生が、制御性T細胞に関する発見とその働きを解明されたご功績が、世界的に認められ我国の研究水準の高さが内外にしっかり示されたこと、本当に誇りに思っております。
私は、先ほどの大阪大学での記者会見をずっと見てたんですが、先生がおっしゃった、研究費を獲得するのに大変ご苦労されたこと。そして、先ほどの総理のやり取りでもございましたが、基礎研究には非常に長い時間をかければかけただけ予防や治療に向けた成果が必ず結果として出るとおっしゃっていたのを、感銘して拝聴いたしました。私としても、先ほど阿部文科大臣もおっしゃったように、必要な予算を継続的に確保することが重要だと改めて認識いたしました。
坂口:ありがとうございます。本当にそう言っていただけると、我々研究者としましても、非常に心強く思います。どうぞよろしくお願いいたします。
城内:はい、微力ですけれども、関係省庁としっかり連携して(いきます)。2年、3年で成果が出ないと予算を打ち切るなんてことが時としてあるとうかがっておりますが、やはりしっかり時間をかけて、継続的に予算を確保することが、このようなすばらしい研究成果につながるということで。
また、しっかり創薬の創出等、出口戦略両方しっかりと取り組むことが大事だと思います。今後とも世界の学術会でますますご活躍されることを心からお祈り申し上げまして、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。本当におめでとうございます。
坂口:どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
アメリカでの研究を振り返り、これからの日本に期待すること
司会者:そうしましたら、これで最後の質問をさせていただきます。
記者14:先生の過去を見ると、1983年からアメリカにおられたということで、以前、「もし日本にいたら、自分の研究につまずいてしまっていたのではないかみたいなこともおっしゃっていて、ある意味、先生のキャリアの中でものすごく重要な時期だったと思います。ご自身の経歴を振り返って、アメリカにいたことはどのような期間でしたか?
坂口:そうですね。アメリカも今大変な時代になっておりますけれども、この多様性ということだと思います。私が申したいのは、私は研究を続けるために、いろんな奨学金を出してくれるところを、次から次に応募しておったんですけれども。非常にラッキーなことに1つ、そういう財団の奨学金が当たりました。
これは政府による支援じゃなくて、いろんな財団があって、例えばこの財団は、ある疾患に対する研究をサポートすると。そういう多様な支援組織があるわけですね。それで、たまたま奨学金を得ることができた。それが8年間の非常に長い奨学金だったもんですから、じっくり研究できたんです。
その意味で、我々は研究には科研費という、政府からのお金を使ってやるわけですけれども。民間あるいは財団で、それがたくさんできていくこと。この財団は例えばアフリカのこのような感染症に対する支援を重点的にやるとか。
いろんな特徴を持った民間の財団ができて、いろんなサポートができることは、社会が成熟していくことだと思います。アメリカは今ちょっとその反対の方向に向かってるのかもしれませんけれども、やはり日本は、これからそういう形での科学に対する支援を、期待したいと思っております。
司会:はい。それでは本日の記者会見につきましてはこれにて終了させていただきます。ここまでたくさんお集まりいただきましてありがとうございました。
※本記事はAIによる自動書き起こしデータをもとに、編集部が内容を確認・編集しています。 続きを読むには会員登録
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