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第三者委員会による記者会見(全3記事)

「守安社長からの指示が大きく影響した」DeNAまとめサイト問題が起こった背景について

医療系サイト「WELQ」で著作権や正確性に問題のある記事が見つかり、大きな問題となったDeNAのキュレ―ション事業について、3月13日に第三者委員会による記者会見を行いました。

目標設定は高すぎたのか

記者12:BuzzFeedのフルタと申します。よろしくお願いします。全体を読ませていただきました。繰り返し、守安社長からの指示が大きく影響を与えたということが、DAUの目標設定などでなされたというふうに指摘があるんですが。そのDAU目標に基づいて、方針が定められていたと。あと、SEOを重視するということに関しても、守安社長からの指示であったと。

それらの目標を達成するために、統括部長以下の議論が進んでいるんですが、64ページに、A氏が、「その目標は、いずれも相当高い水準であるというふうに思った」という一文があるんですが、目標が高すぎるであるとか、そういった議論というのは、内部でなされていなかったのでしょうか?

名取勝也氏(以下、名取):ある程度そこは、非常に意外というか、大変な目標ですねというようなやり取りはあったんですけれども、やはり、社長からの指示ということであれば、そこについては、事業部長以下は、その目標の達成に関して、全力を尽くすということが求められますので、結果的には、そのようなことを行ったということです。

記者12:ここで「A氏」と匿名にしている理由というのは、何なんでしょうか?

名取:A氏に限らず、ここに出てくる方々は、取締役以外の方に関しては、プライバシー保護の観点から、会社のほうでは匿名化をしたいと。それについては、当委員会としても、それはもちろん了承したということでございます。それは、ご了承いただきたいと思います。

記者12:ありがとうございます。

DeNA側の調査への協力姿勢について

記者13:日本経済新聞ツツミと申します。委員会のほうで、この人に話を聞きたいと思った人の中で、話を聞けなかった人がいるのか。話を聞くことを拒否した人がいるのかというのを教えてください。

その上で、キュレーション事業をめぐるコミュニケーション不全というご指摘をされていますが、先生のみなさまは、ほかの企業とかを見ているなかで、比較論として、このDeNAの企業風土の問題はやっぱりほかの企業と違うのかどうかというのを教えてください。

名取:まず、我々のほうでインタビューをしたいというかたちで要請をして、それに対して拒否をしたという方はいらっしゃいません。そういう意味では、みなさん、ヒアリングに関しては協力をしていただきました。しかも、かなりの時間を費やして、我々がいろいろ事情を聞きましたけれども、それについても丁寧に答えたという印象は持っています。

他社との比較に関しては、すみません、これに関しては、あくまで我々は、DeNAの問題について分析評価をしたということですので、他社との比較ということは、ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。ご了承いただきたいと思います。

記者14:すみません、ITmediaのゴトウと申します。よろしくお願いします。クラウドソーシングサイトの関与についての質問なんですけれども。弊社のほうで、元WELQのライターさんに取材をしたところ、実際に原稿のディレクションを行ったのはWELQのスタッフではなくて、クラウドソーシング側の人間だった、こういう証言がございます。

クラウドソーシング側の責任も問う上で、記事の作成に関して、クラウドソーシング側がどこまで関与をしていたのか、これは重要な争点の1つだと思うんですけれども、こちらについては把握されていますでしょうか?

また、クラウドソーシングサイト側に対しての調査の協力というのは、どの程度行われたのか、このあたり、お答えいただければありがたいと思います。

名取:基本的には、DeNAの編集部サイドがクラウドライターさんに対して、もちろんサイトにもよりますけれども、具体的な指示と言いますか、要請を行っていたということが、我々の認識です。

クラウドソーシング会社に関しましては、調査の直接の対象とは含まれないというふうに、我々は考えましたし、会社も別ですので、そこについては、当委員会のほうからもヒアリングは求めませんでした。

記者14:なるほど。ごめんなさい、重複するんですけれども、DeNAのスタッフのほうから、このクラウドソーシングサイトを使ったという情報は得ているけれども、そのクラウドソーシングサイトのほうに関しては、調査の協力とかはとくに要請していないということでよかったですかね?

名取:失礼しました。ヒアリングは行ってはおりますが、それ以上のことについては行っておりません。

記者14:ありがとうございました。

著作権侵害の可能性はいつから把握していたのか

記者15:日経ビジネスのヒロオカと申します。2点お伺いしたいんですけれども、1つ目はその代表取締役の取締役の人たちとは、著作権侵害があるコンテンツが大量にあるという事実を、いつの時点で把握されたとお考えなんでしょうか?

名取:基本的にはこの問題が大きくなった時点、だというふうに聞いております。

記者15:昨年の夏とかそのぐらいってことですかね?

