2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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司会者:それではさっそくおうかがいしていきたいと思います。月並みな質問から始めます。66年ぶりの2連覇、これを達成して帰国して、今の時点での正直なご感想を一言で。
羽生結弦氏(以下、羽生):一言で言うと幸せです。ただ、これはフィギュアスケートの歴史において66年ぶりということで、今から66年前を振り返ってみると、全く違ったスポーツだったなとも思っています。写真で見ることしかできないですし、古い映像もなかなか入手することができないのであまり見れることはないんですが。
自分自身、スケートを18年間やっていて、自分自身も見ていて全く違った競技になっているなと思いますし。とくにこの4年間、僕自身やっていながら違う競技をしている気になるほど変化がめまぐるしかったので、そういった意味ではすごく思いものになったなと思っています。
また、日本人選手団としても東京オリンピック……日本人選手団じゃないか、わかんない、まあいいや(笑)。
冬季オリンピックで2連覇ということがまず珍しいことだと思うので、そういう事自体で自分自身、もちろん自分自身が持っているこの金メダルへの価値というものもものすごく大きいんですけれども、世間の方が思っている価値というものもすごく大きくなものになっていて。そういう意味で、自分の首から下げているものをとても重く感じています。
司会者:金メダルを獲得した直後の記者会見で、羽生さんはこうおっしゃっています。「いろんなことをとことん考えて分析して、それを感覚とマッチさせることが自分の強みです」とこうおっしゃった。これはいわゆる最近の大相撲に欠けている心技体の合一ということにほかならないと思うんですが、こういう境地に達したのはいつごろ、どんなきっかけがあったのでしょうか?
羽生:もともと僕は考えることが好きで。まあ考えることというよりも、喋ることが好きなほうが強いんですかね。自分が考えてなにか疑問に思ったことについて追求し、そして教えてもらって、さらに喋りながら自分が覚えていく。そういったことがもとから性格上ありました。
なので、その考えていることを口に出す。いわゆる考えることを表現する。それは先程おっしゃっていた心技体に近いものがありますし、またそれがスケートに生かされているのも極自然と自分の性格上なっていったのかなと、自分では思っています。
司会者:ソチのオリンピックの金メダルを獲得したあの時、すでにご自身の自己分析の力というのは備わっていたんですか?
羽生:備わっていたというか、やっていたというほうが近いです。もともと疑問に思ったことを突き詰めてはいましたけれども、集中に対してやったりプレッシャーに対してやったり、そういったことに突き詰めて考える時間が、僕の場合はそんなに多くなかったです。
最初からプレッシャーは好きだったし、メンタルが強いわけではないんですけれども、緊張した舞台、または追い込まれた舞台で力を出すということが、やっぱり今までスケートをやってきて多かったように感じます。
司会者:今回、NHK杯でお怪我をなされて、NHKの人間として非常に胸を痛めたんですけれども。
羽生:NHK杯出れなかったです。すいません。
司会者:そのお怪我からの回復の間、これまでのご発言を聞いていると論文を読んだり、あるいは過去のいろんな映像を見たりして、頭の中で次の勝利へのステップを組み立てていたと。こういうふうに私には聞こえたんですけど。それは一言でいうと、どのような歩みだったのでしょうか?
羽生:今できる全力、今できる今の僕自身を貫かなくてはいけないなということが1番でした。まだ人生23年の自分が言うのもなんですけれども、やっぱりできるときとできないときというのはすごくあるんだな、というふうに今までスケートやっていて感じるので。
できるときにできることを精一杯やる。できないときはそれなりのできることをやる。それがすごく大事だな、と感じたこの3ヶ月でもありました。
司会者:ちょうど羽生さんがスケートを始める前、今から20年くらい前、私も仙台に勤務しておりました。あの街がスケーター羽生結弦を育てたと思うんですけれども。もうじき3月11日です。仙台ばかりじゃなくて被災地のみなさんに今回の勝利の報告はいつごろになりそうですか?
