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日米首脳共同会見 2017年11月6日(全3記事)

【全文3/3】トランプ大統領「米製武器を日本は購入するべき」 安倍首相は「さらに購入する」と応じる

アメリカ合衆国、ドナルド・トランプ大統領が11月5、6日と日本を訪問しました。6日には日米首脳共同会見が開かれ、安倍首相のあとにトランプ大統領が発言。その後は日米の報道陣が両氏に北朝鮮問題や貿易摩擦などについて質問しました。

今回の首脳会談の意義は?

司会者:では、みなさまから質問をいただきます。質問をご希望される方は挙手を願います。私か(サラ・エリザベス・ハッカビー・)サンダース報道官が指名をいたします。お名前と所属を明らかにした上で、質問をお願いいたします。

まず日本のプレスの方から質問をいただきまして、その次に(アメリカからの)同行プレスの順で、お2人ずつ質問をお受けいたします。

質問される方は、総理に対する質問なのか、あるいは大統領に対する質問なのか、明らかにした上でお願いをしたいと思います。それではまず日本のプレスの方から始めます。ご希望される方はどうぞ。

記者1:NHKのハラと申します。安倍総理大臣にうかがいます。安倍総理大臣とトランプ大統領は今回、北朝鮮の核開発放棄に向けて最大限の圧力を高めていくことで一致されたわけなんですけれども。

トランプ大統領の韓国・中国歴訪前、あるいはAPEC首脳会議が控える中で今回の首脳会談の意義について、総理はどのようにお考えになるでしょうか。

また、北朝鮮は核開発の放棄を、核開発の開発を続ける必要性を堅持している中で、偶発的な軍事的衝突に対する懸念が高まっています。こうした軍事衝突を避けるために、総理はどのような対応が必要だとお考えでしょうか。

安倍晋三氏(以下、安倍):日米同盟は地域の平和と、そして繁栄の礎であります。日米が強固に連携してこそ、地域の平和は揺るぎないものとなるわけであります。

その観点から今回はトランプ大統領の訪日を機に、日米の強固な絆を確認できたことは地域の平和と繁栄の上において、極めて有意義であったと思います。北朝鮮情勢については、トランプ大統領との間で、日米が100パーセントともにあることを確認しました。

日米両国で連携して、中国、そしてロシアを含む関係国に働きかけを行って、国際社会全体で北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていかなければならないと考えています。

誰も紛争など望んではいないわけでありまして、私もトランプ大統領もそうであります。しかし、その中において北朝鮮は国際秩序に挑戦をし、挑発を繰り返していると。

この北朝鮮に対して国際社会は連携をしながらその政策を変えさせるために圧力をかけていく、北朝鮮の側から「政策を変えるから話し合いたい」という状況を作っていくことが極めて重要だろうと考えています。

そうした考え方については、トランプ大統領と完全に一致をしたところでありますし、多くの国々ともこの考え方は一致できているのではないかと思っています。

また、法の支配にもとづく自由で開かれた海洋秩序は国際世界の安定と平和の礎であります。今回、トランプ大統領のアジア歴訪の冒頭で、自由で開かれたインド太平洋を目指し、日米がともに努力していくということを確認できたことは、地域の平和にとって大きな意義があります。

APEC首脳会議、そしてEAS首脳会議(東アジア首脳会議)においても、日米のこうした考え方のもと、議論を主導していく考えであります。こうした自由で開かれたインド太平洋戦略に賛同してもらえるのであれば、いずれの国とも、この戦略の実施についてともに進んでいく、協働していくことができると考えています。

引き続き日米で、連携して地域の平和と安定にともに貢献をしていきたいと思います。

銃乱射事件を受けて、銃規制を強化するか

司会者:サンダースさん、お願いします。

サラ・エリザベス・ハッカビー・サンダース氏(以下、サンダース):ありがとうございます。アメリカの最初の質問です。ロイターのスティーブ・ハーレンさん。

記者2:ありがとうございます。テキサスでの銃乱射事件に関して、あのような事件を減らすため、どのような政策をとるつもりでしょうか? 銃規制が答えなのでしょうか?

そして2つ目に、昨日に大統領は北朝鮮の人たちのあたたかさについて話されましたが、明日、韓国に向かわれる上で、北朝鮮のリーダーである金正恩氏にはどのようなメッセージを送られますか?

