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内発的動機づけ(全1記事)

内発的動機づけとは? 外発的動機づけとの違い・メリット・デメリット・重要性を解説 [1/2]

【3行要約】
・ 多くの従業員が「やらされ感」を抱える中、自ら進んで取り組む内発的動機を育む職場づくりが企業の課題となっています。
・複雑な課題解決が求められる現代では、報酬中心の外発的動機づけより、内発的動機の方が創造性を発揮しやすいことが明らかになっています。
・有能感・関係性・自律性という3つの基本的心理欲求を満たし、ジョブ・クラフティングを奨励する一貫した組織づくりが、従業員の主体性を引き出すカギとなります。

内発的動機づけとは? 外発的動機づけとの違い

外発的動機づけとは、報酬を得たり罰を避けたりすることを目的とした動機づけの総称です。例えば「ボーナスを得るために提案を出す」「落第しないように勉強する」といったケースがこれにあたります。

一方で内発的動機づけは、その行為自体が目的となる、自己目的的な動機づけの総称です。具体的には、「興味のおもむくままにわくわくしながら勉強を続ける」「自分が思い描く事業のために自発的に案を出す」といった状態を指します。

内発的動機づけ・外発的動機づけそれぞれのメリット・デメリット

内発的動機づけ・外発的動機づけそれぞれのメリット・デメリットについて、エール株式会社取締役の篠田真貴子氏は、以下のように語っています。

外発的動機づけのメリットは、即効性があり、特にルールが明確でシンプルな課題に集中して取り組む際に高い効果を発揮する点です。一方で、その効果は長続きしにくく、報酬がなくなると行動も止まってしまう傾向があります。

内発的動機づけのメリットは、モチベーションが長期的に持続しやすく、特に複雑で発想の転換が求められるような課題において、創造性を発揮しやすい点です。しかしデメリットとして、動機が内面から自然に湧き上がるのを待つ必要があるため、即効性に欠け、外部からその方向性をコントロールすることが難しいという特徴があります。

どちらか一方が優れているというわけではなく、両者にはそれぞれ適した状況と適さない状況が存在します。重要なのは、それぞれのメリットとデメリットを理解し、課題の性質に応じて適切な動機づけがなされる環境を整えることです。

さらに注意すべき点として、特に金銭のような具体的な報酬を用いた外発的動機づけは、使い方を誤ると、もともと存在していた内発的動機を打ち消してしまう危険性があることも指摘されています。

内発的動機づけが注目されている理由

現代のビジネス環境において、なぜ「内発的動機づけ」がこれほどまでに注目を集めているのでしょうか。その背景には、大きく分けて2つの理由が存在するとエール株式会社取締役の篠田真貴子氏は指摘します。

1つは、創造的な発想や複雑な問題解決が求められる業務が増加していること。もう1つは、従来型の「外発的動機づけ」、すなわち報酬や罰則によるマネジメント手法の限界が明らかになってきたことです。

かつての定型的な業務が中心だった時代においては、明確なルールの基で効率的に作業をこなすことが重視されました。このような状況では、「これを達成すればボーナスがもらえる」「目標未達だと評価が下がる」といった外発的な動機づけが有効に機能しました。

しかし、現代の仕事では、前例のない課題に対して新しいアイデアを生み出したり、発想の転換を求められたりする場面が少なくありません。このような創造性を要する課題において、外発的動機づけが必ずしも良い結果をもたらさないことが、さまざまな研究で示されています。

ある有名な実験では、参加者を2つのグループに分け、発想の転換が必要なクイズを解いてもらいました。一方のグループには「早く正解したらお金をあげる」と伝え、もう一方のグループには特に報酬を提示せず、平均的な解答時間を計測する目的だと説明しました。

結果は多くの人の予想に反して、金銭的報酬を提示されたグループの方が、解くのに時間がかかってしまったのです。この実験は、形を変えて繰り返し行われましたが、一貫して同様の結果が報告されています。

