30代でキャリアがブレる理由
転職について頭をよぎりながらも、果たしてその選択肢が最適なのか、そもそも今後自分がどのようなキャリアを進むべきなのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
30代は、多くの人にとってキャリアにおける大きな転換期となります。20代でがむしゃらに仕事に取り組んできた経験を土台に、今後の方向性について深く考える時期です。しかし、この時期は同時に、志、安定、お金といったさまざまな価値観の間で心が揺れ動く「ブレブレ期」でもあります。
プロティアン・キャリア協会の代表理事である有山徹氏自身も、30代後半から40代前半にかけて、公益財団法人への就職、政治家への転身、医療系ベンチャーやデジタル広告会社への転職など、多様な選択肢の間で大きく揺れ動いた「軸ブレブレ期」を経験したと語っています。この話からわかるように、キャリアに悩むことは決して特別なことではありません。
むしろ、30代でキャリアについてブレるのは、ある種の自然現象と捉えることができます。結婚や子どもの誕生、あるいは自身の体調の変化などをきっかけに、「このまま働き続けるのは難しいのではないか」と感じ始めるのは、ごく自然なことです。
重要なのは、「ブレる」こと自体をネガティブに捉えすぎないことです。佐野氏は、苦労や傷は、いずれその人独自の「センス」になると指摘します。遠回りしたからこそ得られる経験があり、同じような境遇にいる他者の悩みを、自分ごととして理解できるようになります。
有山氏がキャリアで悩み、転職を繰り返した経験がなければ、おそらくプロティアン・キャリア協会を立ち上げるという発想には至らなかったでしょう。キャリアにおける悩みや葛藤は、新たな道を切り拓くための重要なエネルギーとなり得るのです。
したがって、もし今あなたがキャリアについて悩んでいるのであれば、それは誰かの悩みを先取りして経験しているようなものだと捉え、その経験を未来の糧にする視点を持つことが大切です。
キャリア形成における「関係性」の視点
キャリアを考え直す際、多くの人はスキルアップや年収向上といった自分自身の目標に意識が向きがちですが、そもそもキャリアというものは、決して自分だけで完結するものではありません。
プロティアン・キャリア協会の代表理事である有山徹氏は「キャリアは関係性である」と述べ、自分の力だけでキャリアを築くのではなく、周囲の人々との関係性の中で形成されていくものだと強調しています。「退職学®︎」研究家の佐野創太氏もまた、「自立の1歩目は他者依存」という逆説的な言葉で関係性の重要性を説いています。ここでいう「依存」とは、他者に寄りかかることではなく、積極的に他者を見て、自分と相手との間にどうすれば良好な関係を築けるかを考えることを意味します。
例えば上司をいかにマネジメントし、成功させるかという「ボスマネジメント」の視点を持つことは、結果的に自分自身のキャリアを円滑に進める上で非常に有効な戦略となります。自分だけの成功を追求するのではなく、チームや会社をどうすれば成長させられるかという視点を持つことで、自然と周囲からの信頼を得て、新たな機会がもたらされるのです。
この「関係性」の重要性は、キャリア形成のあらゆる側面に当てはまります。
心理学者のヴィクトール・フランクルは、人間は自分自身に集中している時ではなく、自分以外の仕事や人、物に集中している時にこそ自己実現できると説きました。キャリアにおいても同様で、自分の内面ばかりを見つめるのではなく、会社や顧客、仲間といった他者に目を向け、その関係性の中で自分に何ができるかを考えることで、道は拓けていきます。
プロティアン・キャリア協会の代表理事である有山徹氏がプロティアン・キャリア協会の設立という大きな転機を掴んだのも、この考え方が根底にありました。
なんで、私がプロティアン協会をタナケン先生と立ち上げられたのか。当時42歳で、起業してまだ1年も経っていなくて、輝かしいキャリアもない。別にキャリアの業界が長いわけでもない中で、「なんでなんだろう?」と思う方もいらっしゃるかと思います。
理由は「めっちゃ運が良かった」こと。運を自らの手で掴んだということですね。(中略)
理由の2つ目が、戦略的にキャリアを仕掛けたことです。キャリアレバレッジをかけるのは、社会関係資本です。実はこれ、佐野(創太)さんの本にも出てくるんですが、キャリアレバレッジでは人間関係がとっても重要です。
プロティアンでも「キャリアは関係性である」というふうに考えるんですが、まさにキャリアは自分で作るものではなくて、周りとの関係性によって作られるものであるということは、私自身が感じたところですね。
引用:志か、安定か、お金か?30代で迎えるキャリアの「ブレブレ」期 ブレる自分を受け入れ、キャリア形成するための3つのポイント(ログミーBusiness)
転職は、あくまでキャリアを豊かにするための1つの「手段」に過ぎません。その手段を有効に活用するためにも、日頃から社内外のさまざまな人々と良好な関係を築き、自身の「社会関係資本」を高めておくことが、長期的なキャリア形成において極めて重要となるのです。