2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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小池百合子氏(以下、小池):みなさん、こんにちは。本日は知事主催の記者会見とさせていただいておりますが、多数ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
それではただいまより、築地市場の豊洲新市場への移転に関しまして、最初にまず私から結論を申し上げさせていただきます。
11月7日に予定されております、築地市場の豊洲新市場への移転については、延期といたします。
また、11月2日に予定されております築地場内市場の閉鎖およびその後の解体工事も延期とさせていただきます。
延期に決断にいたりました最大の理由でございますが、ご承知のように私はかねてより「都民ファースト」という言葉を繰り返し述べさせていただいております。
つまり、都民のみなさま方、そして市場で働くみなさま方にとってこの移転が本当に納得のいくものであるのかどうか。また、あるべきだと。このように考えたからでございます。
11月7日の築地市場の豊洲新市場への移転につきましては、まあいろいろな話がございます。もう時間がないとか、既定路線を走るしかないだろとか、なにを今さら立ち止まって考えるんだ、などという強いご意見があることも重々承知をいたしております。
確かに、豊洲の新市場、すでに建設済みでございます。そして土壌の汚染対策も行ってまいりました。そして都議会のみなさん、業界団体のみなさんも移転については了承されてこられました。
また、11月7日に移転が行われないと、環状2号線が2020年のオリンピック・パラリンピックに間に合わないと、このようにも言われております。
移転の準備をしている業者の方々も延期をすると混乱するではないかと、このような意見があることも事実でございます。
しかしながら、小池都政におきましては、もう既定路線だから、一度作ってしまったのだからなにも考えなくてもよい、という考え方はとりません。
これまでの決定で、都民ファーストにもとづいていないものについては、都民のみなさま方の目線で情報を公開して、そしてその事象の経緯を明らかにして、都民の利益を第一に考え、ときには政策を変更して、都政運営をしてまいる。このことについては、かねての会見等々で繰り返しお伝えしてきたところでございます。
また都知事選の選挙中、都民のみなさま方から、「豊洲新市場は安全なのか」という声を聞いておりました。そこで、立ち止まって考えるべきだと言ってまいりました。
また、前回ご紹介いたしました、2008年に私自身が記しました、豊洲について、築地についての考え方、これもお読みいただいた方もおられるかと思います。
まさしく立ち止まって考えるべきということで、知事就任後も立ち止まって考えてきたわけでございます。そして知事に就任してから、11月7日の築地移転に関して賛成・反対それぞれの意見をお持ちの業者、そして業界の代表者の方々のご意見もうかがってまいりました。
また、この問題に長く携わってこられた方々からのお話もうかがったり、それに関する本なども読んでまいったところでございます。
このように、11月7日の移転については、賛否両論がございます。一方で、豊洲新市場でございますけれども、使い勝手上の問題があるというお話もうかがっているところでございます。
私自身、豊洲の新市場の視察をいたしました。大変な費用をかけて、大変立派な建物を建設し、また土壌汚染対策についても最新の技術を採用していること、これは実地に見て回ったわけでございます。もちろん、役所の担当者の方々、関連部局の方々、経緯、考え方、そしてさらに専門家の方々のお話もつぶさにうかがってきたところでございます。
もちろん限られた時間のなかでの検討ではございますけれども、都民ファーストの視点から、私はまだ3つの疑問点が解消されていないと考えております。
第1は、安全性への懸念でございます。第2は、巨額かつ不透明な費用の増大でございます。第3は情報公開の不足であります。
まず、この安全性の確保でございますけれども、なによりも、と言いますか、言うまでもなく、豊洲の新市場は生鮮食料品を取り扱う市場でございます。だからこそ849億円もの費用をかけて、土壌汚染対策法に即して、土壌汚染対策を実施してまいったところでございます。
そして、その安全性の確認のための地下水のモニタリングについては、第1回が2014年の11月18日。そして、11月29日にかけまして、201ヵ所から採水をして行ってまいりました。
にもかかわらず、この2年間のモニタリングを完了する前に豊洲市場を開場しようという話に今、なっているわけですね。
なぜこのように多額の費用をかける必要があったのか、安全性は大丈夫なのか、という話になるわけでございます。
