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ノーベル生理学・医学賞 坂口志文 大阪大学免疫学フロンティア研究センター特任教授 記者会見(全3記事)

「自分が興味のあることを大切に」 ノーベル賞受賞・坂口志文氏が子どもたちに贈る言葉【全文2/3】 [2/2]

大阪に拠点を移した経緯

記者5:すみません、最後にもう一点だけ。先生の子どもの頃の夢は何でしたか?

坂口:私たちの頃は、例えば、湯川秀樹ですね。ああいう物理学者がノーベル賞をもらったりした時代ですので、子どもなりに「科学者ってすごいな」と思っておりましたけれども。でも、自分にそんな才能があるのかわかりませんので、本当に普通の子どもだったと思いますね。

記者:ありがとうございます。

司会者:はい。ではどうぞ。

記者6:読売新聞のナガオです。受賞おめでとうございます。先生はもともと京都大学で研究を進めていらっしゃって、大阪大学に拠点を移られました。大阪大学に移られて、研究にとってプラスになった面があれば教えてください。

坂口:私が大阪大学に移りましたのは、WPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)、日本が強い分野で研究拠点を作るということでした。大阪大学に免疫の研究拠点ができて、それが私たちが所属しております免疫学フロンティア研究センターであります。

やはり、大阪大学は昔から免疫学が非常に強くてですね。基礎研究だけじゃなくて、岸本忠三先生のように発見されたことを、実際の治療に応用していく雰囲気がありました。

私もちょうどその頃、基礎研究もやりながら、最後にもう少し人に役に立つような方向に研究を進められたらと思っておりました。なので、大阪に来ないかという誘いを受けた時は、自分の仕事も新しい展開ができるんじゃないかということで、喜んで移らせていただきました。

がんの免疫療法への展開に期待

記者7:応用という言葉が出ましたけれども、先生の研究をどういうふうに(可能性を)伸ばしたい、あるいは伸ばしていってほしいというのはありますか。

坂口:私たちの研究所の制御性T細胞は、先ほど申しましたけれども、免疫反応を抑える細胞、リンパ球です。ですから、本当にいろいろな免疫病の治療にもつながります。逆にそこを減らして、免疫反応を高めてガン免疫などを強くすることもできます。

だから、何がやりたいかを具体的に申しますと、例えばがん免疫ですと、今は進行したがんの免疫療法があるんですけれども。実は免疫学の基本は、この抗原が自分の中にある、すなわちがん細胞がいて、がん抗原が体の中にあると。その時点で免疫反応を強くしてやる。

がんで亡くなる方の90パーセントは、転移で亡くなります。そうしますと、やはりがん免疫はがんが発見された時、いかに免疫反応を上げて、ひょっとして起こるかもしれない転移が防げるようになると。

どんながんにも適用できて、安全で効果があって、医療経済的にも可能であるような、がん免疫療法はやっぱり1つはやりたい。ですから、自己免疫病の治療とか、臓器移植の免疫反応を抑えること、プラス、そういう免疫反応を上げることですね。その両睨みで、私たちの仕事も含めて発展していけばいいと思っております。

最初に抱いた興味が研究のモチベーションに

記者8:中日新聞のニシカタと申します。これまで研究がなかなかご理解されない時もあって大変だったという話をうかがったんですけれども、振り返られて一番大変だったこと、ご苦労されたのはどういう瞬間だったんでしょうか?

坂口:若い時は、何をやってもそんなに苦労してると思わないと思います。

今から振り返ってみると、あの時にもう少し研究資金があればもうちょっと仕事が進んだな、というのはありますけれども。総じて、それなりにやってこれたんではないかと思います。本当に考え方、捉え方によります。研究資金がない時にはない時なりに考えて仕事もできますし、あればあれで、またちょっと研究が散漫になったりもしますので、何がいいとも悪いとも言えないと思います。

記者8:自分の研究が間違っていないというか、信念のようなものがおありだったので、ぶれなかったということでしょうか。

坂口:そうですね、今日申しましたように、私はそもそも、いろいろな微生物やウイルスとかから自分を守る免疫系が、なぜ時に自分を攻撃するのか。そこに最初の興味がありました。その疑問を解決できるような考え方があれば研究する価値がある、ということでやってきました。

長々と研究をやっておりますので、いろいろな考え方が出てまいりましたけれども。じゃあ、私たちの考え方と、それらのどちらがより説明力が高いかというのを考えますと、「我々の考え方も捨てたものじゃない」「ひょっとして、おもしろい結果になるんじゃないか」という感じで研究を進めてきました。

地元・長浜市への思い

記者9:先生が長浜市がご出身ということで、ふるさとのみなさんも大変喜んでらっしゃると思うんですけれども、一言いただけるとうれしいです。

坂口:(笑)。本当に、私は高校時代まで、南浜におりましたもんですから、本当に琵琶湖にも伊吹山にも近い、なかなかいいところで育ったなと思っております。また、育ててくれた両親にも感謝しております。また、一緒に学校に行ったり(した人たちや)、近所の方々にもいろいろなことでお世話になっておりますので、感謝しております。

記者10:読売テレビのフジワラと申します。今回は受賞、大変おめでとうございます。研究されている中で苦しい部分もたくさんあったと思うんですけれども、先生の座右の銘、あるいは信念があれば教えていただきたいと思います。

坂口:(笑)。なかなかそんな四字熟語みたいな信念はなくてですね。自分に言い聞かせるとしたら、本当に「一つひとつ」ということになります。研究の実験もそうでありますし、論文も書かなければいけませんけども、一つひとつ仕上げて、という意味で。あまり高尚な四字熟語などはないんですけれど。あえて言えばそういうことになりますね。

記者10:もう一点なんですけども。日頃から研究で忙しいかと思うんですけども、息抜きや趣味はどういうものがありますか?

坂口:うーん、いろいろな本を読むということが1つですね。あとは、散歩したり。海外へ行く機会もけっこう多いもんですから、その時に、時間があれば博物館とか美術館とかを訪ねてみるとかですね。取り立てての趣味というんじゃなくて、そのような程度のものですね。

記者10:ちなみに好きな本は何でしょうか?

坂口:好きな本ですか? うーん、何でしょうね? いろいろありますけれども、取り立ててと言われると困りますね。なかなか難しいなあ。「これだ」というのはなかなかないですね。いろいろなものを読んでいるということになります。

記者10:ありがとうございます。

司会者:それでは最初に挙げられた方、後ろの……。

記者11:関西テレビのオオモトと申します。初歩的な質問で恐縮なのですが、共同研究者とはどういう役割分担をされていたのか。そのあたりをお聞かせいただけると幸いです。

坂口:いわゆる細胞免疫学と言いまして、リンパ球をバラバラにして、試験管内で培養したりとか、そういうことはけっこう好きなんですけれども。分子生物学なんかは、中年になってから勉強し始めておりますので。やはりそうなりますと、その分野の専門の方というのはそれなりに、うんちくが違いますから、そういう自分にないもの(を持っている)人たちとの共同研究は、本当に楽しんできましたし、非常にありがたく思っております。

また最近は、どうしても人への応用を考えますので、その意味では臨床の先生方との共同研究は、本当に私自身ではできないことですので、とても大切に思っております。

※本記事はAIによる自動書き起こしデータをもとに、編集部が内容を確認・編集しています。

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