2024.12.03
企業の情報漏えいで最も多いのは「中途退職者」による持ち出し 内部不正が発生しやすい3つの要素
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記者1:五味さん、再びお目にかかれて光栄です。金正男氏が、日本に旅行したからといって、後継者から外されたという疑惑について、私はいつも疑問に感じていました。奇妙な印象を受けます。なぜなら、彼らの家族すべてが、偽造パスポートや偽名を使っています。
そのため、彼が偽造パスポートを使ったことがそこまで恥ずべき行為であるとは思えません。あなたが、金正男氏と接触した際、彼ははっきりと証言したのでしょうか? 日本に行ったことが、彼が後継者から外された原因であると? そとれも元々後継者ではなかったのでしょうか? ディズニーランドでの事件について、この辺りはどのようにご覧になりますか?
五味洋治氏(以下、五味):この点については、本人に聞いたことがあります。「日本に来たことが、直接世襲から外れる原因になったとは思わない」と言っていました。
私の本にも書きましたが、彼はむしろ偽造パスポートで入国したことを、「非常に恥ずかしいことだ」と言っていました。あの事件以降北朝鮮はシステムを変え、偽名であっても基本的に北朝鮮パスポートを使うことになったと、私に説明していました。
今回彼が使っていたパスポートは、北朝鮮のパスポートで偽名だったそうですが、非常に悲しいことですが、彼が言っていたことは守られていたようです。
記者2:五味さん、お疲れ様です。お久しぶりです。ジャーナリストのタカハシと申します。
今、内外の報道を見ていて一番私が違和感があるのが、金正男は、金正日が亡くなった後の後継者の1人として名前が挙がった云々というそれがあって、その影響で、金正恩が不安に思って彼を暗殺したのではないかと。
ただ、私は藤本健二さんという金正日の専属料理人の方にインタビューすると、金正恩は正妻ではない奥さんから生まれた子供であって、日本語でちょっと悪い言い方ですと、妾の子供であるという。それで、もともと、ぜんぜん後継者になる可能性はなかったと。
でも、そういうのを無視して、今、なんとなくサクセッション(後継者)の問題で、金正恩がそれを不安に思って殺したとかクーデターとか、いろいろな話がありますけど、そのあたり、みんなが議論しているもともとの土台がどうだったのか、ちょっとうかがいたいなと思って質問しました。
五味:私の聞いた範囲でお答えします。彼は9歳から10年間留学し、20歳になる前に一旦帰国しました。その時に、お父さんの金正日さんと全国を歩き、経済的な開発の状態を視察したそうです。
しかし、ヨーロッパで見てきた社会のあり方と北朝鮮のあり方があまりにも違うため意見が合わず、仲違いし、彼の生活は荒れ、最終的に北朝鮮を去ることになったと聞いています。その話からして、一時的にせよ、お父さんから後継者として見られていたと私は判断しています。
記者3:金正男氏と最後に接触したのはいつか、明確に教えていただけますか? そして、その時、彼は自身の身の危険に対する恐れ、つまり北朝鮮から暗殺の対象になっていると、口にしたのでしょうか?
五味:最後にEメールの更新をしたのは、2012年1月3日のことです。その後も私は彼が目撃された場所に取材に行きましたが、(金正男氏は)1人で、もしくは2人で街を歩いたり食事をしたり、強く警戒をしている感じはなかったとまわりの人は言っていました。
記者4:現時点において、金正男氏の暗殺に関する捜査については、容疑者は北朝鮮関係者ではないと言われています。もし、この暗殺を遂行したのが北朝鮮関係者ではないとすると、疑問があります。あなたと金正男氏の会話においては、彼が人生において抱えている問題、北朝鮮関係者以外で彼が恐れている人物について、話はありましたか?
五味:私は彼に何回も、どんな仕事をして生きているのかと聞きました。彼はそのたびに答えを、はっきり答えませんでした。「投資の仕事をしている」と言うだけでした。ですから、それ以上の手掛かりはありません。
記者5:お越し頂きありがとうございます、五味さん。この数日でいくつかの報道がありました。北朝鮮の一般人の多くは、金正男氏という存在を知らない、そのため、今週前半にクアラルンプールで起きた事件について、公式のコメントが無いと。
彼との接触において、彼は自身が北朝鮮の人々に知られているかどうか発言はありましたか? もしくは、北朝鮮の人々の彼に対する印象など知っていますか? 私が話した人物によると、彼は大変有名人で、一般的な北朝鮮の人々にも知られている、と言っていました。
彼が自由な人物であるので、若干の嫉妬と同時に、尊敬が混じっているそうです。また、金正日氏と彼が北朝鮮の経済視察に同行したのは、明確にいつのことか、再度教えてください。
五味:金正男さんの存在というのは、北朝鮮では忘れ去られています。ただ最近は携帯電話の普及や国境地帯での行き来を通じて、彼の存在や彼の発言について知る人が増えているそうです。
日本で会ったある脱北者の方がこう言っていました。「噂話で、金正日総書記の長男が北朝鮮のことを批判している。なにか北朝鮮が変わるきっかけになるかもしれない。北朝鮮でその噂を聞いた時に希望を持った」と言っていました。
ただ、それが反体制運動につながっていたかというのはわかりません。たぶんなかったでしょう。それほど重要な地位にあるなら、1人で空港に出かけたり、海外にあちこち行くような行動はしないと思います。
お父さんと金正男さんが経済視察した時期は、たぶん1990年代前半だと思います。
記者6:より明確にするために質問させてください。あなたは彼と7年間連絡を取り合っていたと言いました。しかし、あなたは最初に彼に会ったのは2001年と言いましたよね? そして最後の連絡は、2012年ということなのですが、具体的にどの期間連絡を取っていたのでしょうか? そして何語で彼と連絡を取っていましたか? そして彼は何ヶ国語話せましたか?
