2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者:では引き続きまして、ご質問を頂戴したいと思います。ご質問のある方は挙手をお願いします。スタッフがマイクをお持ちいたしますので、そのマイクをとおしてご質問いただければと思います。1人でも多くの方のご質問をお受けしたいので、お一人様2問まででお願いします。よろしくお願いします。では、順番に前からどうぞ。
記者1:テレビ朝日・カナイと申します。よろしくお願いいたします。すみません。今日のゴーン会長の動きについてなんですが、夕方の羽田空港に4時半ごろ、N155ANという飛行機で日本に帰国したというか、羽田空港に到着したという話もあるんですけれども、そこで東京地検の人に連れて行かれたという状況でよろしいんですかね?
西川廣人氏(以下、西川):先ほど申し上げたとおり、捜査そのものの状況について、あるいは、本人の確保の問題について私から申し上げるべきではないと思いますので、検察のみなさんの発表のとおりというかたちで理解をしていただければいいと思います。
記者1:捜査の部分ではなくて、その会長の今日のスケジュールとしては、どういう動きをされていたのでしょう。
西川:私の承知しているかぎりは、今日東京に、日本に到着するという前提だったと思います。はい。
司会者:はい。ありがとうございます。はい、では前の方。
記者2:ニコニコ動画の七尾と申します。よろしくお願いいたします。質問が2つございます。まず1点は、こうした重要で重大な会見の場合、通常は弁護士とか調査担当者の方が同席というのが、通常だとよくあるパターンなんですが、今日西川代表取締役お一人で会見されています。このお一人で会見されているということは、それなりの何かお考えがあってのことかというのが第1点です。
それと、冒頭ございました、やはりその日産ブランドということで、日産の車を愛している人たちはかなり大きなショックを受けましたし、これ会見の記者の数を見ても、たぶん今年最高の数だと思うんですが、こうした大きな騒ぎになっていることに対して、日産を愛している方たちに対して、一言お願いします。
西川:2つ目の質問にも関係するんですが、実は、先ほど申し上げたとおり、並行して捜査が進んでいるということで、なかなか我々も、みなさんに内容、お伝えするタイミングも、それなりに制約がございます。これは、やむをえないことであると思っておりますので、その部分は検察に全面的に協力していきたいと思っております。
そのなかで、今日、許されるタイミングということで、できるだけ早く私のほうから、私の生の言葉で、先ほど、自分の感情というか、ここは全てを言葉にしきれませんけど、まずは私の言葉でお伝えしたいということで、そういう機会を極力早く作りたいということで、まず設定させていただいたことが正直な気持ちでございます。
もちろん、これは時期が来れば、とくに詳細等の説明、あるいは社内調査の説明等々を、これをみなさんにきちんと説明できる場があると思います。そのときにはもちろん専門家のみなさんの同席をお願いしたいと思いますけども、今日は、やはり私もある意味で大きなショックを受けております。
その部分はこの重大事案で驚かせてしまって、不安を与えてしまって申し訳ないんですけども、まず、私の方から申し上げたいというつもりで、臨んでいるつもりでございます。
多くの日産ファン、という話がございました。先ほど申し上げたとおり、さまざまなみなさんから、サポートをいただいて来たわけでございますし。
そういうなかで、これはもちろん、カルロス・ゴーン個人だけではないと思いますが、そういうみなさんに、こういうような事案が起きてしまったということ、とにかく、大変申し訳ないという気持ちでいっぱいでございます。
先ほど申し上げましたけども、我々ができることは、ガバナンスに関して猛省と申し上げましたけども、よくよく振り返ってみますと、それが原因とは言いません。原因とは言いません。
もちろん1人に権力が集中していても、立派に仕事をされている方たくさんおられますので、そういうことじゃなくて、そういう誘因をつくってはいけないというところも大きな反省でありますし、長年、実力者として君臨してきた弊害は大きいということを私も今痛感をしておりますし。
先ほど申し上げたとおり、ガバナンスの面でも、事業運営の面でも、これが目に見えるかたちで、問題を解消していくというか、これを見ていただくことしかないかな、と今は思っております。それ以上はなかなか申し上げれないです。申し訳ないです。
司会者:はい。ありがとうございます。左、右と行きましょう。
記者3:すみません。朝日新聞のオオシカといいます。社長今回、内部通報があって監査役から問題提起があったということですが、いつごろに内部通報があって、どのくらいの期間をかけてこの社内調査をやってきたんでしょうか。
