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自律分散型組織(全1記事)

VUCA時代に強さを発揮する自律分散型組織(DAO)とは? メリット・デメリット・導入事例・成功のコツを紹介 [1/2]

【3行要約】
・自律分散型組織とは、従業員一人ひとりが自らの意思で判断し、自律的に活動することで運営される組織形態を指します。
・自律分散型組織は変化の激しいVUCA時代に強さを発揮すると注目されていますが、導入には高いセルフマネジメント能力や情報共有の課題があります。
・自律分散型組織への移行は一朝一夕には実現せず、個人と組織の成長を同期させる長期的アプローチが求められます。

VUCA時代に強さを発揮する自律分散型組織とは

組織の硬直化や、個人の才能が活かしきれないといった従来型の働き方に対し、新たな解決策として自律分散型組織が注目されています。

自律分散型組織とは、社長のような特定のリーダーがトップダウンで指示を出すのではなく、従業員一人ひとりが自らの意思で判断し、自律的に活動することで運営される組織形態を指します。DAO(Decentralized Autonomous Organization)とも呼ばれ、役職や階層といった上下関係が存在しない、フラットな構造が特徴です。

このような組織形態がなぜ今求められているのでしょうか。その背景には、VUCAと呼ばれる現代社会の特性があります。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、先行きが不透明で将来の予測が困難な時代状況を示しています。

このような環境下では、従来のピラミッド型組織のように、上層部の指示を待ってから行動するスタイルでは、変化のスピードに対応しきれません。そこで、現場のメンバーが迅速な意思決定権を持つ自律分散型組織が、その強さを発揮すると期待されているのです。

一般的な組織と自律分散型組織の違い

一般的な組織は、社長を頂点とする階層構造の中で、各部署に割り振られた役割を遂行する「団体戦」のスタイルを取ります。会社から与えられた「何をすべきか」というタスクをこなすことが基本となり、個人の自由度は比較的低いと言えるでしょう。

もちろん、人事配置においては個人の適性が考慮されるものの、本質的には「置かれた場所で与えられた役割をやる」ことが前提となります。TUMMY株式会社代表のあべなるみ氏によると、ある研究では、こうしたピラミッド型の管理組織では、個人の才能の約3割しか引き出せないと言われていることが指摘されています。

一方で、近年では働き方としてフリーランスのような「個人戦」を選ぶケースも増えています。この働き方は、誰と、どこで、どれくらい働くかをすべて自分で決められるため、自由度は非常に高いです。しかし、専門分野での価値提供に集中したくても、それ以外の業務もすべて1人でこなさなければならないため、結果として自身のスキルの発揮が妨げられる側面もあります。

これら両者の課題を乗り越える可能性を秘めているのが、自律分散型組織です。この組織形態では、個人の自由度の高さを維持しながら、互いの強みを補い合って働くことができます。

あべなるみ氏は、この組織づくりを推進する根底にある自身の強い想いについて、次のように語っています。
会社員で上場企業に勤めていた時期もあるんですが、ボロボロになるまで、遅くまで働いたりしながら、「これじゃあたぶんごきげんなお母さんでいられないなぁ」というようなことを思いました。

いかに融通を利かせて自分の求める時間だけで働けるかとか、ごきげんでいるという意味でいくと、本当に心からやりたいことをやっている状態になっていることが必要だというような考えからやっています。

私は経営者、創業者ですが、とにかく自分がごきげんになれないことはやらないということを強く誓ってここまで来たっていうところが、この組織づくりにめちゃくちゃ影響しているので、1つ共有になります。

そして、どうせ働くなら自分らしく働きたいなというのもあって、苦手でだめなことよりは、どんどん強みが発揮できることに自分を投じていたいというモチベーションも強くあります。

引用:「自分らしく働く」が叶うのは組織か個人か? 約3年の組織づくり経験から見た、自律分散型組織の“強さ”(ログミーBusiness)

自律分散型組織のメリット

自律分散型組織を導入することは、企業に多くの利点をもたらします。最も大きなメリットの1つは、前述したVUCA時代における変化への迅速な対応力です。従来の階層型組織では、現場で問題が発生したり、改善点に気づいたりしても、上司への報告、さらにその上層部への承認といったプロセスを経る必要があり、意思決定から実行までに時間がかかりました。

しかし、自律分散型組織では、各メンバーやチームに意思決定権が委ねられているため、現場の判断で柔軟かつスピーディに行動できます。これにより機会損失を防ぎ、業務効率を大幅に向上させることが可能です。

また、従業員のモチベーションとエンゲージメントの向上にも大きく寄与します。メンバーは自らの意思で仕事を進め、その意見が直接組織の運営に反映されるため、「やらされている」という感覚ではなく、「自分も経営に参加している」という強い当事者意識を持つことができます。

これは「自分は会社に必要な存在だ」という自己有用感にもつながり、仕事への意欲を高めます。さらに、上下関係による圧力や忖度がなくなることで、心理的安全性が確保され、メンバーは自身の個性や強みを最大限に発揮しやすくなります。多様な視点やアイデアが生まれやすい土壌が育まれ、イノベーションの創出も期待できるでしょう。そして、各自が自身の判断と行動に責任を持つ文化が醸成されるため、「上司の指示だったから」といった責任転嫁が減少し、より健全で主体的な組織風土が形成されるのです。

株式会社アカツキ 共同創業者の塩田元規氏によると、アカツキ社では、失敗を許容し、ロジカルな分析と感情の動きの両面から「問い」を立てて振り返る文化を根づかせることで、メンバーの成長を促し、自律分散の実現につなげたと言います。

自律分散型組織のデメリットと課題

自律分散型組織は多くのメリットを持つ一方で、実現するためには乗り越えるべき課題も少なくありません。導入を検討する際には、これらのデメリットを深く理解し、対策を講じることが不可欠です。

まず、メンバー個々人に高い自己管理能力、すなわちセルフマネジメント能力が求められる点が挙げられます。指示を出す上司が存在しないため、自ら業務の進捗を管理し、責任を持って遂行する必要があります。この能力が低いメンバーが多い場合、組織全体のパフォーマンスが低下し、運営が滞るリスクがあります。

次に、情報共有が困難になりがちであるという課題です。各メンバーが自律的に行動するため、意識的に共有の場を設けなければ、誰がどのような仕事をしているのかが見えにくくなります。結果として、業務や情報が特定の個人に依存する「属人化」が進み、トラブルの発見が遅れるなど、組織的なリスク管理が難しくなる可能性があります。

また、従来のリーダーシップが機能しにくくなることで、意思決定に時間がかかるケースも考えられます。特に組織全体に関わる重要な決定や、メンバー間で意見が対立した際に、調整役が不在となり、結論が出るまでに時間を要することがあります。これは、変化の早い市場環境において競争力の低下につながりかねません。

そもそも管理を手放すということは、「個人のモチベーションが尽きたらすぐに組織が崩壊する」という緊張感の中で運営することを意味するとTUMMY株式会社代表のあべなるみ氏は言います。それは、本当に意味のあることしか残らない健全な状態とも言えますが、同時に組織の持続性に対するシビアな問いを常に突きつけられることでもあるのです。

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