五味:ちょっと整理してお話します。最初の出会いは2004年、北京国際空港で偶然目撃したことです。2004年ですよね? さっき間違えました? 2001年は成田空港で拘束されたときです。2010年10月に再び彼からメールをもらい、2011年1月にマカオで会い、2011年5月に北京で会い、最後の連絡は2012年1月ということです。
計7時間ほど話を聞き、150通ほどのメールをやり取りしました。言語のことですが、残念ながらイタリア語は話さなかったようですが、フランス語、英語、ロシア語。とくにフランス語は得意だと言っていました。日本語は日常生活程度、中国語はあまり得意でないと言っていました。
記者7:あなたが彼とやり取りしていたメールから、質問します。北朝鮮は中国をどのように認識していたかということです。以前北朝鮮の専門家にインタビューしたところ、特に金正男氏は中国と非常にいい関係を築いていると言っていました。
このことが北朝鮮のリーダを苛立たせたのかもしれません。そこで、殺害に関する中国の役割と、金正恩が殺害を指示したかという2つの質問にお答えいただけますでしょうか?
五味:暗殺命令を誰が出したかということについて、私が確実に言える証拠がありません。中国と彼との関係についてお話しいたします。彼は中国に家があり、中国にいる間には中国の公安当局のボディガードがついていると認めていました。
私が会ったときには、中国人ドライバーの車で出迎えを受けていました。本人も、中国から保護を受けていると言っていましたが、ここ数年は、そういう保護が煩わしいというふうに言っていたと、彼の友人から聞きました。
ここ数年、彼が東南アジアを行き来していたというのは、私も確認しております。そのため、中国と金正男氏の関係は、必ずしも順調でなかったのかもしれないというふうに、私は見ております。
まだ、中国はこの事件について正式な反応は見せていませんが、それは戸惑いの証拠だと思います。中国と北朝鮮は、朝鮮戦争を戦った同胞、同盟関係ですが、この事件でますます遠ざかるのではないかと、関係が悪くなるのではないかという感じもしています。
記者8:最後にあなたが受け取ったメールに関してなのですが、私の計算によると、金正日氏が亡くなって2週間後にメールを受け取ったと思います。そこで父の死に関しどのような悲しみを述べていたかお教えいただけますか? そして最後の連絡で、彼はあなたと再び連絡を取り合う兆候を見せていましたか?
五味:そうですね、亡くなった直後にもメールで慰労の言葉を送りましたが、何日も返事がありませんでした。それで、私の本の出版計画も進んでいたため、それを連絡したところ、これで連絡は終わりにするというふうに、最後のメールが1月3日に来たため、その後のやり取りはありません。
ですから、彼の心境というか、父を失った悲しみというのは、直接は、私が感じることはできませんでした。
記者9:朝日新聞のキタノです。金正男氏については、世界中のジャーナリストが彼を追っている中で、五味さんはなぜ自分が選ばれたんだと思いますか? 日本人だからでしょうか? それとも、やっぱり個人的に話したかったんでしょうか? それとも、彼は五味さんを通じて、誰に何を訴えたかったんだとお考えになりますか?
五味:質問ありがとうございます。それは、非常に簡単なことなんです。金正男さんは、2001年に日本に不法入国しようとして摘発されてから、完全に後継者レースから外れたと、もう政治的意味はない。彼を追いかけても何も意味がないと、ほとんどの人は考えました。
私は2004年に彼と偶然に会ってから、彼の魅力というか、力というか、彼はきっとなにか話してくれる人で、それが現在の北朝鮮に影響を与えるのではないかという予感があって、ずっと自分の時間とお金を使って、彼を取材し続けました。本当にあちこち行きました。香港にも行きました。マカオにも行きました。北京にも行きました。シンガポールにも行きました。自分の時間をほぼそれに割いてきました。
それを、記事にもしてきました。何回も。彼は、平壌で私の記事を翻訳して読んだそうです。私に関心を持っているジャーナリストがいるということで、彼は僕に連絡してきたわけです。たぶん、そのときには、彼に対する真摯な関心を持っているのは、僕だけだったんじゃないでしょうか。それを、彼も感じてくれたんだと思います。
たぶん彼は、自分の危険を感じながらも、私やほかのメディアを通じて、自分の意見を平壌に伝えたと思います。2011年1月、マカオで会ったとき、彼は、私のインタビューを受けるときに、全身に汗をかいて、非常に苦しそうな様子で答えていました。
彼も自分なりに、この発言がどんなふうに受け取られるか感じていたのかもしれないなと、今思うと、なんと言うか、心が痛みます。以上です。
記者10:金正男氏はスイスでの生活についてあなたに何か伝えましたか? また、金正男氏は金正恩氏とスイスで会ったことはあると言っていましたか? また、今まで金正恩氏と北朝鮮や他の国で一度でも会ったことがあると言っていましたか?
五味:わかりました。ありがとうございます。金正男氏は、「金正恩さんとは会ったことがない」と言っていました。金正哲氏とは、海外で会ったことがあると話していました。金正哲、2番目の息子ですね。
「会ったことがないので、金正恩さんの性格についてコメントできない」と言っていました。これは、私は当初信じられませんでしたが、多くの脱北者の人たちが会っていないんじゃないかという話はしていました。
スイスでは、いろんな国籍の人と付き合って楽しかったと。あとは、ヨーロッパのいろんな国に行って、自分の見聞を広めたというふうに言っていました。
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