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仕事でキャパオーバーになってしまう(全1記事)

仕事でキャパオーバーしてしまった時の対処法 思考停止状態から抜け出すための実践的アクションとは [1/2]

【3行要約】
・仕事の量や難易度が処理能力を超える「キャパオーバー」は、多くのビジネスパーソンが直面する深刻な問題となっています。
・現代社会ではデジタル機器への常時接続による「脳疲労」が蓄積し、通常なら処理できる仕事も難しく感じる原因になっています。
・キャパオーバーを克服するには、業務の必要性を問い直し、適切に「NO」と言う勇気を持ち、仕事を細分化して具体的な行動計画を立てることが求められています。

そもそもキャパオーバーとはどういう状態か?

仕事におけるキャパオーバーとは、単に「忙しい」状態を指すのではありません。大きく分けて2つのパターンが存在します。1つは、仕事の「量」が多くて物理的に処理しきれなくなるパターン。もう1つは、仕事の「難易度」が高く、自身の現時点での能力を超えてしまっているパターンです。

特に後者の仕事の難易度に起因するキャパオーバーは、精神的な負担が大きくなりがちです。「自分には無理だ」「能力が追いつかない」と感じ、思考停止に陥ってしまうことも少なくありません。このような状態は、個人の能力(ケイパビリティ)の問題ではなく、許容量(キャパシティ)の問題として捉えることが重要です。

多くの人は、仕事がうまくいかない原因を自分の能力不足だと考えがちですが、実際には、そもそもエネルギーが枯渇し、キャパシティが不足しているケースがほとんどです。現代社会では、デジタル機器への常時接続が当たり前となり、昼夜を問わず新しい情報が流れ込んできます。この絶え間ない情報への反応が、知らず知らずのうちに脳を疲れさせ、「脳疲労」という状態を引き起こしています。

この脳疲労が蓄積すると、集中力や判断力が低下し、ふだんならこなせるはずの仕事も難しく感じられるようになります。つまり、キャパオーバーとは、個人の能力の問題以上に、心身のエネルギーが不足し、正常なパフォーマンスを発揮できなくなっている状態である可能性が高いと理解することが、問題解決の第1歩となります。

現代人がケアすべき「脳疲労」

キャパオーバーに陥っている時、私たちの心身はさまざまなサインを発しています。そのサインに早期に気づき、適切に対処することが、深刻な状況を防ぐために不可欠です。能力的にキャパオーバーしている時は、頭の中で「難しい仕事がきた、自分には無理だ」と感じ、思考が停止しがちになります。

何が原因で難しく感じているのかがわからないため、漠然とした不安が増幅し、さらに思考停止状態が悪化するという悪循環に陥ります。

自分の能力の110パーセントから120パーセント程度の「ストレッチゾーン」であれば成長の機会となりますが、それを超える150パーセントのような仕事は「パニックゾーン」に入ってしまい、心身の健康を損なう危険性があります。

こうした状態の背景には、現代社会特有の「デジタル疲れ」が深く関わっています。先ほども述べたように、私たちは常にデジタル機器に接続し、膨大な情報に晒されることで、脳が休まる暇なく疲弊しています。この「脳疲労」こそが、キャパオーバーの大きな要因の1つです。

『戦略的暇』の著者である森下彰大氏は、現代人がケアすべき疲れについて次のように指摘しています。
現代人が一番ケアしなきゃいけない疲れは、脳疲労だと思うんですね。人間関係のストレスもあれば、何よりこのデジタル社会ですよね。昼夜問わずずーっと新しい情報が入ってくる。しかもランダムに入ってくる中で、常に僕たちはこれに反応してる。通知に反応したり、仕事のチャットに反応しているわけなんですが、その生活の中でやはりすごく脳が疲れちゃっていると。

去年(2024年)の世界の流行語、オックスフォード大学出版局が出している流行語なんですが。みなさんご存知ですかね? 脳疲労を表す「ブレインロット」、脳腐れ、脳が腐るという言葉が去年の流行語だったわけですよ。

