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リーダーシップとマネジメント(全1記事)

リーダーシップとマネジメントの違い・関係性とは? 目的へ導く力と成果を出す仕組みの本質 [1/2]

【3行要約】
・リーダーとマネージャーの役割は明確に異なるにもかかわらず、多くの組織では両方の役割を一人に求め、「管理職は罰ゲーム」という風潮が生まれています。
・現代のビジネスはVUCAの時代と言われ、状況に応じて最適なリーダーシップスタイルを選ぶ「コンテクスト・リーダーシップ」の重要性が高まっています。
・成果を出すリーダーに必要なのは「実装力」であり、理想論に固執せず現実を直視し、状況に応じた最適な打ち手を選ぶ柔軟な思考が求められています。

リーダーとマネージャーの違いとは

企業や組織において、リーダーとマネージャーの役割はしばしば混同されがちですが、両者の本質は明確に異なります。この違いを理解することは、特に現代の複雑化したビジネス環境において、組織を率いる立場にある人々にとって極めて重要です。

かつては管理職になることがキャリアの成功を示す一つの指標でしたが、現代ではその役割の難易度が上がり、「管理職は罰ゲーム」とさえ言われる風潮も生まれています。この背景には、リーダーシップとマネジメントの役割が曖昧なまま、一人の管理職に過剰な期待が寄せられているという構造的な問題が存在します。

まず、リーダーとは「ビジョンを描いてみんなを遠くまで連れていく人」と定義できます。彼らは組織が進むべき方向、つまりゴールを定め、人々をそこへ導く役割を担います。

スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクといった人物は、優れたリーダーの典型例と言えるでしょう。彼らは革新的なビジョンを掲げ、多くの人々を惹きつけ、未知の領域へと導きました。

一方で、マネージャーとは一言で言えば「管理する人」です。リーダーが描いたビジョンや設定したゴールを達成するために、具体的な計画を立て、リソースを配分し、進捗を管理し、組織を円滑に運営することが主な役割となります。

部下の勤怠管理や業務プロセスの最適化など、組織の安定的な運営に不可欠な機能です。リーダーシップが「何を」「なぜ」を問うのに対し、マネジメントは「どうやって」を問うものと言い換えることもできます。

この二つの役割は、必ずしも一人の人間が両方を完璧にこなす必要はありません。特に、組織の階層においては役割分担が見られます。経営トップにはリーダーシップの側面がより強く求められ、中間管理職にはマネジメントの比重が大きくなるのが一般的です。リーダーの仕事は行き先を決めることであるため、複数のリーダーがいると組織は混乱します。対照的に、管理の仕事は分担が可能です。

しかし、現代の日本企業、特に現場の管理職が直面する困難は、このリーダーとマネージャーの両方の役割を同時に、かつ高いレベルで求められる点にあります。会社や上司がこの違いを明確に認識せず、「ビジョンを語り、メンバーを鼓舞し、同時に日々の業務を完璧に管理しろ」という無言のプレッシャーがかかることで、管理職は疲弊し、「罰ゲーム化」してしまうのです。したがって、まずは自分自身がこの2つの役割の違いを深く理解し、自身の役割を明確に定義することが、この困難な状況を乗り越える第一歩となります。

リーダーシップの本質は「人を率いる」のではなく「目的へ導く」

リーダーシップの本質を深く探求すると、それは単に「人を率いる」ことではなく、「目的へ導く」ことにあると理解できます。この2つの表現は似ているようで、その根底にある考え方やアプローチは大きく異なります。

「人を率いる」という言葉には、リーダー個人が中心に立ち、「自分についてこい」というかたちで人々を引き連れていくニュアンスが含まれます。このスタイルは、リーダーの権威やカリスマ性に依存し、メンバーは受動的な実行者になりがちです。リーダー個人の存在が求心力となるため、そのリーダーがいなくなると組織が立ち行かなくなるリスクも孕んでいます。

