もっと民間人からの大臣登用を

三木谷浩史氏(以下、三木谷):そういえば安倍政権、僕は非常に支持しているんですけれども。

夏野剛氏(以下、夏野):アベノミクスの話もね。

司会:そう! そのお話も是非お伺いしたいんですけど。

三木谷:韓国今回、新しい大統領になったじゃないですか。

夏野:朴。

三木谷:今度彼女は、大臣をすべて民間人にしたらしいですね。

夏野:素晴らしい!

三木谷:全部が民間人というのはどうかなと思いますけど、やっぱりプロがね。

夏野:朴ぐらいいてもいいよね。

三木谷:そうだと思いますよね。

夏野:経済産業大臣ぐらい民間のほうがいいよね。

三木谷:それは間違いないでしょうね。

夏野:茂木さんがだめとは言わないけど。

三木谷:茂木さんはまあいいと思いますよ。

夏野:いいと思うけど、やっぱり国会議員歴長いよね。

三木谷:もうちょっと、民間人を登用してほしいですね。

夏野:ただ、竹中さんの例を見ていると、民間で良かれと思ってあの職を引き受けて、未だにバッシングでしょ?

三木谷:まあだけど、竹中さんのおかげで。

夏野:ああはなりたくねーなと思うよね。

三木谷:本人的にはもう1回復活したいんじゃないの?

夏野:いやー、もう1回やりたいだろうね、やっぱり。まあ奇特な人ですよね。

三木谷:やっぱり竹中さんは素晴らしいと思います。

夏野:ロジック完璧にしっかりしているし。でもそういうのも是非進言してください。例えば、副大臣1人民間というのはどうなの? だいぶ変わる?

三木谷:そうだよね。

夏野:大臣は国会議員だったとしても、副大臣2人いるうちの1人とか。政務官3人いるうちの1人。

三木谷:総務省ぐらいいいんじゃないですか。総務副大臣。

夏野:やめてよ。総務省に行ったら5人ぐらい俺は局長クラス、クビにするから。ムカつく奴いるんだよ。

三木谷:(笑)。

司会:具体的に頭にどなたか浮かんでいらっしゃるんですね。

夏野:執政しているからね、執政を。でもそれはすごくいいと思う。民間の活力を使ったほうがいいと思う。

三木谷:うん。

ここで変われるかどうかが、10年後の日本を決める

夏野:安倍政権は今度長くなるじゃないですか、恐らく。だから今度の参議院が終わると3年ないから、これは結構じっくりいろんなことが出来るんじゃないかなと思うんだけど。そういう雰囲気ですか? 自民党は。

三木谷:うーん。どっちにいくかですよね。選挙が終わった。さあ、じゃあもっと改革しようというふうにいくのか。それとも選挙が終わったから、もうこれでしばらくは選挙がない。参議院が終わったあとじゃあやっぱりということで、族議員を含めた既得権益を盛り返すか。それは安倍さんの力次第でしょうね。

夏野:僕はすごい大事だと思うんだけど、今アベノミクスが成功している。実体経済はともかくとして、少なくとも雰囲気としては成功というか、いいムードになっている。その中で、維新とかみんな(の党)ってすごく、本当は維新とかもみんな同じような政策じゃないですか。

ちょっと今元気がないっていうか、目立たなくなってきてる。これはどうなるんですかね? 参院選後。

三木谷:(笑)。それはそれぞれに聞いてほしいんですけど。政局は全くわかりませんが。だけどみんなの党も維新も、本当に政治改革を中心にしていこうと。

ちょっとそこが違うのは、安倍政権といえども一部の人はやはり国家資本主義というか、国のお金を一部の産業とかあるいはその厳しくなった企業を救済するとか。僕は競争力会議で、結構戦っているんですよ。そこは確かに、多少の意見の違いは競争力会議の中でもあるかもしれません。