それから安倍総理大臣にもおたずねしますが、大統領が今朝おっしゃった「日米貿易は自由で互恵的ではない」に対する返答をおうかがいできますでしょうか。

ドナルド・トランプ氏(以下、トランプ氏):北朝鮮の人たちに関していえば、彼らはすばらしい人たちです。彼らは圧政的な政権下に置かれているのです。そして結果的にすべてがうまくいくように願っています。

それがすべての人々にとって最善の策です。もちろん北朝鮮にとって最善ですが、すべての人々にとって最善です。ですから、やがて対処されるでしょう。

最初の質問に対する答えですが、精神的な疾患が問題なのです。長期にわたり多くの問題を抱えた個人によるもので、他の国も同様ですが、我が国では精神疾患の患者が非常に多くいます。これは銃の問題ではありません。

もちろん、銃規制について考慮できますが、考えるには早すぎるでしょう。幸運にも、誰かが逆側から(犯人に)銃を撃つことができたために、状況をこの程度で抑えることができたのです。事態がより悪くなることもあり得ました。これは極度の精神疾患の問題で、非常に悲しい出来事です。

日米両国で経済秩序を作り上げる

安倍:トランプ大統領とは、日米両国の貿易経済についてもお話をいたしました。日米経済のあり方について、麻生(太郎)副総理と(マイク・)ペンス副大統領との間で、2回にわたってすでに経済対話が行われているところであります。

経済については、トランプ大統領とともに2国間での貿易だけではなくて、アジア太平洋地域に広がる貿易投資における高い基準作りを主導していきたいと思います。日米両国でこの地域に公正で実行性ある経済秩序を作り上げる努力を重ねていきたいと思っております。

そして日米両国の経済については、ともに両国の経済が発展していく道を、そして米国においても、もうすでにトランプ政権になって日本の企業の投資によって1万7,000人分の雇用が生まれています。

これは世界の国々の米国に対する雇用の投資としては、日本が第1位になっていることろでございますが、いわば両国の経済関係がさらに発展していくことによって、雇用が生まれ、経済が成長していく。そういう両国の経済を作っていく上において、さらに麻生・ペンスの枠において成果を出していきたいと思っています。

北朝鮮に残された拉致被害者について

司会者:それでは再び日本の報道記者の方からいただきます。

記者3:産経新聞の記者のタキタです。トランプ大統領におうかがいします。先ほど拉致被害者のご家族、また、拉致被害者ご自身の曽我ひとみさんに会われましたが、改めてその受け止めをお聞かせください。

また、北朝鮮に対して、アメリカの軍事攻撃の可能性が消えない中、仮にアメリカが軍事攻撃に踏みきった場合、北朝鮮に残された拉致被害者の救出についてはどうお考えでしょうか?

トランプ:拉致被害者たちのことを考えると、私は非常に悲しく思います。言語やその他の理由で拉致されるとはあってはならないことです。最終的にどのような結論にいたるかは様子を見ましょう。

私は拉致問題について国連でスピーチしました。そのことで、日本の多くの方々が喜びました。なぜなら「拉致被害者たちは忘れられてしまった」と多くの人たちは感じていたからです。

(拉致被害者たちが)どんな人たちであったか忘れ去られたと思われていたかもしれませんが、すばらしき総理大臣はまったく忘れていませんでした。

この問題にスポットライトが当たることで、協力して行動を起こせるのです。もしかしたら幸運が訪れるかもしれません。もしかしたら金政権が被害者たちを日本に帰還させるかもしれません。

それは非常に意味のある、きっかけとなることでしょう。もし金正恩氏が彼らを解放してくれるなら、非常に特別なことにつながると思います。

しかし、私はこの事件においての被害者の方々とお話をいたしました。彼らは何年も悲しんでいます。もしかしたら拉致された人はまだ生きているかもしれませんが、わかりません。もし生存していてもその方が辛いかもしれません。なにができるか様子を見ましょう。

日本は米製の武器を購入すべき

司会者:ありがとうございました。アメリカから2番目の質問です。ニューヨーク・タイムズのマーク・ランダーさん。

記者4:1つ目の質問はトランプ大統領へです。この2日間、日米同盟に関して改めて強調してこられました。インド太平洋の状況を「自由で開放的」と説明しましたが、2日後に訪れる中国は自由でも開放的でもありません。

