【3行要約】
・多くの人が「やらなければいけないこと」を先延ばしにしてしまう悩みを抱えており、とある調査では「やめたい習慣」の第1位となっています。
・古川武士氏は先延ばしの原因を心理的ストレスと分析し、過度な楽観性・面倒くさがり・完璧主義の3つの特徴があると指摘。
・自分のタイプを理解し、大きなタスクの分解や10秒アクションなど、やる気に頼らない科学的なアプローチで先延ばし癖を克服しましょう。
タスクの「先延ばし癖」がついてしまっている人の3つの特徴
「やらなければいけないことがあるのに、つい後回しにしてしまう」。仕事や日々の生活の中で、このような経験をしたことがある方は少なくないのではないでしょうか。実は、この「先延ばし」という悩みは、多くの人が共通して抱える課題です。
タスクの先延ばしをしがちな人には、いくつかの共通した特徴が見られます。1つめの特徴は、「過度に楽観的」であることです。「締め切りまでまだ時間があるから大丈夫」といったように、将来の自分に与える影響を深く考えず、目の前の状況を楽観視してしまう傾向があります。
このタイプの人は、タスクの全体像や必要な時間を正確に見積もることが苦手で、結果的に締め切り直前になって慌てることになります。
2つめは、「めんどくさがり」であるという特徴です。タスクに取り組む際には、ある程度の時間を費やして集中する必要があったり、複雑な手順を踏まなければならなかったりすることがあります。
こうした作業に伴うストレスや不快な状態から逃れたいという気持ちが強く働き、より楽なことや楽しいことを優先してしまうため、やるべきことがズルズルと後回しにされてしまいます。
そして3つめの特徴が、「完璧主義」であることです。意外に思われるかもしれませんが、真面目で責任感が強い人ほど、この傾向に陥りやすいと言えます。「やるからには完璧にこなしたい」という思いが強すぎるあまり、一つひとつのステップに時間をかけすぎたり、準備が完全に整うまで行動に移せなかったりするのです。
こだわりが強い分、なかなか物事の核心部分に取りかかれず、結果として先延ばしになってしまいます。
『片付けパパの最強メソッド ドラッカーから読み解く片付けの本質』の著者である大平信孝氏は、先延ばししてしまう人の特徴を次のように解説しています。
欲張って、完璧に、「今日はやる気がないし、面倒くさいし」とやると、人ってほぼフリーズしちゃうんですね。(中略)
そうですね。「あれもこれも」という方は、自分にすごく素直で好奇心旺盛で、ある意味いろいろと行動もしています。だけれども、やりたいことが多すぎて絞れなくて、結果的にすぐやれてないというか。(興味が)広がり過ぎてしまって、意識をどこに向けたらいいんだろう? ということが課題になっている方もいますね。
引用:真面目な人ほど当てはまる“つい先延ばしする人”の3つの特徴 「やる気待ち」に頼らず、行動するためのコツとは(ログミーBusiness)
このように、「あれもこれも」と欲張り過ぎること、「完璧」を求め過ぎること、そして「やる気」が出るのを待ってしまうこと。これらの特徴は、一見すると意欲の表れのようにも見えますが、逆に行動を妨げる大きな要因となっているのです。
ついタスクを先延ばしにしてしまう人の心理
習慣化コンサルタントの古川武士氏が行ったアンケートによると、「やめたい習慣」として最も多く挙げられたのは、「お酒の飲み過ぎ」などを抑えて、堂々の第1位が「先延ばし」だったと言います。
この結果からも、いかに多くの人が先延ばし癖に悩み、それを改善したいと願っているかがうかがえます。
では、なぜ人は物事を先延ばしにしてしまうのでしょうか。その根本的な原因は、人間の心理にあると、古川氏は指摘します。例えば、作成しなければならない報告書や、始めようと思っているジョギングなど、目の前のタスクを想像した時に、「それを今やるのはストレスだ」と感じることがあります。
