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報連相(全1記事)

報連相ができない人の原因は? 明日から使える具体的な指示出しと環境づくりのコツ [1/2]

【3行要約】
・部下の報連相不足は多くの管理職の悩みですが、その背景には双方の「他責思考」という根深い問題が潜んでいます。
・世代間の価値観の違いやリモート化を背景に、上司と部下のコミュニケーションギャップはますます深刻化しています。
・管理職は部下を嘆くのではなく、自ら指示の具体化や環境整備を行い、報連相を積極的に引き出す姿勢が求められます。

なぜ報連相ができない部下がいるのか?

多くの管理職が「若年層は報連相が甘い」「新人が報告・連絡・相談をしてこない」といった悩みを抱えています。研修などを通じて報連相の重要性を伝えているにもかかわらず、現場ではなかなか実践されないのが実情です。

この問題の根底には、上司と部下の間に存在する深いコミュニケーションギャップと、双方の「他責思考」が横たわっています。

上司側には、これまでの自身の経験から「報連相は部下や一般社員が能動的に行うべき責務である」という認識が根強くあることが多いです。自分たちが若手だった頃は、上司の状況を窺いながらも自発的に報告を行っていた経験から、現在の若手にも同様の行動を期待しがちです。

そのため、部下からの報告がないと、「なぜ報告してこないのか」と部下側に問題があると考え、他責思考に陥りやすくなります。

一方で、部下、特にZ世代と呼ばれる若手層は、異なる価値観を持っています。彼らは自力で道を切り開くことよりも、成長を促してくれる職場環境やサポート体制を重視する傾向があります。就職活動の段階で「どのような教育環境があるか」を質問するように、手厚いサポートを期待して入社してくるケースも少なくありません。

彼らから見れば、「上司がいつも忙しそうで話しかけにくい」「報告しづらい雰囲気がある」と感じ、報連相ができない原因は上司や環境にあると考えます。

このように、上司と部下がお互いに「相手に問題がある」と捉えてしまうことで、コミュニケーションは停滞し、報連相は機能不全に陥ります。このギャップを放置すれば、「最近の若手は報連相ができない。採用の失敗ではないか」といった、より深刻な問題に発展する可能性すらあります。

管理職の本来の使命は、与えられた条件の下で「人を動かし」、効率良く目標を達成することです。この使命を鑑みれば、「部下が報連相をしてこない」と嘆くだけでなく、管理職側から積極的に働きかけ、部下の報連相スキルを引き上げていく視点が不可欠と言えるでしょう。

若手ならではの苦悩と、上司が陥る曖昧な指示の罠

報連相における齟齬は、具体的な業務の指示段階からすでに始まっています。特に経験の浅い若手社員は「わからないことがわからない」という状態に陥りやすく、何を、どのタイミングで、どの程度の粒度で報告・相談すべきかの判断がつきません。

この状態にある部下に対し、上司が背景やゴールを共有せずに曖昧な指示を出してしまうと、コミュニケーションの齟齬は決定的なものとなります。

例えば、上司が「この資料を火曜までにまとめておいて」と指示したとします。上司の頭の中には「営業先で経営層向けに使いたい」という明確な目的がありますが、それを部下に伝えていません。

一方、指示を受けた部下は、過去の資料を参考に、社内報告用の形式で資料を作成してしまうかもしれません。結果として、上司が期待していたものとはまったく異なるアウトプットが生まれ、「これじゃ使えないよ」という手戻りが発生します。

これは、仕事のゴールや背景が共有されていないために起こる典型的な失敗例です。

また、上司の心理状態や機嫌が、部下の報連相を滞らせる大きな要因となることも少なくありません。上司が少し強めのトーンで「先ほどの見積り、急いで直しておいて」と指示した場合、部下は「また怒られている気がする」と萎縮してしまいます。

わからない点があっても「話しかけたくない」と感じ、質問をためらっているうちに納期が遅れ、結果的に「なぜ早く言わなかったんだ」とさらに叱責される悪循環に陥ります。
あともう1個。「このプロジェクトを、過去の提案書を参考にしながら組み立ててみてください」と。ちょっと具体的な指示っぽいですよね。部下の方は「あぁ、わかりました」と言って、ただやっていく。そうすると、「うーん、どこがわからないかわからないから相談できないや。まぁ、参考資料をベースにすればいいか」と。

そうしたら上司は「これ、ほぼ前の使い回しじゃん。何も考えなかったの?」と。伝え手側、部下からするとわからないことがわからないまま突っ走ってしまうとか、指示はまあまあ具体的ではあるんですが、受け手にとって曖昧な指示、どんなアウトプットのイメージを作ってほしかったのかまでの指示がない。お互いに言語化不足ですよね。

引用:上司の機嫌が悪い、タイミングが曖昧…… 報連相で齟齬が生じやすい5つの状況(ログミーBusiness)