SNSを見ていたり、ネットとかデバイスに頼りすぎて記憶力がなくなっちゃうとか、考える力がなくなっている。老化しているような感じを示す言葉として、ブレインロットという言葉が出てきたと。

だから“戦略的暇”で解消すべきなのは、デジタル疲労だとこの本では特定をしています。

引用:8割の人が「自分は疲れている」と自覚している エネルギーを蓄えるために意識したいキャパシティ作り(ログミーBusiness)

このように、集中力の低下や記憶力の減退といったサインは、単なる疲れではなく、脳が悲鳴を上げている証拠かもしれません。

まずは自身の状態を客観的に見つめ直し、エネルギーを蓄えるための休息が必要であると認識することが大切です。

仕事でキャパオーバーに陥ってしまう原因

キャパオーバーに陥る原因は「脳疲労」1つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。その根本原因を理解することが、適切な対策を講じるための鍵となります。

「脳疲労」の他に挙げられる原因としては、冒頭で述べた、仕事の量や難易度が自身の処理能力を超えていることです。

しかし、なぜそのような状況が生まれるのでしょうか。1つの大きな要因として、私たちは「本当に必要な業務かどうか」を問うことなく、目の前のタスクをこなすことに集中しがちです。マネジメントの父として知られるピーター・ドラッカーは、「無駄なことを効率的にやるほど無駄なことはない」という言葉を残しています。

例えば、あるビジネスパーソンは、前任者から引き継いだ売上報告の資料作成に毎月10時間も費やしていましたが、ある時その業務を思い切ってやめてみたところ、3ヶ月経っても誰からも何も言われなかったという事例があります。実は、報告先の部署は3年も前から別の方法でデータを取得しており、その報告書は誰も見ていなかったのです。

このように、私たちは知らず知らずのうちに、もはや不要となった業務を続けている可能性があります。

業務改善の手法として知られる「ECRSの4原則」では、改善策を検討する順番が重要とされています。その順番とは、「排除(Eliminate)」「結合(Combine)」「交換(Rearrange)」「簡素化(Simplify)」です。

最も効果が大きいのは最初の「排除」、つまり業務そのものをなくすことです。しかし多くの人は業務をなくすことを考えず、いきなり簡素化や効率化から手をつけてしまいがちです。

まずは「この業務は本当に必要なのか?」と問い直すこと。この視点を持つだけで、仕事の全体量が劇的に減る可能性があります。キャパオーバーの原因は、単に自分の処理能力が低いからではなく、そもそもやる必要のない仕事に忙殺されているからかもしれないのです。

「NO」を言う勇気を持とう

キャパオーバーになりやすい人には、いくつかの共通した性格的特徴が見られます。その1つが「頼みごとを断れない」ということです。何かを断る際に「相手に悪いな」と感じてしまったり、「このチャンスを逃してしまうのではないか」と不安になったりするため、自分の許容量を超えて仕事を引き受けてしまいます。

特にリーダーとしての役割を担うようになると、あらゆる要望に応えようとする責任感から、さらに多くの仕事を抱え込む傾向があります。しかし年を重ね、経験を積むにつれて、「NO」と言うことが「YES」と言うのと同じくらい、あるいはそれ以上に重要であることに気づかされます。

「NO」と言うことは、決してネガティブな行為ではありません。むしろ、それは自分自身とチーム全体を守るための重要なスキルです。何かを断るという行為は、他の何かを選ぶことと等しい意味を持ちます。つまり「NO」と言うことは、物事の優先順位を明確にするための最高のトレーニングになるのです。

どの仕事を引き受け、どの仕事を断るか。その判断を下すためには、それぞれの仕事の重要性や緊急性を深く考え抜く必要があります。この思考プロセスこそが、ビジネスパーソンとしての判断力を養います。

