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仕事でやりたいことがわからない(全1記事)

仕事で「やりたいことがわからない」あなたへ 原因と次の1歩を踏み出す具体的なアプローチを紹介 [1/2]

【3行要約】
・キャリアに迷う20〜30代の約半数が「やりたいことがわからない」と感じており、低い自己イメージや過剰な将来へのプレッシャーがその要因となっています。
・「やりたいことが見つからない」と悩む人は、自己理解を深めるために日々の感情を記録したり、「できること」を起点にキャリアを構築したりする方法が効果的です。
・やりたいことは変化するものと捉え、完璧な答えを求めるのではなく、まず行動し、その結果から自分の方向性を見つけていくことが重要です。

なぜ「やりたいこと」が見つからないのか?

「仕事で自分のやりたいことがわからない」という悩みは、キャリアを考える多くの人が1度は直面する普遍的なテーマです。リクルートワークス研究所の古屋星斗氏によると、20〜30代の約半数が「自分の人生や仕事でどうしていきたいかわからない」キャリア迷子の状態にあると回答しています。この感覚は決して特別なものではなく、多くの人が共有している悩みと言えるでしょう。

では、なぜ私たちは「やりたいこと」を見失ってしまうのでしょうか。その原因は1つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。

1つの大きな原因は、自分自身への理解、すなわち「自己分析」が不足していることです。日々の業務に追われる中で、自分が何に喜びを感じ、何を得意とし、どのような価値観を大切にしているのかを深く掘り下げる機会は多くありません。

習慣化コンサルティング株式会社/習慣化コンサルタントの古川武士氏は、自信のなさが「やりたいことが見つからない」という症状として現れると指摘しています。自分を信じられない状態、つまり低いセルフイメージが、挑戦への恐れや「人からどう思われるか」という過剰な意識につながり、自分の内なる声に蓋をしてしまうのです。

また、将来に対する過剰なプレッシャーも原因の1つです。「立派なビジョンを持たなければならない」という思い込みがかえって視野を狭め、自由な発想を妨げます。10年、20年先の未来を完璧に描ける人は多くありません。にもかかわらず、壮大な目標がないことに焦りを感じ、思考が停止してしまうのです。

さらに、情報や経験の不足も無視できません。私たちは、無意識のうちに自分の経験や知識、あるいは世間的なイメージの範囲内で職種や業種を探してしまいがちです。しかし、世の中には無数の仕事が存在します。先入観によって選択肢を狭めてしまうことは、自分にフィットする仕事と出会う機会を自ら手放してしまうことになりかねません。

加えて、他人の意見や期待に応えようとする「他人軸」の生き方も、自分の本心を見えなくさせる1つの原因です。「上司の期待に応えなければ」「人に好かれなければ」といった思考は、自分の本当にやりたいことを後回しにさせます。

ポジウィル株式会社の金井芽衣氏は、周りのために気を遣う状態では健全なエネルギーを発揮できず、結果が出ない悪循環に陥りやすいと指摘しています。これらの原因を理解することは、「やりたいこと」探しの第1歩となります。

「仕事でやりたいこと」を見つけるためには自分を知ることから

「やりたいこと」を見つけるための最も重要なステップは、自分自身を深く知ることにあります。しかし、多くの人はその具体的な方法がわからず、途方に暮れてしまいます。

そこでおすすめしたいのが、日々のささいな感情の動きを記録し、自己理解を深めていく習慣です。書籍『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』の著者である尾石晴氏は、手帳やノートにモヤモヤしたことなどを記録することを実践し、自身の向き不向きを見極めるのに役立てていると語ります。

このアプローチの核心は、ふだん意識せずに流してしまっている感情に光を当てることにあります。私たちは日々、何かしらの出来事に対して感情を揺さぶられていますが、忙しさを理由にその感情の源泉を深く考えることなく過ごしてしまいがちです。

「こういうことを言われてむっとした」「なぜこんなにテンションが上がったんだろう?」といった感情の揺れは、自分の価値観や問題意識が隠されたアンテナです。それを丁寧に記録し、「これはなんで?」と自問自答を繰り返すことで、自分の中に眠っているテーマを発見できるのです。

例えば、ある業務を終えた後に「すごく疲れる」と記録したとします。そこから深掘りしていくと、「人前で話すのが実はあまり好きではない」「想定外の質問に答えるのがストレスだ」といった、自分でも気づかなかった本音が見えてくるかもしれません。

こうしたログを蓄積していくと、自分がどのような状況でエネルギーを得て、どのような状況で消耗するのか、その傾向が客観的な事実として浮かび上がってきます。これは日記のように毎日完璧に書く必要はありません。書けない日があってもよく、大切なのは感情が動いた時にそれを書き留める意識を持つことです。

尾石氏は、この習慣を続けることで、当初は興味がないと思っていた問題に、実は強い問題意識を持っていたことに気づいたと言います。記録という行為を通じて、無意識のうちに抱えていた問題意識が言語化され、認知されるようになるのです。
人間は、考えると疲れる。疲れたくないから、全部流して生きていける。そうすると、何が自分の問題意識かわからない。やりたいことがわからない。何をしていいかわからない。言われたことはできるけど、言われてないことはできませんとなる。それってぜんぜん主体的に人生を生きていないと思うので、20代から、こうした掘り起こしの習慣をちゃんとやっておけばよかったと思います。

引用:「やりたいことがわからない」「言われたことしかできない」根本の原因 主体的に動ける人になる習慣術(ログミーBusiness)

