2024.12.03
企業の情報漏えいで最も多いのは「中途退職者」による持ち出し 内部不正が発生しやすい3つの要素
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記者17:前半のお答えでガバナンスのことを主にお答えいただいたと思うんですけれども、監査の組織の体制ということで。
現場レベルでの「納期に間に合わせなくてはいけない」とか、「作り直してしまったらコストがかかってしまう」というような声が出てましたけれども、そういったことっていうのは、そういうふうにさせてしまったようなノルマというか、そういうような経営の仕方というのもあったとお考えですか?
川崎博也氏(以下、川崎):ないとは言えません。例えば4拠点同時というのは、この4拠点の……その、稀と申しますか。そういうのも遡る必要はあるかもしれません。加えて、損益プレッシャー、これはむしろ、上からはそういう指示はしてないんですけども。
そういうふうにアルミ・銅事業部門が過去どうであったのかとか、あるいは、やはりお客さんのニーズに対する生産工程余力というのはどうであったのかとか、あるいは、品質保証の検査データの自動化の実態ははどうであったのかとか。
そういうのも総合して原因を、分析の中に入ってくるのは間違いないというふうに考えています。それを今、鋭意やっているところでございます。
司会者:はい、それでは次の方。
(会場挙手)
司会者:はい、どうぞ。
記者18:すいません、日本経済新聞社のオカダです。先ほどから業績への影響は軽微ということを、ちょっと言わんとしているように見受けられるんですが。
御社が失ったのは目先の業績ではなくて、目先の利益ではなくて、長期的な信頼を失ったんですよね? それで、今回の出来事が起きて御社の時価総額がどのぐらい減ったかって、今おわかりになりますか?
川崎:十分わかっております。
記者18:どのぐらいですか?
川崎:今、株価が800……。
記者18:何割ですか?
川崎:1,350円から850円ですから。
記者18:4割です。
川崎:(うつむいて)はい、わかってます。
記者18:時価総額が半減して、1つの観点ですけど、企業価値が半減してるわけですよね。そのへんはご理解されてますか?
川崎:十分理解しております。
記者18:その4割落ちた分を現経営陣で回復させられるとお思いですか? 何年かかると思われますか?
川崎:そう信じて、とにかく足許の原因分析とその対策の精度を高めたい、というふうに考えております。
司会者:はい、それでは次の方おられますでしょうか?
(会場挙手)
司会者:奥の手前の方で。
記者19:すいません、読売新聞のフクモリと申します。大きく2点教えてください。1点目はですね、リリースの3ページに「安全性」という言葉が出てきます。「1から5については、安全性に疑いを生じさせる具体的な問題は確認されておりません。6から9については、安全性について問題ないことを確認した」。書いていただいてるんですが。
「安全性に問題がない」っていうのは、どういうふうにどういう根拠で確認されているのか、と。もし本当に安全性に問題がないとしたら、なぜそれを偽造なりですね、検査を省いたりしないといけなかったのか、それについて現在の認識をまず教えてください。
勝川四志彦氏(以下、勝川):まずですね、安全性につきましては、これは他の案件と同じでございまして、私どもでですね、評価できるものではございませんで、以前の案件について「問題が解決したというのを確認済みです」と申し上げているものについてはですね。
例えば、そのユーザーさまがご判断される中で、最後の消費者の方々の安全が守られてるかどうか、というのをご評価いただいて、私どもと会話いただいている、というふうに理解をしております。
したがいまして、そういったものは直接私どもが確認できませんが、お客さまからそういうお話をいただいて、そういった整理をさせていただいています。その他の案件につきましては現在調査中でございまして、類似のそういったような安全性について、まだお話をいただいておりません、という意味でございます。
記者20:ということは、例えば具体的な数値でですね、これ以上であったから安全であるとか、そういう判断をされてるんじゃなくて、要するに納入先がですね、「これで大丈夫だ」と言ったら、もうそれで問題がないっていう、そういう判断をされてるっていうことでしょうか?
