CLOSE

ヤフー・LINEの経営統合会見(全5記事)

【全文1】ヤフーとLINEを経営統合に至らせた「強い危機感」と「大きな志」 川邊健太郎氏と出澤剛氏の両社長が合同会見

ヤフー株式会社の親会社であるZホールディングス株式会社とLINE株式会社は、経営統合することで基本合意したと発表しました。これを受けて2019年11月18日、Zホールディングス株式会社の代表取締役社長・川邊健太郎氏とLINE株式会社の代表取締役社長CEO・出澤剛氏が共同で記者会見。来年10月までに登場する新会社のビジョンや思いを明らかにしました。会見の模様を全文でお送りします。

ヤフーとLINEは「対等の経営統合」

川邊健太郎氏(以下、川邊):ヤフー、Zホールディングスの川邊でございます。

出澤剛(以下、出澤):LINEの出澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

川邊:今日は両者にとって大変重要な発表をさせていただきますが、2人で発表させていただきたいなと考えております。

なにぶん、2人で発表するのは初めてのことでございますので、緊張もしますし不慣れな点もあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。

それではその具体的な中身についてご説明いたします。

今まで我々2社は、LINEはLINE株式会社として、ヤフーは10月1日からZホールディングス株式会社の下の子会社としてインターネットサービスを提供してまいりました。

そして今回、我々は協議の末に、このような形で経営統合を果たしていきたいと思っております。

具体的には Zホールディングス株式会社とLINE株式会社が統合を行い、その下にヤフーとLINEが共同会社というかたちで100パーセントの子会社になると、そのようなことを想定してこれから統合の準備に入っていきたいと考えております。

その考え方でございますけども、対等の経営統合ということでございます。対等の精神に基づいて両者でこれから相談して進めていきたいという考えております。

出澤:ただ、今日までは昨日までは我々、切磋琢磨しあう関係にありました。ヤフージャパンさんはミッションとして「ユーザーの生活をびっくりするほど便利に」というのを掲げていらっしゃいまして、日本のインターネットをつくり、その後も確固たる地位を築いてこられました。

我々LINEも、コーポレートミッション「WOW」を掲げましてユーザーの生活をLINE上でもっともっと便利にしていこうということをやってまいりました。

ともに2社ともに近しいビジョンや思い、「!」と「WOW」ということで非常に近しい想いをもちながらこれまではライバルというか切磋琢磨する関係であったというところであります。それが今日、11月18日、互いの手を取り合ってさらなる高みを目指していこうという非常に大きな決断をしました。

川邊:ラグビーのワールドカップが今年日本で開催されました。そこで“One Team”という流行り言葉が出てきましたけど、我々もまさにそれに乗っかって、最強のOne Teamを目指していきたいと思っております。どうぞ出澤さん、よろしくお願いします。

(両者かたい握手)

司会者:ありがとうございます。このあとフォトセッションもございますので、そちらでよろしくお願いします。

最強の「One Team」を目指す

川邊:ラグビーのワールドカップ、感動しましたよね。試合が終わったあとにノーサイド、そのあとにラグビーではジャージをお互いに交換することをやっていましたけど、今日は我々はそれぞれのコーポレートカラーのネクタイを交換して、(出澤さんは)ヤフーの赤と私はLINEの緑をつけさせていただいております。

このように統合が果たせた暁には、最強のOne Teamを目指していきたいと思っております。

出澤:我々は、グループ全体で合わせますと2万人の社員がグローバルにおりますので、その全員でOne Teamを作っていきたいと思っております。

川邊:そして我々が統合を果たした暁に何を目指すのかと。これが一番大事ですけれども、今日は新たに、我々が発表させていただくのは、統合を果たしたうえで、「日本、アジアから世界をリードするAIテックカンパニー」を目指していきたいと思っております。

出澤:そもそもなぜ提携に至ったのか。簡単に背景と趣旨をご説明したいと思います。まず経緯から申し上げますと、いろいろ報道等出ていますけど、実態としては、ここ数年間、川邊さんと私と経営陣含めまして、年に1度ぐらい情報交換の会をさせていただいておりまして、そのつど川邊さんから「なにか大きいこと一緒にしましょう」と毎回おっしゃっていただいていたんですけど。

