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ヒューマンライツ・ナウ 児童ポルノ調査に関する記者会見(全3記事)

「児童ポルノと疑われる作品が氾濫している」チェック体制の問題点を国際人権NGOが指摘

子どもの人権を侵害する日本における児童ポルノに関する実情について調査を続ける、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが調査報告書を公表。9月5日に開かれた記者会見の内容を書き起こしました。※二次被害防止のため、作品名等を一部伏字にしております。

児童ポルノに関する調査報告書を公表

伊藤和子氏(以下、伊藤):本日はお忙しいなかお集まりいただきまして、ありがとうございます。ヒューマンライツ・ナウの事務局長、伊藤と申します。

本日は「日本児童ポルノ規制と課題」という、私たちの、昨年5月から調査をいたしてまいりました、日本における児童ポルノの普及の実態、そして規制の問題点などについての調査に関して、調査報告書を本日付けで公表いたしましたので、ぜひ多くの方に知っていただきたいということで記者会見を開催させていただきました。

本日報告いたしますのは、こちらの当団体副理事長で千葉大学教授の後藤弘子、それから弁護士でヒューマンライツ・ナウの理事、雪田樹理のほうで報告を行わせていただきます。

まず、こちらの調査報告書がお手元にあるかと思うんですけれども、パワーポイントの資料にもとづきまして、まず調査の内容につきまして後藤のほうから、続きまして今後の課題ということについて雪田のほうからご報告をさせていただきます。

それでは、よろしくお願いいたします。

後藤弘子氏(以下、後藤):ただいまご紹介いただきました、ヒューマンライツ・ナウ副理事長の後藤でございます。

では、後藤のほうからは、みなさんのお手元にも配布させていただきましたパワーポイントの、とくに調査の部分についてお話をさせていただきたいと思います。

背景というのは、みなさんご存じだと思いますが、児童ポルノは児童に対する性的搾取、性虐待を伴う人権侵害であるということで、子どもの権利条約等によって規制・禁止が呼びかけられております。

日本では1999年に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が制定されました。これについて、この報告では「児童買春・児童ポルノ禁止法」と呼ばせていただきます。2度の改正を経ております。

ヒューマンライツ・ナウは、先ほどもありましたけれども、2015年5月から、同法にもとづいて児童ポルノが日本国内で有効に規制され、根絶に近づいているのかについて調査をいたしました。

結論を先に申し上げますと、私ども調査チームが1年あまりにわたって東京都内の店舗、そしてインターネット上の児童ポルノについて調査を継続してきました結果、あからさまに児童ポルノであることを宣伝するDVD、出演者が18歳未満であることを宣伝するポルノDVD、出演者の容姿・服装・体系等から18歳未満であることが疑えるDVDが公然と商品として広範に流通し、店頭に陳列・販売され、インターネットにおいても配信されている実態を確認してまいりました。

また児童ポルノ、もしくは少なくとも児童ポルノと疑われる画像・動画が氾濫しているということが明らかになりました。

以下、私どもが調査したなかで、これは児童ポルノもしくは児童ポルノの疑いがあると考えたものについてお見せしていきたいと思います。

児童ポルノであることを宣伝文句にした作品も

これは2015年の調査で、これは実際に店舗に行って調査をしたものでございますけれども、『小○生13人全部見せスペシャル!!』という、そういうビデオでございます。このようにタイトルは伏せ字になっておりますけれども、小学生を出演者とする児童ポルノであることがパッケージから読み取ることができます。

また、パッケージには「本物小学生」「超ロリコン」「児ポ!」などと記載されていて、児童ポルノに該当することを積極的宣伝文句として利用していることがうかがえます。

次、同じく8月の調査で売られていたものであるのですけれども、『6年生 本物ロリータビデオ 裏』というタイトルでございます。

このビデオは少女の氏名・年齢を特定確認することはできないわけですけれども、パッケージの表記から判断するかぎり、先ほどお見せいたしました『小○生13人全部見せスペシャル』と同様に、小学生6年生が性交する姿態を撮影した児童ポルノであるという疑いが高い作品であるということが見て取れます。

こちらも「本当の喜び」「本当の感動」「本物小学生」「絶滅危惧裏ロリビ」などの文字がパッケージに記載されており、児童ポルノであることが宣伝文句とされています。出演者の体型およびパッケージ上の宣伝を前提とするかぎり、児童ポルノである疑いが高いということになります。

先ほどのものもそうなんですが、パッケージの上から、実際に性交を行っている児童の姿態が撮影されていることがうかがえるものになっております。これは1つひとつ、今見せていただいたものですけれども、どのようなかたちで販売されているかについて、次をお見せしたいと思います。

