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EQ(心の知能指数)(全1記事)

EQ(心の知能指数)とは? IQとの違い、高い人の特徴や高め方まで徹底紹介 [2/2]

EQを高めるために1人でできるトレーニング

ここからは、EQを高める方法について具体的に見ていきましょう。前述したとおり、EQの魅力的な特徴の1つは、年齢や経験にかかわらず、誰もが後天的に開発できる「トレーナブル(訓練・習得可能)」なスキルであるという点です。

知力や体力とは異なり、意識的なトレーニングによって向上させることができるEQは、自己成長を目指すすべてのビジネスパーソンにとって希望の光と言えます。

EQトレーニングの根底にあるのは、「行動が感情に影響を与える」という考え方です。悲しいと泣き、うれしいと笑うように、感情は行動に現れます。それならば逆に、行動を変えることで感情にも影響を与えることができるというのが基本的なアプローチになります。

アイズプラス代表取締役の池照佳代氏によると、EQを高めるための第1歩は、「自分の感情を知る」ことだと言います。私たちは日々さまざまな感情を抱いていますが、それを意識的に認識し、言語化する機会は意外と少ないものです。

カリフォルニア大学の研究によれば、人間が抱く感情の種類は実に2,185個にも上るとされています。しかし、私たちが日常的に使う感情表現は「喜怒哀楽」など、ごくわずかです。まずは、この多様で複雑な自分の感情に意識を向けることが重要です。
私は自分がEQを勉強してて……まあ今も勉強中なんですが、自分の人生にとってすごく良かった気づきの1つがそれなんですよ。「楽しい・楽しくない」じゃなくて「楽しむと決める」。

引用:人間の感情は「喜怒哀楽」だけでなく、全部で2,185個もある それらを理性・知性として活かす「感情知性(EQ)」の鍛え方(ログミーBusiness)

池照氏のこの言葉は、感情に対する向き合い方の本質を示しています。感情は外部の出来事によって自動的に引き起こされるものではなく、自分がどう捉え、どう行動するかを主体的に「決める」ことができるのです。

この主体性を育むための方法として、池照氏は今日から始められる具体的なトレーニングを紹介しています。1つは、自分の感情をスケール化してみることです。アメリカの幼稚園では、登園した子どもに「今日のフィーリングは何点?」と問いかける教育が行われています。子どもたちは「今日は2点。お兄ちゃんと喧嘩したから」「今日は10点。パパにハグしてもらったから」と答えることで、自分の感情とその原因を自然に言語化する習慣を身につけます。

これは大人にとっても非常に有効な方法です。朝起きた時に「今日のエネルギーレベルはどうかな?」と自分に問いかけ、点数をつけてみる。そうすることで、自分の心身の状態を客観的に把握する第1歩となります。

また、リーダーの立場にある人は、1on1などの場でまず自分自身の状態を「自己開示」することが有効です。常にエネルギーレベルが高い完璧なリーダーを演じる必要はありません。「昨日はあまり眠れなくて少し疲れているんだ」といった体調の話や、「飼っている犬が病気で心配なんだ」といったプライベートな感情を率直に話すことで、相手は安心感を抱き、自分の感情も開示しやすくなります。

他者と関わる中で実践するEQの高め方

自分の感情を認識し、言語化するトレーニングに慣れてきたら、次のステップは他者との関わりの中でEQを実践的に高めていくことです。EQは対人関係において発揮されてこそ、その真価を発揮します。

EQExecutiveMaster/株式会社EQ 取締役会長の髙山直氏は、日常のコミュニケーションに少しの工夫を加えるだけでEQを効果的に鍛えることができる、具体的な方法を2つ紹介しています。

1つ目は「挨拶と感謝はもう一丁」というトレーニングです。これは非常にシンプルで、誰でもすぐに実践できます。ふだんの挨拶や感謝の言葉に、一言付け加えるだけです。

例えば「おはようございます」と言った後に、「今日の調子はどうですか?」と問いかける。「ありがとうございます」と伝えた後に、「本当に感謝しています」と思いを重ねてみる。このわずかなプラスアルファが、コミュニケーションの質を劇的に変えます。相手への関心を示し、リアクションを観察することで、相手のコンディションや感情を察知する力が養われるのです。

管理職の中には「『大丈夫?』と聞いて『大丈夫じゃない』と返ってきたらどう対応すればいいのか」と悩む人もいますが、難しく考える必要はありません。まずは「じゃあ、少し話を聞こうか?」と声をかけるだけでいいのです。その一言が、信頼関係の扉を開きます。

2つ目は、同じく「感性を言語化する」トレーニングです。私たちは日常生活の中で、多くの美しいものやおいしいものに触れていますが、その感動を豊かな言葉で表現する機会は少ないかもしれません。

例えば、食事の際に単に「おいしい」と言うだけでなく、「この素材の芳醇な香りがすばらしい」「旬の味覚が口の中に広がる」といったように、五感で感じたことを具体的に言語化する習慣をつけましょう。これは言葉を磨き、感性を磨くことにつながります。

言葉の引き出しを増やすためには、小説を読んだり、達人のインタビュー番組を見たりすることも有効です。優れた表現に触れた際に、「これは人を褒める時に使えるな」といった意識でインプットし、気になった言葉をメモする習慣をつけることで、語彙力は格段に向上していくのです。

上記2つを行う上で意識したいコミュニケーションにおける重要な心構えが、エール株式会社・代表取締役の櫻井将氏が語る「感情的に伝える」のではなく「感情を伝える」ことです。

例えば部下の行動に対して怒りを感じた時、その感情をそのまま「何をやっているんだ!」とぶつけるのは「感情的に伝える」ことです。これでは、相手を萎縮させるだけで建設的な解決にはつながりません。

一方で、「君のその行動に対して、私はとても残念に感じている」と、自分の感情として伝えるのが「感情を伝える」ことです。これにより、相手は非難されたと感じることなく、こちらの意図を冷静に受け止め、関係性を損なわずに問題解決に向かうことができます。

これらのトレーニングを日々意識的に実践することで、EQは着実に向上していきます。言葉の大切さを理解し、一言一言に想いを込めることが、人間性を磨き、人望あるリーダーへと成長するための確かな1歩となるのです。

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