このように、第9回が2016年の11月18日に最後の採水が予定されていて、そして年明けの1月にその結果が公表されるという予定になっていて、ここ(第8回)の段階にあるわけでございますけれども、あと1回の部分、法律上の問題はないという話もありますけれども、しかしながら、こと生鮮食料品、水産物でございます。
私は環境大臣の経験からも、やはり食の安全ということについては、生活者の目線、そしてまさしく都民ファーストの感覚ということを大切にしなければいけないのではないかと、このように考え、また拙著にもそのテーマを記させていただいたところでございます。
地下水のモニタリング結果をご紹介していきたいと思います。
ちょっと見にくいかもしれませんけれども、左の列から第1回、第2回、そして一番右が第7回となっているわけでございますけれども、不検出の地点を一番薄い青にしております。0.001ミリグラムパーリッター。
それ以上、0.005ミリ未満を少し濃い青で記させていただいております。それから、0.005以上、0.009未満。これは一番濃い青にプロットをしているところでございます。
ちなみに、不検出というのはゼロというわけではない。定量の下限値未満であるということで、この場合は0.001ミリグラム未満であるということを示しております。
例えば、5街区の41地点のみのこれまでの7回のモニタリングの結果を見てみますと、いずれも環境基準値以下となっております。しかし検出値というのは単純な経時変化というわけではございません。時間が経てば不検出になるという話ではないということであります。
ですから少なくとも、2年間のモニタリング結果を見届けるというのは、これは安全性の確認、そしてその説得力ということにおいては譲ることはできないと、このように考えているわけでございます。
環境・そして安全面からのお話をさせていただきました。
それから次に費用の増大についてでありますけれども、豊洲新市場の費用は、全体で2015年の3月の時点で5,884億円となっております。建物の建設費だけで2,752億円。
まず、市場の建設にこれだけ費用がかけられれている、そのことだけでも私は驚いてしまいます。
また、全体予算でありますけれども、2011年は3,926億円でありました。それが4年間で5,884億円に膨らんでいるということであります。
とくにグラフの青い棒、こちら費用の推移・内訳でありますが、この水色が建設費で、橙色が土壌汚染対策費、それからグレーが用地の取得費、そして一番右の黄色ですね、これが関連工事費となっています。グラフの青い棒グラフ、建物の建設費が990億円から2,752億円へと急膨張いたしております。
昨今の建設コストにつきましては、よく言われるように、人材もそれから資材も高騰していることは、これはオリンピックなどの建設についても同じようなことが言えるわけではございますけれども。それにしても3倍近い増大に関しては、これはきちんと精査する必要があると、ちゃんと都民に説明をする必要があると、このように私は考えております。
さらに、この豊洲新市場の建物の坪単価を計算してみたいと思いますけれども。これは豊洲新市場の坪単価、なんと坪当たり約220万円なんですね。同様の建物の坪単価の相場というのを、いろんな参考例を見ますと、だいたい50~60万円なんです。
そもそも坪単価は異常に高い。その大きさ、なぜそんなに大きくなったのか、その理由は、私も知りたいと思います。
坪単価200万円を超える建築の代表例をあげてみたいと思うんですが。国立新美術館、これは黒川紀章さんの設計だと思いますけれども、こちらが坪単価約260万円なんですね。
資材が高騰する、人件費が高騰する前の2006年の竣工ということではありますけれども、要は豊洲新市場はこのクラスの建物だということを、わかりやすくご説明させていただきました。
これが国立新美術館、外観も館内も美しい曲線となって、建築コストはさぞかしかかっただろうなと。曲面はガラスになっておりますし、造形物としてもたいへんすばらしいと。またネットでもみなさんチェックしていただければと、このように思います。
かたや、こちらが豊洲の新市場であります。みなさんもいろいろ取材にいらしたことだと思いますけれども。
都民の大切な税金をお預かりする身といたしましては、やっぱりなぜこうなったのか、これが適正なのかどうかということを、やはり一度明らかにしなければならないと、このように思います。
3つ目でありますけれども。明日から改革本部がいよいよスタートいたしますが、まさしく情報公開の問題であります。
「いや、もう十分ネットに書いてあるさ」というようなご意見もございましょう。「ただ、みんな関心を持たなかっただけだ」というお話もございましょう。
しかしながら、この豊洲の新市場が2,752億円もかけた立派な建物だけれども、そこでこんなにお金をかけていながら、そこで仕事をする業者さんからいまだに不満が多く出てくるのはいったいなんなのでしょうか?
