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仕事のスケジュール管理(全1記事)

仕事で使えるスケジュール管理術 個人・チームの生産性を高める実践テクニック [2/2]

「バッファ」と「前倒し」のスケジューリング

タスクの洗い出しと優先順位付けが完了し、完璧なスケジュールを立てたとしても、計画どおりにすべてが進むことは稀です。ビジネスの現場では、急な仕様変更、取引先とのトラブル、メンバーの体調不良、予期せぬクレームなど、スケジュールの遅延をもたらす要因は無数に存在します。

こうした不測の事態に対応できず、計画が頓挫してしまうことを避けるために不可欠なのが、「バッファ」を設けるという考え方です。バッファとは、ビジネス用語で「余裕」や「緩衝」を意味し、スケジュールに意図的に空き時間や予備日を設けておくことを指します。

例えば、あるタスクの所要時間を見積もる際に、過去の経験から「3日あれば終わるだろう」と算出できたとしても、そこに1日分のバッファを加えて「4日間」としてスケジュールに組み込みます。これにより、もし途中で問題が発生して1日分の遅れが生じても、全体のスケジュールに影響を与えることなく吸収できます。

逆に、もし計画どおり3日で完了すれば、残りの1日は前倒しで次のタスクに着手したり、より品質を高めるための時間として活用したりすることができます。

このように、バッファは単なる「保険」ではなく、スケジュールの安定性を高め、精神的な余裕を生み出し、結果的に業務の質を向上させるための重要な戦略なのです。

さらに、このバッファの考え方を1歩進め、より積極的にスケジュールをコントロールする手法が「前倒し」のスケジューリングです。これは、単に予備日を設けるだけでなく、プロジェクト全体の達成目標を、本来の締め切りよりも早い段階に設定し、そこから逆算して計画を立てるアプローチです。

例えば、1ヶ月(30日間)で達成すべき目標があるとします。通常の計画では30日後の達成を目指しますが、前倒しのスケジューリングでは、例えば25日後を自分の中での締め切りと設定し、すべての計画をその日程に合わせて組みます。

この手法には複数のメリットがあります。まず、計画に合わせて行動する人間の心理的な特性により、25日間で目標を達成できる可能性が高まります。計画どおりに進めば、残りの5日間が丸ごとバッファとなり、予期せぬトラブルへの対応や、成果物のクオリティ向上に充てることができます。

さらに、もし25日間で100%ではなく120%の成果を出すことができれば、その余剰分は翌月の活動の先行投資となり、次のサイクルではさらに前倒しで計画を進めることが可能になります。

株式会社らしさラボ 代表取締役 伊庭正康氏、12週間(3ヶ月)の計画を10週間で達成するよう常に予定を組んでいたと語ります。最後の2週間をバッファとすることで、リスクヘッジになるだけでなく、次の3ヶ月のスタートラインが変わり、最終的には最後の1ヶ月を長期休暇に充てることも可能になったそうです。

このように、バッファと前倒しのスケジューリングを組み合わせることで、私たちは単に遅延を防ぐだけでなく、より高い成果を出し、さらには人生の充実度を高めるための時間を創出することさえ可能になるのです。

チームにおけるスケジュールの「共有」と「可視化」の技術

スケジュール管理は個人の生産性を高める上で極めて重要ですが、その効果はチームや組織全体で取り組むことによって飛躍的に増大します。

個々人が最適化されたスケジュールで動いていたとしても、メンバー間の連携が取れていなければ、組織としての成果は最大化されません。そこで不可欠となるのが、スケジュールの「共有」と「可視化」です。

チーム内でスケジュールを共有することの最も直接的なメリットは、誰が、いつ、どこで、何をしているかが一目でわかるようになることです。これにより、会議の日程調整や共同作業の計画がスムーズに進むだけでなく、各メンバーの業務負荷を把握しやすくなります。

あるメンバーに仕事が集中している場合は、手の空いている他のメンバーがサポートに入るなど、柔軟なリソース配分が可能になり、チーム全体の業務が平準化されます。

また、チームメンバーの担当領域や進行中のタスクが明確になることで、無駄な重複作業を防ぎ、効率的な進行が実現します。スケジュールに余裕があるメンバーがいれば、さらなる業務改善のアイデアを出す時間も生まれ、チーム全体の生産性向上に貢献するでしょう。

さらに、スケジュールの共有は、強力なリスクマネジメントツールとしても機能します。個人の仕事がその人にしかわからない「ブラックボックス」の状態になっていると、その人が急な病気やトラブルで休んだ際に業務が完全に停止してしまうリスクがあります。

