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タスクの先延ばし(全1記事)

タスクの先延ばしをやめたい人へ 後回しの原因と今日からできる対策と習慣化のヒントを紹介 [1/2]

【3行要約】
・物事を後回しにする「先延ばし癖」は、楽観主義や完璧主義など特定の性格傾向と深く関連しており、多くのビジネスパーソンの生産性を低下させています。
・人間の脳は基本的にストレスを避ける傾向があり、即時的な報酬が得られないタスクほど価値が割り引かれて後回しになります。
・上司は部下のタスク着手を促すため「明確な指示」と「受容的な態度」を心がけ、個人は「着手日の設定」や「既存習慣への接続」で新しい行動を定着させましょう。

「先延ばし癖」がついてしまっている人の3つの特徴

物事を先延ばしにすることが常習化してしまっている人には、大きく分けて3つの特徴が見られます。

1つ目は、過度に楽観的であることです。先延ばしをすることが、将来の自分にどのような影響を及ぼすのかについて、深く考えていない傾向があります。目の前のタスクよりも、より楽しいことや楽なことを優先してしまうのです。これは、リスクを回避したいというよりは、楽しいことを先にやりたいという動機が強いタイプと言えるでしょう。

習慣化コンサルタントの古川武士氏は、このようなタイプを「キリギリスタイプ」と分類しています。やるべきことよりも楽しいことを優先するため、表面的な先延ばしによるストレスを感じやすいと指摘されています。

2つ目の特徴は、めんどくさがりであることです。タスクには、集中力や精神的な負担を要するものも少なくありません。そうした不快な状態やストレスから逃れたいという気持ちが、先延ばしという行動につながります。古川氏の分類では、心配事を先に解消したい「アリタイプ」とは対照的です。

アリタイプは、やるべきことや心配事を先に片づけたいという動機が強いため、目先のタスクの先延ばしは少ない傾向にあります。しかし、アリタイプであっても、目の前のことに追われるあまり、自分自身の将来のための時間や、自己投資といった重要なことを先延ばしにしてしまうという、異なる種類の先延ばしに陥る可能性があります。

3つ目の特徴は、完璧主義であることです。こだわりが強く、1つひとつのステップに時間をかけすぎてしまうため、なかなか本題や中核部分に取りかかれず、結果として全体の進行が遅れてしまいます。

完璧主義の人は、100点満点の成果を自分に課してしまうため、それが達成できないと感じると、過剰な不安やストレスを抱え込みます。「100点を取れないものに向き合いたくない」という思考に陥り、タスクに着手すること自体を避けてしまうのです。

このような「0か100か」という思考は、少しでも不備があればすべてが無価値だと感じてしまうため、行動への大きな障壁となります。自分に厳しい完璧主義の人は、他人にも同じ基準を求めてしまいがちで、人間関係のストレスを引き起こす原因にもなり得ます。

ついタスクを先延ばしにしてしまう人の心理

人がなぜ物事を先延ばしにしてしまうのか、その根本には心理的なメカニズムが深く関わっています。最も大きな要因は、ストレスを回避しようとする人間の本能的な働きです。

例えば、報告書の作成や運動など、やるべきだとわかっているタスクを目の前にした時、「それを今実行するのはストレスだ」と感じることがあります。人間の脳は基本的にストレスを嫌うため、その不快な感情から逃れるために、タスクの実行を先へ延ばすという選択をしてしまうのです。これが「先延ばし」の基本的な原理です。

このストレスの源泉は多岐にわたります。「面倒くさい」という単純な感情から、「失敗したらどうしよう」という恐怖、「他人に否定されたくない、嫌われたくない」という対人関係への不安、そして「自分にはできないかもしれない」という自信の欠如まで、さまざまなネガティブな感情が行動へのブレーキとなります。特に、新しいことへの挑戦や、評価が伴う仕事など、不確実性が高い状況では、自信のなさがストレスを増幅させ、結果として先延ばしにつながりやすくなります。