羽生:明確にいつとは言い切れないです。ただ間違いなく仙台でたくさん応援してくださったことは見ていますし、メッセージも届いています。そして被災地の方々も少しでも勇気や、また笑顔になるきっかけがあったらいいなと思っていたので。
今回こうやって、幸いにも情報の技術だとかメディアの技術だとかそういうものが上がっていて、僕はこれだけ注目されながら演技をすることができているので、みなさんにたくさんの想いが届いているのではないかなと思っています。そのお力をもうちょっといただいて、また復興の力にしていただけたらいいなと感じています。
司会者:ありがとうございます。
司会者:では会場のみなさんからいろんなご質問があると思います。大勢の方がいらっしゃっているので、原則1人1問にしてください。最初にご質問ある方?
(会場挙手)
記者1:読売テレビのハルカワと言います。金メダルおめでとうございます。
羽生:ありがとうございます。
記者1:国民に感動をありがとうございました。私がお聞きしたいのは、心の問題です。羽生さんももちろんそうですけれども、日本でメダルを取った方、取られなかった方も含めて、インタビューでみなさん周りの方への感謝とか思いやりということを今まで以上にものすごく口にされていると思うんですけれども。
その一方で世界では、なんと言うか「勝てばいいんだ」というか、気配りなしに自分の競技に集中することが大切だという流れもある一方で、今回はやっぱり日本人の素晴らしさを世界に発信できたと思うんですけれども。そういうトップアスリートが世界を極めるためには心の感謝とか思いやりというのはどれくらい大事なことだと思ってらっしゃいますか?
羽生:まず少しだけ情報の整理をさせてください。もともと日本人が持っていたスポーツへの概念、トレーニングの概念というものは、いわゆる根性論だとかそういうふうに叩かれることがあるかもしれませんが、メンタルを鍛えることでは絶対に優れていたとは思っています。そして日本人はその負けん気というものを武器にした選手、僕のような選手がいれば(笑)、「勝ち負けは関係ない、自分が納得できるものを」という選手もいます。
逆に言えば欧米でもマイケル・ジョーダン選手なんかがとくに自分は印象に残っているんですけれども、誰に対してもリスペクトをする。そのリスペクトの心が自分を強くする。そうおっしゃっていたのがすごく印象に残っています。
もちろん勝ち負けだけを重視する選手もいるかもしれませんが、それはやっぱりその人の性格によると思っています。心の問題、集中力の問題、そういうことから言えば、僕は先ほども言ったように性格上すごく追い込まれると強いということで、あまり楽しい気持ちとか、またはリスペクトをしながら感謝をしながらニコニコしながら演技をするというのは向いていないんじゃないかなと思っています。
そういった意味ではちょっと変なのかもしれないし、特殊なのかもしれないですけれども、「絶対に勝ってやる」って思ったときのほうが力が発揮できたりということもあります。それは選手の性格次第なので、ある意味これから僕がもし指導者になっていって、または伝道師というかいろんなことを伝える立場になった時に、経験として伝えられることの1つではないかなと思います。
そして日本人の感謝の気持ちということは、日本人が絶対に持たなきゃいけないものだと思いますし、僕自身もすごく大切にしていることです。それは競技以外でも、そして競技が終わった後、例えば柔道なんかもそうですけれども、絶対に自分が競技をしていたフィールドに対して挨拶をする。そして終わった後に、コーチ、家族、そして周りに幸いにもフィギュアスケートはすごく観客のみなさんが応援してくださることを実感できるスポーツなので、そういった方々にも感謝の気持ちを届けなくてはな、というふうに日本人の誇りとして思っています。
記者2:『ゴゴスマ』という番組のオクダイラと申します。連続の金メダルおめでとうございます。なかなか普段は競技以外での質問をこういったトップアスリートにすることははばかられるんですが、今回はご容赦ください。
羽生選手が今、楽しいという気持ちでスケートをするような、演技をするようなタイプではないという話がありましたが、羽生さん自身がスケート以外で楽しさを感じる瞬間、もしくは楽しいと思う時というのはどんな時、どんなことなんでしょうか?