内山修造氏:技術的にはですね、今回、例えばデータの改ざんということがございましたら、元のデータですね、改ざんする前のデータをお客さまにご提供して、お客さまに真の値をお知らせすることで、お客さまが自ら使われている状況を確認いただく、と。
追加のご要求されるデータがあれば、それはすべてお客さまにご提供しながら、お客さまのほうと我々と共同でその安全性を、違う角度からも入るかもしれませんけども、そういったかたちで確認を進めていっていると、こういった作業でございます。
記者20:じゃあ、この時点、あと1点にしますけど、御社のほうで判断してるんじゃなくて、安全性っていうのは全部相手、納入先に判断を任せてるっていう理解でいいんですか?
川崎:任しているというよりも、(内山氏を指して)先ほど言いましたけども、改ざんする前の、いわゆる生データをメーカーさんにご提供申し上げて、メーカーさんのほうでご判断いただいているということでございまして、そういうことでございます。
記者20:わかりました。じゃあ、もう1点。先ほど海外の自動車メーカーに関するところで、個社名は差し控えたいという話だったかと思うんですけれども。
まあ要するにこれ、自動車だとか、ほかも航空機だとか、いろいろ一般の消費者が関わるようなものにも使われているというのが今回かなり大きな問題だと思うんですけれども、御社として、顧客と言ったときに、顧客というのは納入先のメーカーだけなんですかね? 要するに、例えば車使っている人が安全性に不安を持ったときに、その安全性が大丈夫だと、その不安を解消する責任もメーカーとしてあると思うんですけれども、そのへんについてはどういうふうに考えられているのか? 納入先・メーカーをこれからも公表する考えはないのか? そのへんを教えてください。
勝川:もちろんそういう最終消費者の方々の安全というのは、私どもにとりましてはとても重要だと思っております。ただ、その評価そのものが素材メーカー単独ではまったくできませんので、お客様と協力しながら、必要なデータを提供しながら確認させていただいているという意味合いでございます。
記者20:じゃあ仮に御社……。
司会者:すいません。もうよろしいでしょうか?
記者20:御社が調査をまとめて公表するまでの間に、なにか例えば最終消費者が使っている製品で問題が起こって事故とかが起こった場合は、それは誰の責任になるんでしょうか?
川崎:ただ、全メーカー……10月8日に公表させていただいた200社程度には、全メーカーさんにはご連絡は申し上げている。第一報をですね。ということでよろしいですか?
勝川:ええ。
記者20:御社は、自分の扱われている製品が問題あるかどうかというのがというのがわからないわけですか?
勝川:ええとですね、私ども素材メーカーは、例えば複雑なサプライチェーンの中で一番上流におりまして、最終的にはお客様がどういうふうにお作りになって、その次の工程に、あるいは次のチェーンの中に流通させて、最終的に最終消費者の方々に、お手に届くのにどういうかたちになっているのかという、最後の最後まではなかなかわかりにくいものもございます。
もちろん中には直接そういう最終製品を作られて、それを消費者がお使いになるというような、そういうお取引もございますが、そのあたりは非常に複雑になっておりまして、なかなか一言では申し上げられませんし、まずはお客様と用途についてお話ししないことには、なかなかその先の確認ができないという状態でございます。
川崎:あの、ちょっと補足説明をさせて……。
記者20:納入しているメーカーの名前が、製品まではわからなくても、どこどこのメーカーだというのだったら判断は、そこってできるんじゃないでしょうか?
