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管理職の役割(全1記事)

管理職の役割・業務とは? 組織に成果をもたらすために求められるスキル、あるべき姿勢 [1/2]

【3行要約】
・管理職の本質は組織全体の生産性を高める極めてクリエイティブな役割です。
・ドラッカーの定義に基づけば、マネジメントとは「組織に成果を上げさせるための機関・機能・道具」です。
・管理職には目標設定・組織化・動機づけ・評価・人材育成の5つの業務があり、特に「動機づけ」のスキルを磨くことが組織の成果最大化につながります。

管理者の役割を果たすために理解したい「マネジメント」の本質

マネジメントという言葉の解釈は多岐にわたりますが、その本質を深く理解するためには、経営学者のピーター・ドラッカーが説いた定義に立ち返ることが有効です。ドラッカーは、「マネジメントとは組織に成果を上げさせるための機関、機能、道具である」と述べています。この言葉が示すように、マネジメントの主眼は、管理職自身が成果を上げることではなく、あくまで「組織に」成果を上げさせることにあります。

この本質を理解することは、管理職としての役割を果たす上での根幹となります。マネージャーは、自身の組織が生み出す成果に対して責任を持つ存在です。その責任を果たすためには、顧客が何を求めているのか、企業の目的は何か、そして働く人々をいかにして活かすかといった問いに常に向き合い続ける必要があります。

特にメンバー一人ひとりの強みを引き出し、その成長を促すことが、組織全体の成果に直結するという視点は欠かせません。

組織に成果をもたらすためには、経営資源を統合的に捉える能力が求められます。経営資源とは、一般的に「ヒト・モノ・カネ・情報」を指しますが、これらを個別の要素としてバラバラに捉えていては、高い成果は望めません。

例えば、人的リソース(ヒト)と予算(カネ)をどう組み合わせるか、最新の市場データ(情報)を基にどのような製品(モノ)を開発するかといったように、複数の資源を掛け合わせて総合的に考えることで相乗効果が生まれ、より大きな価値を創出できるのです。

さらに、管理職は時間軸においてもバランス感覚を求められます。プレイヤーは「現時点」で何をすべきかに集中しがちですが、管理職は現場で起きていることを把握する「現在」の視点と、組織の将来を見据える「未来」の視点の両方を持たなければなりません。

このバランスは常に5対5である必要はなく、市場環境の激しい変化に対応するために現在の課題に注力すべき時もあれば、長期的な成長のために未来への投資を優先すべき時もあります。状況に応じて柔軟に判断し、組織のかじ取りを行うことが、成果に責任を持つマネージャーの重要な役割なのです。

管理職が陥る「ジレンマ」

管理職の役割は、大きく「業務マネジメント」と「人マネジメント」の2つの側面に分けることができます。「業務マネジメント」は、業績管理や売上進捗の確認、制度作りなど、成果を管理する色合いが強い活動です。

一方で「人マネジメント」は、部下の指導や育成、仕事の割り振り、モチベーション向上への働きかけなど、個人の成長に寄与する活動を指します。

現代の管理職の多くは、この2つのマネジメントの狭間でジレンマを抱えています。特に、過去の日本企業では業績が最重要視され、個人の行動プロセスが評価されることは稀でした。その結果、現在の管理職世代は業務マネジメントに偏ったスタイルを身につけており、これが現代の環境との間に齟齬を生んでいます。

管理職が現場で感じる具体的なジレンマの1つに、「思考のジレンマ」が挙げられると株式会社PDCAの学校 代表取締役の浅井隆志氏は言います。これは、日々の業務プレッシャーや成果目標に追われる中で、物事を深く考える余裕を失ってしまう状態のことです。

・上っ面症候群

多くの企業の評価制度では、管理職自身の評価が、担当部署の数値目標や成果の比重に大きく偏っています。そのため、「部下を指導・育成しろ」と言われても、それが自身の評価に直結しないと感じれば、どうしても目の前の数字を追うことが優先されます。結果として、部下への関わりは上っ面だけのものとなり、上から下りてきた数字をただ部下に振り分けるだけの役割に陥ってしまいます。

・計画の落とし穴

単月目標の達成や予算のクリアに追われるあまり、未来を見据えた戦略的な計画を立てることができなくなる状態です。本来、管理職は事業戦略を自部署の戦術に落とし込み、達成可能な計画を立案する役割を担っています。

