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後悔しない転職(全1記事)

転職して後悔したくない人へ 離職タイミングの考え方・ミスマッチを防ぐ企業の見極め方 [1/2]

【3行要約】
・転職を考える際、多くの人が「すぐに辞めたい」と感じますが、その判断基準が曖昧なまま行動すると後悔につながります。
・森田昇氏や安藤健氏らは、ネガティブな動機による転職や企業との対話不足がミスマッチを生むと警鐘しました。
・転職前には「小さな越境」を試み、社外との接点を持ちながら自分の市場価値を知ることで、後悔しにくいキャリアの選択ができます。

後悔しない転職にするための「守破離」の見極め

企業に勤めている人の中には、「入社したばかりだけれど、もう辞めたい」という感情を抱いてる人も少なくないのではないでしょうか。このような内容は、キャリア相談の現場でも頻繁に聞かれる言葉です。

こうした相談に対し、かつては「石の上にも3年」「桃栗三年柿八年」といった言葉で、すぐに行動を起こすことを諫める風潮がありました。ある程度の期間を勤めなければ、仕事の本当のおもしろさや大変さはわからないという考え方です。

しかし、キャリアコンサルタントの森田昇氏は、こうした考え方は昭和の価値観の1つであり、「会社をすぐに辞めたらキャリアが詰む」というのは幻想だと指摘します。1年で会社を辞めたとしても、それ自体がキャリアに決定的なダメージを与えるわけではありません。

ただし、森田氏は無条件に早期離職を肯定しているわけではなく、そこには重要な判断基準があると言います。それが「守破離」の考え方です。

守(しゅ)
まずは師の教えや決められた型を守り、繰り返し基本を習得する段階。

破(は)
基本をベースにしながら、自分なりの工夫を加え、既存の型を破っていく段階。

離(り)
型や教えから離れ、まったく新しい独自のものを生み出していく段階。

森田氏が問題視するのは、「守」の段階で辞めてしまうことです。「仕事がつらいから辞めたい」という理由で転職しても、仕事の基本が身についていない「守」の段階であれば、結局次の会社でも同じように仕事がつらいままになってしまいます。

なぜならどの会社に行っても、まずは基本的な業務を覚え、一定の成果を出せるようになるプロセスが不可欠だからです。

一方で、仕事で何らかの成果を出し、その成果を自分なりの工夫で再現できるような「破」の段階に達しているのであれば、たとえ入社1年目であっても転職は問題ないと考えています。この段階にいれば、新しい環境でも自身のスキルを応用し、貢献できる可能性が高いからです。

したがって、早期離職を考える際には、単に在籍期間の長短で判断するのではなく、自分が今「守破離」のどの段階にいるのかを冷静に見極めることが、後悔しないための重要な鍵となります。

後悔する転職のループを生む動機

後悔しない転職にするためには、「守破離」の見極めだけでなく、転職を検討する際の動機にも注目する必要があります。

転職を考える際の動機は、大きく2つに分類されます。1つは「もっとこんなことをしたい」という成長意欲や明確な目標に基づく「ポジティブな動機」。もう1つは、現在の職場への不満や不安から「この状況から逃れたい」という「ネガティブな動機」です。

特に注意が必要なのは、後者のネガティブな動機による転職です。例えば「今の上司がどうしても嫌だ」「同僚と価値観が合わない」「給料が上がらない」といった短期的な不満や、「会社の将来性が不安」「今の仕事に情熱が持てない」といった長期的な不安が根底にある場合、その状況から逃れること自体が目的化してしまいがちです。

このような「これが嫌だから」という動機でキャリアチェンジを行うと、多くの場合うまくいきません。なぜなら、新しい職場で「こんなことがやりたい」という具体的な目標や熱意が明確でないためです。

結果として、仮に転職できたとしても、新しい環境で成果を出せずに再び不満を抱き、また次の職場を探すという悪循環に陥ってしまう可能性が高くなります。

この問題の本質は、逃げること自体にあるのではなく、その「逃げ」に目的があるかどうかです。書籍『人生から逃げない戦い方』の著者であるわび氏は、人生には逃げていい時と悪い時があると指摘しています。
やはり「がんばらなくていい」とか「逃げていい」という言葉が一般的にもよく言われている中で、ミスリードを起こしていないかな、と不安になったんですね。

というのも、逃げていい時と悪い時があると私は思っています。本当に自分が目指すべき、人生の目的から外れないというのが、ものすごく大事だなと思っていて。

例えば「やりたいことがほかにあるから、ここからは逃げる」とか、先ほど言ったようなポジティブな転職、つまり目的のある逃げはぜんぜんありだと思うんですけど。「ただ苦しいから、とりあえずここからいなくなりたい」とか、逃げた先に何もないような逃げ方は、極力やめたほうがいいなと思います。

とはいえ、私もパワハラを受けてうつ病になったことがありますので、大前提としての「我の健在」はあると思います。自分がちゃんと生き残ることが大事なので、そこを損ねるような状況だったら、逃げていい。そのへんの取捨選択が大事ですね。

引用:仕事は受け身にならないほうが楽な理由 がんばらないために、あえて「攻める」仕事術(ログミーBusiness)

