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「まずは、相手の“幸せMAX”を描くこと」 コピーライター・小霜和也氏が教える、コピー作りの基本

「まずは、相手の“幸せMAX”を描くこと」 コピーライター・小霜和也氏が教える、コピー作りの基本

コピーライター小霜和也氏と戦略PRの第一人者、本田哲也氏が対談しました。本パートでは小霜氏が「自前コピーの時代」をテーマに、「聞く力」の重要性について語っている。クライアントのインサイトを引き出す「聞く力」とは、一体どのようなものなのか?

シリーズ
第150回紀伊國屋サザンセミナー
2015年2月3日のログ
スピーカー
ブルーカレントジャパン株式会社 代表 本田哲也 氏
株式会社小霜オフィス no problem LLC. 代表 小霜和也 氏

コピーの基本は「心と技」

小霜和也氏(以下、小霜) では次に、そういう大きな流れがある中で、中小企業、自営業、士業さんが、自前広告をつくる。どうつくればいいかということについて解説してみます。コピーを書くのに大事なことを簡単にまとめると、心と技という、これだけだと思うんですよ。 心についてちょっと説明しますと、非常に根本の話だと思うんですけども、世の中に商品とかサービスが存在するのは、何のためにあるかっていうと、その商品を使ったりサービスを使ったりする人を幸せにするためにあるわけですよね。 これは間違いないと思うんですよ。詐欺的なものでない限り、幸せになろうと思って買うわけですよね。ここは間違いないですよね。じゃあ、そういう商品、サービスを提供する人が自分に問うべきことは、「誰をどうやって幸せにしたらいいか」ってことですよ。そこで商売するわけですよね。 士業の人だったら、税理士さんかもしれないし弁護士さんかもしれないし、色んな職業があるわけですけれども、たとえば「消費者金融に払いすぎた人のお金を取り戻してあげるぞ!」とか思って、お客さんを幸せにしたりするわけですよ。それで対価をもらう。「じゃあ自分は、どういう人をどうやって幸せにしたいの?」と、それを問うのがクリエイティブ、広告、コピーの根っこだと思うんですね。根っこでもあるし、言わば、それだけの話。 これは本にも書いたんですが、広告の基本っていうのはこれなんです。その商品、サービスがあることによるターゲットの幸せマックスを描く。これ、基本なんですね。逆もありますよ。その商品、サービスがないことによるターゲットの不幸マックスを描くっていうのもあります。

「自分は誰をどうやって幸せにしたいの?」

僕、無料広告学校というのをやっているんですけども、そこでお題を出すわけですよ。その時のワークショップの基本はこうだっていうふうに教えているんですけれど、例えば、本にも出てきましたけども、トラベルキャリーケース。「国際基準通過ですごい大容量」と。 じゃあ、今まで小容量のバッグを使っていた人が、大容量のバッグを買う、そのことによる幸せマックスって何なのか。海外旅行に行った、出張に行った。そこでお土産をいっぱい買った。それが「思いがけず、全部収まった」ということかもしれないし。 あるいは、逆にこっちから荷物を持っていくというときに「自分の枕じゃなくちゃ眠れない」という人がいたとしたら、それが「入った」ってことかもしれないし、「今までのバッグじゃなくてこのバッグ買ったら、こんな幸せになったよ」っていう、そういうシーンを見せてあげる。あるいは言葉で表現してあげる。それが広告の基本なんですね。 つまり、「あれいいな」と思った時に買うわけですよね、商品を。わかりますよね。簡単な話なんです。だから、「自分は誰をどうやって幸せにしたいの?」っていうことがなければ広告はできないし、それがあれば、それを描いてあげればいいっていうだけなんです。

接骨院を開いた理由は、ゴルフ好き?

