【3行要約】
・「即レス」は単なる返信の速さではなく、信頼構築や自己管理の効率化につながる重要なビジネススキルです。
・グロービス経営大学院の熊谷翔大氏は「返信の速さが信頼を生み、おもしろい仕事を任される好循環につながる」と指摘しています。
・「5分以内で終わる作業は即対応」「未読ゼロを習慣化」といった具体的な方法を取り入れ、個人の生産性と組織全体の働きがいを向上させましょう。
即レスとは? 仕事ができる人の共通文化
ビジネスの世界において、「仕事ができる人」にはいくつかの共通項が見受けられますが、その中でも特に顕著な特徴の1つが「返信の速さ」、すなわち「即レス」であると言えるでしょう。ここでいう即レスとは、連絡を受け取ったらすぐに何らかの返答をすることを指します。
あなたの周りにも、連絡をするとすぐに返事をくれる、仕事がスムーズに進む方が何人か思い浮かぶのではないでしょうか。そうした方々は、おそらく周囲から厚い信頼を寄せられているはずです。
実際に、連絡をしてから2、3日も音沙汰がない人に対して、仕事ができると評価されるケースはあまり多くないかもしれません。これは、即レスをする方々が単に時間を効率的に使っているというだけでなく、コミュニケーションの重要性を深く理解し、相手への配慮を怠らない姿勢の表れとも考えられます。
このことについて、グロービス経営大学院の、学生たちとの交流のエピソードがあげられます。ある時、飲み会の企画が持ち上がり、日程調整の話になった際、参加を呼びかけた学生の1人が、その場ですぐに日程調整ツールを作成しました。
驚くべきは、その後の展開です。ふだんは仕事や家庭のことで非常に忙しいはずの数十人ものメンバーがすぐに登録を済ませ、瞬く間に飲み会の日程が確定したのです。
この一連の流れが示すのは、個々のタスク処理能力の高さだけではありません。全員が「ボールを自分のところで止めない」という意識を共有し、組織として円滑に物事を進めようとする文化が根付いていることの証拠と言えるでしょう。
このように、即レスは個人のスキルに留まらず、チームや組織全体の生産性を飛躍的に向上させる力を持っています。リーダーやマネージャーの立場にある方ほど、多くの連絡を受け取るため、この即レスの習慣はより重要性を増すと言えるでしょう。
即レスがもたらすビジネスにおけるメリット
レスポンスを早くすることのメリットは多岐にわたりますが、その中でも最も根源的で重要なのが「相手からの信頼を得られる」という点です。
ビジネスにおけるコミュニケーションの大部分は、相手との信頼関係の上に成り立っています。想像してみてください。こちらからの連絡に対してすぐに反応をくれる人と、いつ返事が来るかわからない人とでは、どちらと仕事を共にしたいと感じるでしょうか。
多くの人が前者を選ぶはずです。反応が早いというだけで、相手は「自分のことを気にかけてくれている」「真摯に対応してくれている」と感じ、安心感を抱きます。この小さな安心感の積み重ねが、やがて強固な信頼関係へと発展していくのです。
この「信頼」は、単に気持ち良く仕事ができるという精神的な側面に留まりません。それは、具体的なビジネスチャンスにも直結します。
例えば、コロナ禍のような予測不能な事態が発生した際の緊急対応や、短期間で高い成果を求められる重要なプロジェクトなど、スピード感と確実性が問われる仕事は、日常からレスポンスが早く、信頼できる人物に任される傾向があります。
こうした仕事は困難であると同時に、自身のキャリアにとって大きな成長の機会となる、いわば「おもしろい仕事」である場合が多いのです。ふだんからの迅速な対応が信頼を育み、その信頼が新たな挑戦の機会を引き寄せるという好循環が生まれるのです。
逆に、返信が遅いと、相手は「見てくれているのだろうか」「いつ返事が来るのだろうか」と不安になり、精神的に追い詰められてしまうこともあります。相手に無用なストレスを与えないという配慮こそが、信頼構築の第1歩と言えるでしょう。
グロービス経営大学院の熊谷翔大氏は、信頼が次の仕事につながる重要性について次のように述べています。
まず「相手から信頼を得ることができる」ことが、メリットの1つかと思います。単純に想像してみてください。反応が早い人と遅い人、どちらと一緒に仕事をしたいでしょうか? やっぱり早い人のほうが気持ち良く仕事ができそうですよね。
この「相手からの信頼」が何につながるかなんですけれども、1つは有事の時とか、スピード感を求められる仕事を任せてもらいやすくなるところにあるかと思います。
例えばコロナが起こった時のような緊急対応や、短期間で成果を出さないといけないプロジェクトですね。いわゆる大変だけれども、よりおもしろい仕事かと思います。このような仕事は、やはりふだんから反応が早い人のほうが信頼されており、信頼されるからこそ任されると思っています。
引用:実は若手より上司にこそ役立つ、“レスを早くするコツ” 無意識のプレッシャーやストレスから解放される方法(ログミーBusiness)
即レスは「相手の期待値コントロール」にもつながる
迅速なレスポンスがもたらすメリットのさらに1つに、「相手の期待値が上がりすぎないように調整できる」という、非常に実践的な側面があると、グロービス経営大学院の熊谷翔大氏は指摘します。これは、コミュニケーションにおける心理的な駆け引きとも言えるかもしれません。
例えば、あなたが誰かにメールを送り、その返信を待っている状況を想像してみてください。連絡を送った側は、返信が来るまで基本的にその件に関する仕事を進めることができません。もし返信が1週間もなかったとしたら、待っている側にはどのような心理が働くでしょうか。
時間が経てば経つほど「これだけ時間をかけているのだから、きっとすばらしい内容の返事が来るに違いない」「何かすごい提案が盛り込まれているのではないか」といったように、無意識のうちに返信内容への期待値がどんどん膨らんでいってしまうこともあるのです。
ようやく返ってきた内容が、その高まりきった期待を上回るものであれば問題ありませんが、多くの場合、よほどの内容でない限り、待たせた分だけ上がった期待値を下回ってしまいます。その結果、相手はがっかりし、「これだけ待たせてこの内容か」という不満を抱くことになりかねません。
このような経験が重なると、徐々にその人との仕事がしづらくなり、最終的には「あの人に頼んでも時間がかかるだけだ」と、期待されなくなってしまう可能性すらあります。これは、双方にとって不幸な状況です。
こうした事態を避けるためにも、即レスをすることは極めて有効な手段となります。たとえすぐに完璧な回答ができない場合でも、「内容を確認しました。〇日までに回答します」と一言返すだけで、相手は状況を把握でき、不必要に期待値を上げることもありません。
これは相手の時間を尊重し、プロジェクト全体の計画性を高めるための、高度なコミュニケーション技術と言えるでしょう。