夏野:ここで変われるかどうかが、この10年後の日本を決めるかな。あるいは、これからの日本を未来永劫決めちゃうかなという危機感を僕は抱いていて、本当は去年の衆議院選で自民党がそんなに勝たなければ、政界再編が起こっていたんじゃないかと思うんですよ。

自民党の中を見ても民主党の中を見ても、若手議員と年寄り議員と全然言っていることが違うじゃないですか。

三木谷:そうですよね。英語教育の話も若手はみんなそれ当たり前だという話ですよ。でも、年配の方でもすごくサポーティブの人がいっぱいいますよね。

夏野:そういう人もいるけど、でもそうでもない人もいるじゃないですか。TPPの話にしても何の話にしても。だから実は1党になっているけれども、中でピーッと分れていると思いますよ。世代を中心にしてね。

これの再編がもし去年の衆院選、政治に「もし」はないけれども、もうちょっと複雑な状況になっていたらあり得たんだけれども。その可能性はなくなっちゃったなという感じはしているんですね。やっぱり、自民という枠組みでしばらく行くぞという感じになると思う。これはどうですか?

三木谷:先ほど申し上げましたけれども、政局のことはよくわからないので。

産業競争力会議における三木谷氏の3つの主張

司会:日本経済再生本部での三木谷さんの産業競争力会議での主張というのはどういったことをされているんですか。

三木谷:まず1つ目は、国のお金を使うのではなくて、規制改革をベースに進めていきましょうというのは、一番大きな話ですね。2つ目は、具体的な指標をちゃんと作って、それを見える化して追っていきましょう。今まで何回も何回も作って、成長戦略なり再生戦略みたいなのを7回作っているんですよ、過去に。

司会:7回。

三木谷:いいプランを書いても意味がないので、本当に実際に実行されるかどうかがポイントになるので、それをやりましょうと。3つ目は景色が変わるようなわかりやすいやつをいくつかやりましょうと。それこそ例えば、インターネットは対面取引であると認めちゃうとかね。

夏野:わかりやすいですよね。

三木谷:それから試験は英語に変えて国際化をどんどん進めようとか。これってあんまりお金もかからないし、いい話じゃないですか。だけど、そういうところがいくつかは景色が変わるやつ。日本って変わったなと世界にわかりやすいやつをやりましょうという、大きくはこの3つですかね。

夏野:でも一方で、日本列島強靱化とか時代錯誤的なことを言っている方が内閣参与に入っちゃったりして。公共投資をものすごく増やせというような方向にいっているじゃないですか。これっていうのは、新しい経済を作ろうというのとオールドエコノミー万歳! みたいなのが並列しているという感じがするんですけど。

三木谷:そうですね。

夏野:そういう話題は出ないの?

三木谷:うん。そこは僕らは6カ月のタームしかないので、実行的にそこで対決してもね。

夏野:結論出ないんだ。

三木谷:うん。だからみんなそう思っているんだけれども。そこはあんまり話をせずに、どちらかというと具体的な打ち手、金がかからなくて成長できる打ち手というのを提案しています。

夏野:なるほどな。

インターネットに関する無知

司会:夏野さんは、今朝からインターネット選挙のお話をさんざん国会でもされていましたけれども、その辺りをもうちょっとお話を伺っていきたいなと思うのですが。

夏野:やっぱりネット選挙とかネットの薬の販売とか、単なるインターネットに対する無知からくるだけの話で、なんか解禁しない理由がないんです。特に薬の販売はそうだよね。一般大衆薬の話だから。

だから1回これで裁判が起きて実刑判決出たわけなんで、1回厚生労働省の幹部を何人かクビにしなきゃだめだよね。間違ったんだもん。

三木谷:まだ最高裁で実刑判決が出たんですけど、省令を引き下げていないんです。

夏野:それをまた支援しているメンバーをこの間見たら、政調会長とか入っているのよ。

三木谷:(笑)。そうなんですよね。

夏野:高市早苗だけどさ、そういうことでは自民党はだめだろうと。だからそうとう意識改革をしていかなければいけない。多分、そういう気もなく入っているんだと思うんですよ。