これに対して、「目的へ導く」というアプローチでは、主役はリーダー個人ではなく、チーム全体で目指すべき「共通の目的」です。リーダーの役割は、その目的、つまり旗が立っている場所を明確に示し、「あの場所を目指そう」とメンバーをいざなう羅針盤のような存在になることです。

この場合、メンバーは目的達成のための能動的な貢献者となり、自らの意思で目的に向かって進んでいきます。焦点がリーダー個人から共通の目的に移ることで、チームの一体感やメンバーの主体性が醸成されやすくなります。

この「目的へ導く」という考え方は、「コンテクスト・リーダーシップ」の基礎となります。コンテクスト・リーダーシップとは、組織の文化やチームの歴史、現在の課題といった文脈(コンテクスト)を深く理解した上で、状況に応じて最適なリーダーシップのかたちを選択し、成果の着地点を柔軟に導くアプローチです。

このアプローチを実践するためには、まず人ではなく目的に着目することが大前提となります。
この絵が非常にわかりやすいんですが、「人を率いる」というと、人を引き連れていく。「自分についてこい」みたいなところで、人々を自分についてこさせるようなところが無意識的にどうしても起こり得てくるかなと思います。

でもそうではなくて、「目的へ導く」というところ。この絵のとおりで、旗が立っているところが目指すところだとは思うんですけど、「ここに行くことが目的である。だからそこに行こうよ」っていうところで、自分ではなくて目的に向かわせる。ここがまず大きな違いというか、区別になってくるかなというところです。なので、人というよりもまず目的ありきが大切かなと思っています。

引用:「成果を出すリーダーシップ」に必要な3つの要素 状況を見極め、最適な打ち手を選んでチームを動かすために持ちたいもの(ログミーBusiness)

現代のビジネス環境は、変化が激しく、1つの正解が存在しないVUCAの時代と言われます。このような時代において、特定のリーダーシップスタイルに固執することは、かえって組織の成長を阻害する可能性があります。ビジョン型、コーチ型、民主型など、リーダーシップにはさまざまなスタイルが存在しますが、成果を出すリーダーは、特定のスタイルに依存するのではなく、状況の変化に応じてこれらのスタイルを柔軟に使い分けています。その根底にあるのが、個人への求心力ではなく、共有された目的への推進力、すなわち「目的へ導く」という姿勢なのです。

この視点を持つことで、リーダーはメンバーの潜在能力を最大限に引き出し、変化に強いしなやかな組織を築くことが可能になります。

マネジメントとは「管理する人」ではなく「なんとかする人」

マネジメントという言葉を聞くと、多くの人が「管理」という言葉を連想します。実際に、管理職という訳語が定着していることからも、そのイメージは根強いものがあります。しかし、現代のビジネス環境において求められるマネジメントの本質は、単なる「管理」を超えたところにあります。

英語の “manage” という動詞には、「管理する」という意味だけでなく、「なんとかする」「うまくやり遂げる」という意味も含まれています。この「なんとかする」という側面こそが、現代のマネージャーに求められる核心的な役割です。

したがって、マネージャーとは「管理する人」や「偉い人」という職位上の役割に留まらず、本質的には「なんとかする人」であると捉え直すことが重要です。

この視点に立つと、マネジメントは特定の役職者だけが担うものではなく、チームの目標達成のために誰もが関与すべき機能であることがわかります。マネージャーという職位は、その「なんとかする」という機能を円滑に遂行するための役割に過ぎません。

では、具体的に「なんとかする」とは何をすることなのでしょうか。マネジメントやリーダーシップの仕事を突き詰めると、その構成要素は「チーム」「ゴール」「導く」という3つに集約されます。

マネージャーの使命は、チームをゴールに導くこと、その1点に尽きます。そのために必要なことであれば、すべてをやるのがマネージャーの仕事です。この3つの要素を達成するために、マネージャーはあらゆる手段を講じて「なんとかする」のです。

