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「生産性を上げるのにスター社員はいらない」良いチームに共通する3つの特徴がMITの研究で明らかに

「生産性を上げるのにスター社員はいらない」良いチームに共通する3つの特徴がMITの研究で明らかに

会社の生産性を上げるのは一握りのエース社員の存在である、という考え方は、どうやら間違っているようです。作家のMargaret Heffernan(マーガレット・ヘファーナン)氏は、「スーパースターばかり集めたチームが強いわけではない」と語ります。MITのチームが行なった実験によれば、好成績をおさめたチームにはとんでもなく高いIQの人がいたわけではなく、ただ3つの特徴があったそうです。1つ目は高いレベルの社会的感受性。2つ目はお互い公平に時間を使う。そして3つ目はより多くの女性メンバーがいたことです。そこから導き出される、生産性の高い、優れたチームの作り方とはどのようなものなのでしょうか? 人事や人材に関する考え方を変えるスピーチを、世界で活躍する企業の実例とともに見ていきましょう。(TEDWomen2015より)

スピーカー
作家 Margaret Heffernan(マーガレット・ヘファーナン) 氏
参照動画
Margaret Heffernan: Why it's time to forget the pecking order at work

ニワトリの生産性を上げる方法

マーガレット・ヘファーナン氏 パデュー大学の進化生物学者ウイリアム・ミュアは生産性に興味をもち、ニワトリの研究をしていました。生産性については、みなさんにも関係のあることですよね。でもニワトリの場合は測定するのが簡単です。ただ卵を数えればいいのですから。 (会場笑) 彼が知りたかったのは、何がニワトリの生産性を上げるかということです。そこで素晴らしい研究を発案しました。ニワトリをグループにわけて生活させ、最初に平均的な群れを選び、それを6世代の間放っておきました。 2つ目にもっとも生産性の高いニワトリのグループをつくりました。言ってみれば「スーパーチキン」の群れですね。各世代でもっとも生産性の高いニワトリだけを選んで育てたのです。 6世代を研究して、彼は何を発見したのでしょうか? 最初の平均的なグループは、普通に良好でした。みなまるまると太って、羽もしっかり生えていて、卵の数も劇的に増えました。 2つ目のグループはどうだったのかというと、3羽を残してあとは死んでしまいました。その3羽がつついて殺してしまったのです。 (会場笑) 個々に生産性の高いニワトリの成功は、残りのニワトリの生産性を下げることでもたらされただけのものでした。 私は世界中のあらゆる組織や企業でこの話をしてきました。聞いてもらったみなさんはほとんど即座にその相関性を理解し、私に言うのです。「そのスーパーチキンの群れは、まさに私の会社のことだ」「私の国のことだ」「私の人生だ」と。 人生を通して、必要なのは競争だと言われ続けてきました。良い学校に入り、良い仕事を得て、トップになるということですが、私はそれに魅力をまったく感じません。私が起業したのは創作とは喜びであり、クリエイティブで素晴らしい人々と働くことは自分の利益になるからです。 また、上下関係やスーパーチキンやスーパースターからモチベーションを得たこともありません。しかしこの50年間、ほとんどの組織や社会はスーパーチキンモデルに沿って運営されてきました。成功はスーパースターや輝く男性、場合によっては女性を選び、すべてのリソースとパワーを与えることによって得られたと考えられてきました。 そして結果はすべてウイリアム・ミュアの実験と同じで、攻撃、機能障害、浪費に陥るのです。もしもっとも生産性の高い者が成功する唯一の方法が、残りの生産性を下げることだとしたら、我々はより良い働き方とより豊かな生き方を見つけなければなりません。 (会場拍手)