したがって、先延ばしを克服するための鍵は、タスクに着手する際の心理的なストレスをいかに小さくしてあげるかという点にあります。このアプローチは、単なる技術論や方法論だけでなく、個人の性格や特性を理解することとも密接に関連しています。
古川:結論から言うと、私は両方あるかなと。習慣とやはり性格。性格というか特性を理解することが大事かなと思います。まず習慣だなと思うことは、やはり自分の日々のTo Doとか先延ばしの報告書とか運動とかもそうなんですけど。やはり「スケジュールとか1日のリズムをどう見直していくか」によって、行動のレベルで解決できることがけっこうあります。

それは、自分に合った仕組みとかツールとか方法を見つけることが1つですね。ただ、私がもう1つ思うのは、やはり人って行動の特性と動機の特性があって、ウサギと亀ってよく言うんですけど、一気にバーッとやる人とコツコツ分散してやる人。(中略)

アリとキリギリスって分けているんですけど、アリのタイプはリスクを回避したい。やるべきこととかやらないといけないこととか、心配事を先に解消したいと思うので、比較的目先の先延ばしは(少ないです)。「心配だから片づける」というアリのタイプは、先にやるわけですね。

キリギリスのタイプは、楽しいことを先にやりたいから、やるべきことが後になる。この順番になりがちなんで、どちらかと言うとキリギリスタイプのほうが、表面的な先延ばしストレスを感じているんじゃないかなと思うんですね。

引用:やめたい習慣ランキング1位は「先延ばし」 習慣化コンサルタントが語る、タイプ別・「すぐやる人」に変わるコツ(ログミーBusiness)

このように、自分の特性を理解し、それに合った方法でストレスを管理することが、先延ばしという行動パターンを変えていくための重要な1歩となるのです。

先延ばしにしがちな仕事とは?

職場において、特定の種類の仕事が後回しにされやすい傾向があることは、多くのビジネスパーソンが経験するところでしょう。この現象は、人間の意思決定メカニズムの1つである「遅延価値割引」と深く関連しています。遅延価値割引とは、報酬を得るまでの時間が遠いほど、その報酬の価値を低く見積もってしまう心理的な傾向を指します。

このメカニズムが職場でどのように現れるか、具体的な例を考えてみましょう。例えば、「次々と届くメールのチェック」と「プロジェクトのために依頼されたベンチマーク調査」という2つのタスクがあったとします。

多くの人は、すぐに完了できて達成感を得やすいメールチェックを優先しがちです。同様に、「来週が締め切りの定型的なルーティンワーク」と「来月の会議に提出する新しい企画案の作成」では、前者のほうが着手しやすいと感じるでしょう。

メールチェックやルーティンワークは、作業手順が明確で、短時間で完了するため、即時的な報酬(タスク完了の達成感)が得られます。一方、ベンチマーク調査や企画案作成は、情報収集やアイデア創出に時間と労力がかかり、成果が出るまでに時間がかかります。つまり、報酬が得られるまでの時間的距離が遠いため、その価値が「割り引かれて」しまい、結果として後回しにされやすくなるのです。

さらに、タスクが先延ばしにされる背景には、心理的な要因も存在します。研究によれば、特定のタスクが先延ばしにされる原因として、以下の2点が指摘されています。

・タスクへの嫌悪感
やり方がわからない、難しそうだと感じるといった理由でタスクに対して苦手意識を持つと、着手すること自体が心理的な負担となり、避けようとします。

・回避的な認知
成果がすぐに見えにくく、進行が困難なタスクほど、「やりたくない」「気が進まない」と感じる傾向が強まります。

これらの心理的要因により、時間や労力がかかるタスクは、すぐに完了できるタスクに比べて価値が低いと認識されがちです。この状態で、ただ「頑張って着手しろ」と促すだけでは、本人の精神的な負担を増大させ、逆効果になる可能性があります。

価値が低いと感じているタスクに無理に取り組ませることは、精神的な健康を損なうリスクも伴うため、単に着手を促すだけでなく、タスクの価値を高めるための支援や工夫が不可欠となるのです。