西川:よろしいですか。お答えしたいところはやまやまなんですけども、そこも含めて、検察のみなさんと連携しているところもありますので、現時点では、そこはちょっとお答え控えさせていただきたいなと思います。いずれタイミングをみて、お話しできるタイミングでお話しできるようになると思います。
記者3:ちょっともう1点、社長さっき3点おっしゃっていて、ゴーンさんが有価証券報告書に過少に報酬を記載していたこととは別に、不正に私的に投資資金を流用したっていうのと、もう1つ不正目的で資金を利用したと。似たような話を2回繰り返されたと……。
西川:経費。経費ですね。
記者3:不正な経費。それはどういうものでしょうか。
西川:2つ目が、もう一度繰り返しますと、目的を偽って、私的な目的で当社の投資資金、投資というのは、いわゆる経費ではなくて投資をするほうのお金ですけど、これを使ったということが2つ目の不正であります。
それから3つ目は、これは投資資金ではなくて、会社の経費、経費の不正使用という不正行為と。大きく開示の問題と、投資資金の不正使用ということと、経費の不正使用と。すみません、この3つだと申し上げたつもりであります。
司会者:はい。こっち側。
記者4:TBSのコマダと申します。いま社長が把握されているかぎりでけっこうなんですが、日産側としては今回の不正行為を働いたという人は、今回逮捕された2人だけと考えていらっしゃるのでしょうか。
そしてもう1つなんですけども、他の役員の方々の感想ですね。社長のように怒っていらっしゃるのか、裏切られたという思いなのか。他の役員の方々のご感想、もしお知りの範囲でかまわないので、教えてください。
西川:はい。わかりました。先ほど申し上げたとおり、我々の調査の結果、この2人(カルロス・ゴーン氏とグレッグ・ケリー氏)が首謀であると確認していますが、それ以上は、調査の関係がありますので、いまのところ控えさせていただきたいと思います。
それから、役員の反応ということでございますけども、これも実は、役員がこの件を知ったのは、つい先ほどなんですね。事案の中身から、やはり非常に秘匿しておりましたので、彼らも、今それを聞いていったい何があったんだという感覚であろうと思います。
そういう中で先ほど状況をシェアして申し合わせましたのは、やはりとにかく従業員、あるいはお取引先のみなさまが非常に心配をしていると。大きな不安を抱えておられると思いますので、そことの業務、ここを不安定にしないように全力を尽くしましょうということと。
あと、従業員のみなさんが非常に不安に思っているので、ここは役員のほうが先頭に立って、日常的な業務運営に影響が出ないようにしっかりとリードをするということ。それと、もちろん捜査には全面協力をしていくことを申し合わせたところでございます。
記者5:すみません、TBSのゴトウと申します。1点目なのですが、御社のリリースでは、今回この私的流用について指摘されていると思うんですけど、これ私的流用を摘発する特別背任で捜査容疑がかかっているんじゃなくて、今回、金商法(金融商品取引法)によるものなんですけど、これに対する受け止めをお願いします。
西川:やはり捜査に関することですので、今のご質問は、そこについて私がなんら見解を申し上げることではないと思っておりますけれども。
先ほど申し上げたとおり、社内での調査、これは情報も全部ご報告しておりますし、捜査のほうも並行して進めていただいているということですけれども、その中で、いわゆる捜査の対象なり刑事罰の対象という、この部分について私はなかなか判断はできません。
ただし、先ほど申し上げたとおり、そのそれぞれ、大きく3つの事案があるわけですけれども、そのどれをとって見ても、あるいは全部合わせて見ても、会社として見た場合には、取締役のその義務に大きく反するどころではなくて、当然解任に値するということ。こういうふうに理解をしておりますし。
この部分については、詳細の調査の結果を専門家のみなさんに……専門家というのは弁護士のみなさんですけれども、専門家に見ていただいて、これは解任に値をするということ、そういうようなご意見もいただいておりますので、その3つの点で私は解任の提案をしようと思っております。
どの事案を見ても、これはいわゆる捜査の対象、刑事事件になるかどうか、これは私は判断できませんが、会社として見れば当然その許容はできない。虚偽であったり、その支出の目的のまったく私的なものであったりということであるとご理解いただければと思います。
すいません、ちょっと説明が舌足らずで申し訳ないですけど、そういうふうに理解をしております。
記者5:ありがとうございます。すみません、もう1点だけ。解任の提案をしたというお話があったんですけど、その解任の提案を決められたのは、いつ頃なんですか?
