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KPI設定(全1記事)

KPIとは? 設定・管理のやり方をKGI・KSFとの違いとともに紹介 [1/2]

【3行要約】
・KPIは組織の目標達成度を測る重要な指標ですが、設定や運用を誤ると現場の疲弊や組織の分断を招く恐れがあります。
・ KGI(最終目標)とKSF(成功要因)との階層構造を理解し、SMARTの法則に基づいた適切なKPI設定が組織の生産性向上に直結します。
・リーダーはKPIを単なる数値目標ではなく「共通言語」として活用し、メンバーの成長を促す「ゲーム性」を取り入れるべきでしょう。

そもそもKPIとは?

ビジネスの現場で頻繁に耳にする「KPI」という言葉は、「Key Performance Indicator」の略であり、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。これは、組織や個人が最終的なゴールに向かうプロセスにおいて、その達成度合いを定量的に測定するための中間目標を指します。

例えば、「来年度の売上100億円」といった壮大な最終目標を掲げただけでは、日々の業務とのつながりが見えにくく、現実味も湧きにくいかもしれません。しかし、それを達成するための中間指標として「新規商談を月に100件創出する」といった具体的なKPIを設定することで、より現実的なものとして捉えられるようになります。

KPIとKGI・KSFとの違い

KPIを正しく理解し、活用するためには、KGIやKSFといった関連する指標との関係性を把握することが不可欠です。

まずKGIは「Key Goal Indicator」の略で、「重要目標達成指標」を意味します。これは組織が目指すべき最終的なゴールそのものであり、特定の期間で「何を」「どの程度」達成するのかを数値で明確に示したものです。先の例で言えば、「来年度の売上100億円」がKGIにあたります。

そして、このKGIを達成するために重要な要素、つまり「成功の鍵」となる要因を特定したものがKSF(Key Success Factor)、日本語で「重要成功要因」です。KSFには、「新商品開発」や「マーケティング強化」、「販売チャネルの拡大」といった戦略的な方針が含まれます。そして、このKSFを具体的な行動に落とし込み、その進捗を測定可能な数値目標として設定したものがKPIとなるのです。

つまり、KGIという最終ゴールがあり、それを達成するための戦略としてKSFが定義され、その戦略が正しく実行されているかを測るための具体的なメーターがKPIである、という階層構造になっています。

適切なKPI設定により得られるメリット

適切なKPIを設定することには、多くのメリットがあります。1つ目に、従業員が「今、何をすべきか」を明確に把握できるようになり、日々の行動指針が具体的になります。これにより業務は効率化され、組織全体の生産性向上につながります。

2つ目に、最終目標に至るまでのプロセスが数値によって可視化されるため、進捗の確認や共有が容易になります。問題が発生した場合でも、どのプロセスに課題があるのかを特定しやすくなり、迅速な軌道修正が可能となります。さらに、定量的な指標に基づくことで、評価基準が統一され、従業員に対する公平な評価が実現しやすくなるという利点もあります。

KPI設定の具体的なステップ

効果的なKPIを設定するためには、場当たり的に数値を決めるのではなく、論理的かつ体系的な手順を踏むことが重要です。そのプロセスは、常に最終的なゴールであるKGI(重要目標達成指標)の明確化から始まります。

KGIは、単に「売上を上げる」といった曖昧なものではなく、「来年度の売上高を前年比10パーセント増加させる」のように、期間と定量的な目標を具体的に設定することが不可欠です。この最終ゴールがすべての活動の起点となります。

次に、設定したKGIを達成するために必要な要素へと分解していきます。このプロセスで有効な手法が「KPIツリー」です。KPIツリーとは、KGIを頂点に置き、それを構成する要素を樹形図のように分解していく思考フレームワークです。

例えば、KGIが「売上高」であれば、それは「受注件数 × 顧客単価」に分解できます。さらに「受注件数」は「商談数 × 受注率」に、「商談数」は「アポイント数 × 商談化率」へと細分化していくことが可能です。

このように要素を分解していくことで、最終的なゴールに影響を与えるさまざまな指標(KPIの候補)を網羅的に洗い出すことができます。

KPIツリーで指標を洗い出したら、次に関連する業務をプロセスごとにさらに細かく分解し、具体的な目標数値を設定します。ここで重要になるのが、ゴールから逆算して考えるアプローチです。

例えば、最終的に「12件の受注」という目標を達成したい場合、過去のデータから「受注率」が30%だとすると、必要な「商談数」は40件(12件 ÷ 30%)と算出できます。同様に、「商談化率」が80パーセントであれば、必要な「アポイント数」は50件(40件 ÷ 80%)となります。このように逆算していくことで、各プロセスで達成すべきKPIが具体的かつ現実的な数値として設定されます。

KPI設定時におすすめの「SMARTの法則」

KPIを設定する際には、「SMARTの法則」と呼ばれるフレームワークを意識すると、その実効性を高めることができます。SMARTとは、Specific(具体的か)、Measurable(測定可能か)、Achievable(達成可能か)、Related(KGIと関連しているか)、Time-bound(期限が明確か)という5つの要素の頭文字を取ったものです。