この事実は、少なくとも金銭的な報酬という外発的動機が万能ではなく、特定の状況下ではむしろパフォーマンスを低下させる可能性があることを示唆しています。にもかかわらず、多くの組織では依然として報酬制度を中心とした外発的な動機づけの仕組みがマネジメントの根幹をなしています。このギャップこそが、内発的動機への関心が高まっている大きな要因と言えるでしょう。

従業員一人ひとりが内側から湧き出る興味や探究心、やりがいを原動力として仕事に取り組む状態をいかにして作り出すか。それが、現代の組織における重要な課題となっているのです。

外発的動機づけを内発的動機づけに変えていく方法

外発的動機づけをより内発的なものへと近づけていく、いわゆる「自分ごと化」を促すためにはどうすればよいのでしょうか。この問いに対する重要な示唆を与えてくれるのが、人間が生まれながらに持っているとされる「3つの基本的心理欲求」だとエール株式会社取締役の篠田真貴子氏は言います。

研究によれば、これらの欲求が満たされる環境にある時、人は外発的に始まった行動であっても、それを自律的に、つまり「自分ごと」として捉えやすくなることがわかっています。

この3つの基本的心理欲求とは、「コンペテンス(有能さ)への欲求」「関係性への欲求」「自律性への欲求」を指します。

1. コンペテンス(有能さ)への欲求
「できるようになりたい」「自分の能力を発揮したい」という欲求です。仕事において、自分のスキルが向上している実感や、課題を達成できたという成功体験は、この欲求を満たします。周囲からの適切なフィードバックや承認も、有能感を高める上で重要な役割を果たします。

2. 関係性への欲求
「他者とつながりたい」「仲良くしたい」「チームの一員でありたい」という欲求です。職場において同僚や上司と良好な人間関係を築き、互いに尊重し、協力し合える環境は、この欲求を満たします。自分が組織に受け入れられ、貢献できているという感覚が重要です。

3. 自律性への欲求
「自分で決めたい」「自分のやり方でやりたい」という欲求です。他者から一方的に指示・管理されるのではなく、自身の判断で行動を選択できる裁量がある状態が、この欲求を満たします。

これら3つの欲求はどれも重要ですが、中でも特に外発的動機の「自分ごと化」に大きな影響を与えるのが、3つ目の「自律性への欲求」をサポートすることだとされています。つまり、周囲が本人の「やりたい」という気持ちを尊重し、それを許容するような関わり方をすることが、極めて有効なのです。

篠田氏は、この自律性をサポートする具体的な方法について、次のように解説しています。
1つ目は、傾聴して、他者が自分のやり方で振る舞うことを許容してくれること。「自分のやり方でいいよ」と。

2つ目が、内面にある自分の動機づけの源を育む。周りから見ると「それでいいんだよ」(とか)「何がしたいの?」と問いかけてあげるようなことでしょうか。

3つ目が、情報豊かな言葉を重視する。すみません、文献に書いてあったんですが、どうしても私の理解力では、これが具体的に何を意味するのか若干イメージできなかったので。もし聞いていらっしゃる方の中でご専門の方がいらっしゃったら、チャットに書いていただけると、ここに集まっているみなさんのプラスになって大変ありがたいです。

4つ目が、価値づけを促す。つまり「意義があるんだよ」と。よく子どもが「勉強をして何の意味があるんだ」みたいに言った時に、「意味があるんだよ」ということを理解させる。

5つ目、ネガティブ感情の表出を認め、受け止める。「宿題は嫌だ」と言っても頭ごなしに否定しないで「まあ嫌だよね」と。言わせた上で、じゃあどうするか。こういったサポートが、外発的な動機ふけが自律化する、つまりより内発的になっていくために、周りがやってあげられること。

引用:仕事に対する「内発的動機づけ」は最初からなくてもいい だんだん「自分ごと化」させていくために、許したい3つの“ワガママ”(ログミーBusiness)

これらのサポートが実践されている組織は、従業員が「やらされ感」から脱却し、主体的に仕事に取り組む内発的な動機を育む土壌があると言えるでしょう。

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