アメリカはどのようにして中国との衝突を回避しつつ、このエリアでの自由と開放を推進していかれるつもりなのでしょうか。

それから総理大臣に向けてですが、大統領は過去にも何度も日本はもっと自衛に力を入れるべきだと望み、日本に武器を売りたいと語っています。

プレスの報告によれば、大統領は日本が北海道上空を飛んだ北朝鮮のミサイルを撃ち落とさなかったと聞いてガッカリしていたとのことでした。この話題については話されたのでしょうか。日本の理想の自衛に関してはどのようなメッセージを伝えられるのでしょうか。

トランプ:マークさん、ありがとうございます。私が総理大臣に代わって一部返答したいと思います。アメリカから武器を購入すれば、日本はミサイルを撃ち落とせることでしょう。先日、我々がサウジアラビアの上空を通過した飛行物体を撃ち落としたことと同様のことが起きるでしょう。

先日使用したのは速度の速いミサイルでした。空にある針のような小さなものをすぐに撃ち落としました。危害を与えることなく爆破しました。

総理大臣、日本は大量の軍事設備を購入するのが重要です。アメリカは今のところ一番良い武器を作っています。日本は購入するべきです。

例えばF-35(戦闘機)は世界最高の性能を誇っています。またはミサイルもたくさん種類があります。我々には日本の安全に対して、数々の貢献ができるでしょう。ほかの国々もアメリカの武器を購入しています。1、2年前はそうではありませんでした。

中国との貿易赤字は膨大だ

トランプ:そして中国の心配の話ですが、習近平氏との関係はすばらしいものです。彼のことを非常に好ましく思っていますし、彼を友人だと思っています。彼も私を友人であると思っています。

言うまでもありませんが、彼は中国を代表していて、私はアメリカを代表しています。ある物事に対する彼の見方は異なりますが、似通っていると言えるでしょう。

中国との間で問題となっているのは、何十年にも渡り、彼らとの貿易状況が非常に不公平であったことです。貿易赤字が膨大で、毎年何百億ドルにものぼります。3,500~5,400億ドルほどになり、それには知的所有権は含まれていません。これは解決しなければなりませんので、すでに話し合いは始まっています。

それには貿易の不均衡を是正しなければなりません。とくに互恵的な貿易が一番重要であると考えています。均衡のとれた関税を決めるとき、それに耳も傾けてくれない人もいます。互いにメリットがある、同額の関税を決定してしまえば、5パーセント、10パーセントの関税を払いたくない人でも、100パーセントでもいいと言うようになるのです。

ですので、互恵的な貿易は私にとって重要なのです。中国だけではありません。日本や他の国々などもそうです。ある国ではアメリカに対して100パーセントの関税を実施しています。しかし、アメリカで彼らが同じ商品を売るとき、なんの請求もできません。

私は(その不均衡な貿易に)ずっと反対してきました。ご存知の通り、それにずっと取り組んできました。改善にはしばらくの時間がかかります。なぜなら限度や時間の水準がありますし、周知する必要もあります。周知をする前に90日待たなければなりません。その次は120~130日となります。

アメリカの労働者や会社に対して、そのように接してきた国があるのをご存知だと思います。私は会社を会社としてだけでなく、労働者の延長とみなしています。彼らは私たちの国、会社、労働者を非常に不公平に扱ってきました。

それに対してアメリカが非常に強い態度をとっていくのをこれから目の当たりにするでしょう。法律の基盤となる部分はすでにできています。貿易に関しては、アメリカが他の国から非常に不公平に扱われてきたため、この大きな改革は実現したいと思います。

ミサイル迎撃についても日米で連携をとる

安倍:日本は防衛装備品の多くを米国から購入しております。そして北朝鮮情勢が厳しくなる中において、太平洋地域の安全保障環境が厳しくなる中において、我々は日本の防衛力を質的に、量的に拡充していかなければならないと考えております。

今大統領が言及されましたようにF-35もそうですし、また、SM3ブロック2A(新型の迎撃ミサイル)もさらに米国から導入することになっております。また、イージス艦の量、質を拡充していくにおいて、米国からさらに購入をしていくことになるのだろうと思っています。そして北朝鮮がミサイルを発射した直後から、我々は完全にその動きを把握しているわけです。

このミサイル防衛システム自体が、日米で協力して対処するシステムであると言ってもいいと思います。迎撃の必要があるものについては迎撃をしていくことであります。

いずれにせよ、そうした迎撃を行う際にも、日米は緊密に連携をしているということであります。

司会:はい、ありがとうございました。以上をもちまして、日米首脳によります共同記者会見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

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