先延ばし癖の改善策

先延ばし癖は、一朝一夕で解消できるほど簡単なものではありません。その根底には、長年かけて形成された思考や行動のパターンが存在します。そのため、改善への道のりは、まず「この癖を絶対に改善する」という強い覚悟と意志を持つことから始まります。

しかし、意志の力だけで行動を変え続けるのは困難です。そこで有効なのが、「このまま先延ばしを続けたら何を失うか」を具体的に意識することです。これは、いわば自分自身に対して適度な危機感を植え付けるアプローチです。

例えば、「この癖を治さなかったら、重要な仕事を任せてもらえなくなるかもしれない」「周囲からの信用を失い、最終的には孤立してしまうかもしれない」といった、具体的な「ホラーストーリー」を想像してみるのです。

このようなネガティブな未来像は、現状維持を好む脳に対して強力な変化の動機を与えます。漠然とした不安ではなく、具体的な損失をイメージすることで、改善への取り組みを継続しやすくなるのです。

この方法は、行動できない自分を責める「原因論的思考」とは異なります。原因論的思考は、「なぜ自分はできないんだ」と過去や原因に焦点を当てるため、自己肯定感を下げ、行動へのブレーキになりがちです。一方で、「失うものを意識する」アプローチは、未来に起こりうるリスクを直視し、それを回避するための行動を促すという点で、未来志向的な側面を持っています。

さらに、この危機感を持つアプローチは、「本当はどうしたいのか」というポジティブな未来像を描く「目的論的思考」と組み合わせることで、より強力な効果を発揮します。つまり、「最悪の未来を避けるため」という動機と「理想の未来を実現するため」という動機の両輪で、自分を前進させるのです。

例えば、「信頼を失う未来は避けたいから、タスクにすぐ取り組む。その結果、周囲から信頼され、より大きなチャンスを掴む自分になりたい」というように、ネガティブな回避動機とポジティブな接近動機を結びつけることで、行動変容へのコミットメントは格段に高まります。

改善の第1歩として、まずはこの癖がもたらす損失を具体的に見つめ直すことから始めてみることが推奨されます。

締め切り直前で焦るタイプは「着手する日」の設定が肝

多くの人がタスク管理を行う際に「締め切り(デッドライン)」を意識しますが、締め切り間際になって慌ててしまう傾向がある人にとっては、それだけでは不十分な場合があります。

そのようなタイプの人々にとって、先延ばしを防ぐための極めて有効な戦略が、「いつから着手するか(スタートライン)」をあらかじめ決めておくことです。

これは、未来の自分に対してアポイントメントを入れるような感覚です。特に、企画書の作成や大規模なプロジェクトなど、長期間にわたるタスクでは、締め切りまで時間があると感じてしまい、なかなか着手できないことが多々あります。その結果、終盤に作業が集中し、質が低下したり、精神的な負担が増大したりします。

この問題を回避するために、タスクが発生した時点で、カレンダーやスケジュール帳に「この日にこのタスクを開始する」という「着手日」を明確に書き込むのです。これにより、タスクの存在を忘れずに済み、計画的に取り組むきっかけを作ることができます。

この「着手日」を設定する考え方は、他の先延ばし対策とも親和性が高いです。例えば、「締め切りを2段階設定する」という方法がありますが、これは自分の中に早めの「仮の締め切り」を設けるものです。「着手日」の設定は、この仮の締め切りから逆算して、「いつ始めなければ間に合わないか」を明確にする上で役立ちます。

また、タスクを延期せざるを得ない場合にも、この考え方は有効です。単に「明日やろう」「来週やろう」と曖昧に延期する「先延ばし」ではなく、「実行日を再指定する」という「先送り」の発想に切り替えるのです。延期する際には、必ず具体的な未来の日付を「新しい着手日」として再設定します。これによりタスクが放置されるのを防ぎ、指定した日が来たら再び取り組むことができます。

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