三木谷:わかっていないというのもある。でも高市さんなんかわかっていてそうなのかな。

ITにうとい政治家は去れ

司会:今コメントで、ネット出来ないじいさんは反対するわな(笑)。というコメントがあったんですが。

夏野:今日そういえば、国会で自民党の古い代議士さんから、「夏野さんの著作を読むとインターネットが出来ないリーダーは去れというふうに書いてありましたが、インターネットが出来ないと政治家としての資質がないという解釈でよろしいでしょうか」と聞かれちゃってさ。

司会:おっと(笑)。

三木谷:質問で?(笑)。

夏野:いやー! そうですとも言えないから、やっぱりねえ! 政治家の資質はわからないけど、これだけ一般化したらインターネットを使っている人がリーダーにならないと、これはリーダーとしてふさわしくないんじゃないですかと、意見をいっぱいいろんな人に伝えることが大事だからと。

司会:今朝のタイムシフトのリンクがばっちり載っていますね。

夏野:国会で聞かれちゃったよ。やばいなあと思ってね! そんな感じなんです。

三木谷:そうですね。

司会:ちゃんと夏野さんのご意見を見てくださっている、読んでくださっているということですね。

夏野:なんかね。質問のためにね。

司会:そうですよね(笑)。ありがたいお話ですよね。

メールだけがダメな意味がわからない

夏野:ただ、ちょっとネットに関しては時代が1回転遅れちゃいましたね。

三木谷:うん。完全に遅れています。でも今回メールが認められるか、認められないかという問題はあるけど、少なくともインターネット選挙活動を解禁させるということはすさまじい変化です!

夏野:すさまじい変化です! これドワンゴの株価がすさまじいんじゃないんだよ。みんな勘違いしているけど。ドワンゴは政治銘柄じゃないからね。政治銘柄っぽいけど。でも、いいかげんなことを言えなくなるんだよ。候補者は。

三木谷:そう。

夏野:みんな動画をとって(インターネットに)あげればいいので、このときにああ言っていたっていうのは全部残りますからね。

三木谷:動画のアップはいいけどメールはだめだって。いまだにますますわかんなくなっちゃって。

司会:不思議ですよね。

夏野:Twitterでこの候補を応援してもいい、電話もいい、Facebookもいいけど、メールはだめ。

司会:不思議ですよね。

夏野:意味が分からない。

三木谷:これはいずれはメールも認められるでしょう。

夏野:そりゃ、もう当然だよね! ただ、結構怖がっている人はいましたね。誹謗中傷とかね。

三木谷:そうね。

夏野:もともとされているだろう? 国会議員をやっている時点で、と僕は思いますけど。それに対してきちんと反論していけばいいと思うんですよ。

三木谷:我々なんか誹謗中傷されっぱなしですからね。

司会:(笑)。具体的には? 伺わないほうがいいですかね(笑)。

夏野:いやー。本当に赤坂のどこかのクラブの女の子を付けると、夏野のコンテンツは全部通るみたいな。嘘つけ! 赤坂のクラブなんか行ったことねーよ! みたいな。そんなことを言われたり。本当にひどい目に合ったよね。

司会:それは根も葉もないんですか? それとも根は。

夏野:根も葉もない。赤坂は行かない。

司会:赤坂は行かないんですね。

「結合」こそがネットの強み

夏野:でも、やっぱりネットが経済再生のカギでしょ?