また、チームで仕事をする上では、誰かが無理をして仕事を抱え込むことは、全体の生産性を低下させる最も大きなリスクとなります。誰かが勇気を持って「できません」と「NO」を表明すれば、他のメンバーがサポートに入ったり、業務の再配分を行ったりと、チームとして最適な対応を取ることができます。特にお互いの状況が見えにくいリモートワーク環境下では、率直に「NO」と伝えることが、チーム全体の健全性を保つ上で不可欠となっています。

Voicyチャンネル『ちょっと差がつくビジネスサプリ』では、「NO」を言うことの重要性について、次のように解説されています。
まず1つ目ですが、物事の優先順位をつける最高のトレーニングになるからです。「YES」よりも「NO」を言うほうがよっぽど難しいと私は思っています。何かを断るというのは、他の何かを選ぶこととイコールだと思うんです。(中略)

続いて2つ目ですが、「NO」を言ってもらった周りの人にとって、非常に良い参考情報になるということです。特に誰かと一緒に仕事をする時、例えば上司・部下もそうですし、チームで働くところを想像してみてください。

その上で一番避けたいのは、「NO」を言わないことで誰かがキャパオーバーになってしまったり、仕事を抱え込んでしまって、結果としてチーム全体の仕事・動きが遅くなったりすることですよね。(中略)

そして最後の3つ目ですけれども、本当に大切なことに集中するための余白が生まれるからです。これも当たり前のことなんですけれども、忙しくなればなるほど、時間的にも精神的にも余裕がなくなってくるかと思います。だからこそ、時には「NO」を言って自分で余白を作る。そしてより大切なことに集中する必要があるのではないでしょうか。

引用:仕事を断れない人の「相手に悪い」「チャンスを逃すかも」という不安 キャパオーバーになる前に知っておきたい「NO」を言うメリット(ログミーBusiness)

「NO」と言うことは、自分のリソースを最も価値のある場所に投下するための戦略的な意思決定です。断ることへの申し訳なさや、機会損失への不安を乗り越え、勇気を持って「NO」と言う。その積み重ねが、自分自身の成長と、チーム全体のパフォーマンス向上につながっていくのです。

仕事でキャパオーバーに陥った時に取り組むこと

キャパオーバーで思考停止に陥った時、まず取り組むべきなのは、目の前にある大きな仕事の塊をできるだけ細かく切り分けることです。漠然と「難しい仕事だ」と捉えているだけでは、どこから手をつければよいかわからず、ただただ圧倒されてしまいます。

仕事を切り分けることで、問題の解像度が上がります。例えば「やったことがないから難しく感じるのか」「過去に失敗した経験があるから苦手意識があるのか」「特定の苦手な人と一緒に進めなければならないから気が重いのか」など、キャパオーバーの原因を具体的に特定することができます。

また、1つの仕事の中にも、自分が得意な部分と苦手な部分が混在しているはずです。例えば、人前で話すのが苦手な人にとって、仕事の一部にプレゼンテーションが含まれていると、仕事全体が非常に困難なものに感じられてしまいます。しかし、資料作成やデータ分析といった他のパートは得意かもしれません。

このように仕事を細かく分解してみると、「この部分は自分の能力では少し足りないけれど、こちらの部分は問題なく進められそうだ」というように、対処可能な部分とそうでない部分が見えてきます。これにより、漠然とした不安が具体的な課題へと変わり、問題を小さく捉えることができるようになります。

さらに、タスクを細分化することは、具体的な行動計画を立てる上でも極めて有効です。株式会社QUESTO代表取締役の黒田剛氏は、前日の夜に翌日の行動を「トイレに行く」「歯を磨く」といったレベルまで細かくToDoリストに書き出すことの重要性を説いています。

事前にシミュレーションすることで、翌日の動きがスムーズになり、生産性が劇的に向上するのです。この手法を応用し、切り分けた仕事のタスクを具体的な行動レベルまで落とし込んでリスト化することで、着実に仕事を進めることが可能になります。

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