人間は本能的にストレスを嫌うため、タスクを先延ばしにすることで、そのストレスから一時的に回避しようとします。これが「先延ばし」という現象の正体です。今日中に報告書を書いた方が後々楽だと頭ではわかっていても、「提出は明日でいいか」と考えてしまうのは、まさにその瞬間のストレスから逃れたいという心理が働いているからです。
このストレスの根源には、「面倒くさい」「失敗が怖い」「人から嫌われたくない」「自信がない」といった、さまざまな感情が隠されています。特に、新しいことにチャレンジする際に「自信がない」という感情は、行動へのストレスを増大させ、結果として先延ばしにつながる大きな要因となります。つまり、先延ばしは単なる怠慢や意志の弱さの問題ではなく、ストレスという感情と密接に結びついた、人間の自然な心理的反応なのです。
したがって、この癖を克服するためには、技術や方法論を学ぶだけでなく、まず「なぜ先延ばしが起きるのか」という大きな文脈を理解し、その理由を自分自身で納得することが非常に重要になります。
性格に合わせたタスクの先延ばし癖の対策
先延ばしを克服するための方法は数多くありますが、すべての人に同じ方法が有効とは限りません。なぜなら、人にはそれぞれ行動や動機の特性があり、そのタイプによって効果的なアプローチが異なるからです。自分に合わない方法を無理に続けても、うまくいかずに挫折してしまう可能性があります。
そこで重要になるのが、まず自分の性格特性を理解し、それに合った対策を講じることです。習慣化コンサルタントの古川武士氏は、先延ばし癖のタイプをイソップ童話に登場する「アリとキリギリス」に例えて分類しています。
アリとキリギリスって分けているんですけど、アリのタイプはリスクを回避したい。やるべきこととかやらないといけないこととか、心配事を先に解消したいと思うので、比較的目先の先延ばしは(少ないです)。「心配だから片づける」というアリのタイプは、先にやるわけですね。
キリギリスのタイプは、楽しいことを先にやりたいから、やるべきことが後になる。この順番になりがちなんで、どちらかというとキリギリスタイプのほうが、表面的な先延ばしストレスを感じているんじゃないかなと思うんですね。(中略)
ただしアリのタイプの人は、先延ばし癖が関係ないのかというとそんなことなくて。今目の前のやるべきことはこなせているけれども、人生における自分の時間とか、自分の未来のための時間が、結局目の前のことに追われて、先延ばしになってしまうという問題もあると思うんですね。だから、アリのタイプの人とキリギリスのタイプの人は、先延ばしのテイストが違ってくると思うんですよ。
引用:やめたい習慣ランキング1位は「先延ばし」 習慣化コンサルタントが語る、タイプ別・「すぐやる人」に変わるコツ(ログミーBusiness)
このように、心配事を先に片づけたい「アリタイプ」と、楽しいことを優先したい「キリギリスタイプ」では、先延ばしにする対象が異なります。さらに、キリギリスタイプの中でも、物事の進め方によって「うさギリス」と「かめギリス」に分かれます。
夏休みの宿題を例にすると、「かめギリス」タイプは、最初にカレンダーに計画を書き込むなど、きちんと予定を立てようとします。しかし、気分にムラがあり、友人に誘われるとつい遊びを優先してしまい、計画がどんどんズレて最後に宿題に追われるパターンです。
一方、「うさギリス」タイプは、計画は頭の中にあるものの、休みが始まった瞬間から宿題のことは忘れ、遊びに没頭します。そして締め切り3日前など、ギリギリになってから凄まじい集中力を発揮して終わらせるのが特徴です。
こうしたタイプ別の特性を理解することで、より効果的な対策が見えてきます。例えば、気分のムラに悩みがちな「かめギリス」タイプは、1人では続かないため、誰かと一緒に作業する環境を作ったり、朝活に参加したりするなど、仕組みや環境の力を借りるのが有効です。
スイッチが入るかどうかがカギとなる「うさギリス」タイプは、最終的な締め切りだけでなく、週ごとに小さな締め切りを設定し、誰かと約束することで、やる気スイッチを複数回入れる工夫が効果的でしょう。
自分をうまく動かすための方法を見つけることが、タスクの先延ばし癖を克服するための、大きなテーマとなるのです。