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仕事ができる人(全1記事)

仕事ができる人の特徴とは? 共通する考え方・成果を生むための本質的な行動 [1/2]

【3行要約】
・ビジネスで成果を出す人材には「具体と抽象を行き来する思考」「構造化」「目的意識」「周囲の巻き込み」「時間管理」などの共通点がありますが、これらを統合的に身につけることは容易ではありません。
・組織心理学者の三隅二不二氏のPM理論によれば、真に仕事ができる人は目標達成機能と集団維持機能の両方を高いレベルで発揮できる人材です。
・ビジネスパーソンは「構造化の5P」を活用した思考整理や、前倒しスケジューリングによる時間管理、信頼構築のための基本動作を日常的に実践し、継続的な自己変革に取り組むことが求められています。

仕事ができる人への道筋

ビジネスシーンで「頭がいい」と評価される人々には、共通する思考の様式が存在します。それは、単に知識が豊富であることや、計算が速いといった受験的な能力とは一線を画します。本質的な「頭の良さ」とは、「具体と抽象の行き来を適切にできること」に集約されると言えるでしょう。

この思考法は、日々の業務で発生するさまざまな事象から、その背後にある普遍的な法則や本質を見抜き、それを別の具体的な状況に応用する能力を指します。例えば、ある成功事例という具体的な事象に接した際、その成功要因を「なぜ成功したのか」と問い、市場のニーズ、タイミング、独自性といった抽象的な概念にまで掘り下げて理解します。そして、その抽象化された成功法則を、自身が直面しているまったく異なるプロジェクトという「別の具体」に適用し、成功の再現性を高めるのです。

この思考プロセスが欠けていると、他者の経験や知識を自身の成長に活かすことが難しくなります。

例えば、ある人が「どんぐりを巣穴に貯めておけば、冬でも食料に困らない」という具体的な話をしたとします。この話を聞いて、「自分はマンモスを狩って肉を食べているから関係ない。肉はすぐに腐ってしまう」と、具体と具体でしか比較できない人は、そこで思考が停止してしまいます。

しかし、抽象化ができる人は、「食べ物を貯めておくと生活が安定する」という法則を抽出します。そして、「自分の場合はどう応用できるか? 肉が腐らないようにするには、動物を生きたまま飼っておけば『貯める』ことになるのではないか」と、自分の状況に合わせた具体的な解決策を導き出すことができるのです。

このように、他人の意見を一度抽象化し、自分の世界に適用することで、柔軟に成長していくことが可能になります。

仕事の依頼を受けた際にも、この思考法は極めて重要です。指示されたタスク、例えば「包丁でじゃがいもの皮を剥いてください」という具体的な依頼だけを見るのではなく、その依頼の背景にある「18時までにカレーを作りたい」という、より抽象的な目的(課題)を理解しようと努めることが大切です。

この課題が見えていれば、もし包丁がなかったとしても、「皮が剥いてあるじゃがいもを買ってくる」「レトルトカレーで済ませる」「皮を剥かなくても食べられる調理法を提案する」といった、依頼されたタスクの枠を超えた代替案を考え出すことができます。

このように、具体と抽象の行き来は、個人の成長を促し、業務における問題解決能力を高めるための根幹をなす思考法です。この能力を鍛えるためには、まず自身が持つ知識や経験の「幅」を広げることが不可欠です。

さまざまな分野に関心を持ち、貪欲にインプットを続けることで、抽象化の精度を高める土台が築かれます。その上で、日々の事象に対して「要するにどういうことか?」「なぜこうなっているのか?」と問い続け、思考の「高さ」を追求していくことが、真に仕事ができる人への道筋となるのです。

思考をかたちにする「構造化」という技術

具体と抽象の行き来によって得られた思考やアイデアも、それらを整理し、他者に伝わるかたちにしなければ価値を発揮することはできません。そこで重要になるのが「構造化」という技術です。

