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Z世代部下への接し方(全1記事)

上司が知っておきたいZ世代の部下への接し方 現場で使えるマネジメントの具体策 [1/2]

【3行要約】
・Z世代の部下との接し方に悩む上司が増加しています。
・彼らの言動の背景には、デジタルネイティブとして育ったことなどの時代特有の価値観があることを理解することが重要です。
・Z世代の部下を持つ上司は、事実に基づく適切なフィードバックと具体的な育成計画を提示し、部下のタイプを見極めた個別アプローチを実践すべきです。

「Z世代の部下への接し方がわからない」上司が生まれる理由

Z世代の部下との接し方に悩む上司は少なくないのではないでしょうか。どうしてZ世代とのコミュニケーションを難しく感じるのでしょうか。は事実彼らの言動の背景には、育ってきた時代特有の価値観が深く関わっています。

Z世代は一般的に1995年から2004年頃に生まれた世代を指し、その最大の特徴は「デジタルネイティブ」であることです。物心ついた頃からインターネットやスマートフォンが身近にあり、SNSをライフラインとして活用してきました。これにより彼らの価値観は、上の世代とは大きく異なるものとなっています。

株式会社らしさラボ 代表取締役の伊庭正康氏によると、マーケティング評論家の牛窪恵氏が「何歳でデジタルに触れたかはその人の価値観形成に大きな影響を与える」と話していたと言います。

Z世代は、SNSを通じて多様な情報に常にアクセスできる環境で育ちました。その結果、社会貢献への欲求が強く、SDGsやハラスメントといった社会課題に対する意識が高い傾向にあります。彼らにとっては、人に優しく、社会に優しいことが当たり前の前提となっているのです。

また、彼らが社会を意識し始めた時期は、経済の長期的な停滞や将来への不安が蔓延していた時代と重なります。ミレニアル世代が多少の不満を耐え忍んだのに対し、Z世代は情報収集能力を駆使して、より鮮明な不安を抱き、自ら行動を起こす傾向があります。

経済見通しや貧富の差に対する不安を煽る情報に日常的に触れてきたため、常にプランBやプランCを用意し、リスクヘッジを考えることが当たり前になっています。失敗を極端に恐れ、安定を志向するのもこのためです。

教育環境の変化も無視できません。かつての画一的な教育から、個性や主体性を重んじる教育へと転換したことで、厳しい上下関係よりもフラットな関係性を好むようになりました。彼らは反抗的ではありませんが、上の世代が経験してきたような絶対的な従順さも持ち合わせていません。

これらの背景を理解せずに従来のマネジメント手法を当てはめようとすると、すれ違いが生じるのは必然です。彼らの行動の裏にある「社会貢献欲求」「将来への不安」「フラットな関係性への志向」といった価値観を理解することが、効果的なマネジメントの第1歩となります。

Z世代の部下とのコミュニケーションで意識したいこと

部下への指示出しにおいて上司が良かれと思って使っている言葉が、実はZ世代とのコミュニケーションギャップを深刻化させているケースがあると、株式会社PDCAの学校の宮地尚貴氏は言います。

特に「だいたいでいいよ」といったような曖昧な表現は、避けるべきNGワードと言えるでしょう。これらの言葉は、上司と部下との間で深刻な認識のズレを生む原因となります。

上司が長年の経験から「これくらいは伝わるだろう」と考えている「あれ」と、業務経験の浅い若手社員が受け取る「あれ」は、まったく異なっていることがほとんどです。

例えば「この前の流れで」と指示されても、若手社員は何を基準にすれば良いのか判断できずに不安を感じます。「いつでも聞いて」という言葉も、一見すると親切に聞こえますが、実際には部下の行動を躊躇させる原因になり得ます。

このようなコミュニケーションギャップを防ぐためには、指示を出す側が「何もわかっていないだろうな」という前提に立ち、業務のゴールとプロセスを具体的に言語化することが極めて重要です。特に新入社員に対しては、「できないのが当たり前」という心持ちで接する必要があります。

株式会社人材研究所 代表取締役社長の曽和利光氏は、特に変化の激しい現代において、上司が腹案を持たずに「自由にやってみて」と丸投げすることの危険性を指摘しています。
もうちょっと言うと、今みたいな変化が激しい世の中では、「自由にやってごらん」と言っているマネージャーにも腹案がないケースがあると思うんですよ。自分もわからないから、「イチから十まで指示してごらん」と言われてもできない。自分も腹案がないくせに、「自由にやってごらん」と言うのは仕事放棄だと思うんです。(中略)

本来ならば、自分でもできるし、イチから十まで何をすればよいかを指示することもできる。その上でまだ「じゃあ、やってごらん」と言うんだったら、できると思うんです。山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」みたいな感じで、「やってみせ」みたいなものがないのに、そういうことを言っている。

引用:若手を理解しようとして、真面目な上司が陥る“落とし穴” Z世代に「わかっていないなぁ」と思われる残念な言葉とは(ログミーBusiness)

上司は、まず自分が業務の型を示し、「こういう順番でやるんだよ」と具体的に教える責任があります。その上で、部下が型を習得した段階で「あとは自由にやってごらん」と任せるのが正しいステップです。

腹案もなく、ただ部下のアウトプットに「ピンと来ない」とケチをつけるだけの上司は、信頼を失うだけです。特にリモートワークが普及し、非同期の働き方が増える中で、指示の言語化、形式知化の重要性はますます高まっています。部下が報告・連絡・相談しやすいように促すためには、管理職側がまず、曖昧さを排除した具体的な指示出しを徹底することが求められるのです。

