社会人がTOEICスコアを最短で伸ばすための英単語学習戦略
TOEICのスコアを効率的に向上させるためには、何よりもまず単語力の強化が不可欠です。リーディングであれリスニングであれ、語彙力がなければ英文を正確に理解することはできません。
単語学習における最終的な目標は、「1単語につき1つの意味を1秒以内に思い浮かべること」です。試験本番では、一つひとつの単語の意味をじっくり考えている時間はありません。単語を見た瞬間に、あるいは耳にした瞬間に、その意味が自動的に頭に浮かぶレベルにまで到達する必要があります。
この「自動化」を達成するためには、単語帳を何度も高速で繰り返すトレーニングが極めて効果的です。その際、意味だけでなく、正しい発音も一緒に確認しながら覚えることで、リスニング力の向上にも直結します。
TOEIC対策の単語帳としては、レベル別に編集されている
『TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)』や
『TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)』が非常に役立ちます。
自分の現在のレベルに合わせて、例えばTOEIC600点を目指すなら
『TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)』から、それ以上を目指すなら
『TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)』から始めると良いでしょう。
これらの教材を使った具体的な覚え方を根岸貴規氏が紹介しています。多くの単語帳は日本語→英語の順で掲載されていますが、この順序で覚えようとすると挫折しやすい傾向があります。まずは、英語→日本語の方向で、見出し語を見て日本語の意味が瞬時にわかる状態を目指してください。
「1日100単語」をノルマに設定し、それを1週間ひたすら繰り返しましょう。もし可能であれば、1日200単語に挑戦するとさらに効果が高まります。
ここでのポイントは、1つの単語に時間をかけてじっくり覚えようとするのではなく、瞬間的に単語を見て意味を確認し、次々とページをめくっていくイメージで進めることです。この高速回転を、最低でも「朝、昼、夜」の1日3回行いましょう。脳のメカニズム上、接触頻度が高ければ高いほど記憶は定着しやすくなります。1日3回の反復を1週間続ければ、合計で21回転することになり、かなりの単語が記憶に定着するはずです。
さらに、通勤時間や休憩時間などのスキマ時間を最大限に活用すれば、1日に10回以上繰り返すことも不可能ではありません。1日10回を1週間続ければ合計70回転となり、目標達成はより確実なものとなるでしょう。この地道な反復こそが、強固な語彙力の土台を築くのです。
英文法の壁を突破する効率的な勉強法
TOEICで高得点を獲得するためには、単語力と並んで文法知識の理解も不可欠です。特にPart5の短文穴埋め問題は、文法知識が直接スコアに結びつくパートであり、ここを安定した得点源にすることが全体のスコアを底上げするカギとなります。
幸いなことに、TOEICで問われる文法の範囲は、大学入試ほど広くも複雑でもありません。したがって、基本的な高校英文法がしっかりと身についていれば、社会人でも確実に得点を稼ぐことが可能です。
根岸貴規氏によると、英語学習から長期間離れていた社会人の方は、まず中学レベルの英文法から復習を始めることをお勧めしています。『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』のような教材を使い、あまり時間をかけずに基礎を総ざらいすることで、その後の学習がスムーズに進みます。
中学レベルの基礎に不安がなければ、大学受験用の文法問題集である
『Next Stage 英文法・語法問題[4th Edition 新装版]入試英語頻出ポイント 218の征服』の文法パートをざっと理解するだけでも、TOEICで求められる文法知識の大部分をカバーできます。もしこのレベルが難しいと感じる場合は、無理せず中学英文法の復習に戻ることが重要です。
基礎が固まったら、次はいよいよTOEICに特化した文法対策へと移行します。ここでおすすめの教材が、
『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』です。この教材は、TOEICのPart5で頻出する文法項目だけに絞って効率良く学習できるように設計されています。
『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』の活用法としては、とにかく反復練習に尽きます。まずは1度すべての問題を解き、できなかった問題や正解までに時間がかかった問題に印をつけます。そして、その印がついた問題を重点的に、最低でも5周は繰り返しましょう。
理想的には20〜30周繰り返し、すべての問題を見た瞬間に正答がわかるレベルまで到達することを目指します。瞬時に解けるようになった問題には別の印をつけるなどして、自分がまだ習熟していない問題に集中して取り組むことで、学習効率を最大化できます。