しかし、日頃からスケジュールやタスクの進捗を共有していれば、他のメンバーが状況を把握し、代理で対応することが容易になります。これをさらに進め、意図的にメイン担当とサブ担当を設ける「ペア制」を導入したり、誰でも対応できるように業務の標準化(カスタマイズの排除)を進めたりすることで、組織のレジリエンス(回復力)は格段に向上します。

新規事業開発のような複雑なプロジェクトにおいては、スケジュール共有は「ペースメーカー」としての役割も果たします。

プロジェクトマネージャー(PM)が1人でスケジュールを抱え込むのではなく、常にチーム全体に共有することで、メンバーはプロジェクト全体の進捗と自分のタスクの関連性を理解し、適切なペース配分で作業を進めることができます。

スケジュールが見えていれば、開発者は必要以上に機能を作り込み過ぎることを避けられますし、プロダクトオーナー(PO)もリリース日に影響が出るような無理な要求を出しにくくなります。

このような共有体制は、有給休暇の取得促進にもつながります。日本では「みんなに迷惑がかかるから」という理由で休暇取得をためらう人が依然として多いですが、問題の本質は1人が休むことではなく、「職場全体で自由に有給休暇が取れる体制が整っていないこと」にあります。

チームとしてスケジュールの可視化と業務の標準化を進め、「誰が休んでも仕事が回る」体制を構築することは、コンプライアンス遵守、離職率の低下、優秀な人材の獲得(リクルーティング)といった観点からも、現代の企業にとって極めて重要な経営課題なのです。

「完璧な管理」を目指さないことが成功への第1歩

スケジュール管理や時間管理に取り組もうとする多くの人が陥りがちな罠の1つに、「完璧主義」があります。すべての時間を有効活用し、24時間すべてを充実させなければならない、という強迫観念にも似た考え方は、かえって私たちを疲弊させ、計画そのものを挫折させてしまう原因となり得ます。

しかし、本当に充実した1日とは、すべての時間が完璧である必要はありません。重要なのは、完璧主義という考え方を手放し、より柔軟な視点で時間と向き合うことです。

この点について、書籍『いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才』の著者である今井孝氏は、幸せになるための時間の使い方として、完璧主義を捨てることの重要性を説いています。
「幸せ」というと、「24時間全部素敵で良くないとダメ」と勘違いしている方もまあまあいらっしゃいます。そうじゃないよと。いい1日とは何かというと、映画を観に行ったとかコンサートに行ったとか恋人と過ごしたとか、そういう好きな時間が2時間でもあれば……これは90分とか1時間でもいいと思うんですけども、そうすると、実は1日が全部素敵になりますよね。

夜に楽しい2時間の予定があったら、昼間の仕事に集中できますよね。集中して仕事をしたらけっこう達成感を得て、「あっ、働いたな、充実したな」みたいになるじゃないですか。で、夜2時間楽しいことをやったら、同じ会社で働いているはずなのに昼間も楽しいみたいになりますよね、そういうのをコンセプトにして書かせていただいております。

引用:1日のスケジュールの組み方で幸福度が変わる 『いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才』著者が語る、充実した人生を送るヒント(ログミーBusiness)

この考え方は、私たちのスケジュール管理に対する心理的なハードルを大きく下げてくれます。1日の中に心から「楽しい」と思える時間がたとえ2時間でも確保されていれば、その期待感が日中の仕事へのモチベーションを高め、1日全体をポジティブなものに変えてくれるのです。

この「最高のひと時」を味わうために、日中のタスクを効率的にこなそうという意識が働き、結果的に生産性も向上します。

さらに、今井氏は人生を「味わう」ことの重要性を食事の例えを用いて説明しています。食べ過ぎてしまう人は「お腹いっぱいになるまで食べよう」と考えるのに対し、適切な食事量を意識している人は「この分量でどうやったら満腹になるか」を考え、ゆっくりよく噛んで食べるなどの工夫をします。

これと同じように、私たちの日常も、同じ出来事からどれだけ多くの幸福感を味わえるかが重要です。

完璧な24時間を求めるのではなく、限られた時間の中でいかに幸福感を最大化するか。その工夫こそが、持続可能で充実した毎日を送るための秘訣なのです。

「2時間でいい」「1時間でいい」と完璧主義を捨てることで、私たちは今日からでも、明日からでも、より幸せで充実した日々を送り始めることができるでしょう。

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