勝川:そこはまた取引上の守秘義務ですとか、いろんな事情がございまして。かつ、まだ現在調査中ということで、そのへんは控えさせていただいておりますので、どうかご理解いただきたいと思います。
司会者:すいません。それではあとお2方ほど質問を受けさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。じゃあ手前の方。
記者21:日経ビジネスのヨシオカと申します。今回の一連の不正は本体の各部門およびグループ各社に大変広範に及んでいるということがわかってきたわけですけれども。
こうなってみると、外から見ていると、神戸製鋼グループというそのものにこういった不正を誘発するなんらかの力学だとか慣習だとか、そういったものがあるのではないかというふうにどうしても見えてしまうんですけれども。
これは社長しかおっしゃれないことだと思うんですが、今、もろもろ調査中だということは承っているんですけれども、今この時点で、社長の直感として、いったいなにが問題の病巣なのか、なにが核なのかというのを川崎社長のお言葉で教えてください。
川崎:これは原因分析に入ってくるところでございますけれども、神戸製鋼グループのビジネスと申しますのは、例えば鉄鋼事業、あるいはアルミ・銅事業はとくにそうなんですが、いわゆるBusiness-to-Businessという。つまり半製品を供給するビジネスでございます。
対しまして、機械系事業。これは私どもも、例えば圧縮機とか産業機械、あるいは建設機械ございますけれども、BtoCと。これいわゆるカスタマーというのは、だからこれは消費者さんではございませんで、最終製品を作るメーカーさんに納めている。いわゆる半製品では……供給している先は半製品ではないというか、完成品メーカーに送っていると。
今いろいろ問題が出ていますけれども、アルミ・銅事業部門、加えて鉄鋼事業部門というのは、このBusiness-to-Businessの領域に集中していると。ところが、BtoCと申しますか、いわゆるこれはショベルであったり、産業機械であったり、コンプレッサーもそうなんですけど、いわゆるそれが消費者さんに直結するメーカーさんのところでは起こっていないというか。
調査に入っていますけれども、今のところ確認されていないというのは、やはり 一品一様であれば必ず、その仕様・性能に関して立会検査を受けるとか、改ざんの余地がないというのも1つあるのかもしれませんけれども、そういう大きな今、違いがあると。
そこがなぜこういうふうに分かれていくのかということに原因の本質というか、これはまだ検討中でございますけど、現段階の起こっている事象、どこに起こっているかというのを冷静に見ればそういうことになるので、原因もそこの深掘りというのが必要であろうとは思っております。
記者21:おうかがいしているのは、今回の製品の不正だけではなくて、過去振り返ると、やはり神戸製鋼さんが起こされている不祥事という案件は複数あります。そういうことがやっぱり何年かに一度繰り返されているように見えるんですね。
そのコンプライアンスに対する意識だとか、マネジメントから現場にいたるまでのみなさんの意識だとか、なにかそういうものを誘発する企業文化だとか組織の体制のあり方みたいなものがあるんじゃないかというふうに見えるんですが、その点について教えてください。
川崎:ご指摘のとおり、私も鉄鋼事業部門において加古川製鉄所の副所長やっているときのばい煙問題というのもその一環でございますけど、そういう意味で例えば風土的なものというのもお感じになるかもしれませんけど。
ここはまさしくその原因、徹底的な原因分析というのはそこをどう捉まえるかということと理解しておりますので、繰り返しになりますけど、1ヶ月以内の原因対策というのはそこに入っていると考えています。
本日はそれでご理解願いたい。理解できないかもしれませんけど、それでご理解願いたいと考えています。
司会者:じゃあ、あとお1方、よろしいでしょうか?
記者22:『産業新聞』のヤマダです。問題を解決しようとしても、ものづくりに携わる人が最低限持っていなければいけない心というか、良心がなければ、復活が難しいのかなというふうに思うんですが。
今回の4番などを見ても、そういうものを持っているというふうに思うことが難しい事例が出てきていると。測定していない成分値を入力したりするような行動をされているというところで。
神戸さんの現場の方はものづくりに携わる良心を持っていると社長は思われますでしょうか? ものづくりに携わる資格があると思われますでしょうか?
川崎:私は、今回のこういう事象があったので神戸製鋼全体がこうであるとは思っておりません。先ほどの集中されているエリア、あるいは同じアルミ・銅事業部門でもメニューごとには不正のなかったものもあると。そこの捉まえ方というか、感性というか。
これは、先ほどBtoBと言いましたけど、最終的に、例えば次のメーカーさんで機械加工だけはなにかの処理をされるから、我々のご提供した機械的性質等が変わるからという認識は、私は持っていないと思います。
そういうのを経ない製品もあるわけでございますから、最終的には我々の出した数値が最終製品の提供するメーカーさんの安全に直結するという感覚は、私はあると思っています。
ただ、今回なぜこういう事態が起こったのかというのについて、繰り返しになりますけど、そこの原因はなんであったのかというようなことに尽きると思います。
司会者:じゃあ以上でよろしいでしょうか。申し訳ございませんが。それでは、以上で記者会見を終わらせていただきます。
川崎:本当に申し訳ありませんでした。
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