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サクセッションプラン(全1記事)

サクセッションプランとは? 次世代リーダー候補者育成が失敗する理由・成功させるための進め方 [1/2]

【3行要約】
・サクセッションプランは重要な経営課題ですが、多くの企業では次世代リーダー育成が滞っています。
・サクセッションプランの失敗は「育成を点の施策として捉える」発想や「現役員の当事者意識の欠如」が主な要因だと指摘。
・サクセッションプランを成功させるには、経営戦略と連動した「7STEPストーリー」を描き、候補者育成を継続的なプロセスとして実行することがカギとなります。

サクセッションプランが重要視される理由

企業の持続的な成長を考える上で、次世代を担うリーダーの育成、つまりサクセッションプランは避けて通れない重要な経営課題です。特に近年、多くの企業で「部長の“大課長化“問題」が深刻化していると、株式会社マネジメントパートナー 代表取締役の廣田文將氏は語ります。

これは、本来であれば全社的かつ中長期的な視点で事業を牽引すべき部長職が、目先の業務処理に追われ、課長レベルの業務に埋没してしまっている現象を指します。部長が現場の業務に精通していること自体は、一見すると組織にとって安心材料のように思えるかもしれません。しかし、この状態が常態化すると、組織全体に深刻なダメージを与えかねないリスクを内包しています。

最も大きなリスクとして挙げられるのが、経営と現場の分断です。部長がプレイングマネージャーとして目先の業務に忙殺されると、経営陣が描く中長期的なビジョンや戦略を現場に浸透させる役割を十分に果たせなくなります。

経営からのメッセージは部長という重要な中継点を経由できず、現場にはその意図が正しく伝わりません。結果として、会社全体としての変革が思うように進まないという事態に陥ります。

さらに、この問題は「指示待ち文化」を蔓延させる温床ともなります。部長自身がマイクロマネジメントに陥り、部下の業務に対して過度に介入し、細部にわたって管理・指示を行うようになります。

このようなマネジメントスタイルが続くと、現場の社員は自ら考えて行動する機会を奪われ、徐々に主体性を失っていきます。組織全体が上からの指示を待つだけの集団となり、変化への対応力やイノベーションを生み出す力は著しく低下してしまうのです。

このように、部長の“大課長化“は、単なる一個人の問題ではなく、将来の経営幹部候補が育たないという構造的な問題に直結します。中長期的な視点を持つリーダーが不在のままでは、組織は環境変化に対応できず、やがては競争力を失うことになるでしょう。

多くの取締役や事業本部長がこの問題の深刻さに気づき始めており、自社の組織に同様の傾向がないか、厳しい目でチェックする必要に迫られています。次世代リーダーの育成というテーマは、もはや待ったなしの緊急対策課題として捉えるべき段階に来ているのです。

サクセッションプランはなぜ形骸化するのか

サクセッションプランの重要性が認識される中で、多くの企業が「サクセッションプラン」の策定に取り組んでいます。しかし、その多くが期待された成果を上げられずに形骸化してしまっているのが実情です。

なぜサクセッションプランはうまくいかないのでしょうか。その根本的な原因は、育成を「点」の施策として捉えてしまっているところにあると廣田氏は指摘します。

従来のサクセッションプランの限界は、特定の研修プログラムやタフ・アサインメント、MBA講座への派遣といった、個別の施策にばかり目が向いていることにありました。人事部門は「どのようなプログラムを導入するか」を探し回り、候補者を選抜してプログラムに参加させることで、役割を果たしたかのように錯覚してしまいます。

しかし、これらはあくまで育成プロセスの一部に過ぎず、非常に部分的なアプローチです。これでは「結局あのプランは何の役に立ったのか」「経営者育成はやはり難しい」といった結論に陥りがちです。

経営幹部候補を育成するということは、単発のイベントをこなすことではありません。なぜ今、自社にとって次世代リーダーの育成が必要なのかという問題意識の共有から始まり、どのようなリーダー像を目指すのか、そのためにどのような経験を、どのような順序で積ませていくのか、そしてその成果をどう評価し、次のステップに繋げていくのか。このような一連のプロセス全体を、経営戦略と密接に連動した壮大なストーリーとして描くことが不可欠なのです。

プログラム発想からストーリー発想へと転換しない限り、サクセッションプランは実効性を持ちません。育成施策がバラバラに実施され、現場の実務やキャリアパスと結びつかなければ、候補者本人の成長にも、組織としての成果にも繋がりません。

多くの企業が陥るこの罠から脱却し、サクセッションプランを単なる人事施策ではなく、経営戦略そのものを推進するための継続的なプロセスとして捉え直すこと。それが、成功への第1歩となります。

サクセッションプランが失敗する理由

サクセッションプランを推進する過程には、数多くの「落とし穴」が存在します。これらの落とし穴を事前に認識し、対策を講じなければ、どんなに精緻な計画も絵に描いた餅で終わってしまいます。

最も本気度が問われるのは、社長以外の役員の関与度です。多くの企業では、後継者育成が人事部任せ、あるいは候補者本人任せになっており、これでは真のリーダーは育ちません。現役員が当事者意識を持って関わらない限り、次期役員候補の育成は成功しないのです。

また、選抜される候補者が「現経営陣のミニチュア版」になってしまうという罠もあります。現役員が自身の成功体験に基づいてサポートを行うと、無意識のうちに自分と似たタイプの人材を育てようとしてしまいます。

しかし本来目指すべきは「これからの」経営環境に対応できる新しいリーダー像であり、過去の模倣ではありません。

さらに、候補者自身が潰れてしまうリスクも軽視できません。候補者は通常、重要な業務を担いながら育成プログラムに参加するため、相当な負荷がかかります。これに加えて、周囲からの嫉妬やプレッシャーに晒されることも少なくありません。

こうした環境への配慮がなければ、有望な人材が心身ともに疲弊し、最悪の場合、離職に至る可能性もあります。現役員が短期的な成果を求めるあまり、候補者を追い詰めてしまうケースも散見され、本末転倒な結果を招きます。

こうした具体的な落とし穴の背景には、より根源的な「変革を阻む心理的な壁」が存在します。スタンフォード大学の研究者であるジェフリー・フェファー氏とロバート・サットン氏が、変革が失敗する要因の9割は、組織の心理的・文化的側面にあると指摘し続けていると、廣田氏は紹介しています。
後でも言いますが、変革が失敗する要因の9割は、組織の心理的・文化的側面にある。これはスタンフォード大学のジェフリー・フェファーとロバート・サットンさんがずっと言い続けたものです。

我々はこれに非常に共感したのと同時に、すごく実感しています。でなければ、どんなにすばらしい計画もうまくいかない戦略であるということですよね。(中略)

その思い込み、しがらみの典型が「5年前も同じことをやって失敗した」「また朝令暮改か」「面倒が増えるなぁ」「どうせうちではそんなの無理でしょ」というような、やる前から無理だと決めつける力にあります。

こういった変革への障害は非常にあるんです。こういう障害も踏まえて取り組んでいくということですね。

引用:経営幹部育成を成功させる4つの方法 本音と思い込みをあぶり出し「うまくいかない」を乗り越える(ログミーBusiness)

正論や理想論だけでは、こうした根強い思い込みやしがらみを乗り越えることはできません。「そうは言っても現実は…」という現場の本音と向き合い、その奥にある「どうせ無理だ」という決めつけをあぶり出し、共に乗り越える知恵を生み出すプロセスこそが、サクセッションプランを成功に導く上で不可欠なのです。

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