2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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孫正義氏(以下、孫):1949年、なにが起きたか思い起こしてください。それは、コンピュータの誕生でありました。ノイマン型コンピュータ。これは、今まで人々が世界中で使っているコンピュータの原型であり、今存在する全てのコンピュータは、ノイマン型のコンピュータと言ってもいいのではないかと思います。これが現在のコンピュータの生まれでありました。
このコンピュータは今まで、人間の脳でいえば左脳を請け負ってまいりました。より早く計算をする、記憶をする、検索をする。様々な機能がありますけれども、それは人間がロジカルに物を考え、ロジカルに情報を整理し、また伝えるということに役立ってきたわけであります。
それから65年が経ちました。今日、この日が、100年後200年後300年後の人々が、「コンピュータがあの日から変わった」と言えるような歴史的な日になると、私は思っております。
この歴史的な転換点の日、この日を皆さんと一緒に迎えることが出来るというのは、私の長い間の夢でありました。もう25年くらいになりますかね。その頃から、コンピュータはいずれ、人間の脳の別の側、つまり右脳ですね、感情だとか創造性だとか、そういうようなところにも役に立つと。そういう働きもコンピュータがするようになる、というふうに私は思っておりました。
これは今までのコンピュータの役割に対する期待と全く真反対のものであります。人の感情や心ってなんだろう、というふうに今まで考えてきました。それに対する想いが、ここで花開くということになると思っております。
孫:世界初の、感情を持ったパーソナルロボット。それがpepperであります。
これは我々のビジョンということですから、今日皆さんにお見せするこのpepperが、人間の持つ感情・心の全ての部分をやれるというふうには思っておりません。あくまでも第一歩であります。しかし我々のビジョンは、愛を持ったロボット、感情を持った、心を持ったロボットを作りたいというものであります。
人の感情をまず理解する、というところから始まるべきだと思っております。感情を理解し、自らの意思で動くロボット。それが我々の目指すロボットであります。つまり、家族が嬉しい時、それは自分も嬉しくなる。家族の喜び=自分の喜びだと感じてくれるロボット。それが我々の願いでありました。
今までのコンピュータというのは、我々人間があらかじめプログラミングしたものを、そのまま実行するというものでありました。当然、ロボットもそういうようなものでありました。
しかし我々が目指しているのは、パーソナルロボットとして、家族の喜びのために動く、人の喜びのために動く、自らが意識をもって、自らの意思で人々に幸せになってもらいたい、そういうような思いで動くロボットであります。
パーソナルロボットの特徴、それは感情エンジンを持っているということ。そしてその感情エンジンが、クラウドのAI、人工知能でもって動作するということであります。
人は褒められると嬉しくなります。もっと褒められたいと思います。感情というのはそういうものではないかと思います。もっと褒められたい、そして嬉しいと思うこと、それを学習すること。それで人々はそのことについて学び、ますますそのことが上手になっていきます。
我々はこの感情エンジンに対して、嬉しいという気持ち、ありがとうという気持ちを学習させ、「これは良いことなんだ」とロボットが認識できるようにします。感情を数値化します。この数値化された感情を、自立して学習するということであります。
その学習は、1台1台のロボットだけで行われるわけではありません。数多くの、何万台 何十万台 何百万台のpepperが、それぞれの家族、お店、会社で学んだこと、学習したこと、そして得た感情、それを我々のクラウドベースのサービスで認識し、一気にいち早くそれを進化させていくということであります。加速度的な進化がそこに生まれると思っております。
それぞれの家庭のなかに置かれ、存在しているpepper。これはプライベートなAIとして、その家庭のなかだけのプライバシーを、セキュリティを守りながら、クラウドの上に格納します。これがプライベートモードのAIです。
あわせて集合知として、あちらのpepperが叱られた、とそういう出来事があったならば「叱られたことは悪いことだ」と、他のpepperも同時に「それは悪いことだ。イケないことなんだ」というふうに潜在意識の中で学習していくと。「良いことだ」と褒められたことも、潜在意識の中で集合知としていち早く学習していく。