まず「ゴール」については、単に目標を設定するだけでなく、それをチーム全体に明確に共有し、全員が同じ方向を向くように働きかける必要があります。

次に「導く」とは、ゴールに至るまでのプロセスを具体的に示し、チームが道に迷わないようにナビゲートすることです。課題を提示して「あとはよろしく」では、チームは機能しません。

そして最も重要なのが「チーム」です。チームの力を最大化することが、マネジメントの成否を分けます。

社会はかつての大量生産を前提とした「タテの社会」、つまりヒエラルキーが重視される社会から、個々の価値観や意味が重要視される「ヨコの社会」、つまりフラットな関係性の社会へと移行しています。このような社会では、上意下達の命令や画一的な指導は機能しにくくなっています。代わりに、一人ひとりのメンバーと向き合い、「みんな違ってみんないい」という前提のもとで対話し、それぞれの想いを引き出すような関わり方が求められます。

マネジメントとは、このような時代背景の変化を的確に捉え、管理という枠を超えて、チームとゴール達成のためにあらゆることを「なんとかする」という、より動的で創造的な活動なのです。

理想に固執せず、現実を直視する「コンテクスト・リーダーシップ」

成果を出すリーダーシップのあり方として、「コンテクスト・リーダーシップ」という考え方が極めて重要です。これは、全体の状況を俯瞰し、目的に応じて最適なリーダーシップを選び、成果の着地点を柔軟に導くことを指します。このアプローチの根底には、理想論に溺れるのではなく、目の前にある現実を直視し、それを最大限に活かして理想に近づけていこうとする姿勢があります。

コンテクスト・リーダーシップを支える柱は3つあります。1つ目に、「意味ある成果を見極める」ことです。組織やチームには常に目的や目標が存在しますが、状況は刻一刻と変化します。その中で、「今のこの状況において、本当に最も意味のある成果とは何か?」と自問し続けるスタンスが求められます。

設定された目標を絶対視するのではなく、文脈に応じてその意味を問い直し、場合によっては目標自体を調整することも厭わない柔軟性が必要です。

2つ目の柱は、「現実直視と最善選択の覚悟を持つ」ことです。現場では、見たくない現実や受け止めがたい事実に直面することが多々あります。また、困難な選択を迫られる場面も少なくありません。

しかし、本気でゴールに向き合うリーダーは、これらの現実から目をそらさず、現状をありのままに捉えます。そして、その状況下で最も成果につながる選択肢は何かを冷静に見極め、覚悟を持って決断します。これは、気合いや根性といった精神論ではなく、状況把握と役割設計に基づいた、極めて論理的なプロセスです。

3つ目に、「柔軟な適応こそ真の強さである」と認識することです。目標を変更したり、ゴールを調整したりすることは、一見すると「弱さ」や「諦め」と捉えられがちです。

しかし、コンテクスト・リーダーシップにおいては、下方修正という意味ではなく、変化する状況の中で最も適切な着地点を見極めるための「強さ」と捉えます。理想に固執し、現実が見えなくなってしまうことこそが、組織を危機に陥れる最大の要因です。

理想に固執しすぎると、さまざまな負のスパイラルが生じます。例えば、到底達成不可能な目標に向かってリソースを過剰に投入し、メンバーを疲弊させてしまうことがあります。また、「このままではまずい」という兆候に気づきながらも、「今さら方針は変えられない」と固執した結果、軌道修正が遅れ、最終的にプロジェクトが失敗に終わることも少なくありません。

このような状況が続けば、メンバーは「どうせ無理だ」とモチベーションを失い、チーム全体のパフォーマンスは著しく低下します。さらに、メンバーからの信頼を失ったリーダーは孤立し、ますます現実離れした戦略に固執するという悪循環に陥る危険性もあります。

これらのリスクを回避するためには、理想を掲げることと同じくらい、その理想を今の現実にどう適応させるかを見極める力が重要になります。それが、成果を出すリーダーに求められる「実装力」であり、コンテクスト・リーダーシップの本質なのです。

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