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タスクの先延ばし(全1記事)

タスクの先延ばしをやめたい人へ 後回しの原因と今日からできる対策と習慣化のヒントを紹介 [2/2]

タスクに着手しやすくするマネジメントの具体策

部下やチームメンバーの先延ばしを防ぐためには、個人の努力だけに頼るのではなく、マネジメントによる支援も極めて重要です。特に、状況的な要因によって引き起こされる価値割引に対しては、上司によるきめ細やかなフォローが効果を発揮します。その具体的な方策として、「タスクの明確さを高める」ことが挙げられます。

タスクに着手する際のコスト、つまり心理的・物理的な負担が高いと、そのタスクの価値は割り引かれ、後回しにされやすくなります。この着手コストを高める主な要因は「曖昧さ」です。具体的には、以下のような点が不明瞭であると、メンバーはどこから手をつけていいかわからず、行動をためらってしまいます。

・達成水準の曖昧さ
どのようなアウトプットが求められているのか、完成形のイメージが共有されていない。

・進め方・役割の曖昧さ
どのような手順で進めればよいのか、誰がどの部分を担当するのかがはっきりしていない。

例えば、「この資料をA4一枚でまとめてください」という指示は、形式は決まっていますが、どのような要素を盛り込むべきかという達成水準が曖昧です。このような場合、担当者は何を書くべきか悩む時間が増え、着手へのハードルが高くなります。結果として、進め方や達成水準が明確な他のタスクが優先されてしまうのです。

この問題を解決し、タスクの明確さを高めるためには、マネージャーは以下のような具体的な行動を心がける必要があります。

1. 丁寧な引き継ぎと指示
事例やテンプレートを提示する。「先輩はこういうかたちでまとめているよ」と具体的な参考例を示したり、「このテンプレートに従って作成してください」と型を提供したりすることで、アウトプットのイメージが明確になります。

また、必須要素を明示することも大切です。「A、B、Cという要素は必ず含めてほしい」と盛り込むべき内容を事前に具体的に示すことで、受け手は迷わずに作業を開始できます。

2. チーム内での工程と分担の可視化
プロジェクト全体をいくつかの工程に分解し、「誰がどの工程を担当するのか」「誰の作業が終わったら、次に誰が引き継ぐのか」といったワークフローを明確にし、チーム全体で共有します。

これにより、各メンバーは自分の役割とタスクのつながりを理解し、スムーズに行動できるようになります。

これらの工夫によって、タスクの曖昧さが減り、着手コストが下がります。特に、抽象度が高く価値が割り引かれやすいタスクに対してこのアプローチを適用することで、割引率を低減させ、先送りされがちな重要な業務の遂行を促すことが可能になるのです。

部下の「タスクの先延ばし」が少ない上司の特徴

タスクの明確化に加えて、部下の先延ばしを防ぐ上で非常に効果的なマネジメント手法が、「上司が受容的に接する」ことです。これは、コミュニケーションを通じて、部下がタスクに取り組む際の心理的なコストを低減させるアプローチです。

株式会社ビジネスリサーチラボの黒住嶺氏は、受容的に接する上司のもとでは、部下の先延ばしが少なくなると語っています。つまり、すぐに成果が出にくいような難しいタスクであっても、部下が積極的に取り組む傾向が強まるのです。では、「受容的な上司」とは具体的にどのような特徴を持つのでしょうか。

まず、部下が「このタスクの進め方がわかりにくい」「どうすればいいかわからない」といった相談を、気兼ねなくできる存在であることが重要です。「困ったら相談すればいい」という安心感が、タスクに着手する際の心理的なハードルを大きく下げます。

また、ただ待っているだけでなく、相談の機会を意識的に設けることも大切です。例えば、「毎週○曜日のこの時間は相談を受け付ける」と時間を確保したり、オンラインであればチャットツールを常にオープンにしておくなど、部下がアクセスしやすい仕組みを作ることが有効です。