そのつど具体化は至らなかったんですが、今回、我々思うことがありまして、ぜひ具体的に一緒に検討を進めましょうということで、両者の親会社ともご説明しながら、議論しながら、そして2社で非常に深いディスカッションをしながら、今日この発表に至っているということでございます。

なぜここに至るのかということでございますが、現状に対する2つの「強い危機感」と我々が成し遂げたい、共通して持つ「大きな志」になります。

まず危機感の1つめは、グローバルテックジャイアントの存在があります。インターネット産業というものは非常に「人」が大事な産業ですけれども、その「人」が国をまたいで働くことができるので、たとえば優秀な人財であるとか、あるいはお金であるとか、あるいはデータであるとか、その全てが強いところに集約してしまうと。"Winner takes all.”というか、勝者総取りという、そういったビジネス構造をもっております。

そうしますと、残念ながら強いところはもっと強くなっていって、それ以外のところとの差がどんどん開いていくと。そういう構造にある産業でございます。

課題先進国、日本でITによる課題解決をやり切りたい

出澤:実際に数字でご説明いたしますと、赤で示しているのが、今回我々が一緒になった暁の単純な合算の数値です。それ以外に書いてあるのが、米中の大手の数字でございます。現状でいうと、残念ながら2社が一緒になったとしても、時価総額、営業利益、研究開発、従業員数、その全てにおいてケタ違いの差がついているのが現状です。

川邊:そしてもう1つ、我々の大きな危機感は、課題先進国と言われる日本において、テクノロジーで解決できる課題がまだまだあり、そして我々はまだまだ解決しえていないところにあります。

これから日本が人口減の時代を迎えていきますが、最初に訪れるのが労働人口問題ですけれども、これに関してもITができることはたくさんあります。

さらに付随するかたちで労働人口減少に伴って、日本の生産性が落ち、あるいは社会の効率というものがどんどん落ちていくと。このあたりにもITはもっと活躍できるところがあります。ただ我々は、まだこれを完全にやりきれているとは思っておりません。

さらにお記憶に新しいところで言いますと、自然災害ですね。今年も大変なことがいろいろありましたけれども、ここでも、ITはもっといろんなかたちで防災/減災に役に立てることができるという問題意識を我々は持っております。

例えばYahoo! Japanが国民的アプリとして提供しております、「Yahoo! 防災アプリ」ここに地方自治体のLINEアカウントが連携するようになれば、もっともっと多くの人が救える、もっともっと多くの災害を防止できるようになるというように考えておりますので、もっと取り組んでいけるのではないかな、という自分たちの至らなさの危機感を持っております。

そして、それらの危機感を共有しながら、それでも我々は統合を果たした末には、大きな志をもって事業を展開していきたいというように考えております。

まずは、日本に住む人に最高のユーザー体験を提供

川邊:その「大きな志」とはどのようなものなのかというのを、これから何枚か、使って説明をさせていただきます。

それぞれステップがあると思っております。まず最初、やはり我々は日本に住む人に最高のユーザー体験を提供していきたいと考えております。日本にフォーカスをしたAIテックカンパニーになりたいと思っております。

それによって、先ほど申し上げたような、日本固有のさまざまな社会課題をどんどん解決していきたいな、と考えております。

出澤:そして、日本から先ほど川邊さんが言ったようなソリューションを、タイ・台湾・インドネシア、とくにタイと台湾はLINEがナンバーワンの圧倒的なシェアをとっている国でございますので、そういったアジアの国々にも、最高のユーザー体験を提供していきたいというのが、2つ目の思い。

そして、日本からあるいはアジアから、そこを足場に全世界に飛躍して、世界規模で最高のユーザー体験を提供して、社会課題を解決していくようなそんな会社になっていきたいと。これが、世界をリードするAIテックカンパニーの意味する、我々の大きな志というところになります。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 【全文10】前澤友作氏「いかがわしくロックな魂で、人を驚かし続けていきたい」 ZOZO社長退任後から始まるゼロからのチャレンジ 

人気の記事

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!