ホルムズ海峡の機雷掃海問題についての答弁

辻元清美氏(以下、辻元):中谷大臣にお聞きします。ホルムズ海峡に機雷をまかれた場合、日本のまわりの近海を海上封鎖をされたことと同等とお考えですか?

中谷元氏(以下、中谷):我が国周辺の海域の機雷封鎖は先ほど法制局長官がお答えしたと思います、ホルムズ海峡の場合もどう考えるかということに関しましても、3要件ですね。このいわゆる存立危機事態にあてはまるような事態によりまして、存立事態であるかという判断をするわけであります。

辻元:だから、海上封鎖されるというのは相当な事態なんですよ。わかると思いますけれども、ホルムズ海峡に機雷をまかれたことが日本を海上封鎖されて、その状況と防衛大臣として同等だとお考えかときいているわけです。

中谷:色んな状況がございますが、まず前提として我が国と密接な関係にある外国に武力攻撃があったという場合ですよね、お尋ねは。そういう事態にあたるかということですか?

辻元:質問きいてください(笑)。ホルムズ海峡に機雷がまかれた場合に存立事態。武力行使ができると、機雷の除去にいけると言っているので、先ほど法制局長官は機雷について海上封鎖をひとつの例に挙げられましたので、ホルムズ海峡の機雷掃海が海上封鎖をされたときと同等の日本にとって打撃かときいているわけです。

中谷:いろんな状況がありますが、辻本先生のお尋ねはホルムズ海峡に機雷をまかれた場合が我が国の存立事態にあたるかというご質問でしょうか?

辻元:認識が海上封鎖されたときと同等かという。

中谷:質問の趣旨がわかりませんが、我が国周辺に機雷がまかれた場合と、海上封鎖された場合と、ちょっとあまりにもその2つの比較において判断する要素としていろんな国際情勢もありますし、かなりのケースも考えられるので一概にどうとは言えません。

辻元:これは私が申し上げたのではなく、法制局長官が先ほどそういう答弁をされましたのでそれでお聞きしているわけですよ。違う角度からお聞きしたいと思いますが、中谷防衛大臣がホルムズ海峡に機雷が設置された場合の掃海について、受動的かつ限定的な行為とそういう答弁をされていますが、ここでいう受動的とはどういう意味なのでしょうか?

中谷:機雷を掃海する作業自体は機雷を処理をするということでありまして、これは通常の行動といたしましては受動的ということであります。

辻元:他に自衛隊の作戦行動で受動的・限定的と言っているものはありますか? ほかの作戦行動で機雷が受動的って、中谷大臣の答弁を私はひいて申し上げております。なので他にあるか? って。他に自衛隊法とかいろいろと自衛隊の作戦行動をみますと、他に自衛隊が受動的・限定的といっている行為は武器等防護なんですよ。

そしたら機雷の掃海というのは、これは戦争の一環とみられていることと、武器等防護で受動的・限定的と使っている、防衛大臣におききします、これ全く違いますよね、概念が。防衛大臣も性質上、受動的とおっしゃってるんですよ。武器等防護と一緒ですか、機雷の掃海は。

中谷:現行の自衛隊法においては自衛隊の部隊については、武力攻撃に至らない侵害が発生した場合に、我が国の防衛のために武器や防護をするため極めて限定的かつ受動的な武器使用の権限が定められているということであります。機雷の掃海に関しましては、受動的という意味におきましては掃海自体は、あるものを処理すると。これを布設としますと受動的だとは思いませんが、あるものを処理するという意味においては私は受動的という認識を抱いております。

辻元:日本の同盟国は米国だとよく言われていますけれども、いや、中谷大臣がいつも言っておられることですけれども、アメリカの統合参謀本部の資料に機雷作戦というのが出ているんですね。機雷作戦というのは戦争の一環ですよ。

機雷作戦のなかには能動的なものと受動的なものがあるんです。受動的なものというのは、脅威の特定とかそういうのが受動的で、機雷の探索や掃海や無力化は能動的行為なんですよ。それを武器等防護と同じ、受動的・限定的と。要するに、ホルムズ海峡の掃海を例外としてその根拠として受動的・限定的という言葉をずっとお使いになっているわけです。国際的にみたら通用しません。

ですから、この言葉は今後お使いにならないほうがいいと思う。能動的なんですね、アメリカだって能動的だって言っているわけです。総理、なぜこれをいうかというとですね、機雷というのは今まで湾岸戦争のときも、サウジアラビアは自分の領域に機雷がくるかもしれませんと、掃海しました。

あとアメリカとイギリスだけなんですよ。これはどういうことかというと、戦争当事国しかやっていないんですよ。停戦前に行くということは非常に危険度が高いんです。停戦後に行っても危険度は高いんです。掃海だといって、相手から攻撃される可能性もあるわけです。もしもミサイルで攻撃されたらどうするんですか?

そこから戦火が広がるんじゃないですか? そして相手の中東諸国含めて、日本が機雷の掃海に行くということは相手国からみれば敵国になるわけです。そうすると私が心配しているのは日本国内や日本人がテロに狙われる可能性は増えると思いますよ。

そして、自衛隊も任務が増えるわけですから自衛隊員が死亡したりするリスクの論理がありますけど、増えると思いますよ。

ですから受動的とか能動的という言葉でいうんじゃなくて、これは機雷の掃海、海の掃除に行くのとは違うんです。軍事作戦行動の一環なわけです。ですから日本人が機雷の掃海に行くことによって、世界中からテロに狙われたり、日本国内もテロに狙われるかもしれないです。

なぜこのようなことを申し上げるかというと、総理はですね、ちょうど1年前のこの委員会で大串議員への質問なんですよ。なんらかの事態があり得ないというのはそれは全く現実から目を背けているダチョウの論理に近いわけでありまして、起こってもらいたくない論理には目を背けるということです。

要するに戦争というのはリアクションがあるんです。ちょっとだけといって行って、いつも大きな戦争に広がっているわけです。総理、こうもおっしゃってますよ……、

安倍晋三氏(以下、安倍):早く質問しろよ!

辻元:絶対にないという政治家……。

某議員:早く質問しろよってなんだよそれ!

辻元:(語気を強めて)委員長、総理大臣が質問者に対して「早く質問しろよ」と言って、ご自身の答弁は延々とされてきたんじゃないですか。皆さんそうでしょう!

議長:じゃあ終わりますよこれで、1回速記とめてください。

(速記再開)

辻元「私はとてもさびしい気分になりました」

辻元:……答弁結構です、もう。「早く質問しろよ」という総理大臣にいま、答弁はもう結構です。私はとてもさびしい気分というか、情けない気分になりました。いま人の生死とか戦争とかについて話しているんですよ。ですから私は先ほど、大げさなこと申し上げたんではないんです。

実際にこの間、ISILに2人つかまったり、法人がテロに狙われているわけです。世界中で湾岸戦争などに参加している国は、誤解もありますけど、その国の国民がテロに狙われたりする率はすごく高くなってる社会なんですよ。

総理はこうおっしゃってます。起こりうるかもしれないことについて絶対ないと。言い切る政治家は無責任。去年の今日、ここでおっしゃったんですよ。ですから起こりうるリスク、総理は目の前のことしか見ていない。そのあとに何が起こりうるかということについて申し上げて、質問終わります。