構造化とは、複雑な情報を整理・分類し、論理的なつながりを明確にすることで、物事の全体像をわかりやすく捉えるための思考プロセスです。仕事ができる人は、この構造化の能力に長けており、自身の考えを的確にプレゼンテーションしたり、チーム内での議論を円滑に進めたりしています。

思考を構造化するためのフレームワークとして「構造化の5P」という考え方があります。これは、思考を整理するプロセスを5つの段階に分けたものです。

1. Purpose(目的)・・・何のために構造化するのか?
2. Piece(断片)・・・ 具体的な構成要素には何があるか?
3. Perspective(視点)・・・目的と断片をつなぐキーワード(切り口)は何か?
4. Pillar(支柱)・・・どのくらいの単位でまとめるか?
5. Presentation(表現)・・・最適なビジュアル形式は何か?

多くの人が陥りがちなのは、このプロセスを無視して、いきなり自分の思い込みや既存のフレームワークに当てはめて物事を整理しようとすることです。例えば「自分の仕事は企画系と運用系に分けられる」といった既存の括りに飛びつき、それだけで思考を完結させてしまいます。しかし、それでは新たな発見や深い洞察は得られません。

構造化がうまい人は、最初の「Purpose(目的)」を徹底的に意識します。例えば上司とのキャリア相談が目的であれば、「今できていること」「今取り組んでいること」「これからやりたいこと」といった時間軸での整理が有効かもしれません。目的が変われば、最適な構造も変わるのです。

次に重要なのが、2つ目の「Piece(断片)」の洗い出しです。これは、いきなり分類しようとせず、関連する情報をとにかくすべて机の上に出すフェーズです。自分の仕事を構造化するのであれば、日々のタスク、関わっているプロジェクト、持っているスキルなど、思いつく限りの構成要素を書き出します。この断片の洗い出しが不十分だと、その後の構造化も表層的なものになってしまいます。

これらのプロセスを経て初めて、3つ目の「Perspective(視点)」と4つ目の「Pillar(支柱)」、つまり「どのような切り口で」「いくつの塊にまとめるか」を検討し、最後に5つ目の「Presentation(表現)」として、マトリックスやツリー図など、目的に最も適した見せ方を考えるのです。

この順序を守ることが、思考の質を格段に高めます。構造化は単なる整理術ではなく、物事の本質を深く理解し、新たな価値を創造するための思考の武器なのです。
荒木:「君はこの1年で何を身につけた?」って聞かれて、「そうっすね、えーと……あれですかね」とか、ちょっと曖昧になって、ランダムに話が飛んじゃうこともあるじゃないですか。(中略)

でも、そういう場面を想定して「ちょっと整理してきました」と言って、構造的に表した紙を見せる。「この軸とこの軸で分けてみたんですけど……」と説明する。「なるほど、なんでこの軸なんだ?」と聞かれて、「こういう意図で選びました」と答える。

もうその時点で、対話の場面が想像できますよね。人事の方と一緒に、実際にその紙に丸をつけたりしながら会話が展開されるような。

引用:仕事ができる人はいきなり「フレーム」で整理しない 頭の中をスッキリさせる「構造化思考」の使い方)(ログミーBusiness)

目的意識がもたらす行動の質とスピード

どのような仕事にも、必ずその仕事を行う「目的」が存在します。仕事ができる人は、この目的を常に意識し、自分の行動の指針としています。目の前のタスクをただこなすのではなく、「この作業は何のためにやるのか」「最終的にどのような状態を目指すのか」を自問自答する習慣が身についているのです。

目的から考える癖をつけることは、業務の質とスピードを飛躍的に向上させます。目的が明確であれば、膨大なタスクの中から本当に重要なものは何か、優先すべきものは何かを的確に判断できます。

例えば資料作成を依頼された際に、「上司への進捗報告」が目的なのか「クライアントへの提案」が目的なのかによって、盛り込むべき内容、かけるべき時間、重視すべきポイントはまったく異なります。