つまり、現状から脱出することの先に、自分が目指すべきポジティブな目標が設定されているかどうかが重要なのです。したがって、ネガティブな動機で転職を考え始めた際には、まずその動機をポジティブなものに転換するプロセスが不可欠です。

「何が嫌なのか」を掘り下げるだけでなく、「では、自分は本当はどうありたいのか」「何を成し遂げたいのか」をじっくりと考え、計画を立てて行動を起こすことが、負の連鎖を断ち切る鍵となります。

「社会貢献したい」という転職動機の落とし穴

キャリア選択の軸として「仕事を通じて社会貢献をしたい」と考えるビジネスパーソンは少なくありません。「今の仕事は本当に社会の役に立っているのだろうか」という問いから、社会課題の解決を事業目的とする「ソーシャルセクター」への転職に関心を持つケースもあります。

ソーシャルセクターとは、NPO法人や一般社団法人だけでなく、株式会社であっても、主たる目的を社会課題解決に置いている団体を指します。こうした組織への転職は、やりがいや使命感に満ちた魅力的な選択肢に映るかもしれません。

しかし、特定非営利活動法人エティックDRIVEキャリアの腰塚志乃氏によると、この「社会貢献したい」という動機だけで転職を決めてしまうことには大きな落とし穴があると警鐘を鳴らします。

ソーシャルセクターへの転職で最も多い失敗例は、解決したい社会課題の「テーマ」に強く引かれ過ぎてしまうことです。例えば、「子どもの貧困問題を解決したい」「環境問題に取り組みたい」といったテーマへの共感があまりにも強いために、一般的な転職活動では当たり前に考慮するはずの職種、業務内容、企業文化、同僚との相性といった要素の優先順位が著しく低くなってしまうのです。
腰塚:そこに引っ張られ過ぎて、普通のBusiness to Businessの転職だったら業界と同じく職種も企業文化も、同僚がどんな人かも大事だって思うけど、業界だけが優先順位として突出しちゃうみたいな。

長谷川:へぇ。

腰塚:だから社会課題に対する団体の問題意識とか着眼点、提供しているソリューションが共感できるかどうかをすごく優先すると、入った後に「こんなはずじゃなかった」「期待値とギャップがあった」って定着できなくて離職しちゃうケースが一番多いと思うんですよね。

引用:「仕事で社会貢献したい」という転職で失敗する人の共通点 ソーシャルセクター転職のプロが語る落とし穴(ログミーBusiness)

結果として、テーマ自体には共感できても、実際の業務内容が自分の得意分野と異なっていたり、組織の働き方が自分の価値観と合わなかったりして、ミスマッチが生じます。

腰塚氏は、ビジネス界とソーシャル界では「やっているタスクは一緒でも、OSが違う」と表現します。営業やカスタマーサポートといった業務は同じでも、その根底にある意思決定の優先順位や組織文化が根本的に異なるのです。

したがって、ソーシャルセクターへの転職を成功させるためには、社会課題への共感という熱意を持つと同時に、冷静な視点を取り戻すことが不可欠です。

自分がその組織でどのような役割を担い、日常的にどのような業務を行うのかを高い解像度でイメージし、組織の文化や価値観が自分と本当にフィットするのかを見極める。こうした、ごく当たり前の転職の基本に立ち返ることが、ソーシャルセクターへの転職で、理想と現実のギャップを防ぐ最も確実な方法と言えるでしょう。

転職後の後悔につながる企業選び

転職や就職活動において多くの人が陥りがちなのが、「人気企業ランキングの上位だから」「世間的な評価が高いから」といった理由で企業を選んでしまうことです。特に、自身のやりたいことが明確でない場合、「みんなに人気のある会社なら間違いないだろう」という思考に陥りやすくなります。

ポジウィル株式会社の岡千尋氏は、自身の最初の就職活動を振り返り、当時はキャリア志向が低く、給料がそこそこもらえて定時で帰ることができ、休みもしっかり取れるという条件で就職先を決めたと語っています。

その結果、会社とのミスマッチを感じ、2年で早期退職することになりました。この経験は、「人気」や「安定」といった外的要因だけでキャリアを決定することの危うさを示唆しています。

また、友人や家族の目を気にしてしまうことも、後悔につながる選択の原因です。「友だちに自慢できるような有名企業に入ったほうが楽しいのではないか」「今まで育ててくれた親を安心させたい」といった思いから、自分の本心とは異なる企業を選んでしまうケースは少なくありません。親から「福利厚生が良い大手じゃないと幸せになれない」といった価値観を伝えられ、それに沿った会社選びをしてしまうことも多いでしょう。

しかし、こうした選択の結果として訪れるのは、「人気企業だからといって自分に合う企業ではなかった」「福利厚生にも環境にも文句はないのに、なぜか満たされない」といった後悔です。この「満たされない感覚」の正体がわからないまま転職を繰り返してしまう人もいます。

入社当初に感じた小さな違和感を「自分だけが合わないのかもしれない」と無理に抑え込み、自分の感覚を殺して適応しようとすると、いずれ限界が訪れます。

人気や他者の評価といった軸ではなく、自分自身の感覚と向き合い、「自分にとって良い会社とは何か」を見つめ直すことが、後悔しないキャリア選択の第1歩となるのです。

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