(スライドを指して)このように、「ロリ」と明記された『ブルマー少女を●●●●●●』というタイトルのシリーズが販売されています。このようなかたちで、さまざまな番号が違って、いろいろ「110」とか、そういう番号が見えますけれども、これそれぞれを見ていただきますと、ブルマーを着た少女に関する性虐待やレイプを使った、児童ポルノと疑われる作品だということが見て取れます。

また、制服を着ている少女とされる女性を出演者として、集団レイプをされている、または奴隷のように虐待され、わいせつ行為をされているという描写のビデオが販売されております。

これらのビデオの出演者は18歳未満であることについて、少女の氏名・年齢を特定・確認することはできておりませんが、パッケージには「制服奴隷少女」などと記載され、「少女」であることを宣伝していることから、児童ポルノである可能性が疑われます。

描写内容については、演技であるとしても、制作過程で出演者の少女たちに対してなんらかの影響力の行使等が行われていて、尊厳が著しく傷つけられている可能性は否定できないと考えております。

「着エロ」も数多く作られている

続きまして、また同じく、これは「着エロ」を呼ばれるものでございますけれども、「現役女子高生15歳」と宣伝をする着エロが、このように売られているということになります。着エロだけではなくて、イメージビデオも数多く売られていて。これは、先ほどの性交を疑われるようなものよりもとても数が多い販売状況でございました。

着エロというのは、どういうふうな定義を私どもがしているかといいますと、一般に制服、少なくとも水着や下着を着たままでの状態で卑猥なポーズをとり、性器を強調した撮影などを行うことを着エロといっております。

着エロのものというのは、もちろん成人が出演者となる場合もありますけれども、JKとかJCなどと表示し、ジュニアアイドルであることを明記し、年齢を示す作品も、今も数多く流通しているということを確認することができました。

今お見せしているのは、1つの着エロの例です。パッケージの写真は、児童が着衣したまま性器周辺・臀部・胸部がことさらに強調され、性欲を興奮・刺激するものであって。パッケージどおり、もし現役中学生を出演者としたのであれば、明らかに児童ポルノであると評価をすることができます。これは、インターネット上でも閲覧可能になっているものでございます。

次に、今年度、今年の3月にやはり実店舗で調査をした際の状況でございますけれども。これは『●●ちゃんは139cmの小○生』という、「ちいさく、せまく、きつく」という、そういう記載がパッケージにあるものでございます。

裏面には「○年3組 出席番号5番 大●●●」と記載され、小学生が教師にわいせつ行為をされる内容になっております。

この報告書を読んでいただけたらわかると思いますけれども、成人指定と規制された審査団体「VSIC」の「検査済」のシールが貼られております。また、裏面には「この作品には18歳未満の人物は一切出演しておりません」と記載がされているものになっております。

続きまして、やはり同じく2016年、今年の3月に調査したもので、これは着エロの作品になります。『1年3君 ●り●●』というものです。これは審査団体のシールは貼られておらず、18歳未満が出演していない旨の記載もないものになっております。

次にですけれども。これは性行為の収録をしたと認められるビデオでございます。『下校中の小○生を拉致って生ハメ集団レイプ』。「裏流出」「3時間収録」、それが表面に書かれているものでございますけれども、裏面に「未成熟なロリを食い荒らす本気のレイプ」と記載されているものになっています。

本体は、チャプター1からチャプター8まであって、それぞれのチャプターでは小学生ないしは中学生と見られる女性ないしは児童が襲われ、暴力的にレイプされる様子の一部始終が全編を通じて撮影されております。

このビデオには審査団体のシールも貼られておらず、18歳未満が出演していない旨の記載もございません。

脱法的な行為を呼びかけるWebサイトも

次ですけれども。2016年の5月に行った調査で明らかになったものでございますけれども。これは店舗に並ぶジュニアアイドルのイメージビデオでございます。「ジュニアアイドル」というジャンル、いわゆる「着エロビデオ」というものが、今年の5月の調査でも明らかになっております。

なかでも、こちらに見ていただきますのが、『14歳 夜の●●●』『JCスマイル』と題する着エロ映像でございます。

「美少女現役JCちゃんの●●●●●●生でしちゃう」という記載がございまして。表紙には少女の半裸の姿が掲載され、裏面には少女が全裸または半裸となり、縄等で緊縛されていると見られる映像が撮影されているものでございます。

