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2025.02.18
AIが「嘘のデータ」を返してしまう アルペンが生成AI導入で味わった失敗と、その教訓
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栗山英樹氏(以下、栗山):「レディース・アンド・ジェントルメン」って言おうと思ったんですが、日本の記者が多いので、日本語で挨拶させていただきます。今回は、外国のみなさん含めて、ファイターズ、日本シリーズ、日本のプロ野球に興味を持っていただいて本当に感謝しております。
今年は、日本一になるまで、驚きの連続だったんですけど、ここに来て、野球よりもアメリカ大統領選挙の、僕らも専門ではないですけど、いろんな驚きを感じながら、やっぱり想定内とか想定外とかって話がよくあるんですが、そういったものを超えていかないと、みんなにいろんなことを考えてもらえないという、そんなことを実感した1年でもありました。
そういう状況のなかで、野球の話ですけど、今年はちょうど日本シリーズ、僕らが先に走り出した後にワールドシリーズでカブスの話題っていうのが、日本では明治時代に優勝して以来という。逆に、そういう話を聞く度に、歴史と言うか、その重さを野球に対して感じてたんですけれども。
正直、短期決戦、プレーオフの戦い方というのは、アメリカに学ぶべきだっていうのは自分の中ですごくあって。「こうじゃないのかな」と思うことを、今年の場合はとくにワールドシリーズで、両監督が見せてくれた部分も大きかったので、そういう意味では、自分が戦って日本一になることはできましたけれども、すべての面で、勉強になる、学べる1年だったので、なんとかみなさんに、もし喜んでいただけたらすごくいいシーズンだったし、来年になんとかこれを繋げていきたいというふうに思います。
短い時間ですけども、いろいろな国のみなさんが、日本の野球に興味を持っていただけるのはうれしいことですし、なかなかこういう機会はないので、あまり本音をしゃべりすぎるといろんな問題が起こりそうな気がしますけど、できる限り、自分が考えていること、感じていること、経験したことをお伝えできればというふうに思います。よろしくお願いします。
記者1:栗山さん、おめでとうございます。
栗山:ありがとうございます。
記者1:まず大谷翔平選手に関する質問なんですけど、まず1つの入団する条件として、二刀流、打撃のほうもやらせてあげるっていうふうな交渉をしたのはわかってるんですけど、もし、普通の競合でドラフトで当たって、普通に入団した場合も、そういうふうに打たせてあげる、二刀流をさせてあげるっていうオプションはあったんでしょうか。
栗山:はい。日本ハムファイターズのなかで大谷翔平の話をしたのが、あの指名した年の5月ぐらいだったのかな。ドラフトのスカウティング会議に1月に1回目があるんですけど、そこから全部僕が参加してるんですね。うちのチームは。僕の意見も含めて言っているんですけど、5月ぐらいの段階で、もし大谷翔平が取れたらという前提で、「監督、大谷翔平取れたらどっちで使いますか?」という話はもう、そこからスタートしてました。
なので、僕はハイスクール時代の大谷翔平を、熱闘甲子園という甲子園の番組でずっと見ていたので、その時(どちらで使うかを)聞かれて、僕がなんて答えたかって言うと、「僕には決められない。要するに、あれだけの才能が両方にあるので、野球の神様以外は決めることはできないんだと。だから両方やらせるべきだ」ということを最初に話しました。
なので、はい。もちろん、両方の可能性は、ドラフトでも叶いました。
記者2:大学の教授をされていたっていうことですけど、なぜ大学の教授をしようと思って……なにを求めてそういう職種に就いたんですか?
栗山:元々、自分が大学へ進む時に、野球だけをやろうと思って大学に進むのか、それとも将来、野球の指導者、教員として進むのかっていう選択をたまたま迫られていて、まあ、それだけ野球の能力が低かったってことなんですけど。
自分の中では、実は教育者、学校の先生っていうのに職業としてすごく憧れがあったものですから。そのまま大学へ行って、野球がやめられなくて、プロテストを受けてプロに入っていったという経緯があるので、元々、夢見ていたところに向かっていって……教員として大学で教えるということは、まあ1つの夢でもあったので、まあ、野球引退してからシンプルにそこに向かっていったというふうに思ってます。
記者3:今年の逆転劇はすばらしかったんですけど、その11.5ゲーム差を引っくり返した要因っていうのはなにか。そして、それは来年にどうつながるのかっていう質問です。
栗山:本当のことを言うと、言っていいのかどうかわからないですけど、ファイターズっていうのは、例えばたぶん毎年オープニングゲームの日に、評論家のみなさんはうち(ファイターズ)が優勝って誰も言わないですね。優勝した年も。それは、戦力をみなさんが見ていて、優勝できるかたちに作れない。
それだけお金をかけて、選手を確実には作れないっていうのはもともとわかっていて、若い選手を中心に、シーズンで伸びていって、こちらが適材適所にうまく試行錯誤しながら4月5月にはめ込んで、その成長を促していこうというチームなので、11.5ゲーム離れた時も、まだその試行錯誤が終わってない状態だったんですね。
手の打ち方がいっぱいある状態だったので、実はまだフロントや僕らは、可能性は十分あるというふうに思ってました。ただ、ちょっと思ったより開きすぎたなっていうのは正直あるんですけれども。
