スプリントの事業計画と現状の誤差はどの程度か

司会者:質疑応答の時間とさせていただきます。なお、なるべく多くの方からのご質問を頂戴したいと存じますので、ご質問はお一人様2つまでとさせていただきます。

孫正義氏(以下、孫):はい。それじゃあ、そこのお二人。

質問者:まず、スプリントについてですけど、減損の中のリリースにもあったんですけど、PPAに用いた、いわゆるスプリントの13年7月時点での事業計画と今までの状況というのは、たとえば契約数であったりとか、そういった見通しにどれだけ差異があるのか。というのが1点目です。

関連しちゃうんですけど、共通端末の研究だとかそういったところが遅れているという話も聞いていますので、シリコンバレーの拠点がどうなるかも教えてください。

2点目なんですけども、グループとしての来期以降の見通しについて。Yahooが、なかなか増益基調ではない。ガンホーもいったんピークアウトしているようで、で、今期は非常にモバイルが非常に良いですけど。スーパーセルも良いですね。その他ですね、あんまり増益の要素が見当たらないのではないかということもありまし、この辺は孫さん、どのようにお考えでしょうか?

:スプリントはですね、我々が買収して、そして伸ばしていくと。その中で一番大きな柱にあったのは、やはり、合併をさせるという思いが大きな柱にありました。それは正直なところですね。

それが、思惑と違ってきているというのが実態です。ただ、一方ですね、アメリカは大変大きな市場ですし、上位二社は非常に大きな利益を上げている。ということがありますので、挑戦する余地は十分にあると。

一歩一歩、経営の前進を目論んでおります。ということですが、もともとスプリントとして、作っておりました経営の計画と、そして、その経営の実態というのは、経営陣も変わっておりますし、前任者の立てた計画と、そして現状と、楽観的に見た計画と振り返ってみて、新たな経営陣として立て直した計画と現状を見てですね、その差のところが今回の減損の大きな主要因になっております。もちろん、株価が下がったというのが、減損のテストをすべきという大きな一番のきっかけになっております。

ということで、その見通しと結果。元経営陣と現在の経営陣の見通しの違いというのがございます。

共通端末等においてはですね、いろいろな共通端末等の検討も行っておりましたが、実態としては、やっぱりiPhoneが断トツに大きな存在ですし、米国においては、サムソンさんの機種が次に大きな存在になる。あとは非常にバラけているということですね。

それに対して日本の市場に、バラけているもの。あるいはサムソンさんの機種をソフトバンクとして扱うべきかどうかは別の問題がある。

日本の市場には、日本のユーザーにより適した機能だとか機種、たとえばシャープのアクオスですね。あるいはソニーさんの端末とか、そういうものを別途ソフトバンクの判断として入れているというのが今の実体であると。これが1点目だと思います。

減益の主要因はスプリント

:次に、来期の増益の見通しというのはですね、国内の事業、これが着実に一歩一歩、上昇基調にある。一歩一歩進んでいるということです。

スプリントについては、まだ先ほどから話しているような状態ですので、純利益ではマイナス。ですから、増益の部分が営業利益というところでいえば、少しは増益できるだろうという風に思っております。

一時益が上がったり下がったりというのは、その期、その期の、なにか特段のことがあるかもしれませんけど、基本的な基調としては、営業利益は少しずつではありますけれども、成長していくだろうと。

ネットインカム、純利益という意味におきましては、今期と前期はアリババの上場だとか、あるいは前期はですね、ガンホーだとか、ウィルコムだとか、そういう一時益の部分があります。

来期は、大きな一時益の計上を見込んでおりません。そういう前提でいきますと、スプリントの赤字部分がそのまま、フル連結でソフトバンクのトータルの連結に計上されますので、そういう意味ではネットインカム部分では、むしろ減益というのが、来期の見通しになるだろうと。

どれぐらいの金額かというのは、まだ、コメントする段階ではないと。いうことですが、

先ほどのスプリントの純利益のマイナス部分のグラフを既にお見せしましたので、ああいうようなものをソフトバンクの純利益に合算してみれば、減益の要因というのは、まさにスプリントだと。その一言だというように、なるだろうと思いますね。これが、純利益についての見通しということになります。

質問者:すみません、シリコンバレー向けというのはどういう役割を担っていくんでしょうか。

:そこでですね、いろいろな端末だとか、アクセサリーだとかを積極的に調達、あるいは開発をしていこうという風に検討しておりましたけども、現時点においては縮小しようと、コスト削減。という風に考えています。

スプリントの黒字転換の見通しについて

:はい、じゃあその隣の方。

質問者:今の方の質問とも重なるんですが、スプリントが純利益赤字だと思うんですが、黒字に転換するのはだいたいいつごろの見通しなのでしょうか。積極的にインドや新興国の投資をなさってると思うんですが、国内でもやられているようなエネルギー分野、そこにはどの程度関心はお持ちなのでしょうか。