名取:MERYに関してかなり強硬なクレームがきたということで、昨年の8月ぐらいに認識が始まったということです。

記者15:それから分厚いほうの報告書を拝見していると、取締役会経営会議のところで深い議論がなされた事実がうかがわれないとか、あるいは231ページ取締役によるモニタリング等というところを拝見しても、事業上のリスクについて報告されたことも報告を求めたこともなく、議論した証跡も見られない、といったことが書いてあるんですけれども、取締役あるいは、代表取締役の方たちというのは、きちんと善管注意義務とか忠実義務を果たされていたとお考えでしょうか?

名取:これに関しましてもやはり、取締役会で集約する情報ということについて充分であったかということに関しては、やはり充分ではなかっただろうと考えます。それが法的な意味で善管注意義務違反に当たるかどうかいうことについては、我々としては、そこを評価するべき立場ではないということですね。そこについてはまだ踏み込んではおりません。

記者16:朝日新聞のカミグリと申します。今のお話の続きなんですけれども、「善管注意義務があったかどうか判断するのは自分たちではない」といった話もありましたが、先ほど各種法令違反もありましたけれども、司法の判断だとするならば、みなさんが検証されて、法的な問題がある可能性がある件については、これは当然刑事告発をされるということでよろしいんでしょうか? されないのだとするとなぜされないのか、ということをご説明いただけませんでしょうか?

名取:我々のほうが刑事告発ということでしょうか? この問題に関しての当委員会の調査の範囲・目的に関しては、事実の認定とその原因の分析、改善策の提言ということでありますので、個々の役職員に対する責任の追及、責任の有無の判断ということについては、配慮外にしてあります。それについてさらに責任の有無を認定する、あるいは告発するということに関しては、当委員会としては行う予定はありません。

記者16:つまり、判断を司法がするのは当然だと思うんですけれども、弁護士である先生方が、法令に違反している可能性があるという判断をされたわけですから、これは弁護士の職務としても善良な市民としても、刑事告発をされるというのは自然な流れだと思うんですけれども、しないのはなぜなんでしょうか?

名取:先ほどにも申し上げていたように、第三者委員会の職務の範囲としましては、第三者委員会のガイドラインにもありますけど、具体的な事実の認定、問題点の分析、改善策の提言ということであります。個々の者の責任の追及は、本来第三者委員会の範囲の外である、ということに従いまして我々としてもそのようなことは行わないということになっております。

記者12:たびたび失礼します。BuzzFeedのフルタです。著作権について最初のほうに質問された方が、46ページの表、サーバー保存や直リンクについて質問されたと思うんですが、そのうち「著作権許諾はないが、自営者許諾はある画像」の事例について、ソーシャルメディアやTwitterなどの事例をあげてお答えをされましたが、直リンクつまりembed(注:埋め込み)でTwitterなどの画像を使うことに関しては、Twitter規約上、確かにご説明の通りだと思うのですが、サーバー保存している場合については、それはTwitterの規約にもとくに指定はないと思うんですが、そこはどう判断されたんでしょうか?

名取:その点も検討はいたしましたけれども、各種SNSで少しずつ書きぶりが異なっていて、どの範囲までどうフォローしてるかというのが必ずしも明らかでない部分があるということは、今ご指摘いただいたとおりだと思います。

そういうなかで、我々とすればできるかぎりの解釈をしてですね、違法と判断できるものはどの範囲なのかということを検討してまいった次第でございます。

記者12:それでいうとできるかぎりの解釈として考えたときに、Twitterのツイートをサーバー保存することは違法ではない、と判断したということでしょうか。違法の可能性はない、と判断したということでしょうか。

岡村:Twitter自体については……。

名取:Twitterに関してのサーバー保存を、事業者許諾があるという範疇に分類をしております。

記者12:Twitter以外でも例えばFacebookとかさまざまありますがじゃあ事業者許諾があるというのはすべてのソーシャルメディアについて事業者許諾あると。自社サーバーに保存しても事業者許諾あると判断したということですね。

名取:約款はもちろん確認したうえでですけども。

記者12:私が約款を読んだ限りにおいてTwitter社にしてもFacebook社にしてもサーバー保存は認めていないと思うのですが。基本的には、原則的には。少なくとも認める約款の文言はないと思うのですが。

名取:文言については確かに、非常に議論はされたんですけども、確定的にそこについては許されないということもない、ということで我々としては事業者許諾があるだろうと。そこのなかの範疇に含めてよいだろうという判断を最終的にはいたしました。

記者12:ありがとうございます。

記者17:東洋経済のワタナベと申します。iemoの買収についておうかがいしたいんですけれども、まず買収の経緯から。

iemoさん側のほうから約15億円ということで持ちかけられて、その後DDがあって買収が決定したというところですが、買収価格、結局ほぼ言い値の15億円で決まっていて、後ほど法務DDで法務的な問題が、リスクがあるとされたにもかかわらずほぼ言い値で呑んでるのはなんとなく違和感はあるんですけれども、書いてないだけでかなり綿密な、買収価格に対するDDは行われていた、そういった痕跡というのは発見されたのでしょうか。

