【3行要約】
・TOEICに挑戦する社会人の多くが勉強を継続できないのは「明確な目的がない」「自分に合った学習法を見つけられない」「上達を実感できない」という理由が存在します。
・根岸貴規氏によれば、忙しい社会人こそ生活リズムに学習を組み込みやすく、仕事で培った自己マネジメント力がTOEIC勉強の強力な武器になるとのこと。
・社会人がTOEICで高得点を取るには、単語の瞬間認識、文法問題の反復、リスニングの精読・多聴、長文の音読を徹底し、日常の中に学習を組み込む「仕組み」を作ることが重要です。
社会人のTOEIC勉強が続かない原因
多くの社会人がTOEICをはじめとする英語学習を始めるものの、途中で「しんどい」「大変だ」と感じて挫折してしまいます。
その苦しさの背景には、いくつかの共通した理由が存在すると、英語講師・英語コーチの根岸貴規氏は指摘します。その理由の1つ目は、学習の目的や目標が明確でないことが挙げられます。なぜ英語を学ぶのか、TOEICであればどのスコアまで到達したいのかがはっきりしていないと、学習のモチベーションを維持することは困難です。単に「やっておいたほうがいいから」という漠然とした理由では、日々の地道な努力を続けるためのエネルギーが湧いてきません。
次に、効果的でない勉強法を続けているケースです。TOEICの学習方法には多種多様な選択肢がありますが、自分に合わない方法を無理に続けていては、成果が出にくく、学習そのものが苦痛になってしまいます。同様に、自分のレベルや興味に合わない参考書や問題集を使っていることも、学習意欲を削ぐ大きな原因となります。
これらの要因を理解し、一つひとつ対策を講じることが、TOEICの勉強をより楽で楽しいものに変える第1歩です。
そして何よりもTOEICの勉強がつらく感じられる最大の理由は、上達がなかなか実感できないという点にあります。英語の上達は一朝一夕にはいかず、相応の時間がかかります。語彙や文法の暗記といった知識の蓄積だけでなく、スポーツのように「体で覚える」スキルが求められるため、他の教科の学習プロセスとは根本的に異なります。ルールを知識として理解しただけでは、実際に「できる」ようにはならないのです。
この英語学習特有の性質を理解していないと、すぐに結果が出ないことに焦りや無力感を覚えてしまうでしょう。この「上達を実感しにくい」という壁を乗り越えるためには、成長を可視化する工夫が非常に有効です。具体的な方法として、以下の3つが挙げられます。
- TOEICの試験を定期的に受験する
- 同じ問題集を繰り返し解き、正答率の向上を確認する
- 映画、洋書、洋楽などを通じて「理解できた」という成功体験を積む
TOEIC試験は、現在の自分の英語力を客観的なスコアや級で示してくれます。定期的に受験することで、自分の成長を定点観測でき、学習の進捗を具体的に把握することが可能になります。
また、英語が得意な人は、1つの問題集を完璧になるまで繰り返し解いています。最初は解けなかった問題が解けるようになったり、正答率が上がったりすることで、自身の弱点が克服されていく過程を実感できます。わからないところがなくなるまでやり込むことで、苦手意識が自信へと変わっていくのです。
さらに、学習ばかりでは飽きてしまうため、映画や洋楽といったエンターテイメントを活用するのも効果的です。以前は聞き取れなかった歌詞が聞き取れるようになったり、字幕なしで映画のセリフが理解できたりといった経験は、TOEICの勉強にやりがいと喜びをもたらします。
このような「できるようになった」という実感の積み重ねが、つらい学習を楽しく前向きなものへと変える原動力となるのです。
なぜ忙しい社会人こそTOEICの勉強で成功しやすいのか
「英語を学ぶなら、時間のある若いうちがいい」という考えは、広く信じられている通説です。
しかし、12,000人以上を指導してきた経験から、根岸貴規氏はむしろ40代以降の社会人こそ、英語学習に最も適していると言います。体力や気力が若い頃より衰えていると感じるかもしれませんが、英語の上達に最も必要なのは、体力や才能、センスといった要素ではありません。それは「自己マネジメント力」です。
若い頃にはなかった社会人としての豊富な経験値こそが、40代以降の社会人学習者にとって最大の武器となります。仕事を通じて培った目標設定能力、計画立案能力、そして自己分析能力は、TOEICの勉強というプロジェクトを成功に導く上で極めて強力なスキルとなるのです。
多くの社会人学習者が口にする「仕事が忙しくて勉強時間がない」という悩み。しかし、実は「忙しい人ほど英語学習は続けやすい」という逆説的な真実があります。英語学習の継続を支えるのは、確保できる時間の総量ではなく、生活リズムの中に学習を組み込む「仕組み」だからです。
例えば、丸1日休みがあったにもかかわらず、結局何もせずに終わってしまったという経験は誰にでもあるでしょう。時間があることが、必ずしも学習の進捗に結びつくわけではないのです。
むしろ社会人であれば、朝の出勤前のわずかな時間、通勤電車の中、昼休み、帰宅前のカフェでのひと時など、学習に使える時間帯が生活パターンによって自然と決まってきます。
これは見方を変えれば、「毎日同じ時間に英語学習を習慣化しやすい環境にある」ということに他なりません。つまり「忙しいからできない」のではなく、「忙しいからこそ続けやすい」というのが、社会人のTOEIC学習の本質です。
実際に、根岸氏が多忙な会社員時代に英検1級に合格できたのも、英語を「やるかどうか」で悩むのではなく、「いつやるか」をあらかじめ決めていたからだと語ります。 - 通勤時間は単語アプリに取り組む
- ランチを食べ終えたら3分間だけ音読する
- 会社を出る前に瞬間英作文を数問解く
このように、日々の決まった行動にTOEICの勉強の時間を紐づけて組み込んでしまうのです。これは根性や努力で乗り切るのではなく、行動を自動化する「仕組み」の力です。