:スプリントの黒転の時期については、まだコメントするには時期尚早という風に思います。まず、一歩一歩、足元を固めてからという時期なのかと思います。

次に、インドについてはですね、今、我々が積極的に、インドのインターネットに投資を行っておりますが、更に、それ以外どのように拡大していくかということについては、まだコメントする時期ではないと。コメントを控えさせていただきたいと思います。

ソフトバンクの投資先の好調は、インターネットバブルではない

質問者:アリババに質問です。アリババはこれまでCtoCのタオバオに対して、中国政府から非難を受けておりますけども、実際にこのアリババに関して、その一般の方たちを間違った情報で管理したのではないかと言われておりますが、これについてWPOの前に、もともと、予見していなかったリスクになるんでしょうか。

もうひとつが投資ですね、2014年末にシャオミーが、中国の携帯業者ですけれども、こちらが46ビリオンを超えていると。ドレイパー、こちらもインターネットタクシー会社ですけど、こちら40ビリオンというような形となっています。

こちら、80のスタートアップ企業が、1ビリオン超えていると、これがIPO前に評価額を受けていると、この数字というのが、2000年の2倍の数字となっています。そこで伺いたいのが、これは新たなインターネットバブルの危機になってきているんでしょうか。ソフトバンクとしては、非常に投資が得意とされておりますけども、これについて孫社長のご意見を伺いたいと思います。

:アリババに関して、おっしゃったような偽物問題ですけども、こちら十分な詳細な情報は、今お話できることは持っておりません。直接アリババに聞いていただくのが良いと思います。

私は、新聞記事で読むぐらいの情報しか持ち合わせておりません。こちらはセンシティブな問題もありますので、コメントを差し控えさせていただきます。十分に知り得てもいませんので。

2つ目、インターネット投資に関してですけど、おそらくこれはインターネットバブルではないと考えています。2000年にはほとんどのインターネット企業がたくさんの損を出していたと、お金を生み出せていなかったという状況でしたが、皆さんの期待値として、非常に高い期待値が設定されていた。ですから、ここで価格に関する是正が入ったんだと思います。

ただ、今現在を見ていただきますと、ほとんどの株価というのは、既に下がって、2000年以降、値段が戻りましたか? 2000年のピークプライスよりも上がってませんか? ということになれば、それはその通りですね、ということになると思います。つまりは、インターネットバブルが2000年にクラッシュしたとしても、これは本当の意味でのインターネットバブルではなかったと。

今日で考えれば、当時はインターネットバブルではなかったんだといえると思います。そこは確認していただければわかると思います。

ほとんどの主要なインターネット企業は、たとえば、アマゾンであったり、その他多くのインターネット企業、これは一度クラッシュをしておりますが、また、戻ってきて、以前よりも、その時の価格よりも更に上をいっているという状況です。

何はともあれ、その当時というのは、すぐに見てはおりましたけども、今回は過去の経験を生かして、たくさんのインターネット企業はアリババも含めて大きな利益を出し始めてきているという状況です。

そういった意味では皆さんの経験も豊かになった。状況もよく理解するようになった。価格についても、分析についても、こなれてきたということで、今回はインターネットバブルではないと考えます。

私は、一般的にはですね、特定の企業について聞かれているのであれば、いくつかほかのご意見もあると思いますし、特定の企業については別の意見もあるかもしれない。これは私のほうからはコメントは差し控えます。

孫正義氏、目下の最大の関心事とは

質問者:2点質問があります。まずは、国内の通信4社の新会社について、新体制は会長に孫さん、社長に宮内さんになることを発表されたわけですけど、孫さんご自身の国内事業への関わり方というものは今後変わっていくのでしょうか?

もうひとつがそこにも関わるんですが、孫さんご自身の目下の最大の関心事とはなんなのでしょうか? 仕事のウエイトでもっとも大きいものですとか―例えば1年前ですとアメリカの通信に強いアサインをつくるという取り組みにもっとも注力されていたと思うんですが―目下では何に関心を寄せられているのでしょうか?