しかし、現実には上から与えられた数字を「今ある手札でどうこなすか」という現状維持の思考に陥りがちです。もし目標が非現実的なものであれば、新たな市場や商材、売り方を模索するといった、より戦略的な思考が求められますが、その発想に至らないケースが少なくありません。

こうしたジレンマは、個々の管理職の能力だけの問題ではなく、企業の構造的な問題が背景にあります。管理職が「言われた数字だけやっていればいい」という状況から脱却するためには、組織として対策を講じる必要があります。

例えば、部長や課長といった役職ごとに、その職務・職責を明確に定義することが重要です。事業戦略の立案は誰が担うのか、新たなビジネス展開の提案はどのポジションに求められるのかをはっきりとさせ、評価制度にもそれを反映させるのです。

さらに、四半期に一度、管理職が主体となって次期の戦略・戦術を議論する会議体を設けるなど、未来志向の課題解決思考を促す仕組みを意図的に作ることも有効です。

経営層がこうした環境整備を行わずに、「うちの管理職は会社の将来を考えない」と嘆くのは、本末転倒と言えるでしょう。

管理職の「結節点」としての役割

管理職はマネジメントを行うほか、組織構造の中で極めて重要な「結節点」としての役割も担っています。これは単に階層の間に位置するというだけでなく、組織の縦と横の連携を円滑にし、全体のパフォーマンスを向上させるためのハブとして機能することを意味します。

まず「縦断的な結節点」としての役割です。管理職は、経営層やトップマネジメントと現場で実務を担うプレイヤーとの間に立ち、双方の橋渡しをします。

経営層から下ろされる方針や戦略を、ただ伝達するだけでは不十分です。その背景にある意図や目的を深く理解し、現場のメンバーが納得し、具体的な行動に移せるように「翻訳」する能力が求められます。同時に、現場で起きていることやメンバーの意見、課題などを吸い上げ、経営層にフィードバックすることも重要な責務です。

この双方向のコミュニケーションが滞ると、組織は一体感を失い、戦略は絵に描いた餅で終わってしまいます。現場のメンバーに動機づけを行い、主体的な関与を促す潤滑油としての機能が、縦の結節点である管理職には不可欠です。

次に、「横断的な結節点」としての役割も忘れてはなりません。多くの企業では、部署ごとに業務が最適化され、いわゆる「サイロ化」が起こりがちです。しかし、複雑な課題を解決し、新たな価値を創造するためには、部署の垣根を越えた連携が不可欠です。

管理職は、同じ階層の他部署の管理職と日常的にコミュニケーションを取り、情報を共有し、協力関係を築くことで、組織全体の横のつながりを強化する役割を担います。この横の連携が、組織の柔軟性や対応力を高める上で極めて重要になります。
今、世の中のマネジメントは、やはり「管理型のマネジメント」の延長線上にあります。「自分に近い人に教える」という考え方から、「違う人をどう活かすか」という「支援型マネジメント」への転換が促されています。「支援型マネジメント」になってくると、一人ひとり違う人材に対して「なぜやるんですか?」ということを、今まで以上にしっかりと伝えていかなければなりません。

じゃあ「なぜやるの?」には、どんなことがあるのでしょうか。1つは「会社としてのWhy」。会社のパーパスやビジョンが、どのような上位目標につながっているのか。また、部署にとってこれは本当に重要な仕事なのか。こうしたことが、ちゃんと腹落ちしている状況を作ることが大事です。

また、メンバー一人ひとりとしても、これは自分にとって意味がある仕事なのか。メリットがあるのか。ここを腹落ちさせることも重要です。これはテレワークがどんどん進んできて、今まで以上に必要になってきています。

引用:過去の延長線上で、自分と同質の部下を管理する「古い管理職」 いま必要なのは「違う人を活かす」支援型マネジメントへの転換(ログミーBusiness)

このように、管理職は会社の「Why」と個人の「Why」を結びつける結節点でもあります。組織のエンゲージメント、すなわち社員と会社・仕事との良好な関係性を築く上で、管理職がこの結節点としての役割をいかに果たせるかが、組織の成長を左右するカギとなるのです。

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