これだけ若い選手とか、我々が信じてる選手たちは、あの強いホークスを追っかけるだけのすごい力が、そんなすごいパワーがあるということを我々も教えてもらいましたし、選手たちも自信になったので、来年「自分たちがやろうとしていることは間違ってない」というのは、より一層、強固なものになります。
今年の経験を生かして、さらに若い選手を投入して、もっといいチームを作らないとそこには行けないと思っていますが、ファイターズ自体がやろうとしてることは、もちろん僕は理解してるんですけど、選手たちもけっこう理解してくれたかなというふうには思っています。
記者4:監督が報道時代の時の野球の考え方と、実際、監督になってからの考え方、野球の見え方とかは、どう変わっていますか? たとえば、大谷翔平とか、中田翔とか、スター選手を扱うような立場になって、報道陣時代との野球の違いとか。
栗山:はい。基本的には変わってません。ただ、例えば中田翔。僕は、本当に、本当にですね、三冠王取れると思ってるんですよ。
そういう選手の評価だったり見え方は変わってないんですけど、シーズンは長いので、どこかがケガしてたりとか、このトレーニングが足りてないとか、「実は強そうに見えてここが弱い」というのがわかってくるので、こっちの思い描いているイメージにいくのはとても難しいんだというのは感じてます。
で、例えば、翔平。ストロングポイントと、いわゆるウィークポイントっていうものが、誰でもあるんですけど、それをうまく相殺させながら結果を出させるっていうのは(難しい)。外にいるといいところばっかりが見えるので、翔平の場合だと、体が悪くて本人がどう考えても無理だと思っていても、こっちが「大丈夫?」って、「OK?」って聞いたら、絶対に「OK」としか言わない。
その「OK」の意味をこっちがうまくくみ取って、休ませるところは休ませないと、やっぱり疲れて数字が落ちていっちゃったり、調子が落ちていっちゃったりするとか、そういう良さを引き出すための、気をつけなきゃいけない難しさみたいなのを今、すごく感じています。
なので、よく僕が「こういうふうにしてあげられない」みたいなことを囲みでも会見でも言うんですけど、本当にそう思っていて、「もうちょっとこういうふうにしてあげていたら、もっと数字が残ったのに」みたいなことは本当にあるので、外にいる時はその良さばかりが大きく見えてますけど、それを引き出す難しさに今、直面してるっていうのが正直なところです。
記者5:優勝おめでとうございます。
栗山:ありがとうございます。
記者5:私は50年前から、東映フライヤーズの時代から、今の日本ハムのファンをやっておりますので、とくに札幌ドームに移ってからもたいへん、テレビの番組も非常にうまく流れてるわけですから、本当にありがとうございます。ファンとしては、たいへん感謝しております。
1つ目、やっぱり大谷翔平さんということになるんですが、彼はもうピッチャーとしてもバッターとしても非常に優れた存在であるということは、我々、あの時点(ドラフト時点)で、セ・リーグのほうに行くんじゃないかなと。なぜならば、要するにパシフィックは、DHでやっておりますので。
ピッチャーをうまく利用するということは、セ・リーグのほうがバッティングの面ではいいはずなんだけど、どういう秘密で、日本ハムに引っ張り取ったと言いましょうか。それをぜひお聞きしたいと思います。
栗山:はい。長い間、ファンでいただきましてありがとうございます。まず、最初の質問にあったように、2つともできるというのは、ドラフト前から僕らは意識をしていました。で、逆に言えば、DHであるパ・リーグなので、本当にいろんな二刀流の可能性があったので、逆に本人に提案がしやすかったっていうのは、正直、僕らのなかではありました。
で、球団として、僕として、誠意を尽くすと言うのは、「大谷翔平が我々の家族だったら」っていうところに原点を置きました。
なにをしたかと言うと、アメリカ、メジャーリーグが夢であるんであれば、そこに行く過程において、どういう生き方が一番シンプルで、いいかたちで行けるのかっていうのは、球団でも画を描いたし、僕も、何度か花巻に行って交渉しましたけど、1回も「日本ハムに来てくれ」とは言ってません。
なにを言ったかって言うと、それまでマイナーリーグとかいろんな取材で、僕はたぶん100回ぐらいアメリカに行かせてもらって、本当にいろんなものを見せてもらって取材をさせてもらってきました。で、そのなかで、僕が考えるメジャーリーグで大活躍するための、その道ですね。
どういう道を進んだら一番いいかっていうのは、申し訳ないですけど、細かい技術を覚えていくのは日本で少しやりながら何年か過ごして技術を身につけて、そのままメジャー契約でアメリカに入ってしまうっていうかたちが、僕は理想だと思っていたので、うちのチームはそれが仕切れるというふうに僕は信じていたので、大谷翔平がメジャーリーグに行く一番の近道はこれだと。一番いい道はこれなんだということを一生懸命説明したつもりです。
そこで一番役立ったのは、高校時代から大谷翔平と接点があったので、彼の野球に対する頭の良さっていうのは、僕はものすごく理解ができていました。だから「その夢に対してなにがいいかってちゃんと説明したら彼は理解する」と、かなり高い確率で絶対大丈夫だと思ってたところがあったので、そういう思いで、球団としてぶつかって、彼が「わかりました」と理解をしてくれたと思ってます。
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