生産性を高めるための3つの要因

では、あるグループを明らかな成功に導き、生産性を高めるものとは何なのでしょうか? これがMITのチームが研究していた問題です。数百のボランティアを集めてグループにわけ、非常に難しい問題を与えました。 そこで起こったのは、まさにみなさんが予想したとおりのことです。あるグループは他よりも非常に上手くいきました。しかし本当におもしろいのは、好成績のグループはとんでもなく高いIQをもつ人がいるグループではなかったということです。また、もっとも好成績のグループが、IQの総計でトップだったというわけでもありませんでした。 その代わり、上手くいったチームには3つの特徴がありました。1つ目は、彼らは互いに高いレベルの社会的感受性を示していたということです。これは「Reading the Mind in the Eyes Test」と呼ばれるもので測定されます。共感のテストとして広く認知されています。これで高得点だったグループが、良い成績を収めていました。 2つ目に、上手くいったグループは、お互い公平に時間を持っていました。議論を独占する人や、逆に傍観する人もいませんでした。3つ目の特徴は、上手くいったグループには、より多くの女性メンバーがいたというです。 (会場拍手) これは一般的には女性のほうが「Reading the Mind in the Eyes Test」で良い成績を収めるから、共感の比率で2倍も差があったのでしょうか? それか女性が異なる角度からの視点をもたらしたからでしょうか? 本当のところはわかりません。しかしあるグループが他よりも良い結果を出すというのは当然であるものの、この実験の特筆すべき点はお互いの社会的つながりが鍵であったという点です。 これは現実の世界ではどのような役割を果たすのでしょうか?  互いに調和し、感受性の高いグループでは、アイデアがどんどん出て広がるのです。行き詰まりもなく、エネルギーをムダにすることもありません。

「助け合いの精神」が成功の鍵

例をあげます。アラップは世界でもっとも成功したエンジニアリング会社です。北京五輪に向けて、馬用の施設を建てるよう依頼されました。この建物は2,500頭ものサラブレッドを収容せねばなりませんでした。しかもその馬たちは長時間のフライトと、強い時差ボケで、調子が良くありません。エンジニアが直面した問題は、どのくらいの量のエサが無駄になるかということです。こんなことはエンジニアリングの学校では教えてもらえませんね。 (会場笑) 彼は何ヶ月もかけて調査し、表計算ソフトを微調整する代わりに助けを求め、ニューヨークでジョッキークラブをデザインした人に出会いました。そして、問題は1日もかからず解決したのです。アラップは助け合いの精神が成功の核となることを確信しました。 助け合いの精神と言うと弱々しく聞こえますが、それが間違いなくチーム成功の核となり、個々の知性を凌駕するのです。助け合いの精神とは、私がすべてを知る必要はないということです。支えあうことのできる人たちの中で働くだけでよいのです。 SAPでは、人は17秒あればどんな質問にも答えることができると考えられています。しかしこれがテクノロジーの問題だと考えているハイテク企業は、私が働いてきた中ではありませんでした。助け合いの精神を強めるのは、人々が互いをよく知ることだからです。 とても明らかなものに聞こえますよね。普通に起こり得ることのように思えますが、そうではないのです。私が最初のソフトウェア企業を経営していたとき、行き詰まってきていると気づきました。多くの衝突があり、私が雇った優秀でクリエイティブな社員たちはお互いをよく知らないことに気づいたのです。 彼らは個々の仕事に没頭していて、隣に座っているのが誰かも知りませんでした。我々が本当に勢いを得たのは、私が仕事を止めてお互いを知ることに時間を費やすよう強く言うようになってからでした。

コーヒーカップをデスクに置くことを禁止した意図

これは20年前のことですが、いまこの会社ではコーヒーカップをデスクに置くことが禁止されています。コーヒーマシンの近くに集まり、お互いに話ができるようにするためです。スウェーデンにはこれに対して特別な言葉があります。「フィカ」と呼ばれ、コーヒーブレイクよりも深い意味があります。メイン州にあるIdexxでは、敷地内に菜園をつくったことで、異なる部署の社員たちが一緒に働き、ビジネス全体を理解できるようになっています。 彼らは何かおかしいでしょうか? まったく逆ですね。彼らが理解したことは、困難に直面したとき、非常に重要な問題をブレイクスルーするときに困難は付き物ですが、必要なのは社会的なサポートです。また誰に助けを求めるかを知ることも必要です。 アイデアを持っているのは会社ではなく、人です。人にモチベーションを与えるのは仲間同士で深めた絆や友愛、信頼です。レンガではなく、それをつなぐ「しっくい」が重要なのです。 これらをまとめたものを「社会資本」と呼びます。社会資本は信用を築く信頼や相互依存の関係です。この言葉は、ストレスの時代に特に回復を示したコミュニティを研究していた社会学者によるものです。 社会資本は企業に勢いを与え、より強固なものにします。これは実用的な面では何を意味するのでしょうか? それは時間がすべてだということです。なぜなら社会資本は時間とともに増していくからです。 長く一緒に働くほど、チームは上手くいきます。真の率直さやオープンさに必要な信頼を築けるからです。そして時間は価値をつくります。アレックス・ペントランドがある会社に、互いに話す時間を持てるようにコーヒーブレイクを混ぜようと提案したとき、利益は1,500万ドル上がりました。そして従業員満足度も10%上がりました。社会資本は一緒に過ごす時間とともに増すという悪くない例ですね。 これは親しみに関する話ではありません。怠け者に対する免罪符でもありません。なぜならこのようにして働く人たちは、がさつで飽きっぽく、自分自身で考えを決めてしまう傾向にあります。それが彼らなりの貢献だからです。 率直さは安全なので、衝突は頻繁に起こります。そのようにして良いアイデアは素晴らしいアイデアに変わるのです。完全に形成されて生まれるアイデアなどありません。子供が生まれるかのように小さくバラバラに、複雑な状態で現れますが、可能性に満ちています。ポテンシャルを発揮するための、寛大な貢献と信念と挑戦を通してのみ生まれるのです。それが、社会資本が支えるものです。 我々は普段、才能やクリエイティビティについて、このように話したりはしませんよね。話すのはスターについてです。それでこのように働き始めたらどうなるだろうかと考え始めました。もうスターは要らないということでしょうか? それでロンドンの「the Royal Academy of Dramatic Art」のオーディションを見に行きました。

