面接を最低30回やる

南壮一郎氏(以下、南):では、エゴンゼンダーの小野さんです。3人とは少し立ち位置が違うと思いますので、小野さんらしい角度から、お話していただきたいと思います。

小野壮彦氏(以下、小野):こんにちは。エゴンゼンダーの、小野と申します。聞きなれない会社名と見慣れない顔が、こいつ何者だっていう感じかと思うんですが、ちょっとご説明させてください。

私の話からまず自己紹介させていただきますと、もともと楽天です。楽天グループという言い方がいいかもしれません。その前は、実は今のいわゆるクラウドソーシングの世界とちょっと近いような、プロトレードというB to Bのマッチングサービスの会社を99年に起業した経験があります。

当時27歳でした。その会社が買収される形で楽天に入ったんですけれども、楽天グループでは前半は社長室にて経営企画、後半はヴィッセル神戸っていうJリーグサッカークラブの仕事を、役員としてやらせていただいてという、幸運な経験を経て、途中もう1社ベンチャー経営を挟んでから、ちょうど6年前になるんですけれども、今の会社に入りました。

エゴンゼンダーは、スイスが発祥のグローバルエグゼクティブサーチファームです。それ何ですかって話なんですが、簡単に申し上げますと、社長を変えたいとか、経営陣の方々を変えたいとか、そういう時にお話をいただく、サーチファームという特殊な業界が、小さいながらもありまして。

もともとはマッキンゼーさんとかA.T.カーニーさんとかの戦略コンサルティングファームが60年代ぐらいに分家をする形で、こういうサーチファームっていうのが生まれた経緯があります。

その中の5社のうちの1社が弊社なんですけれども、主に今現在、経済活動がある世界中の都市70ヵ国にオフィスを構えておりまして、世界中で私と同僚のコンサルタントが、完全にフラットなパートナーシップという形態で運営をされていまして。

世界中で同僚達が日々、いろんな経営人材の方々とお会いさせていただいていますが、それが世界で1つのデータベースに情報が入っていて、様々な人的ネットワークを網羅しているという、半分そういった意味ではグローバル規模の経営人材バンクのような会社です。

もう1つの半分の要素は、企業側に対して、そもそも採用するんですか、どうなんですかみたいな話とか、その前に組織をどういう形にした方がいいでしょうかとか、もしくは採用するとしたら、どういう方をどんな形で、みたいなところの戦略作りから入ることが多くて、どんどん経営そのものの課題に踏み込みます。

また、海をまたがったプロジェクトが多くて、ステークホルダーが世界中に散らばっていて、それで我々サイドも、世界中の同僚が連携をしてプロジェクトを進めるみたいな、そういうちょっと特殊な仕事をやっています。

ネットとかITという関連の繋がりで言うと、先ほど鈴木さんがおっしゃっていた『How Google Works』の中に、実は弊社のマーサ・ジョセフソンというパロアルトのコンサルタントが4回ぐらい名前が出ているんです。

グーグルさんも爆発的に組織が大きくなった時に、やっぱり経営陣をアップグレードしていく必要が出てくると。そういう時に我々がパートナーとして、そもそもどうあるべきか、という議論の段階から、仮説を見出してソリューションを一緒になって作っていくっていう、そういうことを世界中で活動しています。

1つだけネタを披露させていただくと、弊社自身、エゴンゼンダーっていう会社が、実は採用に関しては、ものすごくこだわりを持ってやっている会社でして。

創業以来50年間、世界中で欠かさずやっているのが、コンサルタントの採用面接を30回やるっていうルール。ミニマム30回なんです。で、4ヵ国。まずその人が採用される国が全員がオッケーを出さなきゃいけないんですけれども、その後3ヵ国別の国に行って、合計30回をクリアする。

評価されるだけじゃなくて、それが終わっている段階で、ほぼ実は一心同体になっているというか、かなり洗脳されている状況になりますね。

そこまでやるとフィットする、しないっていうのが、いやがおうにもわかってくる。企業によって、それが許される環境かは、現実的な問題としてはあると思うんですけれども、我々はそういうアプローチで会社の採用っていうのをやっています。よろしくお願いします。

:ありがとうございます。びっくりするような情報もいただきました。それでは、次はサイバーエージェント曽山さん。

社員の半分は新卒採用

曽山哲人氏(以下、曽山):はい。

:今年何回も一緒にパネルディスカッションやらせていただいていますね。

曽山:はい。ありがとうございます。

:改めて、自己紹介を含めて、よろしくお願いします。

曽山:皆さんこんにちは。スライド4枚程度で自己紹介と、あと採用で大事にしているポイントについてご紹介したいと思います。

私はサイバーエージェントに20名ぐらいの時に入りまして、それが24歳、1999年に入りました。現在サイバーエージェントはグループ連結で正社員で3,000名になっています。サイバーエージェント単体で2,000名ぐらいというところです。

私30歳から人事本部長をしていまして、約10年ほど人事をやっていますが、単体で400名の時に人事本部長になりまして、今、単体だけでも2,000名になっていますので、だいたい1,600人ぐらいの採用に携わってきているというところを今日はご紹介したいと思います。アメブロとTwitterもやっていますので、ぜひよろしければ、見ていただければと思います。

近況として、サイバーエージェントの状況だけ少しご説明すると、売上と営業利益はここにある通り2,000億と220億というのが昨年できましたけれども、事業モデルとしては、アメーバのようなメディアと、広告代理店のような企業向けのビジネス、両方持っていまして、売上と利益はほぼ半々ぐらいな感じになっています。