Z世代の「指示待ち」「報連相不足」部下への接し方・対策

「若手は指示待ちで自発的に動かない」「報連相が不足している」といった悩みは、多くの上司が共有する課題です。しかし、これを単にZ世代の意欲の低さと片付けてしまうのは早計です。

彼らの行動の背景には、特有の心理的な要因が複雑に絡み合っています。その1つが前述した「失敗を恐れる」傾向です。具体的な指示や明確なゴールが示されない状況で自ら行動を起こし、もし失敗すれば自分の評価が下がるというリスクを、彼らは何よりも避けたいと考えています。

また、SNSネイティブである彼らは、他者からの承認を強く求める一方で、常に周囲の目を意識しています。ツナグ働き方研究所の平賀充記氏は、この心理が「デキるキャラ」を演じさせてしまうと指摘しています。
実は彼らには「意識高くないといけないんじゃないか」という強迫観念があるんです。その背景は何かと言うと、やっぱりSNSなんですね。

自分の同期とか大学の友だちとかが、めちゃめちゃいい投稿を上げるわけですよ。だいたいSNSっていい話しか上げないから、「チーフになった」とか「お給料増えた」とか「こういうプロジェクトに入った」とか、そういう投稿や写真を上げていたりするわけです。

そうすると、「自分だけ置いてけぼりになっているんじゃないか」と感じてしまう。そもそも承認欲求だけは高いので、そういった意味で「がんばんなきゃ」と思う。そうすると、つい無意識のうちにも「デキるキャラを演じる」というか、素の自分よりも5ミリくらい何か被っているような感じに、ついなってしまうんです。

引用:若手社員が折れやすいのは「デキるキャラ」を演じてしまうから 職場の残念なすれ違いを生む、Z世代が抱える“とらわれ”(ログミーBusiness)

報連相ができないのも、「こんな初歩的なことを聞いていいのだろうか」「できない奴だと思われたくない」という不安が根底にある場合が少なくありません。特に新入社員の場合、「何がわからないのかがわからない」という状態に陥っていることも多く、上司が「いつでも聞いて」と声をかけても、その1歩が踏み出せないのです。

Z世代の部下を持つ上司として取るべき行動は、まず彼らが安心して相談できる「心理的安全性」の高い環境を構築することです。上司がいつも忙しそうにしていたり、話しかけにくい雰囲気を出していては、部下は声をかけるタイミングを逸してしまいます。

業務上の指示・指導だけでなく、メンタルケアも含めたサポート体制が求められます。しかし、プレイングマネージャーが多い現状では、上司1人にその負担を強いるのは困難でしょう。

そこで有効なのが「メンター制度」の導入だと、株式会社PDCAの学校の宮地尚貴氏は言います。年齢の近い先輩社員であれば、部下も気軽に相談しやすく、上司の負担を軽減することにもつながります。

相談できる環境があるかどうかは、離職率にも影響を与える重要な要素です。指示待ちや報連相不足といった表面的な行動の裏にある彼らの不安を理解し、組織としてサポートする仕組みを整えることが不可欠です。

Z世代の部下に響くフィードバックと育成計画

Z世代の若手社員は、キャリアアップへの意欲が高く、仕事を通じて成長したいという欲求を強く持っています。彼らにとっては、金銭的な報酬や役職以上に、「この会社にいて成長できるか」という点が、働き続ける上での重要な判断基準となります。この成長実感をいかに提供できるかが、彼らのモチベーションを維持し、離職を防ぐためのカギとなります。

株式会社PDCAの学校の宮地尚貴氏によると、ある調査では、若手が抱く仕事上の不満の第1位は「給与が低い」や「残業が多い」ではなく、「フィードバックがない」ことだったと言います。自分の仕事が正しかったのか、どう評価されているのか、次に何を期待されているのか。彼らは上司からのコメントを渇望しています。

これは、Z世代特有の承認欲求の強さとも関連しており、自分の存在や貢献が認められていると感じることで、安心感と次への意欲を得るのです。

ベテラン社員にとっては日常のことでも、若手社員が初めてできるようになった業務は、本人にとって大きな達成感であり、それを上司に認めてもらうことは、何よりの喜びとなります。

できていないことへの指摘だけでなく、「できていること」をきちんと認め、言葉にして伝える。この小さな積み重ねが、若手の成長実感とエンゲージメントを育みます。

さらに効果的なのが、「育成計画」を作成し、本人に提示することです。たとえ簡易的なものであっても、「1年後にはこうなってほしい」「そのために今、この業務を任せている」といった会社からの期待を可視化することで、部下は自分の仕事の意義を理解し、キャリアプランの漠然とした不安を解消することができます。

この育成計画は単なる精神論ではなく、本人のキャリアと会社の目標を結びつけ、「この業務をこなすことで、君自身の市場価値も上がる」といったメリットを提示するかたちで伝えることが重要です。

また、その上で育成計画は評価制度や給与体系と連動している必要があります。「何をどれだけがんばれば、どう評価され、どう報われるのか」という道筋が明確でなければ、社員は何を目標に努力すればよいのかわからなくなってしまいます。評価基準の明確化こそが、組織全体のモチベーション向上につながるのです。

定期的な面談を通じてフィードバックを行い、育成計画に基づいて先々を見据えた指導をすることが、Z世代の成長意欲に応えるマネジメントと言えるでしょう。

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