西川:実際にその方向で、私が事案を見て、先生のみなさんからもアドバイスいただいたのは、社内調査がまとまった段階でございます。いつ(まとまった)かもちょっと申し上げにくいんですけれども、社内調査がまとまった段階でそういう判断をいたしました。
記者6:すみません。毎日新聞のイトウと申します。ちょっと初歩的なことでおうかがいしたいのですが、2つあります。
1つは、今回の不正がだいたいいつ頃から行われていたと会社では考えていらっしゃるでしょうか? 検察の発表では23年とありますけれども、おそらく公訴時効にかからない分からという……。
西川:すいません、「検察は」?
記者6:検察は「23年以降」というふうに書いてあるのですが、おそらく時効にかからない分だと思うので、もっと昔から会社としては把握されているんじゃないかと思うんですけれども。
西川:そこについてもちょっと今は申し訳ないです。内容を申し上げるのは妥当なタイミングでないと思います。いずれオープンにしたいと思います。
記者6:かなり長期にわたって行われていたという認識でしょうか?
西川:長きにわたってということだと思います。
記者6:あと、ごめんなさい、もう1点だけ。初歩的(な質問)なんですけれども、ゴーンさんは日本で納税されていたんでしょうか? というのは、日本で納税されているのであれば、当然、源泉徴収などから会社としても報酬額は把握されているんじゃないかと思うんですけれども。
西川:ちょっと私はお答えできないのですが、そこは事実を確認できれば確認したいと思いますが、当然、日本で納税していたと思います。すいません、これはそう思ってますけれども、もし違っていたらあとで訂正をさせてください。
記者7:すいません。先ほどの質問の続きになると思うんですけど、これだけ会社を裏切る行為・株主を裏切る行為をしていた場合、会社として告発する意思はないんでしょうか? 株主に代わって失われた利益を取り返さなければいけないというか、ゴーンさんを訴えなければいけない立場じゃないかと思うんですけれども、それをされるおつもりはありますか?
西川:おっしゃる点はよくわかります。そこは今日お答えすることはできませんが、当然それに値をするような事案であるということは認識をしております。そこをどうするかはこれから判断をしていきたいと思いますけれども、今の段階で「こうする」「ああする」ということを申し上げるのは尚早だと思いますけれども、ご質問の趣旨はそのとおり、よくわかります。
記者7:あともう1つ。これは報道によると、過少申告のところですけれども、100億近い報酬があったところを50億程度の申告しかしていなかったと。そうすると、50億近いお金が消えちゃってるわけですよね。これは日産の帳簿上はどういう処理をされていたわけでしょう? どういうからくりで50億消えちゃってたんでしょう?
西川:そこも実はちょっとお話しできないかなと思っております。内容的にはもちろん確認している部分がありますし、かつ、検察当局のみなさんとシェアをしておりますけれども、そこはちょっと当面、今の段階ではお答えを控えさせていただきたいなと思います。申し訳ないです。
記者8:NewsPicksのイケダと申します。捜査について触れられないということなので、私のほうからはそれ以外のところで1点教えてください。
長期政権の弊害という言葉が、先ほど来、いろんな表現が出てきてますけれども、どういうかたちでゴーンさんに権力が集中していって、そして今回のクーデターのようなかたちにいたったのか、その権力の形成と崩壊を今改めてどのように振り返っていらっしゃるか?