特に事業を、約50事業と書いていますが、ベンチャーがたくさんある事業モデルを作っていまして、企業向けからユーザー向けまで、たくさんの事業を持っているということで、採用活動などでも、そういうベンチャーの切り口っていうのをたくさん出して、実際にそういう配属もしているというところです。

社員数はここに書いてある通りですけれども、今、単体の2,000名のうち、40代以上というのが70名ぐらい。残りの1,930名ぐらいは20代と30代で半々ということですので、2、30代でこれだけの規模を作っているっていうような、結構みんなで頑張ってやっているというところです。

新卒と中途は、毎年両方やっていまして、例えば昨年で言うと、サイバーエージェントはグループで新卒採用300名採りましたけれども。

サイバーエージェントだけでも、そのうち200名を採用し、中途も年によりますけれども、だいたい毎年100名から、例えばスマホに力乗せるぞって言った3年前ぐらいは300名ぐらい、1年間で、特にエンジニアを中心に採用しました。

新卒がやはり力を入れていましたので、今累計で1,000名ぐらいいるという形になります。

会社に合う人を採る

今日の結論の1つですけれども、採用で大事にしているところを5つご紹介したいと思います。

結構いろんな会社の採用のご相談とか、ディスカッションをさせていただく機会も多いんですが、結構上手くいっていない会社の罠みたいなのがいくつかあって、そこを乗り越えると、採用がぐんと伸びるので、その辺りをご紹介します。

一番大きい切り口で言うと、やっぱり合う人を採るっていうところを徹底できているかどうかっていうのはすごく大事なポイントで。

その前に、合う人を決めるというステップをやっていらっしゃる経営者とやっていない経営者が、結構はっきり分かれているなというふうに思います。

先ほど5つの価値観とか、トイレに貼られているとか、ああいったこだわりが明文化されている会社の場合は、その価値観に合わせて採用していけばいいんですけれども。結構一気に急成長する場合、その共通の軸というのを逃してしまうってケースがあるので、ここをぜひ意識していただけると良いのかなと思います。

素直な人材を採用する

曽山:この5つをざっとご説明しますと、まず1つは、今ネットベンチャーがすごくたくさん増えていますので、情報発信量で結構優劣が出ています。

特に経営者のブログとか、あとは技術者ブログは各社皆さんやっていまして、私たちもやっていますけれども。

そういう情報の発信を出すことによって、どんな効果があるかというと、右側に書いてある、ここ自分と共感できるという、共感のポイントを増やすっていうことを発信している会社だけが得られるメリットなんです。

発信している会社の中で、共感されているところと共感されないところがあるんですけれど、発信していない会社は、この競争にまず入れないので、発信量を増やすっていうのがまず1つ大事なポイントになります。

そして2つ目は、先ほどの合う人を決めるというところに近いですけれども、採用基準です。採用基準という軸を絞ると、その合う人を採れば良くて、合わない人は入れないっていうふうになるんですが。

私たちサイバーエージェントの経験で言うと、上場した後に、100名のサイバーエージェントに200人ぐらい採用して、1年後に社員が200人になっているっていう、ぐるぐる入れ替わっちゃう状況があったんですけれども、そういう時は想定外のカオスなんです。

大量に採るんですけれど、どんどん辞めちゃう。そうならないためには、どういう人を採るかっていうのを決めるのが大事で。例えばサイバーエージェントの場合は、素直な人材を採るというのを、素直でいい奴っていうのをキーワードに決めて、そこだけ見ていけばいいというところを決めています。これは会社によっていくつかあると思います。

会社情報を隠しても盛ってもバレる

曽山:そして3つ目、オープンにするっていうのは、今ソーシャルメディアで全部バレているっていう時代なので、もう隠すのとか盛るのとかは、ほぼバレていますっていうのが、今の採用活動です。

特に新卒採用だと、私たちは新規事業をこれだけ作っているとか、どこどこの会社出身だとか、いろんな会社のアピールがあると思うんですけれども、それが事実として伝えている人と、盛っている人っていうのは、結構学生はすごい見抜いていて。

FacebookとかLINEとかで、そういうのを全部、お互いで晒し合っている状態なので、もうインターンでも全部いいところも悪いところも見てもらうっていうのが大事な時代だなというのが3つ目です。

4つ目は文字の通りですが、社員に協力してもらう、もしくは経営陣に協力してもらうっていうことが大事なので、駄目なケースっていうのは人事だけに任せるケースです。

私も人事だけでやっていると、やっぱり採用基準が私の基準になっちゃうので、そういった現場の社員に巻き込むっていうのが大事だなと。

あと5つ目は、先ほどの30人はちょっと衝撃的でしたけども、たくさん会うということで、私たちの場合は少なくとも5、6人の社員と会ってもらって、合う、合わないを見るというところをやっています。

今日の聞きたいところは、皆さんに聞きたくて、鈴木さん最近すごいキーマンとか幹部とかたくさん仲間に入れられているので、口説きのポイントを教えて欲しいなと思っていますし、小野さんにはこのネット業界とかテクノロジーの、こういった中での人材のニーズとかトレンドをぜひ教えていただきたい。

東後さんについては、グーグルからこういうチャレンジをそもそもしようと思った、グーグルの中でそれを感じたのか。

出てから感じたのかわからないですけれど、そういったところの経緯もぜひ教えていただきたいですし、今私たち技術者採用すごく力を入れて、たくさん入ってきていただいていますけれど、やっぱり競争なので南さんぜひ教えてくださいみたいな。そういう感じです。ありがとうございます。

:はい。ありがとうございます。

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