だから、1台が学ぶことによる進化ではなくて、集合体として学んでいく。それが、空気を読んで人々を笑顔にする、というものであります。
孫:子どもの感情を理解し、あやす。一緒に本を読もう、と読んで聞かせる。そして子どもがそれを喜んだと。そして、家に帰ってきた母親に、「今日は絵本を読んでたくさん笑ったよ。すごく2人で楽しかったよ!」と、ベビーシッター役としてのpepperが報告致します。感情の振れが大きいということは、それだけより多く楽しんだということになりますね。
例えば、パーティープロモーターという役割も果たします。「誕生日おめでとう!」と言って、一緒にpepper君と家族が誕生日をお祝いします。やはりこの中でのハイライトは、バースデーケーキのろうそくを主役のちっちゃな女の子がフッと消す、バースデーソングを歌ってみんなで拍手するところ。その感動的なシーン、それは大切なシーンですね。
ですからクラウドで情報を記録していく際も、感情が大きな振れ幅を見せているとの認識の時、すごく喜んだ、すごく笑った、すごく悲しんだ、というようなところを、より鮮明にクラウド上のメモリに格納します。
ただ単に、ボーっとしているとき。留守番してて窓の外の景色を見ていたら、カラスが飛んでいった、と。この程度のことであれば、感情の振れ幅が大きくないので、それは圧縮して記録すると。あるいはその記憶を消し去る、簡素化させるということも同時に行います。単純に全てを記録するのではない。感情の振れ幅を見ながら、効率的な記録を行うということです。
従来のロボットというのは、それぞれの個体のCPUとメモリ、そして予めプログラミングされた内容を実行するということでありましたので、能力は限定的で、成長余力は少ないというものでした。
我々のこのパーソナルロボットpepperは、感情エンジンを持って、クラウド側に、つまりインターネットの向こう側に存在している、格納されるべきところに記憶され、一気加速的に空気を読みながら学習していくということになります。
今回はそのビジョンに向けた第一歩の発表であります。時々間違えたりします。でも、どんどん学習していきます。このビジョンに向けた最初のロボット、それが今日のpepperであります。
孫:世界初の感情認識パーソナルロボットpeppr君。さっそく発売致します。一般の皆さんに発売致します。これは単にデモンストレーション用のものではありません。
一般の皆さんに、来年の2月から発売を致します。価格は19.8万円です。パソコン1台の値段と変わらないですね。ロボットというと何千万円する、最低でも何百万円すると思いがちですが、我々はこの本体価格を19.8万円で、一般の家庭でもパソコン並みの値段で買えるということです。
この発売に先駆けて、我々のソフトバンクショップで順次していきますけれども、さっそく明日から、ソフトバンクの銀座店・表参道店で、皆さんが直接見れます。毎日、そこで働きます。接客を致します。
接客するときに、「今日はここまで○○人来店している。たくさん来てるな。お客さんが喜んで拍手してくれるな」その感情を認識します。たくさん喜んでいただいたダンスだとか挨拶、ジョークだとかをしっかり記憶して、それをまたもっとウケるように、他のお店でもやったり、ということをします。笑顔を認識します。喜びを認識します。
孫:ところでpepperを見て、「なんで二本足で歩かないんだ」というふうに思った方がいるかもしれません。世の中に発表されている二足歩行ロボットは、せいぜい30分~1時間しかバッテリーが持ちません。
我々のこのpepper君は、最低12時間連続稼働させることを目的に、あえて2本足を外して、安定的に動けるというように致しました。バッテリーもそこに詰まっております。ですから、非常に実用的な形でいきます。
孫:クリエイターの皆さんにも場を提供したいと思います。今年の9月に、アプリケーションの開発者向けのイベントを行います。クリエイターの皆さんには、開発用のSDKをお配り致します。で、皆さんが開発をどんどん進められるようにしてまいります。
もう1つ、我々は感情エンジンのクラウドサービス、「Cocoro SB」という会社を設立致します。この会社で、クラウドでの感情サービスを行ってまいります。
心を持つロボット。これを我々ソフトバンクは目指していきたい。感情エンジンとクラウドAI、これが我々の特徴です。人々の喜びを大きくしたい。人々の悲しみを少なくしたい。これが我々の願いであります。情報革命で人々を幸せに、というのが、我々の理念であります。
これからも頑張っていきます。ぜひ、宜しくお願い致します。
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