それで例えばなんですけど、ある整骨院の場合、どんな広告があるかなと考えてみたんですけどね。僕の広告代理店時代の先輩の営業さんがいらっしゃるんですけれど、その人が会社を辞めて、整骨院をやると。「広告代理店の営業さんが何で整骨院やるんですか!?」って。 勉強して資格を取ったらしいんですけど、今年の4月に三軒茶屋で開業するっていう話で、脱サラするにしてもちょっと特殊過ぎるというか、「何でそういうことをしたいのかな?」と思ったんですけれど、話を聞いてみると、その人はめちゃめちゃゴルフが好きなんですよ。 それで、もう50代とかになって、「あといくつまでゴルフができるかな」みたいなことを考えたらしいんですね。「いくつになってもゴルフがしたい」という気持ちがあって、逆に言うと、「色んな人をいくつになっても、ゴルフができるようにしてあげたい」という気持ちが高じてきたと。 整骨で体を矯正したり、スポーツの運動力学みたいなものを取り入れてやると、結構体が弱らないでスポーツをずっとできるようになるというわけ。「そういうことをしてあげたい」という話。だったら、それをそのまんま描いてあげればいいんです。 「自分は、ずっといつまでもゴルフがしたいというゴルファーをターゲットにして、自分の整骨の技術で、何歳になってもゴルフができる体にしてあげたい」っていう、そのことを広告にしてあげれば、それで広告はできるっていうことなんです。 例えば、ターゲットの言葉として「80歳になりました。80歳だけどシングルで回ってますよ」っていうね。さっき言った、「このサービスがあることによる幸せマックス」を描いてあげましょうと。この整骨をやったことによって「80歳だけど、まだまだ行けますよ」っていうターゲットの喜びを言葉にしてあげようと。 例えばどうなるかなって書いたのが、こういう言葉だったりするわけですよね。「生涯スポーツのための整骨院があります」と。これでいいんです。

発注主の志や思いを「聴く力」

自分がこういうふうにしてあげたいと思って、してあげた結果としてのターゲットの喜び、これをコピーにしてあげれば広告は「一丁上がり!」なんですね。じゃあ、プロっていうのは何をしているのかっていう話なんですけれども、プロっていうのはテクニックを持っているのがプロなんです。 でも、やっぱり発注主の心がわからないとダメだと思うんですよ。案外、発注主の志とか思いとかを全然受けられないプロも結構いて、むしろ「自分が、自分が」と、自分がおもしろい表現をしたいとか、自分が目立つことをやりたいとかっていう、広告主、発注主そっちのけで「自分が」っていう人もいるわけですよね。 やっぱりそういうのは論外で、本にも書きましたけども、コピーライターって「聴く力」がすごく大切なんですよね。「この人は一体、本当は何をしたいんだろうか?」ということを聞きながら探っていく。 例えば、オリエンシートなんかもプレゼンの前に何度も見直したほうがいいと思うんですけども、それは、オリエンシートをなぞるんじゃなくって、その裏に潜む「本当は何を求めているんだろうか?」「本当はどうしたいんだろうか?」という心を読んでいくという作業が大事だと思うんです。その心が自分の中に入って来る。そうしたことをした上で、そこに技を加えていきましょうということなんです。 例えばですけど、ちょっとキャッチコピーを変えると「ナイスショットじいさんになりましょう」って書いてますけど、ある現象をネーミング化しようじゃないかと。80歳になってもピンピンでゴルフをしている人を「ナイスショットじいさん」っていうふうに名付けてみようっていうテクニックもあるでしょうと。 あるいは、欲しいストーリーをイメージさせる。「わしがクラブを握るとみんな笑った。しかし、ボールを打った途端……」っていう、これ実は、往年のアメリカの音楽学校の広告があって、80年ぐらい前にジョン・ケーブルズという人が書いた「私がピアノの前に座ると、みんな笑った。でも、私が弾き始めた途端……」というコピーのまるパクリなんですけども、この音楽学校はこの広告を出して、入門希望者が殺到したっていう話なんです。 つまり、こういうシーンが欲しいわけですよ。テクニックをあげるということよりも、テクニックをあげた結果としての「みんなが息を飲む」「まさか、この人がこんなに弾けるわけ⁉」みたいな、そういうシーンが欲しくて入門するわけですよね。