羽生:僕にとって楽しいは、うーん……そうですね。もちろんゲームも大好きですし、アニメを見ることやマンガを見ること。マンガを読むことのほうが多いですかね。そういったリラックスをするタイムはやっぱり楽しいなと思います。
もちろん自分の趣味として多分一番有名なのはイヤホン収集だったり音楽鑑賞だと思うんですけれども、それもまた、沢山の方々に支えていただいて。なんだろう、「普通の人だったら聞けないんだろうな」というような細部の細かい音まで出るイヤホンを、ヘッドホンをたくさんたくさん頂いているので、そういう時は楽しいですね。その楽しい気持ちが競技につながっているのは間違いないです。その楽しさがあるからがんばれているんだな、という気もします。ありがとうございます。
提供してくださる方やくださる方、本当にありがとうございます。この場を借りて御礼申し上げます。
記者3:NHKのカリヤです。連覇おめでとうございます。私も現地でリンクの近くで拝見しまして、大変感動しました。
羽生:ありがとうございます。
記者3:あの時にちょっと疑問に思ったことがあって、それを1つともう1つ質問させて頂きたいんですが。ネイサン・チェンがもしショートプログラムで失敗しないで、羽生さんと同じか、あるいはそれよりちょっと上くらいの点数が出ていたら、フリーの構成はもしかしたら違っていたのかというのが1つと。
もう1つはフィギュアスケートについて先ほど外国人特派員協会にて「技術に基づいてこその芸術である」というお話をされていました。今後、フィギュアスケートはどのような方向に進んでいってほしいのか。あるいは進んでいくべきなのか。5回転まで行ってしまうとジャンピング選手権になってしまうのではないかと思いますし、限界としてはおそらく4回転半ぐらいかなと僕は思っているんですけれども。
基本的には、プログラムでの勝負という方向に行ってほしいなと個人的には思っているんですが、そのへんのご意見をお願いします。
司会者:あわせ技で1問ということでお願いします。
羽生:はい、がんばります。まず、時論公論ありがとうございました。見てました(笑)。最初の質問はサラッと行きますね。ネイサン・チェン選手がノーミスするとかしないとか関係なく、自分が出来ることをやろうと思っていました。
それはもうその時になってみないとわからないですし。ネイサン・チェン選手がもし、もし、たらればで、僕は好きじゃないですけれど、たらればで僕より上になっていた場合は、もしかしたら自分のリミットを更に超えたことをやれたかもしれません。それはわかりません。
これからのフィギュアの未来について話します。もちろん5回転になる、5回転が主流になったり、4回転半が今のトリプルアクセルのように主流になるということは、まずこの50年間においてはないだろうと僕は予測します。それが主流になってしまったら、カリヤさんもおっしゃっていたようにジャンプ選手権。それこそ僕は今回平野歩夢選手とずっとお話をさせていただいて、参考にさせていただいた部分もあったんですけれども、ハーフパイプみたいになってしまいます。それはちょっと思います。
じゃあ、もし羽生結弦が4回転半、もしくは5回転を挑む、試合で絶対に入れると決めた場合は、それは確実に表現の一部にします。それは言えます。その選手が、それぞれの選手がそういうふうに思えるかはわかりませんが、僕のスタイルはそこですし、なにより僕がフィギュアスケートをやっている理由は、そういうところに惚れ込んだからであって、そういった演技に惚れ込んできたから、こうやってオリンピックに、こういう種目で金メダルを目指したいと思ったわけであって。
だから、難易度と芸術のバランスというのは、僕は本当はないんじゃないかなと。芸術は絶対的な技術力に基づいたものであると、僕は思っています。
記者4:日刊スポーツのタカダです。よろしくお願いします。以前羽生選手は「いろんな学んだことをスケートに生かせることが自分の強み」とおっしゃっていました。もし今、次のステージに向かうにあたって誰かにこれを学んでみたいということがあったら教えてください。それはスポーツ業界も方でもいいですし、他のジャンルの方でも結構です。よろしくお願いします。