それから、849億円もかけて土壌汚染対策をしているのに、安全性への疑問が絶えないのはいったいなんなんでしょうか?
それは、私は、やはり適切な情報開示・情報公開が行われて、または、ちゃんとそれが伝わっていなかったからではないだろうかと考えるわけでございます。だからこそ私は、都民のみなさんが持たれるこういった普通の疑問、これに対して真摯に答えていかなければならないと考えております。
今、申し上げましたようないくつかの大きな課題、これらを総合的に勘案をいたしました。立ち止まって考えてまいりました。そして、その結果は冒頭に申し上げましたように、11月7日の築地市場の豊洲延期をして、措置を講じていきたいと思います。
そしてこの作業、具体的には、市場問題プロジェクトチームという組織を立ち上げることといたしておりまして、その作業には、こちらにおられます小島特別顧問を中心として、建築の専門家、土壌の専門家、公営企業経営の専門家などのご専門のみなさま方によるプロジェクトチームを設けていきたいと思っております。
そして、今申し上げたようなさまざまな、都民のみなさま方が抱いておられる不安・不信、こういったものにちゃんと答えられる、もしくは「ここがおかしい」といったようなことを精査していきたいと思っております。
その中身なんですけれども、第1に土壌の汚染の安全性を少なくとも、今年11月18日以降に採水された地下水の検査を行って、2年間の地下水モニタリングの結果を確認してから判断をするということであります。
だいたいデベロッパーの方々に聞きますと、「これだけやっていれば安全性は確認できているんだ」「だからいいんです」という話は聞きますけど、それはデベロッパーの都合であって、私たち都民の安全性に対する信頼性が、2年間を待たずしてそれでオッケーを出してしまうということに関しては、いかがなものかと思います。
昨日も、三菱自動車が記者会見を行っておられますね。これまでも大気汚染の問題もありました。いろんな計算の話もありました。やはりそういったことは、企業はやるわけですから、そのことを、私は2年間であるならばきっちりやるべきであるというのがまず1点。ですから、プロジェクトチームでこの点について、チェックをしていただきたい。
2番目、豊洲の新市場の施設でございますけれども、実際に事業をされる業者の方々の声を率直に聞いて、可能な限り安全で、働きやすいものにいたしてまいりたいと思います。
まあ言ってみれば、仕立てた服に身体を合わせるというのではなくて、実際にそこの市場で働く方々が、身体に合った服を仕立てるということが大切なわけで、どのような改善策が必要なのかといったことも同時に、プロジェクトチームでチェックをしていただきたいと思っております。
3番目、豊洲の新市場の関する経済的な観点からの事業の継続性、予算の適正性、これについても調査をしてまいります。
そして、(4番目)新たな移転時期でございますけれども、これらの調査の進展を待ち、できるかぎり速やかに判断をいたします。
もちろん先ほどのオリンピック・パラリンピックの話もございました。道路の建設を優先した結果、このように前倒しになったという話も聞きます。
ですけれども、こういったことをきちんと精査した上で結論を出していきたいということで、時期についての判断をしていきたいと思います。
5番目でございますけれども、豊洲の新市場に移転される方々、または移転にあたって廃業される方々への支援。とくに廃業される方々についての支援もこれまでいろいろと検討してまいったところでございますけれども。
それから築地の場外市場、この方々への支援。延期にともなって生じる事象に対しての相談についても、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
以上、私のほうから、11月7日の豊洲新市場への移転の延期の会見についての中身とさせていただきます。
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