以上が、店舗で確認できたものでございます。次にお見せするのは、インターネット上での販売での調査のなかで目立ったものをあげております。

みなさん、お手元の調査報告書では25ページになりますけれども、いろいろなサイト、24~25ページのあたりに掲げられている、さまざまなサイトがございます。「●●●●●●●」というサイト、あとは「●●●●」というサイト、あとは「●●●●●」というようなサイトがあり、これらサイトの画像につきましては、今見ていただいているような画像が存在するわけでございます。

この作品は、●●●●●というものの作品でございますけれども、一見して小学生と思われる女児が水着を着用し、ことさらに性器・臀部を強調するポーズを撮っていると。このような映像は児童ポルノ、いわゆる3号ポルノに該当することが強く疑われるものになっております。

また、このサイトには脱法的な行為を呼びかける、そういうWebサイトも発見することができました。ここに書いてございますけれども、「安心してください。●●●●●●●なら、児童ポルノ法でやばい映像などをリスクなく合法でロリータ動画を楽しめるんです」という記載です。

「サイトをダウンロードする、動画をダウンロードすることはたいへんリスキーですが、ここでは、ストリーミングをすれば児童ポルノ法で逮捕されることはない」という呼びかけが行われていると。

というのが、以上ですね、今日のパワーポイントでお見せする。ほかにもあるものにつきましては、お手元の調査報告書を参考にしていただければと思います。

これらにつきましては、こちらで目を隠しただけではなく、こちらが児童ポルノに該当する疑いがあると思われる箇所につきましては、すべて隠すという措置をさせていただいております。

続きまして、これらについて、「じゃあなにがどう問題なのか?」について、雪田のほうからご報告させていただきます。

出演者の年齢を確認をするプロセス・体制がない

雪田樹理氏(以下、雪田):雪田です。よろしくお願いします。パワーポイントでは次のところからになります。

このような児童ポルノと疑われる動画や画像を公然と普及していると、こういうことを私たち、確認をしたわけですけれども。その原因として、出演者の年齢が明らかでないということで、警察が取り締まろうにも、児童か否か判別できないということで取締りが行われていない。こういうことが警察と警察庁と警視庁での調査で明らかになっております。

また、18未満が出演するコンテンツについては、審査あるいは流通・販売という、いずれの段階でもチェック体制が十分でない、不備であるということ。それから3号ポルノ、先ほど着エロであるとかイメージビデオなどについても紹介しておりますけれども、それら含むと思われる3号ポルノ等について、実質的なチェック体制が不備であるということがあげられます。

具体的にもう少し見ていきたいと思います。児童ポルノについてなんですが。ここをあまり詳しく言ってますと時間がなくなるんですけれども。1号ポルノ、2号ポルノ、そして3号ということで分類をしております。私たちが店頭で発見動画作品には、この1号ポルノ、2号ポルノもあり、また3号ポルノもあったということで、先ほど見ていただいたかと思います。

少なからず作品が、メーカー等の業界団体が自主的に行っている審査団体ですね、その審査を受けていないということも調査の結果判明しております。

そういった審査団体の審査を受けていない作品でも、大手のアダルトビデオ店で公然と販売をされている。あるいは、インターネット上でDMMなどの大手通販サイトでも販売されている(注:この報告書を受け、DMM.comは18歳未満のイメージビデオの取り扱いを停止)と。こういうことが確認できております。

審査団体については詳しく報告書のほうで、どのようなものがあるかということを報告しておりますので、(報告書の)30ページのところから見ていただけたらと思うんですけれども。

その審査団体の審査を通っているにもかかわらず、出演者が小学生であることをことさらに強調する、児童ポルノの疑いが高い作品もあるということで、先ほど見ていただいたと思いますが、18ページのところで指摘をしたものですね。『●●ちゃんは139cmの小学生』というものですけれども、これは審査を通っているというものもあったんだけれども、それでも児童ポルノの疑いが高い作品であったということが確認できております。

審査団体からの聞き取りによると、出演をする者が18歳未満であるかどうかという年齢を確認をするプロセス、そしてその体制がないということでございます。

自主的に2015年1月以降、審査基準を厳しくしているということなんですけれども。ただ、この審査基準は公表されていませんので、具体的な基準というものは確認できておりません。

それから、先ほどの「審査を経ているのに」という、先ほどの小学生のものなんですけれども。これは審査基準を新しくしたけれども、その前の基準で通った作品だろうと、商品だろうということで、回収されることなく販売・流通が続けられているのが現状であると、こういうことでございました。

それから次のところ、児童ポルノの定義ですけれども、これは先ほどからお話ししている児童買春・児童ポルノ禁止法にもとづく1号、2号、3号の定義を書いておりますので、ご確認いただけたらと思います。

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