生活者と広告主に新しい関係性を築く

ターゲットが欲しいストーリーというものをイメージ化する。例えば、こういうことを知っていれば、そのまんま移植ですけれども、こういうコピーを書くこともできる。これは、テクニックなわけですよね。簡単にまとめると、プロがやるべきことっていうのは、広告主がやろうとしているコミュニケーションを俯瞰的、客観的にディレクションしてあげるということ。 やっぱり広告主って客観的視点がないので、わからなかったりするわけですよね。「こうしたいんだ!」っていうのがあっても、じゃあそれを形にしていくときにぶれたりとか、変な方向に行ったりするわけだけども。 「いやそうじゃない。こっちじゃだめですよ」「こっち行っちゃったらだめですよ、もっとこうしていきましょう」というふうにちょっと俯瞰で見て、筋道をちゃんとつくってあげる。そうするとやっぱり心というものがわかっていなきゃいけないわけで、その心をそういう技とかで、最適化してあげると。間違えないように。それをやるのがプロじゃないかなと僕は思っています。 それで、これも本に書きましたが、「広告クリエイティブとは何ぞや?」ということ。「新しい関係をつくるのがクリエイティブだ」というふうなことを言いましたけども、実は、ターゲットと整骨院との新しい関係をつくっているわけですよね。 これまでの生活者と整骨院の関係というのは、「腰が痛いな」となったら行くと。それで矯正してもらって「ああ、痛みがなくなったな」っていう、そういう関係だったわけですよね。でもそうじゃなくて、「ずっとスポーツしたいよ」と、ずっとスポーツをし続けるために整骨院に行くというのは、これまでと全然違う関係ですよね。 新しい関係、新しい回路ができているわけですよね。そういう新しい回路をクリエイトするのが、クリエイティブだと僕は定義しているんです。元に戻りますけれども、自分は誰をどうやって幸せにしたいのか。それができると新しい関係ができると思うんですよね。

「自前広告のつくり方」

例えば、弁護士でいうと、何かトラブルになったら解決してあげるっていう、そういう関係であったと思うんだけれど、消費者金融で過剰に支払っている人に対して、「代理でお金を戻してあげるよ」というのは、新しい関係をつくっていたかもしれないし、 あるいは、「ブラック企業で残業代を払ってくれなかった」「それをちゃんと請求しましょうよ」というのもまた新しい関係かもしれないし、士業であれ何であれ、新しい関係ってつくれると思うんですよね。 それは、「自分はこういうふうに幸せにしてあげたい」というのが根っこにあって、そこをちゃんと輪郭をつくってはっきりさせていけば見えてくる。それを素直に言葉で伝える。それが広告、コピーだということなんです。 それで僕、1つちょっと反省がありまして、この対談イベントのタイトル、「自前広告の時代」ってなってるんですけど、本当は「自前広告のつくり方」にしたかったんですよ(笑)。というのは、今言ったような話をして、自分でコピーを書いたり、自分で自分のビジネスの紹介をしたりしている人たちに届けたいなって思ったんですね。 それで、「時代っていうのとつくり方っていうのと、どっちがいいと思う?」っていうふうに宣伝会議の担当者に聞いたら、「それは、小霜さん、時代がいいですよ!」って言うのね。「つくり方だとターゲットが狭くなるでしょう? 時代のほうが広くとれますよ」って言うので、「そうかな」と思って時代にしたんですけれど、やっぱりちょっとそこに僕の心がなかったかなという気がして(笑)。 例えば、「自前広告のつくり方」っていうタイトルにして、「私の思いが世の中に、ターゲットに伝わった!」みたいな、このセミナーを聞くことによって、自分で広告をつくっている人の「幸せマックス」みたいなところを表現にしてあげて、「千客万来コミュニケーションですよ」っていうふうな、こんなふうに本当はしたらよかったなあ、みたいなことを思って、やや反省していると。 やっぱり技ありきじゃなくて、心ありきでやっとけば、このホールももっと埋まったんじゃないかなと思ったりしているということで、自分もまだ修行中という感じで(笑)。じゃあ、これをどう世の中に広めるかということで、本田さんにつなげたいと思います。お願いします。

  
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「まずは、相手の“幸せMAX”を描くこと」 コピーライター・小霜和也氏が教える、コピー作りの基本

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