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内発的動機づけ(全1記事)

内発的動機づけとは? 外発的動機づけとの違い・メリット・デメリット・重要性を解説 [2/2]

内発的動機づけを育む「ジョブ・クラフティング」という考え方

従業員の自律性をサポートし、内発的動機を育むための具体的なアプローチとしては、篠田氏が紹介する「ジョブ・クラフティング」という手法があげられます。これは、働く人一人ひとりが決められた仕事や職場の人間関係に主体的に変化を加え、自らの仕事経験をより良いものにしていくプロセスを指します。

端的に言えば、たとえマニュアル化された仕事であっても、そのやり方に自分らしさを「ひと匙」加える試みです。

このジョブ・クラフティングは、大きく3つの領域に分類できます。

1. 業務クラフティング(Task Crafting)
仕事のやり方や範囲そのものを工夫すること。

2. 関係性クラフティング(Relational Crafting)
職場の人間関係に変化を加えることです。

3. 認知クラフティング(Cognitive Crafting)
仕事に対する考え方や捉え方を変えることです。

これらのアプローチは、先述した自律性を育むためのサポート、「自分のやり方を許容する」「内面にある動機づけの源を育む」といった要素と密接に結びついています。

組織が従業員にこのような「ちょっとしたワガママ」を許容し、むしろ奨励する文化を持つことができれば、それは強力な内発的動機の源泉となり得ます。従業員は、自分が単なる歯車ではなく、仕事に主体的に関与し、意味を見出すことができる存在だと感じられるようになるでしょう。

ジョブ・クラフティングは、トップダウンの制度改革だけでなく、現場レベルで始められる、内発的動機を高めるための実践的な手法なのです。

内発的動機づけを高める取り組みは組織全体で行う

従業員の内発的動機を高める取り組みは、個々のリーダーによる働きかけや、現場レベルでの工夫だけに留まるものではありません。組織が持続的に成長するためには、個人のマインドや行動だけでなく、組織全体の「関係性・文化」や「制度・仕組み」といった要素が、一貫した価値観のもとに設計されていることが極めて重要です。

従業員の内発的動機を高めるための組織変革を考える際、「インテグラル理論の四象限」というフレームワークが役立つと、GCストーリー株式会社の萩原典子氏は言います。これは組織を「個人」と「組織」という縦軸、「内側(主観)」と「外側(客観)」という横軸で捉え、以下の4つの領域に分解するものです。

個人の内側:個人のマインド、価値観、意欲
個人の外側:個人の行動、スキル、言動
組織の内側:組織の関係性、文化、風土、暗黙のルール
組織の外側:組織の制度、仕組み、ルール、戦略

内発的動機を育む組織とは、これら四象限すべてが、例えば「心理的安全性を大切にする」「主体的な挑戦を奨励する」といった共通の価値観に沿って、一貫性を保っている状態を指します。

しかし、多くの組織、特に大企業では、この一貫性を保つことが難しいという課題があります。例えば、現場のチームリーダーが心理的安全性の高いチームを作ろうと奮闘していても、会社全体の人事評価制度が個人の失敗を厳しく罰するようなものであったり、過度な個人間競争を煽るものであったりすれば、その努力は水泡に帰してしまいます。

従業員は、いくら上司が「挑戦しろ」と言っても、制度がそれを許さないと感じ、萎縮してしまうでしょう。

数年前に流行したティール組織の導入に失敗した企業の多くは、この一貫性を無視していました。例えば、従業員間の信頼関係や心理的安全性が醸成されていない組織で、成功事例を真似ていきなり「給与の全公開」といった制度を導入した結果、嫉妬や不信感が増大し、退職者が続出してしまったというケースがあったと萩原氏は語ります。

これは、組織の状態を正しく把握せず、表面的な制度だけを取り入れたことによる典型的な失敗例です。

ゲーム開発の現場でも、内発的動機を高めるための設計思想は非常に重要視されています。世界的な人気ゲーム『Fortnite』の開発に携わったセリア・ホデント氏は、優れたUXが内発的動機の3つの柱に基づいていると語ります。
この理論では、誰かが自発的に動機を得るというところに3つの柱があると考えていて、それは有能性(Competence)、自律性(Autonomy)、関係性(Relatedness)と考えられています。(中略)

この有能性(Competence)というのは、基本的には「自分が成長している」「自分が前に進んでいる」という感覚のことを指します。なにかが上達している感覚とも言い換えられるでしょう。ゲームにおいて、有能性を感じさせる、なにかが上達していると感じさせることは、内発的動機づけの上で非常に重要です。(中略)

次は自律性(Autonomy)ですけれども、これは基本的に自己表現の話です。一般的なところで言えば、キャラクターやスキンが選べる、やることが選べる、といったことが自律性です。(中略)

最後、Relatedness(関係性)ですが、これは人類というのはそもそも社会的な生き物なので、非常に重要だということです。

引用:ゲームの「作業感」をどう軽減するか? 『Fortnite』開発者が語る、ゲームUXのフレームワーク(ログミーBusiness)

このように、人を夢中にさせる体験を設計する上でも、組織づくりにおいても、内発的動機づけを支える原理原則は共通しています。組織を変革しようとする際には、これら四象限のつながりを意識し、一貫性のあるアプローチを取ることが不可欠なのです。

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