三木谷:間違いないですよね。僕思ったんですよ。ちょっとアカデミックな話をすると、例えば金融緩和。これ経済学でいうとマネタリストとか言うじゃないですか。

夏野:そうですね。お金の供給量を増やしてみんながお金を使いやすい環境を作るということですね。

三木谷:その2つ目が、財政支出度。これケインジアン的な。

夏野:これは公共投資を増やすことで一時的に多くの仕事を作っていっきにみんなが経済を活性化すると書いてある。

三木谷:TPPはリカードの貿易論だと思ってるんですよ。つまりこれは得意な産業に集中したら「1+1=3」になると。基本的に最後の競争力というのはシュンペーターだと思っている。

イノベーションはいろいろ考えたんですけれども、みんな違うものを結びつけるというのがシュンペーターは新結合と言っていますけど。やっぱりインターネットは新結合じゃなくて、超結合だと僕は思っているんですよ。

夏野:全部くっつけちゃう!

三木谷:いろんなものをくっつける。

夏野:あり得ない組み合わせを作って。

三木谷:スマホにしてもそうですし、いろんなマップの基本もそうだし。今までにないものが組み合わさっているわけなんですよね。それによって世の中が変わるんですよ。そこへ前向きに行くかどうかっていうことが、国の経済を変える。

夏野:まさに!

インターネット・アウトバーン戦略とは

三木谷:もっと言うと、今度、インターネット・アウトバーン戦略というのを出したんですよ。競争力会議で。

夏野:アウトバーン。

三木谷:アウトバーン。ドイツの。ドイツの無制限無料じゃないですか。

夏野:200キロ出しても260キロで走ってもいい。速度制限ないんです。ドイツの高速道路。

司会:すごい。

夏野:むしろ最低速度がある。60キロ以下で走ると違反になっちゃう。

司会:違反になっちゃうんですね。

三木谷:結局ネットワークが早くて情報がいろいろあるところに、サービスは育つんですよ。だから車でいうと、ドイツはポルシェ、アウディ、BMWね。いろいろできてるじゃないですか。あれは、アウトバーンがあるから出てきたわけなんですよね。

それで韓国で聞いたんですよ。いろんなIT企業家に。何で韓国は発展したんだと聞いたら、それはいろいろ考えた挙句、インターネットが安くて速い、携帯も含めて。日本のインターネット、最初は速かったけれども今は別に最速でもないし。

夏野:普通になっちゃった。

三木谷:だからいろんなことを考えて、とにかくインターネット、それからワイヤレスも含めて圧倒的に世界で1番安くて、世界で1番速くすると。こうすると全然景色が変わってくると思うんですよ。ドワンゴの映像ももっと滑らかに流れるようになるし。

夏野:そうだね。結構今でもいいほうだよね? 日本は。アメリカなんか行くとひどいじゃないですか。

三木谷:アメリカは圧倒的な情報量があるんですよ。だからGoogleが必要なわけじゃないですか。ファイルの数が違うから。

夏野:2ケタぐらい違うよね。

三木谷:もう全く違う世界。

夏野:それは言語の問題がやっぱり1番大きいと思う。世界中が英語で論文を書いているから、日本語だけで閉じているとだめだね。だから日本も英語にしちゃえば全く問題なくいけるのかな。

三木谷:そうだけど、コンテンツはなかなか英語は難しいですよね。ビジネス上の英語を使いましょうというのはできると思いますけど。

夏野:おもしろいですよね。

三木谷:インターネット・アウトバーン戦略。

夏野:じゃあ、NTT国営化するか。

三木谷:でも、韓国なんかはそういう技能を発揮しているんですよね。

夏野:もう、(携帯会社)3つもいらねーと。

三木谷:少なくともプラットホームについては、1番のネットワークについては国有化して、誰でも簡単にアクセスできるようにしようと。

夏野:ドコモももう国営化してもいいかもしれないな。あんな電電公社に入った連中が経営しているんだからさ。もうだめかもしれないな。

三木谷:上の部分だけ民間がやってね。

夏野:そうだよな。MVNOのほうとかやらせてもらったほうがいいのかもしれないな。

三木谷:MVNOはわからない。参入数が全然違うんですよ。

夏野:いや、嫌がらせするの。俺やるよ、MVNO。どういう嫌がらせをしているか、手の内全部知っているからさ! どうでもいいですけど。

制作協力:VoXT