この言葉が示すように、意識的に自分の内面を掘り起こす習慣を持つことは、主体的に人生を生きるための土台となります。

書いたものを頻繁に読み返す必要はなく、ただ書き溜めていくだけで、脳は手を動かしたことを記憶し、それらの情報が時間をかけて「発酵」していきます。そして、ふとした瞬間に点と点がつながり、自分の興味関心や進むべき方向性についての気づきを与えてくれるのです。

「できること」と「やりたいこと」を切り分けて考える

「やりたいこと」が明確に見つからない時、多くの人は思考停止に陥りがちです。しかし、視点を変え、「やりたいこと(Will)」ではなく「できること(Can)」からキャリアを構築していくというアプローチも非常に有効です。

この考え方は、特にやりたいことが見つからず悩んでいる人にとって、現実的で力強い指針となり得ます。

公益財団法人 山田進太郎D&I財団COOの石倉秀明氏は、自身のキャリアを振り返り、「自分のキャリアをどう困らなくするか」を考え、「できること」を軸に会社を選んできたと語っています。

彼は「やりたい」という情熱的な動機よりも、「自分が持っているスキルや能力を最大限に活かせる場所はどこか」という戦略的な視点を重視してきました。このアプローチの根底には、「『やりたいこと』を追求した結果、うまくいかなかった時の精神的なダメージが大きい」という現実的な洞察があります。情熱がある分、失敗した時の反動も大きいのです。

では、「できること」はどのように見つければよいのでしょうか。石倉氏は、2つの軸で考えることを提案しています。1つは「自分から見た得意・不得意」、もう1つは「他人から見た得意・不得意」です。

最もチャンスがあるのは、「自分では特に得意だと思っていないけれど、他人からは得意だと思われている領域」だと彼は言います。つまり、自分にとっては息を吸うように自然にできることが、周りの人にとっては難しいと感じることであれば、それは紛れもなくあなたの強みです。

この「できること」を起点にするアプローチのメリットは、成果を出しやすいという点にあります。得意なことを活かせる環境に身を置けば、自然とパフォーマンスが上がり、周囲からの評価も得やすくなります。その結果、自信がつき、よりおもしろい仕事や責任のある役割を任される機会が増えていく可能性が高いのです。

つまり、「できること」を磨き続けることで、結果的に「やりたいこと」に出会ったり、新たな興味が生まれたりする可能性が開けるのです。これは、壮大な夢や目標がなくても、着実にキャリアを前に進めるための現実的な生存戦略と言えるでしょう。

「やりたいこと」探しに疲れてしまった時は、一度立ち止まり、自分が当たり前に「できること」は何か、そしてそれが最も活きる場所はどこかを考えてみることが、新たな扉を開く鍵になるかもしれません。

「展開型の生き方」という選択肢

「やりたいこと」が見つからないという悩みに対し、壮大な夢や明確な目標がなくてもキャリアを切り拓いていける、という考え方もあります。それが、『人は話し方が9割』の著者である永松茂久氏が提唱する「展開型の生き方」です。

これは「夢型の生き方」、つまり初めに目標を設定し、そこに向かって計画的に進んでいくスタイルとは対照的なアプローチです。

「展開型の生き方」の核心は、「先のことはよくわからないけれど、今、目の前にいてくれる人、今、目の前にある仕事に対して全力を尽くす」という姿勢にあります。「相手がどうしたら喜んでくれるかな?」という「for you」の精神で目の前の物事に向き合い続けることで、自然と道が開けていくという考え方です。

永松氏自身、たこ焼き屋を開店するという最初の決断以外は、キャリアのほとんどがこの「展開型」であったと語っています。お客さんの要望に応えてウエディング事業を始め、その参列者だった編集者から声がかかって出版の道へ。本を読んだ人から依頼が来て講演活動が始まり、そこからコミュニティが生まれていく。

すべては、出会った人からの「これをやらない?」「これを頼みたい」という期待に応え続けてきた結果なのです。
永松:簡単に言えば、僕はたこ焼き屋になること以外、自分で決めたことはないんです。出会った人から「これをやらない?」「これを頼みたい」と言われたことをただひたすらやってきたら、今ここに辿り着けたんです。

ですからこれからの若い人たちに、「夢を持ってそのとおりに進む生き方」もいいけど、「先のことはわからないけど、今日この人が喜んでくれるように」と、目の前の人を大事にする展開型の生き方もあるよと、お伝えしたいんです。

引用:やりたいことがない人のための「展開型の生き方」のススメ 『人は話し方が9割』著者が提案するキャリアの選び方(ログミーBusiness)

この生き方は、「やりたいことがわからない」と立ち止まってしまっている人にとって、大きな希望となります。未来が見えなくても、今できることがある。それは、目の前の仕事に真剣に取り組むことです。

マネックスグループ取締役兼執行役の山田尚史氏も、「一番良くないのが『どうせやりたいことじゃないしな』と手を抜くこと」だと指摘しています。たとえ「これが天職だ」と思えなくても、目の前のことに全力を出す経験は非常に重要です。

全力を出すという行為自体、実は訓練が必要なスキルです。全力を出し慣れていない人は、いざという時に全力の出し方がわかりません。だからこそ日々の仕事の中で、一度真剣に取り組んでみる経験が、自分のポテンシャルを引き出すきっかけになります。

そして、その真摯な姿勢は必ず誰かが見ています。その積み重ねが「頼まれごと」につながり、予期せぬかたちでキャリアが展開していくのです。

壮大な計画を立てるのが苦手でも、目の前の1歩に集中することで、気づけば遠くまで来ている。それが「展開型の生き方」の魅力と言えるでしょう。

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