試験直前の数ヶ月間は、毎日100問程度を目安に取り組むと非常に効果的です。Part5の文法問題と語彙問題でほぼ100パーセント正解できるようになれば、リーディングセクション全体を時間内に解き終えるための大きなアドバンテージとなります。
質よりも量をこなし、問題をパターンとして体に覚え込ませることが、文法パート攻略の最短ルートです。
リスニングパートで満点を狙うためのトレーニング
TOEICのリスニングパートで高得点、特に400点以上を獲得するためには、単に問題を解くだけでなく、英語の音を聞き取る能力そのものを根本的に向上させるトレーニングが不可欠です。
そのための最も効果的なトレーニング方法が、「精読」と「多聴」の組み合わせだと根岸貴規氏は言います。具体的なトレーニング手順は以下のとおりです。まず使用する教材は、本番のナレーターとほぼ同じ音声が収録されている
『公式TOEIC Listening & Reading 問題集』が最適です。最新のものを用意し、Part3・4の放送文を徹底的に精読します。知らない単語や文法事項がないように、辞書などを使いながら文章の意味を完璧に理解してください。
次に、そのスクリプトを見ながら音源を聞きます。文字と音を一致させ、意味を思い浮かべながら聞けるようになるまで、何度も繰り返します。この段階をクリアしたら、次は再生速度を1.2倍、1.5倍と徐々に上げて、同じように繰り返し聞く「多聴」のトレーニングに移ります。ふだんから速いスピードの英語に耳を慣らしておくことで、本番の音声が非常にゆっくりと感じられるようになり、心理的な余裕が生まれます。
さらにリスニング力を盤石にするためには、音読トレーニングも有効です。公式問題集1冊分のPart3・4のスクリプトを、最終的には何も見なくてもスラスラと暗唱できるレベルまで音読を繰り返します。これにより、リスニングパートで400点以上を獲得する土台が築かれます。
また、より高度なトレーニングとして、音源に布団を被せて意図的に音をこもらせた状態で聞く「精聴」も効果的です。これにより、音の芯を捉える集中力が鍛えられます。最終的には、どのような環境でも正確に聞き取れるように、日々の学習から本番を意識したトレーニングを積み重ねることが重要です。
根岸貴規氏は、TOEICで高得点を取るために必要なことについて、次のように述べています。
やるべきことは決まっています。後は量をこなして自信をつけることです。高得点に届いていない方達の特徴は、圧倒的に反復の量が足りていないことです。頭の良し悪しや記憶力、才能の有無ではありません。
やるかやらないかです。必ず達成できます。優先順位を上げて、目標達成まではTOEIC中心の生活をするように心がけましょう!
引用:「半年でTOEIC900点」を達成するための月別学習プラン 「1日100単語」で効率的に英語力を伸ばすコツ(ログミーBusiness)
時間内に全問解答するための長文読解スピード向上術
TOEICのリーディングセクション、特にPart7は、多くの受験者が最難関パートと感じる部分です。その最大の理由は、英文の圧倒的な「量」にあります。
試験時間内にすべての問題を解き終えることができず、最後の問題を塗り絵状態で終えてしまう経験を持つ人は少なくありません。この時間不足問題を根本的に解決するには、ふだんの学習から意識的に量をこなすトレーニングが不可欠です。
しかし、ここまでに解説した単語学習、文法学習、そしてリスニングトレーニングを丁寧に行っていれば、Part7の長文に対して過度な抵抗感を抱く必要はありません。強固な語彙力と文法知識、そしてリスニングの多聴トレーニングによってまとまった量の英文を理解する力が身についているため、あとは長文読解特有の形式に「慣れる」だけです。
Part7のスキルを上げるために最も効果的なトレーニングは、リスニング対策と同様に、精読した長文を「音読」することです。解き方やテクニックに意識を向けるのではなく、英文そのものをたくさん読み込むことで、英語力自体を高めるアプローチが遠回りのようで最も確実な道です。
具体的な学習手順としては、まず公式問題集などの教材を使って時間を計って問題を解きます。その後、答え合わせをして、解いた問題の文章だけを徹底的に精読します。一文一文の構造を正確に把握し、知らない単語や表現はすべて調べ、文章全体の内容を隅々まで完全に理解するように努めるのです。
この精読のプロセスを経た文章を、今度は何度も音読します。音読を繰り返すことで、日本語に訳さず英語の語順のまま意味を捉える「返り読みしない」読み方が身につき、読解スピードが飛躍的に向上します。特に、試験後半に配置されている難易度の高い長文や、複数の文書を関連付けて読まなければならない問題を重点的に練習することが効果的です。
最初は1つの長文を読むのにかなりの時間がかかり、大変だと感じるかもしれません。しかし、このトレーニングを続けていくと、ある時点から「こんなにスムーズに英語が読めるのか」という快感に変わる瞬間が訪れます。
使用する教材は、本番の形式に最も近い最新の
『公式TOEIC Listening & Reading 問題集』から始め、徐々に古いものに遡ったり、コンパクトで持ち運びやすい「読解特急」シリーズなどを片っ端からこなしていくことをお勧めします。
この地道な「精読」と「音読」の反復こそが、Part7を時間内に余裕を持って解き切るための王道なのです。