チームにスターはいらない

そこで見たものにはとても驚かされました。先生方が見ていたのは個々の華やかさではなかったのです。彼らは生徒の間で起きることを見ていたのです。それこそがドラマだからです。プロデューサーにヒットアルバムについて話すとき、彼らは「もちろん、音楽業界にもたくさんのスターがいます。ただ彼らは長く続かないだけなのです。長くキャリアを楽しんでいるのは特に優れたコラボレーターたちです。なぜなら他人にベストをもたらすのは、自分の中にベストを見つける方法でもあるからです」と。 創意工夫やクリエイティビィティによって名声を得た企業を訪れたとき、私はまったくスーパースターを見つけることができませんでした。そこにいる全員が重要だったからです。自分のキャリアや、私が一緒に働くことのできた非常に優れた人々を振り返ってみて、もしスーパーチキンであろうとすることを止めていれば、互いにどれだけより多くのことを与えることができていたかに気づきました。 (会場笑) 一旦ソーシャルワークがどのようなものかということに対しての感謝を感じると、たくさんのことを変えなければならなくなります。才能競争によるマネジメントは、社員を互いに競わせてきました。この競争は社会資本によって置き換えられます。 我々は何十年も、人のモチベーションをお金によって上げようとしてきました。たとえ多くの研究が、お金は社会的つながりを侵食することを示してきたとしてもです。我々は互いにモチベーションを高め合う必要があるのです。 そしてリーダーは、複雑な問題もひとりで解決できる英雄であると、長い間考えられてきました。今こそリーダーシップを再定義する必要があります。みんながもっとも勇敢な考えを一緒にできるようにするのがリーダーシップです。これが上手くいくことを我々は知っています。 モントリオール議定書がCFC(クロロフルオロカーボン)の根絶を求めました。CFCがオゾン層に穴を開けるリスクは計り知れないものでした。CFCはどこにでもありますが、代用品が見つかるかどうかは誰にもわかりません。 しかしこれにチャレンジしたあるチームが3つの鍵となる原則を採用しました。1つ目は、エンジニアリングのトップであるフランク・マスレンが、このチームにはスターはいらないと言ったことです。全員が必要で、全員が有効な視点を持っているのです。 2つ目は、想像力を活かすというたった1つの基準で働いたことです。3つ目はフランクが上司のジェフ・タッドホープに、余計な口出しをしないでくれと言ったことです。彼は権力がどれだけ混乱をもたらすか知っていたのです。これはタッドホープが何もしなかったというわけではありません。彼はチームを上空援護し、彼らが原則を遵守することを確かめていたのです。 これは上手くいきました。この難問に挑戦していたその他すべての企業を差し置いて、このグループが最初に解決したのです。現在に至るまでモントリオール議定書は、もっとも成功した国際的な環境合意であるとされています。 当時たくさんの競争があり、それは今でもあります。数少ないスーパーマンやスーパーウーマンによって問題を解決できると考えていては、きっと解決はできなかったでしょう。全員が必要なのです。全員に価値があると認めたときにだけ、限界をこえてベストを創るためのエネルギーや想像力、勢いを解放することができるのです。ありがとうございました。

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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「生産性を上げるのにスター社員はいらない」良いチームに共通する3つの特徴がMITの研究で明らかに

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