および、その中で(グレッグ・)ケリーさんもお名前が出ていますけれども、ケリーさんの役目についても、その中で立場上どういうことができるポジションだったのか、具体的に教えてください。
西川:今おっしゃられた点、権力の集中と、それから結果的にこれがクーデターのようなかたちで崩壊するというふうに言われましたけれども、今回の件は、やはり事実として見た場合には、事案として不正が調査の結果見つけられたと。内部通報の結果ですね。
そこを除去をするということがポイントでありまして、いわゆる権力が1人に集中したと、それに対してそうではない勢力からクーデターがあったという理解はしておりませんし、そのような説明をしたつもりはありませんし、そうは受け止めていただかないほうがいいんじゃないかと思います。
そういう中で、先ほど申し上げたとおり、1人に権力が集中していても、こういうことが起きるとはかぎりません。権力を持って、パワーを持って公正にやっておられる方がたくさんおられるので、それが原因だとは言えないと思います。
ただ、ガバナンスの面から見ると、やはりそれが1つの誘因だったことは間違いないと思います。したがって、ここの部分は、どういうかたちでより公正なガバナンスを持っていくのかというのは大きな課題であると思っております。
それで、なぜ、どういうかたちで権力が集中してきたかと。私も同じようなことを考えておりましたけれども、やはりこの長い間で徐々に徐々に、なんて言うんでしょうか、形成をされてきたということ以上言いようがないんですが。
1つは、やはりルノーと日産両方のCEOを兼務していたという時代も長かったので、このあり方はやはり少し無理があったのかなと思います。
ただ、そこは、まだ私自身、十分に総括ができていないので、あまり軽々なことは言えないと思っております。
それから、このケリーという人間ですけれども、やはり今おっしゃられた長い間の中で、ゴーンの側近としてさまざまな仕事をしてきたということで、CEOオフィスということになりますから、そういう意味では、ゴーン氏そのものの権力を背景に、相当な影響力を持って社内をコントロールしてきたということは言えると思います。
言葉が適切かどうかわからないですけれども、これが実感であり、実態ですね。以上です。
司会:はい。では真ん中の眼鏡をかけた方。
記者9:共同通信社ノナカです。先ほどの説明の事実関係を確認させてください。取締役会の招集ですが、明後日という言葉と木曜日という言葉があったんですが、まずはこの日付を正確に確認させてください。
西川:すみません、これは、木曜日です。
記者9:ということは、22日という……。
西川:そうなります。招集をしてから2日経ちます。2日を空けなくちゃいけないんで。(運営側に向かって)木曜日だな? ……木曜日です。
記者9:あと1点、今回秘匿性が高かったと。この情報を知っているレベルはかなり限定的だったと思うんですが、内部告発から今回の発表に至るまで、(情報を)把握していたのは西川社長のほかにどなたがいるんでしょうか。どのくらいの規模なんでしょうか。それもあわせて教えてください。
西川:これも多くを申し上げることができませんけれども、数名の単位と思っていただければと思います。
記者10:日経 xTECH(クロステック)のチカオカと申します。まず1点、ゴーンさんはカリスマだったと思います。相当取引先を切り、リストラをし、けっこう豪腕を振るってきたというか、犠牲を強いてきた面があると思うんですね。
改めて聞きたいんですけれども、ゴーンさんはカリスマ経営者だったんですか。それとも暴君だったんでしょうか。それが1点です。
もう1点は、すみません、これ専門家じゃないので違うかもしれないんですけれども、有価証券報告書に虚実記載があったということは、粉飾決算にあたらないんですか?