:すでに発表させていただいています通り、4社を合併し社長が宮内、会長が私という体制を発表させていただきました。発表通り、宮内が私よりも精神年齢が少し若いと。見た目も若いと。実年齢だけは僕より上なんですけど、創業間もない頃からずっと30年間私の腹心として頑張ってくれていたわけですけれども。

宮内が社長として僕は国内の通信だけではなく、先ほどのスプリント社の立て直しですとか、あるいはインターネットの新たな投資ですとかグループ全体の戦略の全体をグローバルに見ていくのが僕の役割だと思っています。

2番目の質問のお答えもそのものでございます。世界的に常に次のチャンスを見ながら、かつ既にもっている企業の全体のバランスとシナジーを見ていくことだと思っております。

では、そちらの女性の方。

スプリント社の苦戦の先に見えた景色とは

質問者:2点質問させていただきます。1点目は、一部の報道でスプリント社の一部の周波数帯を売却するのではないかという報道がありましたが、その辺りについてどのように考えていらっしゃっるかをお伺いしたいです。

2点目は、スプリントが苦戦しているというお話がありましたが、先ほど「挑戦して初めて見える景色がある」というお話がありましたが、今どんな景色が見えているのか教えていただけたらと思います。

:スプリントにおいては、フリーキャッシュフローでマイナスというお話がありました。今後の資金をどう賄うかという選択のひとつとして、スプリントが世界的に見ても2.5GHz帯の電波を世界一持っている会社かもしれません。

それを今後10年先を見て、余るような部分の電波があればそれを一部売却するということも売却する検討の選択肢として……、選択肢から排除はしないと。それも含めて検討に値すると。というのが、今の状況です。まだ売却すると決めたわけでもありませんし、売却絶対しないと決めたわけでもなく、どのくらい余るのかということが検討の内容になろうかと思います。

まぁ、挑戦して見えた景色といいますと、色んな景色が見えました(笑)。見えた景色の細かい描写は今日は言葉少なにしたいですけれども、今日は風邪を引いていますから(笑)。

形式を追わず、実体を見極める

質問者:1点細かい点なんですが、第3四半期の資料に携帯の純増数が「34万5000」と伸び悩んでいますけれど、この受け止め方と捉え方をどのようにされているかをお伺いしたいです。

:我々はですね、純増合戦として「みまもりケータイ」ですとか、あるいはフォトフレームですとか、細かいものをたくさん売ってとにかく少しでも数を稼ごうということに力点を置いていた時期もありました。

しかし今はですね、そういった形式的なところではなく、むしろ実体を一番よくしていこうと思っています。たとえば、携帯の端末そのものの数ですとか、あるいはポータビリティだとか、より収益を稼げるような端末だとか。

もちろん純増の数だけを追おうとすれば、MVNOで利益はでないけれどたくさん卸売るだとか、M2M(マシン・ツー・マシン)でほとんど逆ザヤに近いけれど、たくさん出していこうだとか。やりようはいくらでもあるんですね。

でもそういうものを追いかけても仕方ないんだと、もちろん役に立つものはそういったものでも売っていきます。小さいお子様用だとか、シニアの方ようだとか、役に立つものは。

しかし、数合わせをすることだけはやめておこうという話になっています。むしろ経営の実体を優先していこうというところへ我々が置いている力点を転換したことがその答えとなします。

アナリストの予想より純利益が低いことについて

質問者:2点ありまして、1点目は細かい点なんですけれど10月から12月期の純利益がですね、アナリストの予想よりも実際が低めに出ているんですけれども、それについてはどのようなお考えをお持ちですか? 思い当たる特殊要因があれば教えていただきたいと思います。

2点目が、スプリントに関して今は一心不乱に頑張るだけだとおっしゃっていたかと思うんですが、孫社長は過去の講演で「逃げ足も大事、逃げる時は一目散に逃げる」とおっしゃられているかと思います。そこで、すごいダイレクトに伺いますと、スプリントの売却ということを検討されたことがあるのか、また今後検討されることがあるのかを教えてください。

:アナリストの方が何を根拠に、何を計算して言ったのかということが僕にはよくわからないので(笑)。あくまでも我々の予定通りの計画であったと。

次に、スプリントの件ですけれど、あまりコメントすると上場会社ですしね、余計なことはあまり言わないほうがいいということですね。

激しい殴り合いになるかはやってみないとわからない

質問者:2点ほどお伺いしたいんですが、1点目は投資が一巡してフリーキャッシュフローが楽になるというお話だったんですけれども、来期以降4Gが始まり設備投資の額は減らしていくのか、それとも維持していくのかといったところが1点と、もう1点がセット割のお話なんですが、これが業績に与える影響というものをどのようにお考えになっていますか?

:4Gは既に始まっておりますから、3.5GHzの件ですね。そちらに関しましては、せっかくいただいた免許ですから、予定通りしっかりやらせていただきます。

ただ、電波の特性上、建物の中だとか樹木の中を突き抜けていくのには適していない電波ですから、都心に集中的に現在電波がひっ迫しているようなところを中心に行っていこうと思っております。

セット割については、これはお互いに様子を見てみないとわからないということだと思います。少なくとも、初めて三つ巴になるということですから、三つ巴になった結果、お互いに激しい殴り合いになるのか、それともリーズナブルな範囲にいくのかはやってみないとわからないということになるかと思います。