上司の「だいたいはこの前やってくれた流れでいいよ」「いつでも聞いて」「今週中でよろしく」といった曖昧な言葉も、若手社員を混乱させます。「いつでも聞いて」と言われても、忙しそうな上司の様子を窺い、「今話しかけていいのだろうか」と躊躇してしまうのが実情です。

上司が思う「普通」や「当たり前」は、経験の乏しい新人には通用しません。「送ったら連絡するのが筋だろ」といった一般化された指導は、コミュニケーションの摩擦を生むだけで、部下の自発的な報連相を促すことにはつながらないのです。

報連相が滞る職場環境の構造的問題点

部下の報連相がうまくいかない原因は、個人のスキルや意識だけに帰結するものではありません。むしろ、組織の構造や職場環境に根差した問題が、報連相を阻害しているケースが数多く見受けられます。特に、心理的安全性が確保されていない職場では、健全な報連相は期待できません。

例えば、ミスやトラブルの報告に対して、上司が感情的に叱責したり、原因追及ばかりに終始したりする環境を考えてみましょう。一度でもそのような経験をすれば、部下は「報告すると怒られる」と学習し、次の報告を躊躇するようになります。

特に悪い報告ほど、発覚を恐れてギリギリまで隠そうとする心理が働きます。その結果、問題が大きくなってからようやく報告が上がり、対応が後手に回るという事態を招きます。

上司からすれば「悪い報告が突然上がってくる」と感じるかもしれませんが、それは突然ではなく、部下が報告できずにいた時間が存在した結果なのです。

また、報告しても上司から十分なフィードバックがなかったり、具体的な指示が得られなかったりする場合も、部下の報連相への意欲を削ぎます。部下は「報告しても意味がない」「自分の時間を無駄にした」と感じ、次第に報告そのものをしなくなります。

上司が部下からの報告を真摯に受け止め、次のアクションに繋げる姿勢を示さなければ、報連相は形骸化してしまうでしょう。

さらに、プレイングマネージャーが増加する現代において、上司自身が多忙を極めていることも大きな要因です。常にパソコンに向かい、難しい顔で作業に没頭している上司に対して、部下は話しかけるタイミングを見つけられません。物理的な距離だけでなく、心理的な距離も生まれ、気軽に相談できる雰囲気は失われていきます。

リモートワークの普及は、この傾向に拍車をかけています。対面の機会が減少し、雑談などの偶発的なコミュニケーションがなくなる中で、意図的に報連相の機会を設けなければ、情報はますます滞っていくでしょう。

これらの問題は、単に「部下が悪い」で終わらせるべきではなく、管理職のマネジメントスキルや組織全体のコミュニケーション文化の問題として捉え、改善に取り組む必要があります。

報連相ができない部下のために上司が取るべき行動

部下の報連相スキルを向上させ、円滑なコミュニケーションを実現するためには、管理職側の行動変容が不可欠です。部下が自発的に報告・連絡・相談を行えるように、指示の出し方や環境整備において、具体的かつ戦略的なアプローチが求められます。

最も重要なのは、指示を出す際の「具体性」です。特に経験の浅い新入社員に対しては、「あいまいさ」や「一般化」を徹底的に排除する必要があります。「この前の流れで」「いい感じに」「今週中に」といった抽象的な表現は避け、「〇〇の形式で、△△の情報を盛り込み、金曜日の15時までに提出してください」というように、目的、アウトプットのイメージ、期限を明確に伝えることが重要です。

なぜその作業が必要なのか、その目的や理由を併せて伝えることで、部下の納得感が高まり、行動の質も向上します。近年の若手は、指示の背景にある意義を求める傾向が強いため、このひと手間が行動力に大きく影響します。

次に、進捗確認のタイミングを上司側から設定することです。「50パーセントぐらい進んだら報告して」といった部下任せの指示では、部下自身が進捗度を正しく判断できず、報告のタイミングを逸してしまう可能性があります。

そうではなく、「まずは構成案を明日の午前中に見せてください」「水曜日の定例で一度進捗を確認しましょう」というように、上司が積極的に確認の機会を設けるのが良いでしょう。

特に新人が配属されてから2〜3ヶ月の間は、上司から「大丈夫そう?」「あれどうなっている?」と声をかけることで、部下は安心して業務を進めることができます。同時に、「これからは自分から進捗を報告することも役割の一つだよ」と指導していくことで、徐々に自律性を育てていくことができます。

さらに、部下が相談しやすい環境を作ることも管理職の重要な役割です。会議や電話中以外ならいつでも声をかけて良いと伝えるだけでなく、週に1回10分程度の短い面談時間を設けるなど、意図的にコミュニケーションの機会を創出することが有効です。

スケジュールにあえて空きを作ることで、部下は「話しかけても良い時間だ」と認識し、相談のハードルが下がります。こうした地道な働きかけを通じて人間関係を構築し、部下が安心して報連相できる土壌を育むことが、管理職のスキル向上にもつながるのです。

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