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進学領域(全1記事)

女子高生の4割超が「専業主婦にはなりたくない」 共働きを望む"ロンキャリ女子"増加のワケは?

2014年12月17日、東京のリクルート本社ビルにて、来年の事業領域別トレンドをうらなう「2015年のトレンド予測」記者発表会が行われました。「進学領域」では、リクルート進学総研の小林浩氏が登壇。仕事も家庭も諦めないために、真剣にキャリア形成を考える女子高生「ロンキャリ女子」が増えているとして、彼女たちを支援する各団体の動きを取り上げます。

仕事も家庭も諦めない女子高生たち

小林浩氏:進学領域は、リクルート進学総研所長の小林浩が発表させていただきます。まずはじめに進学事業領域のご紹介です。

リクルートは40年以上に渡りまして、高校生の進路選択をサポートするサービスを情報誌、PCサイト、モバイルサイトという形で提供しております。

進学領域における2015年のキーワードは、仕事か家庭か、ではなく、仕事も家庭も諦めない女子高生「ロンキャリ女子」です。

結婚や出産をしてもずっと長く働き続けたい。ロングキャリアを志向する女子高生が専業主婦志向の2倍となり、経年でも増加しています。

親世代の仕事か家庭かという"OR"のキャリアの選択ではなく、仕事も家庭もという"AND"のキャリアを充実させたい、という前向きの志向が高まっています。ロンキャリ女子とは改めまして、仕事も家庭も諦めず前向きに長いキャリアを重ねていきたい、と考える女子高生です。

一昔前、親世代は左側になります。結婚や出産をしたら専業主婦になりたい、寿退社という言葉がありました。仕事か家庭かという"OR"のキャリアの選択を迫られました。進学先も短大や人文系、家政系などわりと狭い範囲での選択肢しかありませんでした。

今の女子高生、ロンキャリ女子は結婚や出産をしても働き続けたい。そして仕事も家庭もあるいはプライベートもといった"AND"のキャリアを志向しています。従来男子が多かった分野にも進学していて、幅広い進学先が、選択肢が広がっているというふうに言えると思います。

共働きが当たり前、で育った世代

データで背景を見て行きたいと思います。今年、「将来、結婚や出産をしても働き続けたいですか」というようなロンキャリ志向をとったところ、「そう思う」と答えた女子高生は6割にのぼりまして、将来専業主婦になりたいという3割の女子高生の約2倍というふうな数字が出てきました。

つい2年前の2012年にも同じことを聞いているのですが、このときのロンキャリ志向は50%。約半分ですので、この2年間で10ポイントアップしているということがわかると思います。

その働き続けたい理由はなんですか、と聞いたところ、1位は「仕事にやりがいを感じられそうだから」という回答が1位になりました。

私は実は勘違いをしておりまして、この3位の「夫婦どちらかの収入だけでは生活することが難しそうだから」というのが1位になると思っていました。しかし1位は、経済的理由ではなくてやりがいという項目でした。

時代背景を見ていきたいと思います。現在の高校生は、男女雇用機会均等法後に社会にでた親をもつ、雇用機会均等法ジュニア世代、「雇均ジュニア」と私たちは呼んでいますが、母親世代は男女雇用機会均等法が施行された後ですが、その後なかなか世の中のサポートを得られず、仕事か家庭かの二者択一を選ばざるを得ませんでした。

もうひとつが、下のグラフをご覧いただければと思います。この共働き世帯が専業主婦世帯を逆転したのがちょうど1997年、今の高校生が生まれた年代になります。つまり今の高校生は、親が共働き世帯が主流の中で育ってきたということが言えると思います。

また、女子高生が誰と進路先を、進路相談をしているかというと、圧倒的に母親になっています。母親の挫折や、こんな風にすればよかったというようなところも含めて相談にのっている、というのが背景にあるのではないかと考えております。

「良妻賢母型」だった女子大も、「資格・実学系」になってきた

また先ほど申し上げましたが、これは2005年と2014年の大学入学者に対する女子のシェアを比較しているのですが、社会科学系、光学系、農学系、保健系といった、従来男子が多かった分野においても、女子の入学者シェアが高まっている。つまり選択シェアが拡大している、広まっているということがわかります。

また女子大をみても、東京家政大学、昭和女子大学、大妻女子大学と、一昔前は良妻賢母型といわれた女子大が、ここ数年で資格、実学系という形にイメージ、そして中身を変えてきまして、ここ数年で非常に志願者を伸ばしているような状況があります。

女性のロングキャリア志向に、広がる支援の輪

事例を紹介したいと思います。近年、大学が「働きたい」というロンキャリ女子をサポートする仕組みを、次々と動員しています。先ほど出てきた昭和女子大学。『女性の品格』の坂東眞理子学長の大学ですが、2011年から社会メンター制度というのを導入しています。

OG以外の社会人にもキャリアの相談ができるという形で、ロールモデルが少ない女性の中で、こうした社会人に相談できる仕組みを取り入れています。利用した学生も、母親が専業主婦で「手に職をつけたほうがいい」と言われて育ちました。

(学生たちは)社会とつながるために、長期に働くために何をすべきかをこのメンターに相談して、友達でも親でもない、ナナメの関係を通じて自分の軸が見えてきた、というふうに回答しています。

また東京家政大学は、入試センターとキャリアセンターをくっつけまして、進路指導センターということで、入学前、入学後、就活、あるいは卒業後まで、将来の女性のキャリアを支援するというようなサポートの体制をつくっています。

学生の声を聞くと、「母親が幼稚園教諭の資格を持っているんだけれども、働くことができず、資格を活かせなかった」ということで、「資格をとるだけでなく、どう活かすか」というキャリアの広げ方を色々相談している、と回答してくれました。

このような動きが女子大だけでなく、総合大学や企業にも広がっています。椙山女学園大学、名古屋の大学ですが、また国立の総合大学でも、キャリアの相談窓口を増やしたりしています。あるいは企業でも、トヨタ自動車がそのような支援制度に取り組んだりと、どんどん広がっていくと思われます。

進学領域のキーワード。仕事か家庭かの二者択一ではなく、仕事も家庭も諦めない女子高生、ロンキャリ女子がこれからのトレンド・キーワードだと考えます。どうも、ありがとうございました。

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