西川:まず2点目のところから先にお答えしますと、これはやはり粉飾というよりは、記載が……。なんと言うんでしょうか、本来記載すべきことが記載されていなかったということで、この部分に関しては当然、これは有価証券報告書ですから、会社の発行物になります。
その部分については適正ではなかったということで、その部分についての是正、あるいは、当然のことながら、どういうかたちになるかわかりませんけれども、瑕疵を認めなければいけないと思っております。そこは間違いないです。
もう1つの点、「カリスマだったのか、それとも暴君だったのか?」というご質問がありましたけども。正直に言って、私も今に至るまで、当面の対応に追われておりますので、じっくりと考えることをもう少ししたいと思っておりますけれども。
事実としてみると、なかなか他の人間ができなかったこと……とくに初期については、非常に大きな改革を実施したという実績は、紛れもない事実だと思います。その後については、やはり功罪の両方があるかなということが、私としての実感でございます。
したがって、先ほども申しましたけれども、いろいろと積み上げてきたことの全部を否定することはできません。やはり将来に向けた財産は非常に大きいですし、ゴーン氏をしてトリガーを引いたことだとしても、その後、実際にそこでチャレンジをして進めてきたのは多くの従業員であり、あるいはパートナーのみなさん・取引先のみなさんとの協業であり、仕事であるわけですね。したがって、その部分の価値を毀損するものではないと思っておりますけれども。
私も、こう正確に振り返ることはできないのですが、最近の状況を見ますと、やはり、やや……。権力の座に長く座っていたことに対する、なんと言うのでしょうか……ガバナンス面だけではなく実際の業務面でも、少し弊害が見えたなということは、実感しておりまして。
その部分について、私が意見を申し上げることはもちろんありましたけども、こういう事態に至った以降は、問題点と思われる部分については、先ほども申し上げたとおり、従業員からも目に見えるかたちで、手を打っていきたいというふうに思っております。
記者11:朝日新聞のタカハシと申します。西川さん、先ほど「ゴーンさんが権力(の座)に長く座っていたことで、ガバナンス以外にも弊害が見えた」というお話をされていたんですけれども。具体的にどういう弊害が見えて、その際に西川さんは具体的にどのような進言をゴーンさんにされていたんでしょうか?
西川:やはり、1つは実務・現場からだんだん離れていくということなので、彼に対して日ごろからレポートしている人間が、だんだん限られてくるんですね。そういう中で、多少の「間違った」というか、実務的にはもう少し確認しなければならない判断とか、(それを)限られたインプットでしてしまうということ。
その部分が……もちろんこれは、誰でもあることです。私でも、そういうふうに気を付けなきゃいけないのですけれども。その部分の、どちらかと言うと問題点が、昨今は多く見られたなというのが実感であります。
記者12:東洋経済のキシモトです。グレッグ・ケリー氏についてなんですが。グレッグ・ケリー氏は代表取締役という肩書きがあるのみで、執行役などの肩書きがないのですが。もう少し具体的に、ケリー氏は日々どのような業務をしていたのか。先ほど「社内に対してコントロール(するような)影響力があった」があったとのことでしたが、具体的にどのような影響力を与えていたのかを、教えてください。それが、1点目です。
2点目は、ゴーン氏は日産の、まさしく「顔」というふうなことで、社会に認識されていると思うのですけれども。今回の件で、日産ブランドへのダメージを、どう考えるか。販売へのダメージを含めて。それと、ゴーン氏のリーダーシップで取りまとめてきたと言われている、3社アライアンス(注:日産、三菱自動車、ルノー)への影響を改めて教えてください。
西川:まず、グレッグ・ケリーについてですけども、彼の役割とか経歴については、あとできちんとお話しできると思うんですけども。彼はもともと日産出身で、そのあとアライアンスの仕事を兼ねて専務執行役員という立場で仕事をしていました。
私が影響力があると申し上げたのが、CEOオフィスの時代から、アライアンスの時代に至るまで、非常に幅広い仕事をして、かつ、アライアンスの面でも日産のCEO、会長という面でも、ゴーンの側近として絶えず動いていましたので、そういう意味では影響力が大きいという、そういう役割を果たしていたと。
ただ近年は、会長に対するサポート、あるいはアドバイス機能以上のものは実際には持っていませんでしたので、影響力という面では徐々に落ちてきたかなというように見ております。
西川:それから、すみません。2つ目の質問が、日産ブランドが実は「ゴーンブランド」だということだと思います。
販売への影響や、お客様から見た場合の日産に対する見方でありますけども、これはお客様が決めることだと思います。私としては、日産は日産であるということで、もちろん、イメージとしてゴーンと日産を重ねて見られる方も多いと思いますけども。