そして最も重要なのが、相談を受けた際の姿勢です。頭ごなしに「こうすべきだ」「それは違う」と否定するのではなく、まずは部下の意見や状況を真摯に受け止めることが求められます。「そういう考え方もあるね」「状況はよく理解できた」といった言葉をかけることで、部下は安心して自分の課題や考えを話すことができ、主体的に問題解決に向き合うようになります。
受容的に接してくれる上司は、部下の相談に親身になって応じることで、モチベーションの向上につながるという点が指摘されています。

まず、受容的な上司の存在によって、部下は「自分はチームの一員として認められている」という感覚を持ちやすくなります。上司が積極的に部下を受け入れ、意見を聞いてくれることで、「このチームの中で自分は必要とされている」という承認欲求が満たされるわけです。

このようなメンバーとしての認識が強まると、仕事の楽しさにつながります。「この職場では自分が必要とされている」と感じることで、単に報酬を得るためではなく、仕事そのものを楽しめるようになる。このような仕事への前向きな姿勢は、内発的動機付けと呼ばれ、成果を出す上でも重要な要素となります。

引用:部下の「タスクの先延ばし」が少ない上司の特徴とは? 研究が示す、先延ばし行動を減らすリーダーの条件(ログミーBusiness)

このように、上司の受容的な態度は、単にタスクの価値割引を低減させるだけでなく、「認められている」という感覚を通じて部下の内発的動機付けを高め、仕事の価値そのものを付加する効果も期待できます。その結果、先延ばししがちなタスクにも積極的に取り組めるようになるのです。

新しいことを習慣化するためのコツ

先延ばし癖を克服し、「すぐやる人」に変わるためには、日々の行動を習慣化していくことが不可欠です。しかし、新しい習慣を身につけること自体が、多くの人にとって難しい課題です。

人間の脳は基本的に変化を嫌い、現状維持を好む性質があるため、新しい行動を始めるには相応のエネルギーが必要になります。この脳の性質を理解し、うまく活用することが習慣化成功の鍵となります。

効果的な方法の1つが、「くっつけ作戦」です。これは、新しく始めたい行動を、すでに日常生活で習慣化されている行動に結びつけるというものです。例えば、「毎朝歯を磨く」という既存の習慣があるなら、「歯を磨いた後に、1ページだけ本を読む」という新しい行動をくっつけます。

あるいは、「通勤電車に乗ったら、スマホを見る前に参考書を開く」といった具合です。既存の習慣がトリガー(引き金)となり、新しい行動をスムーズに引き出すことができます。

もう1つの重要なコツは、行動のハードルを極限まで下げることです。メンタルコーチの大平信孝氏が提唱する「10秒アクション」は、この考え方を具体化したものです。

「やる気が出たら始めよう」と考えていては、面倒なタスクに対するやる気は永遠に起きないかもしれません。そうではなく、まず「10秒だけ」でできるごく簡単な行動から始めてみるのです。

例えば、部屋の片付けであれば「棚の上のものを1つだけ定位置に戻す」、勉強であれば「参考書を開いて1行だけ読む」といったレベルで構いません。
大平:そうそう、その発想です。実際に1歩踏み出すと、やる気は内側から湧き出してくるんですよ。

大村:「わくわく星人」の誕生ですよ(笑)。

大平:そう(笑)。だから、「10秒アクション」って良いことづくめなんです。

大村:PoCを回す「プルーフオブコンセプト」といって、「まずはとりあえず製品を出して」ということはみなさんもう仕事でやってるので、それを人生や日々の行動にも当てはめましょうよ、ということかなと思います。

大平:そうなんです。それを人生全体にも当てはめていただくと、もっともっとストレスが減りますし、もっともっと自分の行きたい方向に進んでいけるんじゃないかなと思いますね。

引用:「10秒アクション」でとりあえず動くと、やる気は後からついてくる 先延ばしをせず「すぐやる人」の特徴から見る行動術(ログミーBusiness)

このように、まず行動を起こすことで、脳の側坐核という部分が刺激され、やる気を生み出すドーパミンが放出されます。最初から完璧を目指さず、「とりあえず形にすることを目指す」という気軽な気持ちで、小さな1歩を踏み出すこと。この「仮決め・仮行動」の精神が、先延ばしを撃退し、新しい習慣を築くための強力な武器となるでしょう。

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