この法則に沿って設定されたKPIは、誰にとっても理解しやすく、従業員が主体的に取り組みやすくなるため、目標達成の確度が高まります。KPIは単なる数値目標ではなく、組織全体を正しい方向へ導くための羅針盤であり、その設定プロセスには慎重さと論理性が求められるのです。
KPIは「事業成功の鍵を握る指標」です。Keyを直訳すると「鍵」ですね。鍵となるPerformance(性能)のIndicator(指標)のことなんですが、実はいろんな流派があって、人によってKPIを指しているものがけっこうバラバラです。

私も新入社員だった頃は、KPIと言われると「何かの数値目標なんだな」ぐらいに捉えていたのですが、人によってまったく違うことを言ってくるので話が噛み合わないんですよね。「KPIは1個じゃなきゃダメだ」と言う人もいれば、「大量に置け」と言う人もいるし、「KGIがあるんだから売上目標はKPIじゃない」と言われたりもして、すごく混乱したんですよ。(中略)

リクルート流KPIは1個だけです。「2つ以上あるものはKPIではない」と、中尾さんは言い切っています。鍵となる先行指標なので、売上や利益などの最終結果は含まないとしています。結果目標に到達するための先行指標として、信号を立てるのがリクルート流のKPIです。

引用:余計な仕事を増やす“ゾンビ目標”が量産される会社の特徴 4タイプ別で見る、「最悪な目標管理」と理想のMBO(ログミーBusiness)

部門・施策別に見るKPI設定の具体例

KPIは、企業のあらゆる部門や施策において設定することが可能であり、その内容は対象となる業務の特性によって大きく異なります。ここでは、いくつかの代表的な部門や施策におけるKPI設定の具体例を見ていきましょう。

まず、企業の売上を直接的に担う営業部門では、インサイドセールスとフィールドセールスでそれぞれ異なるKPIが設定されます。

インサイドセールスの場合、立ち上げ段階ではまず商談の機会を創出することが最優先されるため、「商談件数」が主要なKPIとなることが一般的です。ただし、単に行動量だけを追うと質が伴わない可能性があるため、「架電数」などはあくまで補足的なKPIと位置づけられます。

そして組織が成熟し、商談数と受注数の相関が薄れてきた段階では、KPIをより成果に近い「受注件数」に切り替えるといった見直しが必要になります。フィールドセールスにおいても同様に、「新規契約数」や「顧客単価」などが重要なKPIとなります。

次に、既存顧客との関係を維持・発展させる役割を担うカスタマーサクセス部門では、事業の継続的な成長に直結する指標が重視されます。

具体的には、顧客がサービス利用を停止する割合を示す「解約率(チャーンレート)」、顧客が他者にサービスを推奨したい度合いを測る「顧客推奨度(NPS)」、新規顧客がサービスの活用を本格的に開始できた割合を示す「オンボーディング完了率」、既存顧客からの売上が維持されているかを示す「売上継続率」などがKPIとして設定されます。これらの指標を追うことで、顧客満足度の向上とLTV(顧客生涯価値)の最大化を目指します。

マーケティング領域では、実施する施策によって設定すべきKPIが細分化されます。例えば、SNSマーケティングにおいては、かつては「フォロワー数」や「エンゲージメント数」が主要なKPIとされがちでした。しかし、これらの指標は必ずしも売上向上と直結しないため、近年ではよりビジネス成果に近い指標が重視されるようになっていると株式会社GiftXの飯髙悠太氏は語ります。

具体的には、ユーザーが自社の商品やサービスについて自発的に発信するコンテンツである「UGC(User Generated Content)」の発生数や、SNSでの話題化がきっかけで増加する「指名検索数」などが重要なKPIとして注目されています。これらの指標は、SNSが購買行動に与える影響をより直接的に測るものと言えます。

同様にコンテンツマーケティングにおいては、「Webサイトへの流入数」や「ホワイトペーパーのダウンロード数」、「セミナー申込者数」などがKPIとなります。メールマーケティングでは、「開封率」「クリック率」「コンバージョン率」の3つが基本的なKPIとなり、これらの数値を改善していくことで、最終的な売上向上を目指します。

このように、各部門や施策の目的に応じて最適なKPIを設定し、PDCAサイクルを回していくことが、組織全体の目標達成には不可欠です。

KPI設定におけるよくある失敗例とその対策

KPIは目標達成に向けた強力なツールですが、その設定や運用を誤ると、かえって組織のパフォーマンスを低下させ、現場を疲弊させる状況を招くことがあります。このような事態を避けるためには、KPI導入時に陥りがちな典型的な失敗例を理解し、その対策を講じることが重要です。

最もよく見られる失敗の1つが、「KPIが多すぎること」です。目標達成への貢献度を測ろうとするあまり、あらゆる指標をKPIとして設定してしまうケースがあります。しかしKPIの数が多すぎると、マネージャーの管理負荷が増大するだけでなく、メンバーは何を優先すべきか分からなくなり、行動の焦点がぼやけてしまいます。