目的を理解していれば、無駄な作業に時間を費やすことなく、最短距離でゴールに到達するための最適なアプローチを選択できるのです。

この目的意識は、モチベーションの維持にも大きく貢献します。一見すると単調でつまらない作業であっても、その作業がプロジェクト全体の中でどのような意味を持ち、最終的な成功にどう貢献するのかを理解していれば、当事者意識を持って取り組むことができます。

自分の仕事が大きな目的の一部であるという認識は、責任感とやりがいを生み出します。特に、上司から「なるはやでガッと良い感じにして」といった、いわゆる「ふわっとした指示」を受けた際に、この目的意識の有無が大きな差を生みます。

指示が曖昧な場合、仕事ができない人はそのまま作業に取り掛かり、結果として手戻りが増えたり、期待外れのアウトプットになったりしがちです。

一方で、仕事ができる人は、まずその指示の背景にある目的を探ります。「この資料は、誰に何を伝えるためのものですか?」と確認したり「おそらく急な会議で使うためのサマリーが必要なのだと推測しますが、その認識で合っていますか?」と仮説をぶつけて認識をすり合わせたりします。

このように、5W1H(何のために、何を、いつまでに)を明確にすることで、曖昧な指示を具体的なタスクに落とし込み、的確に行動することができるのです。

すべての仕事は、より大きな目的を達成するための手段です。打ち手やタスクといった目に見える部分に囚われていると、本質を見失いがちになります。常に「目的は何か?」と問い続け、目に見えない上位の概念に立ち返る習慣こそが、仕事の質を高め、周囲からの信頼を獲得するための鍵となるのです。

周囲を巻き込み、組織の成果を最大化する力

現代のビジネスにおいて、個人の力だけで完結する仕事はほとんどありません。複雑化・高度化する課題に対応し、大きな成果を生み出すためには、多様なスキルや知識を持つ人々と協力し、周囲を巻き込みながら仕事を進める能力が不可欠です。

仕事ができる人は、自分の能力には限界があることを理解しており、チームとして、あるいは組織全体として成果を最大化することを常に考えています。

組織心理学者の三隅二不二氏が提唱した「PM理論」は、組織を成長させるリーダーシップを理解する上で非常に有効なフレームワークです。この理論では、リーダーの機能を以下の2つに分類しています。

・P機能(Performance function)
目標達成機能。目標設定や計画立案、指示などによって、集団の生産性を高める力。

・M機能(Maintenance function)
集団維持機能。メンバー間の人間関係を良好に保ち、チームワークを強化・維持する力。

一般的に「仕事ができる」と評価される人は、このP機能が高い傾向にあります。しかし、組織を長期的に成長させるためには、P機能だけでは不十分です。特に人手不足が深刻化する現代において、従業員の定着は企業の死活問題となっています。

部下への当たりが厳しかったり、職場の雰囲気を悪化させたりするような、M機能が弱いリーダーの下では、たとえリーダー個人のP機能が高くても、部下の離職が相次ぎ、結果として組織全体のパフォーマンスを著しく低下させてしまいます。

複数の部下が辞めてしまえば、その穴を埋めることは容易ではなく、事業の縮小や廃業に追い込まれるケースすらあるのです。

真に仕事ができる人は、このP機能とM機能の両方を高いレベルで発揮できる人材です。彼らは数字や成果だけを追い求めるのではなく、その数字の背景には「人間の行動」があり、その行動を司っているのは「心や感情」であることを深く理解しています。

売上という数字は、顧客が「買いたい」と思う心の動きの集積であり、人件費という数字は、従業員が「働きたい」と思う心の動きの集積です。

したがって、組織の成果を最大化するためには、部下一人ひとりの心に働きかけ、良好な人間関係を構築し、チームの一体感を醸成することが不可欠なのです。人を動かすのは論理や指示だけではありません。共感や配慮、感謝といった感情的なアプローチが、人々のモチベーションを高め、自発的な行動を促します。

数字の前に人の心を動かすこと。これこそが、周囲を巻き込み、組織全体の力を引き出す上で最も重要な原則と言えるでしょう。

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