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東芝 綱川智社長 記者会見(全4記事)

【全文】東芝、ウェスチングハウス破産法申請で記者会見 純損益1兆円超え

2017年3月29日、東芝が子会社の米国原子力大手ウェスチングハウスの破産法の適用申請を承認したことを受け、記者会見を開きました。会見では、綱川社長が今回の経緯について語りました。

WH破産法申請の経緯

綱川智氏(以下、綱川):綱川でございます。本日は、会見にお集まりいただきまして、ありがとうございます。

本日16時に公表しましたとおり、ウェスチングハウス社およびその米国関係会社ならびに米国外の事業会社群の持株会社である東芝原子力エナジーホールディングス(英国)社が、米国時間の3月29日に米国連邦倒産法第11章にもとづく再生手続を申し立てることを決議し、同日付けでニューヨーク州連邦破産裁判所に申し立てましたので、ご報告いたします。

ウェスチングハウス社および東芝原子力エナジーホールディングス(英国)社、この両社による本申請をもちまして、ウェスチングハウスグループは、当社との間における実質的な支配から外れるため、2016年度通期決算より当社の連結対象会社から外れることになります。

私は3月14日の会見におきまして、今回、当社の財務基盤を著しく毀損した原因となった海外原子力事業について、東芝グループにおけるウェスチングハウス社の位置づけを見直し、非連結化を含め、再編検討を加速し、海外原子力事業のリスクを遮断すると、方針をご説明を申し上げました。

当社としましては、米国連邦倒産法第11章の適用はウェスチングハウスグループの事業の再生に不可欠であるという点。それと同時に、非連結化により海外原子力事業のリスクを遮断することを目指す当社の方針にも合致すると、このように考えております。

本申し立てによりまして、ウェスチングハウスグループは裁判所の法的保護の下、電力会社や当社を含む関係当事者の協議により、同社の事業再建を図る、その方策を模索してまいります。

現在、ウェスチングハウスグループは、再生手続きに則った事業再編を念頭におきながら、当面、現行事業をこれまでどおり継続する予定としています。また、この間の事業継続のために、ウェスチングハウス社は8億ドルの第三者からのファイナンスを確保し、当社はそのうち2億ドルを上限として債務保証を提供する予定です。

また、当社とウェスチングハウスグループは、建設中の米国原子力発電所2サイトの顧客である各電力会社と当面のプロジェクトの継続に関し合意を目指して協議しています。

再生手続について

次に再生手続きついてですが、手続きは申し立てより即日開始され、その後、破産裁判所の監督の下、申請したウェスチングハウスグループ各社および債権者等の関係各者間の協議が進められることになります。

再生手続きの申し立てと同時に、ウェスチングハウスグループは当社の連結対象会社から外れましたが、当社2016年度業績見込みおよび決算の影響については、現時点ではまだ影響額を確定できておりません。

当社が2月14日に公表した時点の2016年度3月期通期連結業績見通しでは、CB&I ストーン&ウェブスター社の買収に伴って発生した損失影響として、営業利益ベースでは原子力事業ののれん減損による7,125億円の悪化影響を織り込み、また純資産ベースでは非支配持分の控除後の6,204億円の悪化影響を織り込んでおり、その結果、当期純損益はマイナスの3,900億円、株主資本ではマイナスの1,500億円、純資産ではプラスの1,100億円としておりました。

今回、ウェスチングハウスグループが連結対象会社から外れたことにより、この悪化影響に加え、当社の2016年度業績に対して、営業外損益にてのれん減損の悪化影響額を除外する一方で、申請したウェスチングハウスグループ各社への投資勘定の全額減損による悪化影響を織り込むこととなります。これらは概算で合計2,000億円規模を超える改善影響を計上する見通しです。

また、再生手続きの開始により、主に米国原子力発電所建設プロジェクトにおいて、当社が電力会社に提供している親会社保証に関する損失計上、およびウェスチングハウスグループへの当社債権に対する貸し倒れ引当金の営業外損益への計上を当社として新たに検討する必要があります。

しかし、これらの必要計上額は、再生手続きの過程で確定する、再生計画の内容によって大きく変動します。当社グループの2016年第4四半期実績を踏まえる必要があると考えております。

純損益は1兆100億円

そのため、当社としてはウェスチングハウスグループの非連結化による影響額を、現時点では確定できない状況であります。

しかし、親会社補償額及び債権全額につきましては2017年2月末現在で、それぞれ6,500億円、1,756億円となっております。仮に、契約上の親会社補償額の全額を引き当て、同時に、債権の全額に対する貸倒引当金を見積もった場合、追加の金額は、当期純損益ベースで6,200億程度。株主資本ベースで4,700億円程度。で、連結純資産ベースで4,500億円程度となります。

これらの場合には、2月14日の公表値と比較しますと、2016年度の当期純損益は、マイナスの3,900億円から、マイナスの1兆とんで100億円へ。2016年度末の株主資本額は、マイナスの1,500億円からマイナスの6,200億円へ。連結純資産は、プラスの1,100億円からマイナスの3,400億円へと悪化する可能性があります。

今後の方針について

今後当社は、電力会社等と、協議を通じまして、当社の影響額抑制を図ってまいります。また今後の再生手続の進展を注視し、当社の業績へ与える影響額を含め、開示すべき事由が発生した場合は、速やかに開示をいたします。

昨年末に、CB&Iストーン・アンド・ウェブスター社の事案に関わる、この損失の可能性を公表して以来、株主・投資家をはじめとする、全てのステークホルダーのみなさまに、ご迷惑・ご心配をおかけしておりますが、当社の今後の健全な経営に向けた第一歩として、海外原子力事業のリスクの遮断を確実なものにしてまいりたいと考えております。

一時的には、追加損失が発生する可能性がありますが、マジョリティ譲渡を含む、メモリー事業への外部資本討議に加え、引き続き聖域なく資産の保有意義を見直し、意義の低い資産の売却を継続してまいります。

また、新生東芝におきまして、注力事業に続けている社会インフラ・エネルギー・電子デバイス・ICTソリューション、これらの事業において、安定的に利益を確保・拡大し、債務超過の解消と、毀損した財務基盤の早期回復と強化を目指してまいります。

引き続き、新生東芝の具現化に向け、全力で取り組みを進める所存でございますので、みなさまのご理解・ご支援をいただきたく、お願いを申し上げます。私からは以上でございます。

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