羽生:まず、今回怪我をした後に、自分のあこがれであるエフゲニー・プルシェンコさんをはじめ、みんなが「信じてるよ」といった気持ちを持ちながらメッセージを下さいました。そのことにまずは感謝したいなと思っています。
もちろん影響を受けた選手というのはたくさんいますし、僕は……うーんと、壮大な話になってしまいますけれども、自分が生きていく中で、1つとして影響を受けなかったものはないな、と思っています。
例えば今、自分がこうやって喋っている時に考えていることだって、そういうふうなことを聞いたからそういう思考になっているのかもしれないし、僕は幸いにも10歳になるギリギリですかね。それくらいからこうやってメディアの方にインタビューをしてもらって、自分の思考を整理っせていただく時間とか、インタビューをしてもらうことによって覚える言葉だったりとか(笑)、そういうものもあったし。
やっぱりそうやって自分を作ってきたなって思うし、そうやって自分はつくられてきたんだなって思っているので、誰か特筆して言うことはないかなと。
ただ、今すごく思うのは、こうやって言葉を発しているのは自分ですし、この後メディアの方々が何十、何万、何十万、何百万、もしかしたら何千万かもしれないし億かもしれないし、そうやって1人の人間からいろんな情報が伝わっていく。それって、自分がいろんな方から影響を受けているからこそ、すごく光栄な事だと思うし。もし、僕なんかがきっかけでちょっとでも人生や考え方がいい方向に向いたら、とても幸せだなと思っています。
司会者:今のことに関連して、ぜひ1つお聞きしておきたかったんですけれども。今回、宇野昌磨選手が羽生さんを追いかけて、フリーの最初のジャンプは羽生さんを追い越そうとしてチャレンジして失敗したと本人もそういうふうにおっしゃっていましたけれども、そういう後輩がすぐ後ろにいるということは、今の立派な先達に学ぶということの逆で、羽生さんにとってどういう意味を持つんでしょうか?
羽生:まず、1つ言っておきたいのは、僕はもうあの時点で勝利を確信していたので、彼が4回転ループを本当にきれいに決めていたとしても、まず点差的に負けることはなかったなと、まず言っておきます。
(会場笑)
(笑)ね。すごい突っ込まれてたし、ファンの方々もあんまりよく思っていない方もいらっしゃったかもしれないんで、まず前提として。
やっぱり後輩が強い。まあそんなにいっぱいいるわけでもないんですけどね、フィギュアスケーターは。まあ自分を追い抜かそうとは本音では思っていないかもしれないんですけれども、近づきたいって思ってくれる存在。そして、なんだろう……それが自分の国の代表としている。それは非常に心強いことだなと。
考えてみれば、まだ引退するとは言わないんですけど、言ってないし引退する気持ちも全然ないしやることありますけど。ただ、「引退します」ってかんたんに言っちゃえば、彼に任せられるというか、そいう頼もしさは感じています。
ただ、まだもうちょっと……人前に出る時に寝るとか(笑)、そういうことはもうちょっと学ばなきゃいけないのかなと。
(会場笑)
もうちょっと面倒を見なきゃいけないのかなっていうふうに思っています(笑)。
司会者:先輩らしいお言葉。それで、これから先のことを考えますと。実は先ほど今の会場に入る前に東京の中国大使館の方から、羽生さんにかわいいパンダのぬいぐるみをプレゼントいただきまして、「ぜひ北京でもがんばってください」という、中国政府・中国共産党も含めてかどうかはわかりませんが、とてもフレンドリーなメッセージがありました。
この次のオリンピックに向けて、というとどんなことをお考えになっているんですか?
羽生:次のオリンピックに向けては、まだ未定という言葉が一番今の頭のなかにはあります。もちろん自分のやりたいことには、4回転アクセルだとか、もしかしたら5回転の練習もしたいと4回転半が飛べたら思うかもしれませんし。それはまだわかりません。ただ、今は一生懸命やることを一生懸命やって、その延長線上に北京オリンピックがあるのであれば、もし出るなら、絶対に勝ちたい。と思っています。
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