名取:はい、事業の評価、事業価値、企業価値の評価に関しての専門家の評価、意見を採りまして、そこに関しても15億円は妥当であるという評価を採っております。

記者17:それは事後的にみたときの15億円評価なんでしょうか、それとも買収にかかわるDDの中での15億円の評価でしょうか。

名取:もちろん買収を決定して決議をして契約をするまえの段階でそのような企業評価を受けたということです。

記者17:なるほど、それは外部の、DDに関わる人を雇ってそのひとの助言を受けて価格を決定したという。

名取:独立のそのような企業価値を評価する専門家の意見を採ったということは事実として認められております。

記者17:なるほどわかりました、ありがとうございます。

キュレーション事業はメディアか、プラットフォームか

記者18:ITmediaのカタフジと申します。概要版のほうの2ページ目のところに、「MERYが、サーバの負担を考えて、直リンクではなくコピペで画像をサーバ内に保存していた」というところがあったと思うんですけれども、委員会のなかで、「コピーをやめて直リンクにすれば、それは著作権法上問題はまずくないのか?」ということ。

あと、直リンクだと、画像を持ってる側のサイト側のサーバに負担をかけてしまうことになると思いますし、ユーザーからしますと、ページの見た目はコピーと変わらないのではないかなと思うんですが、これは倫理的に問題あるかなと思うんですけれども、それは委員会側では問題視はされていないという判断でよろしいのか。その2点をおうかがいできますでしょうか?

名取:そのいずれの点に関しましても、委員会のほうでは議論をいたしまして。1点目の「直リンクをすれば、著作権侵害にはならないのか?」ということに関しましては、判例も含めて、まだ確定的な見解は存在はしておりませんが、著作権侵害にあたるという確定的な結論もないということで、直リンク化=著作権侵害の可能性があるということではないだろうという見解をとりました。

2点目に関しましては、おっしゃるとおり、直リンク化をすることによって、相手方のサーバに負担をかけてしまう。実際、MERYにおいてはそのようなクレームもあったようでありまして。そういった観点から、MERYのほうは直リンク化を避けたということは、我々としても推察、認定をいたしました。

記者19:TechCrunchのイワモトと申します。2点ございます。先ほどから2度ほど46ページの画像の話があったと思うんですが、ちょっとこれ細かい点ですが、追加で質問させてください。

事業者として利用を許諾している画像が、これが本来他者の著作物であるにもかかわらず、第三者のアカウントでアップロードされて。要は、他人のものを自分のライセンスのあるようなものでアップロードしたような画像等の扱いはどうなっていたんでしょうか?

名取:当然、そのような画像に関しての著作権ロンダリングの問題もあるだろうと、その可能性も否定できないということは認識はいたしましたけれども、それについて、それが本当にロンダリングされているのかどうかに関しては、確認はやっぱりもう不可能に近いということでしたので、とりあえず事業者許諾がなされている、SNSサイトにおいての画像は、この4のカテゴリーに含めました。

記者19:ありがとうございます。もう1点です。全文のほう244ページ以降で、「プラットフォームか、メディアか?」みたいな話の結論として、「このキュレーションサービス群はメディアだ」というふうに最終的に書かれているんですが、最終的な判断というのは、パーセンテージの問題だったのか、「ほかにも複数ある」というふうにここ書かれていたので、もう少し具体的にどういう判断だったのか?

あと、これも書かれてることの確認なんですが、そうなると、プロバイダ責任制限法だけで収まるような話じゃなくなるサービスというかメディアという認識でよろしいんでしょうか? これ確認です。

名取:本委員会での分析に関しては、いわゆるプロバイダ責任制限法における発信者にあたるかあたらないか、それがメディアかプラットフォームかという区分けをして、分析をいたしました。

そこに関しては、各サイトによって対応もいろいろ差はありますけれども、外部ライターさんに対しての指示ですとか関与の度合いに応じて、やはりこれはもう一般投稿者ではないのではないか。DeNAのサイトが発信者にあたると考えざるを得ないのではないか、というような観点から分類をいたしました。

記者19:わかりました。ありがとうございます。

司会者:それではお時間となりました。会見のほうはこちらにて終了とさせていただきます。

会見終了後の訂正

名取:先ほどの報告書の45ページの「サーバー保存」の4のカテゴリで挙げました会社が、許諾を受けた画像だというふうに申し上げましたが、ここで1点訂正をさせていただきます。このサーバーカテゴリの4の画像に関しましては、個別の企業名は申し上げられませんが、画像の提供事業とする企業からの許諾を受けた画像ということで分類をいたしました。

したがいまして、先ほど挙げました画像については、むしろ「直リンク」の4番の部分でありました。訂正をさせていただきます。大変失礼いたしました。

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