私たちができることは、日産ブランドをそのものとしてご愛顧いただくということで、いま進めている「日産インテリジェントモビリティ」という取り組みは、今の経営陣、私をはじめとする、今の経営陣のイニシアティブで進めているということでありますので、ここを、お客様にも理解していただきながら、引き続きご愛顧いただきたいと思っております。
もちろん、今回の事案で、みなさんに大きなショックというか、これを与えてしまったわけでありますから、その影響がないとは言いません。ただし、そこは我々でできるかぎりの努力をしていきたいと思っております。
それから、3社のアライアンスについてでありますけども、当面、先ほど申し上げたような対応をとろうと思っております。そして、繰り返しになりますけども、パートナーシップそのものに対して影響するという事案ではありませんので、むしろこの状態で、取締役会同士がより緊密に話し合いをして、そして取締役会として決めていくべき方向については十分議論して決めていくと。
それから、日常の運営面に関しては、これはちょっと内内の話になりますけども、アライアンスとして責任を持っている人間は、それぞれ、CEO、COOであったり、CCOであったり、それぞれの会社にレポートをする仕組みになっております。
その3社の責任者が集まって、オペレーションの相談をして方向を決めていくという会議体を日々やっておりますので、その部分に関する運営は、従前通り、議長がいて、3社があるのではなくて、3社でやるということになると思いますけども、やっていけると思っております。
もう少しスタート時の部分について、どういう議論をするかということ。ここは、当社は私がリードをしてまいりますけれども、ルノーにつきましては、これからルノーの取締役会で体制を組まれると思いますので、その中でいろんなご相談ができる体制を組んでいきたいと思っております。
司会者:はい、では後ろのハンスさん。
記者13:こんにちは。Automotive Newsのハンスです。英語で話してもいいですか?
司会者:はい、どうぞ。
記者13:はい、ありがとうございます。まずお尋ねしたいのですけれども、どの程度自信を持っておられますか? 本当にこの2人なのかという自信はお持ちですか? 本当にこの不正行為に関わっているのは2人だという自信を持っておられるのですか? また、まだ調査を行っているのでしょうか? 要するに、ほかの人の関与に関してもまだ調査を継続しているのでしょうか? どうして、これ以上広がらないという確信を抱いておられるのでしょうか?
西川:今ハンスさんが言ったことは、私から今コメントできる内容ではないと思っておりますが、先ほど申し上げたとおり、社内調査はほとんど終わっておりますので、実際に状況把握は充分しております。ここだけに留めさせていただいて、あとは捜査の進展というところもありますので、そこを見ていただいて、いずれみなさんにお話をできるかなと思っております。
司会者:では、女性の方。
記者14:すみません、朝日新聞のタナカと申します。ゴーンさんの高額な報酬についてお尋ねしたいのですけれども、優秀な人材を採用するにはこれだけのものをもらう必要があるということを兼ねてゴーンさんが説明されてきたかと思うのですが、これは西川さんは正当だったとお思いになっているかどうかが1つということと。
あと、権力の集中、過度な集中があったということですけれども、ここの大変革を成し遂げたがゆえに、みなさん方、経営陣の方が許してきてしまった点はないのかどうか。そこで、チェックをするとか、みなさんでフォローする、相互監視しあうという体制は取れてきたのかどうか。振り返っていかがでしょうか?
西川:まず報酬について、これも私が今具体的にコメントをするのは適当ではないと思いますけれども、日本全体、報酬についていろんな議論があると思いますけれども、総論として見るとやはり日本人だから低い、あるいは日本の企業だから低い、欧米の企業だから高いというのは、やはり徐々に是正されていくべきだろうということは、私は思っています。私の個人の意見としてです。
ただ、絶対悪として何が正しいのかというのは、これはやはりむしろ、当事者、第三者の機関も含めて評価をして決めていくべきことだろうと思いますので、額についてコメントは差し控えますけれども。
総論として今申し上げたような部分というのは伝統的な日本企業だからどうだ、あるいは欧米企業だから高い、あるいは同じ企業の中でも、欧米から来た人が高くて日本人が低いとか、いろんな問題点があると思うのですけれども、そこはやはり本来の価値とパフォーマンスに応じて徐々に是正されていくべきだろうと私は思っています。
もう1つ、権力の集中というところ。これは、振り返ってみると後付けではなんでも言えるのですけれども、やはり今おっしゃったようなところは先ほど猛省すべきだと申し上げましたけれども、やはり反省すべきところはあると見ています。もちろんそれだけが原因ではないですが、そういうことが起きないように絶えずすべきであろうということ。そこがこの19年間でできていたのかというと、そこはやはり反省をしなければいけない点が多いと思っております。
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