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サクセッションプラン(全1記事)

サクセッションプランとは? 次世代リーダー候補者育成が失敗する理由・成功させるための進め方 [2/2]

サクセッションプランを成功に導く2つのポイント

数々の落とし穴や心理的な壁を乗り越え、サクセッションプランを成功に導くためには、2つの本質的なポイントを押さえる必要があります。それは「現役員の当事者意識」と、育成を「継続的なプロセス」として捉えることです。

1つ目に、サクセッションプランは人事部門だけの仕事ではなく、経営そのものであるという認識を確立することが不可欠です。「主体は人事ではなく、経営である」という意識を経営陣全体で共有し、人事部門はその実現を支える役割を担うという分担が大前提となります。これを実現するための具体的な仕掛けとして、現役員を後継者候補のメンターとして任命することが挙げられます。

これにより、役員一人ひとりが「後継者育成の責任は自分が担っている」という自覚を持ち、候補者への関与を深めることができます。さらに踏み込んで、役員の評価項目に「後継者育成への貢献度」を盛り込むことも極めて有効です。ここまで行うことで、経営としての本気度が組織全体に伝わり、各部門が優秀な人材を囲い込むといったセクショナリズムを防ぐ効果も期待できます。

2つ目に、サクセッションプランを単発のイベントで終わらせないことです。候補者を選んで研修を受けさせたら終わりではありません。それはあくまでプロセスの入り口に過ぎないのです。

重要なのは、選抜された候補者に対して具体的な育成プランや配置転換を計画し、それを粘り強く実行し続けることです。計画の進捗を定期的にレビューし、候補者の成長度合いを評価し、必要に応じて計画を修正していく。そして、その評価に基づいて次の配置や登用を決定する。この一連のサイクルを回し続けることこそが、サクセッションプランの核心です。

単なる研修プログラムとサクセッションプランを分かつ決定的な違いは、この「継続性」と「実務への連動性」にあると言えるでしょう。この2つのカギを握ることが、計画を形骸化させず、真に組織の未来を担うリーダーを育むための絶対条件となります。

サクセッションプランを経営戦略と連動させる方法

最後に、サクセッションプランを単なる「点」の施策から、経営戦略と連動した「ストーリー」へと昇華させるための体系的なフレームワークについても紹介します。

体系的なフレームワークの1つが「7STEPストーリー」という考え方です。これは、後継者育成を一過性のイベントではなく、継続的なサイクルとして捉え、組織全体を巻き込みながら進めていくためのメソッドになっています。

STEP1:問題意識の喚起

すべての始まりは、関係者の認識を揃えることからです。「なぜ今、我が社に経営幹部候補の育成が必要なのか」という問いに対して、客観的なデータを用いて答えることが重要です。

例えば、社員の年齢構成データを示し、5年後、10年後の組織がどう変化するのかを可視化します。これにより、漠然とした危機感を具体的な問題として共有し、「なんとかしなければならない」という共通認識を醸成します。

STEP2:問題の背景を洞察する

次に、なぜそのような問題(例:次世代リーダーが育っていない)が生じているのか、その背景を深く掘り下げます。組織構造、評価制度、企業文化など、さまざまな要因が絡み合っているはずです。この洞察が、後の打ち手の精度を高めます。

STEP3:目指す姿(仮説)を立てる

問題を乗り越えた先に、どのような組織の姿を目指すのかを具体的に描きます。「この時期までに、このような資質を持ったリーダーを何名プールする」といった具体的なゴール(仮説)を、仮置きでも良いので設定します。

STEP4:推進体制を整備する

成果に結びつけるためには、体制づくりが欠かせません。育成の当事者である候補者本人、それを支えるメンターや上司、そして育成を後押しする制度や仕組み(人事制度、異動ルールなど)の三位一体で環境を整備します。

STEP5:プログラムを実施する

ここで初めて具体的な育成プログラムの実施フェーズに入ります。これまでのステップで描いたストーリーに基づいているため、プログラムは目的が明確で、実務と連動した実効性の高いものとなります。

STEP6:レビューと新たな課題の発見

プログラム実施後は、必ず振り返りを行います。STEP3で立てた仮説はどうだったか、計画どおりに進んだか、そしてその結果、何か良い兆候は生まれなかったか、逆に新たな課題は浮き彫りにならなかったかを検証します。

STEP7:良い兆候を組織のうねりに変える

レビューで見つかった良い兆候や成功事例を組織全体に共有し、横展開することで、取り組みを一部の候補者だけのものから、組織全体の文化へと昇華させていきます。このサイクルを回し続けることで、サクセッションプランは生きたプロセスとなり、組織に深く根付いていくのです。

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