これを防ぐためには、KGI達成に最もインパクトを与える指標は何かを慎重に見極め、追うべきKPIを3つ程度、理想的には1つに絞り込むことが不可欠だと研修トレーナーの伊庭正康氏は語ります。

リーダーは不安からあれもこれもと指標を増やしがちですが、限られたリソースを最も重要な一点に集中させることが、成果を最大化する鍵となります。

次に、「本来の目的を見失ってしまう」という失敗も頻繁に起こります。KPIの数値を達成すること自体が目的化してしまい、その先にあるはずのKGI達成や顧客への価値提供といった本来の目的が忘れ去られてしまうのです。メンバーに対して数値責任ばかりを追求すると、組織全体の方向性はブレていきます。

例えば、営業部門が受注率を上げるために強引なクロージングを行った結果、顧客満足度が低下し、カスタマーサクセス部門のKPIである「顧客継続率」が悪化するといった事態も起こり得ます。リーダーは、KPIはあくまで最終目標を達成するための通過点であることをメンバーに繰り返し伝え、日々の取り組みが何のためのものなのかを動機づけし続ける必要があります。

さらに、「部門間の軋轢が生じる」ことも大きな問題です。各部門がそれぞれのKPI達成のみを追求すると、部門最適化が進む一方で、組織全体としての最適化が損なわれることがあります。先の営業とカスタマーサクセスの例のように、ある部門のKPI達成が他の部門のKPIに悪影響を及ぼすのです。

こうした事態を防ぐためには、部門間の連携を強化し、それぞれのKPIを共有・可視化する仕組みが必要です。組織全体の目標達成という共通のゴールに向かって、各部門がどのように貢献し合えるかを常に意識することが求められます。KPIは組織を分断する壁ではなく、連携を促進する共通言語として機能させなければなりません。

KPI設計をしたものの目標数値が上がらない場合の対応

KPIを設定し、その達成に向けてPDCAサイクルを回していく中で、目標数値が思うように上がらないという壁に直面することは少なくありません。このような状況を打開するためには、より深くKPIを読み解き、的確な改善策を講じるための高度な視点が必要になります。

その核心は、行動の「量」と「質」という2つの側面から課題を捉え、それぞれに応じた打ち手を考えることにあるとTORiX株式会社 代表取締役の高橋浩一氏は語ります。

KPIが未達の場合、その改善策は突き詰めれば「量を増やす」か「質を上げる」かの2つに集約されます。例えば、月12件の提案件数というKPIが達成できない場合、その手前のプロセスである「訪問件数」が不足しているのか、それとも訪問しても提案につながらない「案件化率」が低いのかを見極める必要があります。

前者が課題であれば、行動の「量」を増やすための具体的なマネジメントが必要です。それは単に「もっと訪問しろ」という精神論ではなく、「訪問活動に集中する時間を確保する」「1件あたりの移動時間を短縮する」「報告業務などの付随作業を効率化する」といった、量を増やすための具体的な仕組み作りを意味します。

後者の「質」が課題である場合は、より繊細なアプローチが求められます。質を向上させるためには、成功・失敗事例のデータを収集し、その要因を分析することが不可欠です。有効な手法として、「カテゴリ分類の集計と定性コメント」の取得が挙げられます。

例えば、「案件化に至った決め手」や「案件化できなかった理由」について、選択式のカテゴリと自由記述のコメントの両方を記録してもらいます。カテゴリ選択によって定量的な集計・分析が可能になり、自由記述によって個々の事案の具体的な背景やニュアンスを深く理解できます。

この両方のデータを突き合わせることで、何が有効なアクションで、何がボトルネックになっているのかという「勝ちパターン」や「負けパターン」が明らかになり、具体的な質の改善へと繋げることができるのです。

さらに、KPI設計を深化させる上では、どの指標を「ターゲットKPI」として追うべきか、という視点も重要になります。一般的に、最初は「1日30件電話をかける」といった上流工程の行動量(量)に関する、実行しやすいKPIから始めるのが効果的です。

しかし、それだけを追い続けていると、行動自体が目的化してしまう危険性があります。そのため、行動量がある程度担保されたら、ターゲットKPIを「月に6件、商談フェーズを進める」といった、より成果に近い下流工程の指標(質)へと移行させていく必要があります。

このように、組織や個人の成熟度に合わせてターゲットKPIを動的に変化させていくことが、持続的な成長を促す上で極めて重要なのです。
そして現時点での売上目標達成率なんですが、多くの営業組織は一番上(コンタクト件数)と一番下(現時点での売上目標達成率)ばっかり見ていることが多いんですよ。「何件行っている」とか「今、売上達成率が何パーセント」といった部分だけを見ているケースが非常に多いです。ですが、これだけだとヘルシーに目標達成する営業組織にはなかなかなりません。

真ん中の3つ、見るべきだけど見落としがちなところがあります。(中略)

そしてターゲットKPIの話をしましたが、特に商談作成件数やフェーズアップの件数やパイプライン金額を見ていない場合は、ぜひ見ていただくようにお願いします。

引用:KPI設計で多くの企業が見落としがちな“3つの指標” 営業組織が目標達成するための対応策(ログミーBusiness)

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